日本の代名詞的存在である富士山。近年は国内のみならず、海外からの登山者も増えている。
富士山登山の所要時間はルートによって異なるが、目安として上りで6~8時間、下りで4~5時間かかる。
そのため、基本的に山小屋での宿泊が推奨され、日帰りの場合は早朝に登山を開始する必要がある。リスクの高い弾丸登山を規制するため、2025年シーズンからは規制時間が繰り上がり、基本的に14時以降は山小屋の予約がないと登山できない。
富士山登山にかかる費用は、入山料(全ルート共通で4,000円)、山小屋宿泊代、トイレのチップ、食事代、飲料水代など。
2025年シーズンより、吉田・須走・御殿場・富士宮の全4ルートで、1人1回4,000円の入山料の支払いが義務化された。従来は吉田ルートのみ通行料2,000円がかかり、あわせて任意の富士山保全協力金1,000円を募る形だったが、これらは入山料に一本化されている。吉田ルートは一日の登山人数の制限もあり、事前の通行予約または山小屋予約が推奨される。
富士山での支払いには、クレジットカード払いなどのキャッシュレス決済による事前支払いができるものがある。また、現地でも一部キャッシュレス決済に対応しているものもある。
登山をスムースに行い、余計な現金を持ち歩かないためにも、事前支払いのできるものは事前に手続きを済ませておくことをおすすめする。
また、現地でもキャッシュレス決済が利用できる場面では積極的に利用したいところだが、富士山をはじめ山岳地帯ではクレジットカード、電子マネーといったキャッシュレス決済が利用できないことも多い。
これは、場所柄、安定的な電力の供給、電波通信を維持するのが難しいからだ。キャッシュレス決済に対応している場所でも、当日の状況次第で利用できなくなる可能性がある。
そのため、いずれにしても現金をある程度持って行ったほうが良い。とくに小銭を用意しておくことをおすすめする。
本記事では、富士山で必要な支払いについて詳細をまとめるとともに、キャッシュレス決済の対応状況についても解説する。
富士山でお金を利用するシーンとキャッシュレス対応
「登山中にお金を払うシーンなんてほとんどないのでは?」と思う人もいるかもしれない。
しかし、前述の通り、富士山登山の場合はさまざまなシーンでお金を支払うことになる。
キャッシュレス決済の対応有無を含め、以下に詳しく紹介していく。
入山料(全ルート共通で4,000円)
入山料は、富士山の環境保全や登山者の安全対策などを図るための費用だ。2025年シーズンより全4ルートで支払いが義務化され、1人1回4,000円となっている。
従来、山梨県側の吉田ルートで分かれていた通行料(2,000円・義務)と富士山保全協力金(1,000円・任意)は入山料に一本化され、任意の保全協力金は廃止された。静岡県側の須走・御殿場・富士宮ルートでも、従来の任意の協力金にかわって入山料が導入されている。
登山時に現地で支払いをするか、事前に予約・登録システムで支払いを行おう。予約・決済のシステムは、山梨県側(吉田ルート)と静岡県側(その他のルート)とで異なるので注意しよう。いずれも事前決済ではクレジットカードが利用でき、吉田ルートはPayPayにも対応している。
現地で支払いをする場合、受付場所は各ルートの五合目付近の登山口が中心となる。ただし現地での支払い方法はルートによって異なる。吉田ルートの当日払いは現金のみだが、静岡県側の3ルートは現金のほかクレジットカード等のキャッシュレス決済も利用できる。詳細はこのあとのルート別解説で紹介する。
吉田ルートの入山料と登山規制
山梨県側の吉田ルートでは、2024年シーズンに通行料2,000円が義務化され、2025年シーズンからは富士山保全協力金と一本化して入山料4,000円に改められた。
支払いは吉田ルート五合目の登山道入口で行うか、事前の通行予約による事前決済を行う。
現地(当日)の支払いは現金のみで、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済は利用できない。一方、事前の通行予約システムで決済する場合は、クレジットカードまたはPayPayが利用できる。事前決済を済ませておけば、当日はスマートフォンのQRコードを提示するだけで通行でき、現金を用意する手間も省ける。
日帰りの場合は事前予約推奨
