クレジットカードの中でも、屈指のステータスを持つダイナースクラブ。
ダイナースクラブは、VISA、Mastercard、JCB、アメリカン・エキスプレス(以下、アメックス)とともに5大国際ブランドを形成し、ステータスでいえば最上級に値する。
アメックスと同じく「T&E」(トラベル&エンターテインメント)の性質を色濃く持ち、社会的地位の高い人たちの定番ともいえるこのカードには、人生を豊かにする各種サービスが凝縮されている。
もっとも代表的なサービスといえば、「スムーズダイニング」。
専用のリザベーションデスクから予約すると、会計時にカードの提示もサインも不要でスマートに食事を楽しむことができる。
ハイステータスのカードとしても有名だが、雰囲気やスタイルにこだわりたい大切なシーンで重宝する一枚だ。
また、最近の大きなニュースといえば、2019年7月23日から新サービス「コンパニオンカード」が開始されること。
ダイナースクラブプレミアムカードに「ワールドエリートカード」、レギュラーカードに「プラチナマスターカード」とマスターカードの最高峰カードが無料で付帯される。
今までは利便性が高いとはいえなかったが、コンパニオンカード付帯でマスターカードでの決済も可能となり、決済範囲がぐっと広くなる。
もちろんポイントも請求書も保有しているダイナースクラブカードに一本化されるので利便性も高い。
目次
ダイナースクラブのステータス
ダイナースクラブは、ステータスを語るうえで欠かせないクレジットカードだ。
カードを保有するだけで社会的な地位の高さ、知名度がブランドイメージを高めて定着させた。
同じようなT&Eを象徴するクレジットカードに、アメックスがあるが、ダイナースクラブは洗練されたイメージがより強く、アメックスとは一線を画している。
ダイナースクラブは、シンプルなカードラインナップが上品さを物語る。
2002年にダイナースクラブ プレミアムが登場するまで、プロパーカードは1種類のみだった。
ちなみに、アメックスのプロパーカードは6種類ある(ビジネスカードを除く)。
幅広い顧客を対象にするアメックスに対し、ダイナースクラブは高属性の顧客に絞ったブランド展開が、上質な顧客確保につながっている。
ダイナースクラブとアメックスの位置関係
- アメックス・センチュリオン =ブラックカード
- ダイナースクラブ プレミアム =ブラックカード級
- アメックス・プラチナ =プラチナカード
- ダイナースクラブ =プラチナカード級
- アメックス・ゴールド =ゴールドカード
- アメックス・グリーン =ゴールドカード級
ダイナースクラブ プレミアムは、アメックス・センチュリオンに迫る唯一のカードになる。
ただし、各種サービスや年会費を比較すると、プラチナカードに近いので「ブラックカード級」、ダイナースクラブも明らかにゴールドカードを上回る性能があるので「プラチナカード級」と表記した。
ダイナースクラブのステータスは利用限度額にも表れている。
よく誤解されがちなのが「利用限度額なし」と解釈されることだ。
「一律の制限はない」という表記で、個別に利用限度額の上限を定めている。
初期段階はダイナースクラブで100万円~、ダイナースクラブ プレミアムで300万円~と、アメックスより与信枠が高くなっている。
ダイナースクラブの審査基準
最も気になるのがダイナースクラブの審査基準ではないだろうか。
ここまでの内容からもわかるように、審査のハードルは非常に高く設定されている。
各クレジットカードの審査基準は以下に明記する4つの項目が最重要ポイントになる。
この中でダイナースクラブが最も重要視するのが年収と言われている。
最低でも500万円以上なければ審査に通るのが難しいことが明らかになっている。
- 年収
- 雇用形態と職業
- 自家保有の有無
- 過去のクレジット関連での延滞歴の有無
ダイナースクラブの審査基準は「27歳以上の方」。
これでは、あまりにも解釈が広すぎるので、公式ホームページ上にある申し込みの予備審査である「カードクイック診断」というシステムを利用した。
この診断結果でカード発行の簡易診断を行い、発行可能との結果が出たら「オンライン入会」へ進む。以下に入力する4項目を明記した。
- 年齢
- 年収
