楽天証券は2026年10月9日、2027年1月から始まる0〜17歳向けの「こどもNISA」専用商品として、信託報酬ゼロ(無料)の投資信託を含むラインアップの拡充を決定したと発表した。現時点で明らかになっているのは「提供を決めた」という方針までで、商品の中身は今後の発表を待つことになる。
こどもNISA専用に信託報酬ゼロの投資信託を用意
今回の発表の中心は、こどもNISA向けの専用商品として信託報酬ゼロ(無料)の投資信託が加わる点にある。楽天証券は、顧客が低コストで長期間にわたり資産づくりを続けられるようにすることを目的として、こどもNISA専用の商品ラインアップを拡充すると説明している。
リリースでは「信託報酬ゼロ(無料)の投資信託を含む専用商品ラインアップ」と表現されている。つまり、専用商品のすべてが信託報酬ゼロになるとは書かれておらず、ゼロの商品とそうでない商品が並ぶ構成になる可能性がある。
保有中にかかり続ける信託報酬がゼロになる意味
信託報酬は、投資信託を保有している間、運用や管理の対価として信託財産から差し引かれ続ける費用である。購入時に一度だけ払う手数料と違い、持っている期間が長いほど負担の合計が積み上がっていく性質を持つ。
こどもNISAは0歳から始められるため、仮に成人近くまで積み立てを続けるとすれば、保有期間は十数年に及ぶ。保有中のコストが運用成果から差し引かれる期間もそれだけ長くなるので、信託報酬がかからない商品は、長期の積立と相性がよい設計だといえる。楽天証券も、0歳から運用を始められるこどもNISAでは、より長期間継続できる環境が欠かせないとしている。
ファンド名や提供開始日は現時点で公表されていない
一方で、今回のリリースは提供の決定を伝えるもので、商品を選ぶうえで必要な情報の多くはまだ出ていない。詳細は準備が整い次第、楽天証券のウェブサイトなどで順次案内される予定だ。現時点で公表されていないのは、主に次の点である。
- ファンドの名称と本数
- 運用会社
- 投資対象(どの資産・指数に投資する商品か)
- 提供開始日
- 信託報酬以外にかかる費用の有無と水準
- 信託報酬ゼロが恒久的なものか、期間を区切ったものか
なかでも、ゼロがいつまで続くのかは長期の積立を前提とする家庭にとって影響が大きい。十数年単位で保有する商品であれば、途中で条件が変わるかどうかで評価が変わってくるため、続報では期間の扱いを確かめておきたい。
信託報酬ゼロでも費用とリスクがなくなるわけではない
信託報酬がゼロであることは、投資にかかる費用がすべてゼロになることを意味しない。楽天証券はリリースの中で、取扱商品への投資にあたっては各商品等に所定の手数料や諸経費等を負担する場合があると説明している。今回の専用商品で信託報酬以外にどのような費用がかかるのかは、商品の詳細が出てから確認することになる。
また、投資信託である以上、価格の変動などによって損失が生じるおそれがある点は、信託報酬の水準にかかわらず変わらない。コストの低さは商品選びの重要な物差しの一つだが、何に投資する商品なのかがわからない段階では、良し悪しを判断する材料がそろっていないといえる。
こどもNISAは年間60万円、総額600万円まで非課税で積立できる
こどもNISAは、2027年1月から始まる0〜17歳を対象としたNISAつみたて投資枠である。年間60万円まで、かつ非課税保有限度額600万円までの範囲で、つみたて投資枠の対象となる投資信託を非課税で積立運用できる。
| 制度開始 | 2027年1月 |
| 対象年齢 | 0〜17歳 |
| 年間の投資上限 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 対象商品 | つみたて投資枠対象の投資信託 |
楽天証券は、大学進学などの教育資金をはじめ、子どもの将来に必要な資金を長期・安定的な投資で備えたいというニーズに活用できる制度だとしている。使い道と時期がある程度見えている資金を積み立てる制度であるだけに、途中でやめずに続けられるかどうかが成果を左右しやすく、保有コストの低い商品が専用に用意される意味は小さくないと考えられる。
口座開設の申込は受付中、家族4人なら合計最大10,000円の現金
楽天証券では、こどもNISA口座の開設申込をすでに受け付けている。申込開始にあわせて、条件を満たした顧客(親権者と子ども)の全員に現金を進呈するキャンペーンも実施中だ。
リリースでは家族4人の例が示されており、楽天証券と楽天銀行の両方の条件を達成した場合、合計で最大10,000円の現金を受け取れる。内訳は次のとおりである。
| 対象 | 進呈額 |
| 親権者2人 | 6,000円 |
| 子ども2人 | 4,000円 |
| 合計 | 最大10,000円 |
この金額は楽天証券・楽天銀行の両方で条件を満たした家族4人の場合の上限であり、達成状況や家族の人数によって受け取れる額は変わると考えられる。具体的な達成条件は今回のリリースには書かれておらず、楽天証券のウェブサイトで案内されている。
NISA口座数800万の楽天証券が専用の低コスト商品を打ち出す
楽天証券はNISA口座数が800万口座にのぼり、同社の集計では業界最多だとしている。この数字は、金融庁「NISA口座の利用状況調査(令和7年12月末時点)」と各社ウェブサイト上の開示情報をもとに楽天証券が集計したものだ。
こどもNISAは制度開始前の段階で、どの金融機関で口座を開くかを各家庭が検討する時期にあたる。その時期に専用の信託報酬ゼロ商品を打ち出したことは、口座の開設先を選ぶ際の判断材料を増やす動きだと考えられる。同社は今回の専用商品にとどまらず、商品・サービスの拡充を進める方針も示している。
低コストを重視する家庭は商品詳細の続報を待って判断したい
子どもの教育資金などを長い時間をかけて積み立てたい家庭にとって、保有中のコストを抑えられる商品は検討に値する選択肢になる。とくに0歳に近い時期から積み立てを始める場合は保有期間が長くなるため、信託報酬の有無が効いてくる余地も大きい。
ただし現時点では、投資対象も信託報酬以外の費用も明らかになっていない。信託報酬がゼロであることだけを理由に決めるのではなく、何に投資する商品なのか、ゼロの条件がいつまで続くのかが公表されてから、ほかのつみたて投資枠対象の投資信託と並べて検討するのが堅実だろう。口座開設の申込は先に進めておき、積み立てる商品は詳細が出そろってから選ぶ、という進め方も選択肢になる。