吉田ルートでは2024年のシーズンより、御来光を目指す登山客による夜間の混雑と危険な弾丸登山を防ぐため、1日の人数と時間を制限する登山規制が開始され、五合目登山入口ゲートが設けられている。
この規制では、山小屋に宿泊予約をしている人を除き、1日の登山者の上限を4,000人と定め、上限に達すると五合目から山頂方向へは通行できなくなる。そのため、山小屋の宿泊予約をするか、日帰りの場合は事前予約をおすすめする。
通行予約はオンラインで当日まで受け付けているが、いざ五合目まで行って上限に達し通行できないという事態にならないよう、余裕をもって事前に手配しておいたほうが良いだろう。
また、2025年シーズンからは規制時間が繰り上がり、午後2時~翌午前3時の間は五合目の登山道入口ゲートが閉鎖される(2024年は午後4時からだった)。山小屋に宿泊予約がある場合は通行可能だが、日帰り登山客は山頂方向へ通行できない。
静岡県側も要事前手続き、夜間登山は非推奨
静岡県側の須走ルート・御殿場ルート・富士宮ルートでも、2025年シーズンより入山料4,000円が義務化された。あわせて、「静岡県富士登山事前登録システム(静岡県FUJI NAVI)」への登山計画の登録と、富士登山のルール・マナーの事前学習(eラーニング)が求められている。事前登録は2026年シーズンの場合、2026年5月8日午前10時から受け付けが始まった。
現地では係員が登録と事前学習済かどうかを確認し、確認が取れるとリストバンドが配布される。システム未登録の方は、各登山口五合目で、ルール・マナーの現地学習(所要30分程度)が実施される。
また、静岡県側では午後2時から翌午前3時までに入山する場合、山小屋の宿泊予約が必須となる。この時間帯に山小屋の予約なしで入山することはできず、日帰りでの夜間登山は認められていない。入山料は事前登録システムまたは現地で支払え、現地では現金のほかクレジットカード等のキャッシュレス決済が利用できる。
山小屋の宿泊料
富士山登山がはじめてだったり登山にあまり慣れていなかったりする場合はもちろん、無理なく登山を楽しみたい場合も、山小屋の利用をおすすめする。山小屋を利用する場合、必ず事前に予約してほしい。
山小屋の宿泊料は山小屋ごとに利用日や食事の有無によって異なるが、目安として1人1日当たり6,000~10,000円程度。
「富士山吉田口旅館組合」「富士山富士宮口旅館組合」の公式サイトで、それぞれの登山道にある山小屋の情報を確認できる。
予約方法は山小屋によって異なり、一部の山小屋はインターネット予約やキャッシュレス決済にも対応している。本記事でも、いくつかの山小屋の詳細を後述する。
トイレのチップ
富士山のトイレを利用する場合、チップとして1回あたり200~300円が必要になる。
環境を考えたバイオ式のトイレが一般的で、水洗トイレは基本的にないと考えた方がよい。
トイレに行く回数は人や気候によって異なるが、100円玉を多めに用意しておいたほうが無難だろう。
なお、チップはキャッシュレス決済に対応していないので注意が必要だ。
食事の購入費
山小屋の売店で食事を購入することができる。
街中のスーパーやコンビニよりも相場は圧倒的に高く、カップラーメンが400円、麺類が800円、ご飯類が1,200円程度となっている。
一部の山小屋ではキャッシュレス決済にも対応している。
飲料の購入費
富士山には自動販売機も設置されている。ただし、ペットボトルが5合目で200円程度、山頂付近で500円程度と高額になっている。購入は現金が基本。
登山に際してはあらかじめ飲み物を用意しておくべきだが、途中で足りなくなったなどの場合に備え、いざというときは自販機も利用できるよう小銭を用意しておくことをおすすめする。
山小屋のキャッシュレス対応状況
キャッシュレス決済に対応している富士山の山小屋を、登山口ごとに紹介する。なお、調査時点(2019年)から状況が変わっている可能性もあるため、利用の際は必ず公式情報を確認してほしい。
吉田口山小屋一覧
吉田口から登る際に、クレジットカードが利用できる施設は以下の通りだ。
佐藤小屋
五合目の駐車場から歩いて30分の場所に位置する山小屋。
クレジットカード、電子マネー各種対応している。
【クレジットカード】
- Visa
- Mastercard
- American Express
- JCB
- Diners
- Discover
【電子マネー】
- Suica
- Toica
- manaca
- ICOCA