- 直近3カ月以内のクレジットカードの利用歴
- 過去1年以内のクレジットカードの1カ月以上の延滞歴
カードクイック診断の結果
▽1.=26歳 | 2.=500万円 | 3.=○ | 4.=× 診断結果× |
▽1.=27歳 | 2.=499万円 | 3.=○ | 4.=× 診断結果× |
▽1.=26歳 | 2.=1.000万円 | 3.=○ | 4.=× 診断結果× |
▽1.=27歳 | 2.=500万円 | 3.=○ | 4.=× 診断結果○ |
▽1.=27歳 | 2.=500万円 | 3.=× | 4.=× 診断結果○ |
年齢は100歳で直近3カ月以内のクレジットカードの利用歴がなくても、年収で500万円と入力すれば診断結果は○だった。
4.の延滞歴は、全てのクレジットカードの審査で拒否されるので全て×とした。
この結果、27歳以上で年収500万円以上が審査基準で最もウェイトを占めることが判明した。
審査基準の緩和
ダイナースクラブは経営不振が続き、2000年以降に経営母体が次々と変わっている。
このため、審査基準を大幅に緩和して会員を増やし収益改善を目指してきた。
1990年代までの審査基準は「33歳以上の役職者で自家保有」と明記され、年収基準は1,000万円以上だった。
とはいえ、総合的に見てハードルは下げられたが、他社の審査基準と比較すると低くなったとは言い難い。
例えば、年収でいえばアメックス・プラチナは400万円以上、アメックス・ゴールドは300万円以上で審査をパスできる可能性がある。
国税庁の2014年「民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した4,756万人の給与所得の平均は約415万円。
これを見ると、ダイナースクラブの年収500万円以上の審査基準は、決して低い数値ではないことがわかる。
国内・海外での使いやすさ
ダイナースクラブの国内・海外での利便性を見てみよう。
クレジットカードを作るかどうか判断する際は、ステータスだけではなく使える店舗が多いか少ないかも選択する大きな基準となるはずだ。
ダイナースクラブの利便性は、VISAやMastercardの国際ブランドに比べて大幅に劣っていたのが実情。
しかし、日本ではJCB加盟店であればダイナースクラブカードが利用できる上、冒頭でも述べたように2019年7月23日から「コンパニオンカード」を付帯するサービスを開始。
コンパニオンカードとは、マスターカードの最上位カードである、「ワールドエリートカード」「プラチナマスターカード」が無料で付帯できるサービスだ。
以前は海外(とくにヨーロッパ)で利用できる店舗が少なかったが、コンパニオンカードを発行することで世界各国のマスターカード加盟店でも利用が可能。
ダイナースクラブの加盟店数の少なさをワールドエリートカードで補うことが出来るのだ。
ただ、ダイナースクラブ自体は、高級ホテルなど、高額決済がある程度担保できるような店舗でしか使えないのが実情だ。
国際ブランドの世界の加盟店舗数の目安
- VISA=3,900万店(日本800万店)
- Mastercard=3,900万店(日本800万店)
- JCB=2,850万店(日本850万店)
- アメックス=2,000万店(JCBと相互加盟店開放)
- ダイナースクラブ=1,300万店(JCBと相互加盟店開放)
- 中国銀聯=1,000万店(日本1万5,000店)
- ディスカバーカード=400万店(JCBと相互加盟店開放)
ダイナースクラブは、日本唯一の国際ブランドであるJCBと2006年に相互加盟店開放を提携。
両カード会社の決済機能を使えるため、日本国内ではJCB加盟店でダイナースクラブが使える。(海外ではその逆も可能)
ただし、決済端末の古い加盟店や決済代行業者が間に入っている場合、ダイナースクラブで決済できないが、全JCB加盟店の約90%で決済が可能になった。
ネットショッピングでは不便も生じる。
通常のカード番号が16ケタに対し、ダイナースクラブが14ケタで対応できないサイトも数多くあるためだ。
ダイナースクラブカードのラインナップ
ダイナースクラブには3種類のプロパーカードに加え、航空会社などの提携カードもラインナップされている。
