編集部Sこと筆者は、じつはあまり楽天市場を使ってこなかったのだが、楽天証券の口座開設をきっかけに、楽天経済圏の魅力に取り憑かれ、いまでは楽天経済圏の住人になってしまった。
今回は楽天SPUの紹介をしながら、実際に楽天SPUを使って現実的にどこまでポイント倍率を上げることができるのかも検証していきたいと思う。
目次
楽天SPUの対象サービスとポイント倍率
楽天SPUとは(スーパポイントアッププログラム:Super Point Up program)の略で、楽天グループのポイントシステムの中核をなすポイントシステムのことだ。
楽天会員の登録(無料)をすることで、楽天グループでの買い物で100円につき1ポイントが貯まるようになる。1ポイントは1円相当で、楽天グループのサービスなどで利用できる。
SPUの肝は、楽天グループの対象サービスを利用することで、最大16.5倍(100円につき16.5ポイント=16.5%還元)(※2023年12月時点)のポイント還元を得られる点。
対象サービスとポイントアップ率は以下の通り。サービスによってはただ利用するだけでなく、対象となる利用条件が定められている場合もある。SPUの条件は変更されることがあるので、最新情報を確認することが大切だ。
ポイント倍率 | 対象サービス | 月間獲得上限 |
---|---|---|
+0.5倍 | 楽天銀行+楽天カード (0.3倍+0.2倍=合計最大+0.5倍) | 1,000ポイント |
楽天ブックス | 500ポイント | |
楽天Kobo | 500ポイント | |
Rakuten Fashionアプリ | 1,000ポイント | |
楽天ビューティ | 500ポイント | |
Rakuten Pasha | 1,000ポイント | |
楽天証券(投資信託) | 2,000ポイント | |
楽天証券(米国株式) | 2,000ポイント | |
楽天ウォレット | 1,000ポイント | |
+1倍 | 楽天トラベル | 1,000ポイント |
+2倍 | 楽天カード (通常分1倍+特典分1倍) | 通常分:上限なし 特典分:1,000ポイント -プレミアムカードは5,000ポイント |
楽天モバイルキャリア決済 | 1,000ポイント | |
Rakuten Turbo/楽天ひかり | 1,000ポイント | |
+4倍 | 楽天モバイル (Rakuten最強プラン) | 2,000ポイント |
楽天SPU攻略のコツ
楽天SPUのポイント倍率アップ条件には、年会費無料の楽天カードを利用するといった簡単なものもあれば、月額利用料がかかるサービスの契約など難易度の高いものもある。
まずは無料で利用できる簡単な条件を組み合わせてポイントアップを狙い、その次に、有料でも自身の利用ニーズが高いサービスを組み合わせることで、さらなるポイントアップを狙うと良いだろう。
ポイントアップ条件の難易度まとめ
やさしい | 楽天カード:+2倍 楽天銀行+楽天カード:+最大0.5倍 |
---|---|
ふつう | Rakuten Pasha:+0.5倍 |
ややむずかしい | 楽天ブックス:+0.5倍 楽天Kobo:+0.5倍 Rakuten Fashionアプリ:+0.5倍 楽天ビューティ:+0.5倍 |
むずかしい | 楽天モバイル(Rakuten最強プラン):+4倍 楽天モバイルキャリア決済:+2倍 楽天トラベル:+1倍 Rakuten Turbo/楽天ひかり:+2倍 楽天ウォレット:+0.5倍 楽天証券(投資信託):+0.5倍 楽天証券(米国株式):+0.5倍 |
無料でポイントアップ(やさしい)
- 楽天カード +2倍
- 楽天銀行+楽天カード最大+0.5倍
上記は無料で利用できるサービスなので、まずはこれらを利用すると良いだろう。
楽天カードと楽天銀行を利用するだけで、楽天市場で買い物をする際のポイント還元が+2.5倍となるのだ。
ただし、楽天銀行+楽天カードで+0.5倍を達成するためには、2つの条件をクリアする必要がある(詳しくは後述する)。人によっては片方の条件が難しいため、+0.3倍になる場合もある。
有料だが毎月ポイントアップが可能(ふつう)
- Rakuten Pasha +0.5倍
上記は対象商品の購入と条件クリアのためのいくつかの手続きが必要にはなるが(詳しくは後述する)、習慣化すれば毎月条件をクリアすることは可能。
利用月に応じてポイントアップ(ややむずかしい)
- 楽天ブックス +0.5倍
- 楽天Kobo +0.5倍
- Rakuten Fashionアプリ +0.5倍
- 楽天ビューティ +0.5倍
上記は、サービスの利用が条件を満たす形であった月のみポイントアップが適用される。ここまですべて利用した場合、最大+5倍のポイントアップとなる。
申込のハードルが高いor利用機会が少ない(むずかしい)
- 楽天トラベル +1倍
- 楽天モバイル(Rakuten最強プラ) +4倍
- 楽天モバイルキャリア決済 +2倍
- Rakuten Turbo/楽天ひかり +2倍
- 楽天証券 最大+1倍
- 楽天ウォレット +0.5倍
上記は、長期的な契約が必要だったり、利用機会やニーズが少なかったりして、すべての人が利用できるとは限らないサービスだ。
ただ、ここまですべて利用すると、最大+15.5倍のポイントアップとなり、楽天会員の基本のポイント1倍と合わせて最大16.5倍のポイントアップとなる。
ポイント最大16.5倍は達成可能なのか?
