プロパーカードと提携カードの違いはズバリ、発行元がどこかによる。
国際ブランドを運営する会社(ブランドホルダー)が発行会社の機能も兼ね備えて出しているのが「プロパーカード」。
発行業務も展開するブランドホルダーとしてはAmerican Express、JCB、Diners Clubがある。
上記の3ブランドに関してのみプロパーカードがあるということになる。
一方で、ブランドホルダーからライセンシング(発行を許可)された”カード発行会社”が発行しているのが「提携カード」だ。
提携先も合わせるとその数は非常に多く、バリエーションも豊富だ。
プロパーカードと提携カードの違い
まずは実際に見てもらった方がわかりやすいため、アメックスブランドのカード2枚を例にとって比較してみよう。
比較内容 | アメックスゴールド | セゾンゴールドアメックス |
---|---|---|
カード | ||
国際ブランド | アメックス | アメックス |
発行会社 | アメックス※1 | セゾン※2 |
両者の違いが、発行会社の違いであることはわかっていただけると思う。
左:プロパーカード
→アメックスが自社で発行している。
右:提携カード
→アメックスが発行を許可したセゾンが発行している。
※1…正式には「アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド」
※2…正式には「株式会社クレディセゾン」
国際ブランドと発行会社の関係
クレジットカードが発行される場合、おさえておきたい2つの関係者がいる。
それは、国際ブランドとカード発行会社だ。
上述のように、これらが同じ会社から発行されているカードをプロパーカードと呼ぶ。
それぞれの関係をみることで、どういうクレジットカードを選べばよいか、また受けられるサービスの違いが見えてくる。
国際ブランド
そのカードに決済機能(クレジットカードで支払える機能)を与えている企業。
現在の決済機能を提供している代表的な国際ブランドは下記の7つ。
左上から順に以下のようになっている。
- Visa(ビザ)
- Master Card(マスターカード)
- JCB(ジェーシービー)
- American Express(アメリカンエキスプレス)
- Dinners Club(ダイナースクラブ)
- 銀聯(ギンレン)
- Discover(ディスカバー)
カードにはいずれかのロゴが入っており、そのブランドの加盟店で利用することができる。
カード発行会社(イシュア:issuer)
そのカード自体を発行している会社で、発行人を表す英語「イシュア」とも呼ばれる。
クレジットカードのサービスはこの発行会社によって決定される。
前述したアメックスの例でいうと、
アメックスゴールドではアメックスのサービスを、
アメックスセゾンゴールドではセゾンのサービスを受けられるということになる。
信頼性が魅力の「プロパーカード」
国際ブランドを運営する会社(ブランドホルダー)が発行会社の機能も兼ね備えて出している「プロパーカード」。
ブランドホルダーが発行会社としての機能をあわせ持つのは、国際ブランドの中でも以下3ブランドのみ。
- American Express
- JCB
- Diners Club
つまり、この3ブランドにのみプロパーカードがあるといえる。
それ以外のブランドは決済機能の提供のみを行っているということだ。
プロパーカード=ステータス
プロパーカードはいずれのランクでも年会費がかかり、他の提携カードと比べて審査基準が比較的厳しいと言われている。
それは、プロパーカードがブランドの顔であり、ブランド力の維持における大切な役割を担っているからだ。
クレジットカードの持つステータス性について語る際に、プロパーカードの存在は欠かせない。
所持しているだけで非常に高いステータスになる「ブラックカード」のことはご存知だろう。
正式には「アメリカン・エキスプレス・センチュリオン・カード」というプロパーカードがその言葉の由来なのだ。
カードを“育てる”醍醐味
プロパーカードを持つ魅力の一つに、クレジットヒストリー(利用履歴)を積むことでランクアップする、というシステムがある。
一般カードからスタートし、年間の利用額や利用年月などの条件をクリアするとインビテーション(招待)が届く。
取得難易度が高い分、所持していることがそのままステータスに直結する。
ステップアップの例:JCBオリジナルシリーズ
JCBカード
↓
JCBゴールドカード
↓
JCBプラチナカード
↓
JCB The Class (ザ・クラス)
持つことがステータスの証明になるカードはステータスカードと呼ばれる。