各カードの基本スペックなどをまとめてみた。
プロパーカード
ダイナースクラブカード
年会費(税込) | 24,200円(家族会員5,500円) |
入会基準 | 27歳以上の方 |
利用可能額 | 一律の制限なし(100万~300万円が目安) |
ETCカード | 1枚を無料で発行 |
ポイント還元率 | 通常で0.4% |
付帯保険 | 自動付帯・利用付帯 |
▽海外(自動付帯)
- 死亡、後遺障害は最高で1億円(自動付帯5,000万円+利用付帯5,000万円)
- 傷害治療費は最高で300万円
- 疾病治療費は最高で300万円
- 賠償責任は最高で1億円
- 携行品損害は1旅行で最高50万円
- 救援者費用は最高で300万円
▽国内(利用付帯)
- 死亡、後遺障害は最高で1億円
- 手術費用5万~20万円
- 入院費用日額5,000円(180日限度)
- 通院費用3,000円(90日限度)
▽ショッピング・リカバリー
- 補償額は年間最高500万円(自己負担金10,000円、補償期間は購入日から90日間)
さらに詳細を知りたい方はこちらを参考。
ダイナースクラブカード公式サイト
ダイナースクラブ プレミアムカード
年会費(税込) | 143,000円(家族会員無料) |
入会基準 | ダイナースクラブカード会員の中から招待制 |
利用可能額 | 利用可能額:一律の制限なし(300万円~が目安) |
ETCカード | 1枚を無料で発行 |
付帯保険 | 自動付帯 |
▽海外旅行保険
- 死亡、後遺障害は最高で1億円(家族特約最高1,000万円)
- 傷害治療費は最高で1,000万円(家族特約最高200万円)
- 疾病治療費は最高で1,000万円(家族特約最高200万円)
- 賠償責任は最高で1億円(家族特約2,000万円)
- 携行品損害は1旅行で最高100万円(家族特約50万円)
- 救援者費用は最高で500万円(家族特約200万円)
▽海外航空便遅延費用保険
- 乗継遅延費用2万円
- 出航遅延・欠航搭乗不能費用2万円
- 受託手荷物遅延費用2万円
- 受託手荷物紛失費用4万円
▽国内
- 死亡、後遺障害は最高で1億円(家族特約最高500万円)
- 手術費用5万~20万円
- 入院費用日額5,000円(180日限度)
- 通院費用3,000円(90日限度)
▽ショッピング・リカバリー
- 補償額は年間最高500万円(自己負担金10,000円、補償期間は購入日から90日間)
ダイナースクラブ ビジネスカード
年会費(税込) | 29,700円(追加会員無料) |
入会基準 | 27歳以上の個人事業主、法人企業の代表者または役員 |
利用可能額 | 利用可能額:一律の制限なし(100万~300万円が目安) |
ETCカード | 1枚を無料で発行 |
付帯保険 | 自動付帯・利用付帯 |
▽海外旅行保険(自動付帯)
- 死亡、後遺障害は最高で1億円(自動5,000万円+利用5,000万円)
- 傷害治療費は最高で300万円
- 疾病治療費は最高で300万円
- 賠償責任は最高で1億円
- 携行品損害は1旅行で最高50万円
- 救援者費用は最高で300万円
▽国内(利用付帯)
- 死亡、後遺障害は最高で1億円
- 手術費用5万~20万円
- 入院費用日額5,000円(180日限度)
- 通院費用3,000円(90日限度)
▽ショッピング・リカバリー
・補償額は年間最高500万円(自己負担金10,000円、補償期間は購入日から90日間)
主要提携カード
その他、提携カードは以下の通り。
カード種別 | 年会費(税込) | 家族会員(税込) |
---|---|---|
ANAダイナースカード | 29,700円 | 6,600円 |
JALダイナースカード | 30,800円 | 9,900円 |
デルタスカイマイルダイナースクラブカード | 30,800円 | 9,900円 |
MileagePlusダイナースクラブファースト | 47,300円 | 9,900円 |
MileagePlusダイナースクラブカード | 30,800円 | 9,900円 |
BMWダイナースカード | 27,500円 | 7,700円 |
ニューオータニクラブダイナースカード | 24,200円 | 5,500円 |