前述の解説からもわかるかもしれないが、ポイント最大16.5倍は、不可能ではないが達成できる人は限られるだろう。
ただ、ポイント+2.5倍までは簡単に達成でき、ポイント+3~5倍も毎月は難しくても対象サービスの利用タイミングが合えばそこまで難しくはない。
このあたりをベースに、利用月に応じてポイントがもらえるサービスや、自身のニーズがあるサービスを利用してさらなるポイントアップを狙うと良いのではないだろうか。
楽天SPU対象サービスの詳細
ここからは、楽天SPUの対象となっているサービスそれぞれについて詳しく紹介していく。
楽天カード:+2倍
楽天カードは、年会費無料、通常還元率1%のクレジットカードで、国際ブランドはVISA、マスターカード、JCB、アメックスのいずれかから選べる。
一般的に還元率1%と高還元率といえるが、さらに楽天市場ではSPUにより楽天カード通常分+1倍と楽天カード特典分+1倍の合計で+2倍の3%還元となる。楽天市場をよく利用するならぜひ持っておきたいカードだ。
なお、楽天カードには上位カードとして楽天ゴールドカードや楽天プレミアムカードなどがあるが、現在はSPUの倍率が一般カードの楽天カードと同じになっている。
楽天カードは、楽天市場以外の楽天関連サービスとも相性が良い。たとえば、楽天証券ではつみたてNISAの支払い方法に楽天カードを指定でき、ポイント還元の対象にもなる。
また、海外旅行保険が付帯しているため、海外旅行でも活躍するカードだ。
楽天銀行+楽天カード:最大+0.5倍
楽天銀行において楽天カードで以下の2つの条件をクリアすると最大+0.5倍となる。
- 楽天銀行の口座で楽天カード利用代金の引落をする:+0.3倍
- 上記を達成した上で、購買前月に楽天銀行で給与・賞与・年金を受け取る:+0.2倍
「楽天銀行の口座で楽天カード利用代金の引落をする」は簡単に達成できるので、楽天カードを所有するなら楽天銀行との連携は必ず行いたいところ。
一方、「楽天銀行で給与・賞与・年金を受取る」という条件は、たとえば給与振込の金融機関を会社から指定されている場合や、給与形態ではない個人事業主などには達成が難しい。
楽天銀行とは
楽天銀行は楽天グループが運営するネットバンク。SPUとは別に「ハッピープログラム」と呼ばれる楽天銀行ならではのポイントプログラムもあり、対象サービスの利用で楽天ポイントが貯まる。
また、残高や取引件数に応じて5種類の会員ステージがあり、ステージごとにATM・他行振込手数料無料の回数やポイント獲得倍率がアップする。
公式サイト
ATMは、セブン銀行、イオン銀行をはじめ、ローソン、ファミリーマートのATM、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行、VIEW ALTTE、PatSatで利用可能。
楽天Pasha:+0.5倍
楽天Pasha(パシャ)は、レシートを撮影して送ると楽天ポイントがもらえるサービス。主要機能は以下の2つ。
- クーポン:おトクな日替わりクーポンをGET後、街のお店で対象商品を購入して申請を行うと、楽天ポイント獲得
- きょうのレシート:街のお店で買い物したレシートをその日のうちに撮影して送ると、楽天ポイントや抽選チケット獲得
SPUの対象となるには、クーポンで当月に300ポイント以上獲得し、「きょうのレシートキャンペーン」にて審査通過レシート10枚以上を達成した場合。
多少手間はかかるが、日頃の買い物でこまめに楽天Pashaを利用すれば、条件達成は難しくはない。
楽天ブックス:+0.5倍
楽天ブックスは楽天のネット書店。月1回1注文3,000円以上(クーポン割引後の税込金額)買い物をすると、SPUの対象となる。
※筆者はこの記事執筆時点で+4%であったため、楽天ブックスのSPUポイント+0.5%が加算された計算だ。
楽天ブックスでの買い物にもSPUのポイント倍率が適用されるので、ポイント還元分お得になる。
ネット書店にはさまざまなサービスがあるが、楽天ポイントを活用するのであれば楽天ブックスを優先して使いたいところだ。
楽天Kobo:+0.5倍
楽天Koboは、電子書籍のサービス。スマートフォンやパソコンの専用アプリまたは専用の電子書籍リーダーで、購入した書籍を読むことができる。
SPUの対象となるのは、月1回1注文3,000円以上(クーポン割引後の税込金額)の買い物をした場合。