- iD
- QUICPay
里見平 星観荘
【クレジットカード】
- Visa
- Mastercard
- JCB
鎌岩館
七合目に位置する山小屋。2024年度より、公式サイトからの宿泊予約は事前決済制に移行し、予約時にクレジットカードまたはPayPayで支払う方式となった。これにより、宿泊料について当日現金を持参する必要がなくなっている。
【事前決済(公式サイト予約)】
- クレジットカード
- PayPay
なお、飲料水などは下界からブルドーザーや人力で運び上げるため割高で、500mlのペットボトルで600円~が目安となっている。
本八合目富士山ホテル
8合目にある富士山ホテルはクレジットカードの利用ができる。
【クレジットカード】
- Visa
- Mastercard
行く前に自分のカードのブランドをチェックしておこう。
富士山八合目 元祖室
8合目にある元祖室はクレジットカード払いに対応しており、
【クレジットカード】
- Visa
- Mastercard
- American Express
- JCB
- Diners
- Discover
富士山七合目 富士一館
7合目にある富士一館では、クレジットカードが利用できる。
【クレジットカード】
- Visa
- Mastercard
- American Express
- JCB
- Diners
- Discover
海抜一万尺 東洋館
最大320人を収容する大型の山荘で、売店ではクレジットカードのほか、電子マネーやQRコード決済にも対応している。
【クレジットカード】
- Visa
- Mastercard
- American Express
- JCB
- Diners
- Discover
【電子マネー】
- 交通系IC(Suica・PASMOなど)
- iD
- QUICPay
【QRコード決済】
- Alipay
山小屋 白雲荘
8合目にある山荘、白雲荘はクレジットカード払いに対応している。
【クレジットカード】
- Visa
- Mastercard
本七合目トモエ館
トモエ館では現地でクレジットカードを利用することはできないが、事前のネット予約の際にクレジットカード払いを選択することができる。
須走口小屋一覧
須走口から登る際にクレジットカードを利用できる施設は以下の通り。
東富士山荘
東富士山荘では、クレジットカードと交通系電子マネー、PayPayを利用することができる。
扱っているブランドに関しても一通りそろっているので、不便はないだろう。
【クレジットカード】
- Visa
- Mastercard
- American Express
- JCB
- Diners
- Discover
- 銀聯
【電子マネー】
- Suica
- Toica
- manaca
- ICOCA
- iD
- QUICPay
- REdy
- nanaco
- WAON
【スマホQR決済アプリ】
- PayPay
御殿場口山小屋一覧
残念ながら、御殿場口からの登山ルートでクレジットカード払いができる施設はまだないが、一部の山小屋でau PAYでの支払いが可能に。
赤岩八合館
標高3,300mの8合目付近に位置し、食事や売店での買い物をau PAYでの支払いが可能。
【スマホQR決済アプリ】
- au PAY
砂走館
標高3,090mの七合目付近にある山小屋。
食事や売店での買い物をau PAYでの支払いが可能。
【スマホQR決済アプリ】
- au PAY
天候と時期によっては利用できない場合も
電力や通信状況が不安定な山では、場合によってクレジットカード等のキャッシュレス決済の利用ができない場合がある。また、自動販売機やトイレのチップをはじめ富士山は基本的に現金中心の環境である。
できるだけ現金を持ち歩きたくないと思う人もいるかもしれないが、いざという時に現金がないと困る事態も考えられるため、富士山登山においては現金(とくに小銭)を多めに持っておくことをおすすめする。
合わせて、事前に決済できるものは事前に手続きをしておこう。
また、本記事でも紹介している通り、2024年以降、富士山登山にはいくつかの規制が設けられ、2025年シーズンからは全ルートで入山料4,000円が義務化されている。利用を考えているルートの規制について、本記事と合わせて富士山登山オフィシャルサイトなどで確認をして、必要な手続きを行おう。