三井住友信託ダイナースクラブカード | 24,200円 | 5,500円 |
銀座ダイナースクラブカード | 27,500円 | 家族会員無料 |
銀座ダイナースクラブカード和光 | 27,500円 | 家族会員無料 |
銀座ダイナースクラブカードヴィーナスクラブ | 27,500円 | 家族会員無料 |
アメックスなど、提携カードによってサービスや補償内容が変わってくるが、ダイナースの場合は券種が変わっても同じ保険、サービスが適応される。
関連記事:ダイナースクラブカード全券種の特徴を比較したらわかった、最強のダイナースカード
ダイナースクラブのサービス
ダイナースクラブの真価を発揮するのは、手厚いサービス体制だ。
T&Eを重視しているカードだけに、サービスの範囲は多岐にわたる。
長年培われたノウハウもあり、独自のサービスも展開。特に旅行関連には絶対的な強さを見せる。
ダイナースクラブカードでもプラチナカードレベルのサービスがあり、見逃せないポイントになる。
トラベル関連のサービス
国内空港ラウンジ無料利用
主要28空港でソフトドリンク無料などのサービスが受けられる
海外空港では専用の「クラブラウンジ」を無料利用
ダイナースクラブが会員用に100の国・地域で展開する850カ所の空港ラウンジを無料で利用できる。
ダイナースカード プレミアムは、さらに世界900カ所の空港ラウンジを無料で利用できる「プライオリティ・パス」が無料で付帯し、コンパニオンカード発行した後は、ラウンジ・キーの利用も可能に。
(ただし、2019年10月1日以降、コンパニオンカードが発行された場合、プライオリティ・パス新規申し込みはできない)
クラブホテルズ
世界中のホテルで優待サービスが受けられる。一部ホテルでは部屋の無料アップグレードもある
手荷物宅配無料サービス
成田、羽田、関西、中部の各空港では、国際線を利用した際の帰国時に会員1人1個のスーツケースを無料で宅配してくれる
空港送迎タクシー、空港特急列車、前泊の無料サービス
トラベルデスクで50万円以上の海外パッケージツアー、航空券を購入すると受けられるサービス。
タクシーは送迎対象地域から往路か復路のいずれか無料(または一部負担)、空港までの特急列車が2区間分無料になる(一部条件あり)、空港近辺の指定ホテルでの前泊(2名まで利用可能)が無料になる。
飲食店サービス
エグゼクティブダイニング
国内の約200のレストランで、指定のコース料理を2名分以上で予約すると、1名分が無料になる。他ではプラチナカード以上のサービスとなる
ダイナースクラブ・サインレス・スタイル
専用デスクで予約を済ませると、当日はカードの提示もサインも不要で決済が完了。祝いの席や接待などで重宝するシステムだ
料亭プラン
一見さんお断りなどの格式の高い高級料亭でも、ダイナースクラブの担当デスクで予約を代行してくれる。紹介者の必要もなく、料理の内容や演出などの要望も伝えることができる
ダイナースクラブ プレミアムのサービス
- 毎年、会員の誕生日にプレゼントを贈る
- 空港でコートの無料預かりをしてくれる。対象空港は成田、羽田、関西、中部
- コンシェルジュサービスは24時間365日対応
ダイナースクラブ、ダイナースクラブ プレミアムのサービス内容は、タイムリーな部分も多いった。
例えば、世界で活躍する有名シェフがプロデュースする店舗での優待サービスも、随時展開。
有名ゴルフ場の予約代行も便利なシステムだ。ダイナースクラブカードでも、プラチナレベルのサービスがあり、十分に楽しむことができる。
コンパニオンカード
コンパニオンカードとは、ダイナースクラブプレミアムには「ワールドエリートカード」、レギュラーカードには「プラチナマスターカード」が無料で付帯させるサービス。
上述した通り、最大の特徴はマスターカードの上位カードが付帯されることで世界のマスターカード加盟店でも利用することが可能になること。
また、コンパニオンカードで支払いった際のポイントは、ダイナースクラブリワードプログラムに合算され(100円で1ポイント)、請求も引き落とし口座もダイナースクラブカードと同じで管理することができる。
加えてコンパニオンカードを持つことで以下のサービスも受けることができる。