楽天Koboでの買い物にもSPUのポイント倍率が適用される。楽天Koboは楽天IDに紐付いており、台数制限もないので、複数の端末で同期しながら使いやすいのも大きなメリット。
専用の電子書籍リーダーは、優しい色使いで長く本を読んでいても目が疲れない。
Rakuten Fashionアプリ:+0.5倍
Rakuten Fashionは、楽天市場の中でもブランドのファッションを販売する専門サイト。そのアプリがRakuten Fashionアプリだ。
SPUの対象となるのは、Rakuten FashionアプリでRakuten Fashion商品を月1回1注文5,000円以上購入した場合。
Rakuten Fashion内でも楽天SPUは適用され、楽天SPUの最大16.5倍ポイント対象となる。ただし、楽天スーパーDEALで高還元率がもとから設定されている商品は適用対象外になる。
楽天ビューティ:+0.5倍
楽天ビューティーは、美容室の検索・予約ができるサイト。
SPUの対象となるのは、月1回3,000円以上の利用(クーポン割引後の税込み金額)。
なお、楽天ビューティではSPUのポイント倍率は適用されない。
一方、楽天ビューティではSPUとは別にポイントがもらえるキャンペーンが実施されていることがあるので、利用時はチェックしておこう。
楽天トラベル:+1倍
楽天トラベルは、旅行予約サイト。宿泊施設や航空券の予約など、各種チケットの手配が可能。
SPUの対象となるのは、対象サービスを月1回5,000円以上予約し、対象期間に利用した場合(バスの予約は対象外)。予約申し込み月の楽天市場での買い物金額がポイントアップの対象だ。
なお、楽天トラベル内の予約ではSPUのポイント倍率は適用されない。
楽天モバイル(Rakuten最強プラン):+4倍
楽天モバイルは格安SIMフリー(MVNO)と言われる携帯通話キャリアサービスの一つ。
データ無制限プランの「Rakuten最強プラン」の契約がSPUの対象となっている。利用料金は月額3,278円(税込)※通話料等別。3GBまでの利用であれば1,078円(税込)となる。
このあたりから楽天グループのサービスとはいえ、SPUの達成が少しずつ難しくなってくる。
楽天SPUのために楽天モバイルを契約するべきか?
携帯電話のキャリアの選択は、日常生活に大きく影響するので慎重に判断したいところ。
一般的にMVNO(格安SIM)は、料金は安いが混雑時の回線が遅くなるといわれる。特に都心部の通勤時間や人が多く集まるイベントなどでは、Yahoo!Japanのサイトを開くだけでも時間がかかることもある。
また、MVNOは通話が多いと逆に料金が高くなる場合もある。楽天モバイルでは、「Rakuten Link」というアプリを使うことで無料で国内通話ができるが、他社接続サービスや一部特番は無料通話の対象外となるので注意したい。アプリ未使用時の通話は30秒22円となる。
さらにSPUの注意点として、対象となる条件や倍率は変更になることがあり、楽天モバイルに関しても何度か変更があった。
そのため筆者は、楽天モバイルはSPUのために契約するのではなく、携帯料金を下げる目的でのみ契約することを推奨する。楽天SPUはおまけ程度に考えておけばよいだろう。
楽天モバイルキャリア決済:+2倍
楽天モバイルキャリア決済は、楽天モバイル利用者のうちAndroid端末のみで利用可能。
Google Playストアでダウンロードしたゲームアプリ内での課金や、LINEコイン、YouTube Premium、電子マガジン、Google Oneなどの料金支払いを楽天モバイルの利用料金とまとめて支払えるサービスだ。
SPUの対象となるのは、月2,000円以上の支払いがある場合。
楽天モバイルユーザーから対象となる条件がさらに絞られるが、ポイント倍率が高いので条件を達成できる場合は利用したい。
Rkuten Turbo/楽天ひかり:+2倍
Rakuten Turboおよび楽天ひかりは、いずれも楽天のインターネット回線サービス。
Rakuten Turboは、据え置き型ルーターを設置して、楽天モバイルの電波で接続するインターネット回線。楽天ひかりは、光ファイバーケーブルを建物内に直接引き込んで接続するインターネット回線だ。いずれかを契約することでSPUの対象となる。