プロパーカードならではのメリット
ステータス性が高い
取得難易度が高く、年会費もかかるため、持つことがステータスになる。
またアメックス、JCB、ダイナースクラブともに券面デザインはシンプルで上品。
フォーマルな場面をはじめ、どこで出しても恥ずかしくないカードになっている。
信頼性・認知度が高い
海外のホテルにチェックインするときのデポジットなどで、提携カードでは認知してもらえないこともある。
券面を見せれば世界中で通用するという抜群の認知度もプロパーカードのメリットといえるだろう。
アメックスは高いステータス性と認知度から、身分証明書代わりになると言われた時代もあったようだ。
手厚いサービスと補償
アメックス、JCB、ダイナースクラブはいずれもT&E(Travel&Entertainment)カードに分類される。
その名の通り、旅行や娯楽の分野に強みを持っているのだ。
補償や保険が充実しているだけでなく、空港ラウンジの利用やコンシェルジュサービスなど、優待特典も手厚い。
上位カードほどそのグレードは上がり、年会費分以上のサービスを体感できるはずだ。
お得感が魅力の「提携カード」
国際ブランドのブランドホルダーがライセンシングした発行会社によって発行される「提携カード」。
先にも述べたように、クレジットカードのサービス内容を決定しているのは国際ブランドではなくカード発行会社だ。
そのため年会費無料のもの、ポイントの還元率が高いものなど、ターゲット層に合わせて様々なカードが発行されている。
- 国際ブランド:Visa
- 発行会社:株式会社エポスカード
このカードで受けられるのは、エポスカードのサービスということになる。
提携先のサービスが追加される
カード発行会社と提携してクレジットカードを発行する会社を提携会社という。
クレジットカードの発行は、国際ブランドのブランドホルダーとライセンス契約したカード発行会社にしかできない。
そのため自社のカードを発行したい場合はカード発行会社と提携することになるのだ。
提携会社は非常に多く、それぞれが自社のサービスに特化させたクレジットカードを展開している。
代表的な提携先企業
- コンビニ(ファミリーマート、セブンイレブン など)
- ショッピングセンター(イオン、パルコ など)
- 家電量販店(ヤマダ電機、ビックカメラ など)
- 航空系会社(ANA、JAL など)
- 石油系会社(ENEOS、出光 など)
多くの場合、対象の店舗やサービスで利用することで割引やポイント優遇などのメリットがある。
ライフスタイルに合ったカードを選ぶことで様々な恩恵を受けられるのだ。
(例)出光カード
- 国際ブランド:JCB
- カード発行会社:株式会社クレディセゾン
- 提携会社:出光興産株式会社
このカードで受けられるのは、セゾンのサービス+出光のサービスということになる。
出光サービスステーションでのガソリン代割引、ロードサービス1年間無料など、出光ならではのサービスが目立つ。
提携先はあった方がより得?
ここまでの内容だと、発行会社と提携先のサービスを両方受けられるため、提携会社によるカードの方が得だと感じるかもしれない。
しかし提携会社のカードの場合、発行会社は自社のサービスを制限あるいは一部変更するのが一般的だ。
今回の例でいえば、出光カードではセゾンのサービスに制限があるということ。
受けられるサービスをしっかり確認した上でカードを選ぶことが大切だ。
どんな人に向いている?
ここまでプロパーカードと提携カードの特徴について解説してきたが、結局どちらのカードを選べばいいかわからない人もいるかもしれない。
簡単にではあるがそれぞれのカードに向いている人を挙げているので参考にしてほしい。
プロパーカードがおすすめ
- どこで出しても恥ずかしくないカードが欲しい
- 保険や補償を重視したい
- トラベルサービスなどを利用したい
提携カードがおすすめ
- カードを利用する場面が決まっている
- 年会費やポイント還元率を重視したい
- 割引やポイント優遇などお得な特典が欲しい
広い意味でのプロパーカード
近年の日本では、カード発行会社が発行している代表的なカードもプロパーカードと呼ぶことがある。
- 国際ブランド:Visa/Mastercard®
- 発行会社:三井住友カード株式会社
この三井住友カードの国際ブランドは、厳密な意味ではプロパーカードを持たないVisa(Mastercard®も選択可能)。
しかし三井住友が日本の企業で最も古くからVisaと国際提携してきたという信頼と実績があり、ステータス性も十分だ。
特にプロパーカードとして扱われることが多いカードのため、覚えておきたい。