ワールドエリートカードのサービス
Taste of Premium 18特典
マスターカード上位カード向けの特別優待プログラムで、様々なサービスが受けることが可能。
とくにワールドエリートカードなら、ほぼすべてのサービスを受けることができる。
- 国際線手荷物無料宅配
- 空港クローク優待サービス
- 海外用携帯電話/Wi-Fiレンタル優待サービス
- 国内ゴルフ予約サービス
- 会員制ゴルフ予約サービス
- 海外有名ゴルフクラブ手配サービス
- 国内高級ホテル・高級旅館予約サービス
- Trip.com特別優待
- ふるさとの税特別優待
- ヘリクルーズ手配サービス
- 歌舞伎・能手配サービス
- ダイニングby招待日和(2名利用で1名無料)
- Tokyo Supercard特別優待
- 海外空港送迎サービス
- 国内空港送迎優待サービス
- カーシェアリング優待
- スポニチゴルファーズ倶楽部特別入会
- ザ・カハラ・ホテル&リゾート特別宿泊
Boingo Wi-Fi利用
国内を含む、世界100カ国、100万箇所でインターネット接続が可能。
登録、利用料無料。
空港ラウンジサービス「ラウンジ・キー」
(2019年9月1日よりサービス開始)
世界100カ国、300以上の都市の空港ラウンジをクレジットカードだけで利用することが出来るサービス。(専用サイトで登録が必要)
また、利用料無料で何回でも利用することが可能。
1名までの同伴者が無料となる。
プラチナマスターカードのサービス
ワールドエリートに比べるとサービス内容は劣るが、それでも充実したラインナップになっている。
Taste of Premium 8特典
- 国際線手荷物宅配優待サービス
- 空港クローク優待サービス
- 海外用携帯電話/Wi-Fiレンタル優待サービス
- 国内ゴルフ予約サービス
- 国内高級ホテル・高級旅館予約サービス
- Trip.com特別優待
- ふるさとの税特別優待
- ダイニングby招待日和(2名利用で1名無料)
Boingo Wi-Fi利用
国内を含む、世界100カ国、100万箇所でインターネット接続が可能。
登録、利用料無料。
海外でのキャッシング
ダイナースクラブのクレジットカードは、海外でのキャッシングにも対応している。
世界で利用できるATMは、100の国・地域にある50万台以上となっている。VISAの国際ATMネットワークは200の国・地域にある240万台以上。
両者を比較すれば一目瞭然で、ダイナースクラブの海外キャッシングは、利便性が高いといえない。
- 米国(ハワイを含む)は「pulse」というロゴマークのある国際ATMネットワーク
- 米国以外は「Diners Club」のロゴマークのある国際ATMネットワーク
ダイナースクラブは、MasterCardやJCBなどが加盟する国際ATMネットワークの「Cirrus」(シーラス)に加盟していたが、2009年6月末で脱会。
これ以降は海外キャッシングができる対象ATMが半分以下となり、海外で見つけるのはひと苦労だ。
金利手数料は年率15.0%で、VISAやMasterCardの年率18%より低率になっているが、ATMの利便性に期待できないのが大きなネックになっている。
ダイナースクラブでは今後、キャッシングサービスを縮小か、廃止することも検討している。
2010年の改正貸金業法の施行で、年収の3分の1までしか借り入れできない「総量規制」の対象に、クレジットカードのキャッシングも含まれた。
収益性を考えたアメックスは2012年にキャッシングサービスを廃止。カード業界全体でキャッシング事業に消極的なのが実情だ。
ダイナースクラブのポイント
ダイナースクラブのポイントプログラムは、「ダイナースクラブ リワードポイント」というシステムで運営される。
基本的には100円=1ポイントが付与され、1,000ポイントから交換対象になる。還元率は0.3~1%と高ポイント還元ではないが、ポイントの有効期限がないのが大きなメリットになっている。
ダイナースクラブで貯めたポイントは、年会費6,600円(税込)の「ダイナースグローバルマイレージ」に加入することで、提携する各航空会社のマイルに移行もできる。手数料は無料、移行レートは航空会社ごとに異なる。