Rakuten Turboの利用料金は、1~12カ月目は月額基本料1,980円(税込)※キャンペーン価格適用時、13カ月目以降は4,480円(税込)。これに加えて、Rkuten Turbo 5G(製品)代金(一括/24回払い/48回払い)とユニバーサルサービス料が月額2円、電話リレーサービス料が月額1.1円、契約事務手数料が初回のみ3,300円(税込)かかる。
楽天ひかりの利用料金は、マンションプラン(集合住宅)が月額4,180円(税込)、ファミリープラン(戸建て)が月額5,280円(税込)。これに加えて、サービス利用開始の際に初期費用(回線の利用状況により異なる)、工事費がかかる。
楽天証券:最大+1倍
楽天証券でSPUを実現するためにはいくつか条件があり、複雑な設定が必要になってくる。はじめに、楽天SPUのポイントアップ達成条件は以下の通り。
- 楽天証券口座開設
- 楽天ポイントコースを選択している
- マネーブリッジを設定している
- 当月合計30,000円以上のポイント投資(投資信託/米国株式 円貨決済)
この条件について詳しく説明する。
ポイントコースは楽天ポイントコース
楽天証券のポイントコースは、「楽天証券ポイントコース」と「楽天ポイントコース」の二つがある。この内、楽天SPUの条件達成には、「楽天ポイントコース」の選択が必須となっている。
もう一方の楽天証券ポイントコースにあえてするメリットは少なく、楽天ポイントコースの方がメリットは大きい。
マネーブリッジを設定する
マネーブリッジとは、楽天銀行と楽天証券の口座連携サービス。
楽天証券利用でSPU対象となるには、月末時点でマネーブリッジを設定している必要がある。また、マネーブリッジを設定するためには楽天銀行口座の開設が必要だ。
投資信託/米国株式 円貨決済でポイント投資を利用する
ここまでの条件を満たしたうえで、当月合計30,000以上のポイント投資を投資信託で行うと+0.5%、同じく当月合計30,000以上のポイント投資を米国株式 円貨決済で行うと+0.5%となり合計+1.0%となる。
ただし、米株積立および買付手数料無料海外ETF(9銘柄)はSPU対象外。
当月合計30,000円以上は、複数回に分けた投資でも対象。また、30,000円すべてをポイントで投資する必要はなく、1ポイント以上のポイント投資があれば対象となる。
楽天証券では、投資を行う際に以下のようにポイント利用を選択できる。
SPUの対象となるためには、必ず1ポイント以上利用する設定にしておこう。
「すべての利用可能ポイントを使う」にすると、ポイント残高がなくなり、翌月以降の条件達成が難しくなる可能性もあるのが、このあたりは利用者の好みといったところだろうか。
積立投信の引き落とし口座に楽天カードを設定するとさらにお得
SPUの条件ではないが、楽天経済圏のメリットを最大限に活かすためにも、引き落とし口座は楽天カードに設定しよう。
楽天証券の積立投信(つみたてNISA)では、引き落とし方法として楽天カードのみクレジットカードを選択できる。
楽天カードを指定すれば、100円につき1ポイントが貯まるため、毎月の積立投資で、実質的に1%の利回りが確約されたようなものである。
このように、様々なサービス内で楽天カードの効果を感じることができるのも魅力の一つ。
楽天ウォレット:+0.5倍
楽天ウォレットは、楽天の暗号通貨取引所。利用には、口座開設と専用アプリのインストールが必要だ。
SPUの対象となるためには、取引開始の上、暗号資産現物取引で月に合計30,000円以上の購入(ポイント交換含む)が必要。
楽天SPU以外にも各サービスでポイントは貯まる
今回は各サービスのSPUに関する点を取り上げたが、SPU以外にも各サービスごとにキャンペーンが開催されていることが多いので、さらなるポイント獲得が可能となっている。
楽天のサービスを使う場合は、自分に適用されそうなキャンペーンがないかまずは探してみるとよいだろう。
たとえば、スマホ決済サービス「楽天ペイ」では楽天カードでのチャージと組み合わせることで、合計最大1.5%還元を実現できる。
楽天のサービスを使うときは、こういった関連サービスの組み合わせによる還元率アップができないか確認してみよう。
一点注意したいのは、楽天グループの多くのキャンペーンは事前にエントリーが必要ということ。キャンペーン利用時は、適用条件をしっかりと確認しよう。