たとえば、全日本空輸/ANAマイレージクラブの場合は、1,000ポイント=1,000マイル換算(年間移行マイル数上限:40,000マイル)で、もっとも移行レートが良い。
マイル換算の対象となる航空会社
- 全日空(ANA)
- 日本航空(JAL)
- アリタリア-イタリア航空
- デルタ航空
- アメリカン航空
- ユナイテッド航空
- 大韓航空
航空機以外の利用に対しても、お得な「ダイナースクラブポイントアップ加盟店」がある。対象店舗でダイナースクラブを利用すると、通常のポイントが2倍(もしくは2倍以上)になる。
さらに「ダイナースクラブポイントモール」のネットショップを利用すると、ポイントが2倍以上の高還元率になる店舗を大勢集めている。
ダイナースクラブポイントモール主なサイト
総合通販
- JALショッピング 100円=5P…2.5%
- セブンネットショッピング 100円=6P…3.0%
- ニッセンオンライン 100円=3P…1.5%
百貨店
- 三越オンラインストア 100円=5P…2.5%
- 東急百貨店ネットショッピング 100円=5P…2.5%
- 高島屋オンラインストア 100円=6P…3.0%
ファッション
- GAPオンラインストア 100円=6P…3.0%
- マルイウェブチャンネル 100円=2P…1.0%
- クロックスオンラインショップ 100円=5P…2.5%
国内旅行
- JTB 100円=3P…1.5%
- 楽天トラベル 100円=2P…1.0%
- るるぶトラベル 100円=3P…1.5%
食品関連
- ピザハットオンライン 100円=5P…2.5%
- カゴメの通信販売 100円=4P…2.0%
- テレビ東京 虎ノ門市場 100円=10P…5.0%
元を取るにはそれなりの覚悟を
ダイナースクラブは、24,200円以上(税込)という高額な年会費が目につく。しかし、各種のサービス内容を年に一度でも受ければ、十分に元が取れる可能性が高い。
例えば23,000円のコース料理を提携サービスの「2名以上で1名分無料」にできたら、それでペイできてしまう。要は個人のライフスタイルに適合するか否かだ。
ステータスにあこがれて保有するのもいいが、使いこなさなければ意味がない。このクラスのクレジットカードになると、その性能を最大限に引き出すのはかなり上級レベルになってくる。
ちなみに、ダイナースクラブでやや懸念していたのは、セキュリティー面だったが、2016年4月18日発行分からICカードに切り替わった。
レストランで財布を忘れたことが事業の発端に
ダイナースクラブの歴史は、ハプニングから始まった。
創業者で実業家のマクナマラ氏が、米国・ニューヨークのレストランで食事をした際、財布を忘れたことに気づいた。夫人に現金を届けてもらい、支払いを済ませたことがきっかけだ。
こんな思いをしなくてもいいように、「ツケ」で食事をする方法を模索。友人の弁護士とともに、1950年、ニューヨークで設立した。
ダイナーズの英語表記は「Diners」=「ディナーの複数形」=「食事をする人」になる。まさに、同社を最も象徴するネーミング。
世界屈指のステータスを持つダイナースクラブが誕生した背景は、かなりイレギュラーな経緯があった。日本展開は設立10年後の1960年で、高度経済成長の初期の時代だった。
ダイナースクラブの主な歴史
1950年:米国・ニューヨークで実業家・マクナマラ、弁護士・シュナイダー両氏によって設立
1960年:日本交通公社(現JTB)、富士銀行(現みずほ銀行)が出資して日本で創立
1961年:日本発のJCBとほぼ同時期にクレジットカードを発行
1964年:ダイナースクラブインターナショナルがフランチャイズ契約に基づいて資本参加
1981年:米国・シティコープ(現シティグループ)が買収
2000年:シティコープ子会社が日本ダイナースクラブの全株式を取得
2004年:シティカードジャパンが営業権を継承
2008年:シティグループが経営不振でディスカバー・フィナンシャル・サービシスに売却
2010年:ディスカバー加盟店でカード使用、「PULSE」のATMでキャッシング利用を開始
2015年:三井住友信託銀行がシティカードジャパンを買収。三井住友トラストクラブに変更