Amazon(アマゾン)と三井住友カードの提携による、Amazon Mastercard(アマゾンマスターカード)とAmazon Prime Mastercard(アマゾンプライムマスターカード)。
2021年11月にリニューアルされ、Amazonでおなじみのダンボールをあしらったデザインから一転、シンプルでシックな表面ナンバーレスカードとして再登場した。
リニューアル後のカードは年会費永年無料、Amazon利用で最大2%還元。基本的にお得なカードだが、人によってはおすすめできない場合もある。また、旧Amazonマスターカードゴールド(以下、旧ゴールド)会員にとっては、改悪といわれる点もある。
お得なカードとしておすすめされることの多いAmazon Mastercard、Amazon Prime Mastercard(以下総称、Amazonカード)だが、本記事ではあえて、申込を検討するにあたり注意してほしい点を解説する。
目次
リニューアルで旧ゴールドカード内容が改悪?
新しいAmazonカードとは?
リニューアル以前のカードには一般カード(クラシックカード)とゴールドカードがあったが、新しいAmazonカードはそういった区分ではなく、入会時にAmazonプライム会員であるかどうかで、以下のように発行されるカードが変わる。
- プライム非会員→Amazon Mastercard
- プライム会員→Amazon Prime Mastercard
Amazon Mastercard発行後、途中でプライム会員になった場合は新たにAmazon Prime Mastercardが発行される。Amazon Prime Mastercard発行後にプライム会員を解約した場合は、カードはそのままだがスペックがAmazon Mastercardと同様になる。
この2つのカードの年会費無料や基本還元率1.0%は共通している。異なるのはAmazon利用時の還元率で、Amazon Prime Mastercardは2.0%、Amazon Mastercardは1.5%となる。
旧ゴールドカードとの比較
旧ゴールドカード会員にとって、新しいAmazonカードは改悪といえる部分がある。
旧ゴールドカードの大きなメリットとして、Amazonプライム会員資格が得られるというものがあった。しかし、新しいAmazonカードにはこの特典が引き継がれない。
旧ゴールドカード会員にはカード更新のタイミングで、Amazonプライム会員登録状況に応じた新しいAmazonカードが届けられる。なお、2021年11月1日以前にカード年会費支払い済みの場合、Amazonプライム会員資格の特典はプライム会員更新日まで継続する。
旧ゴールドカードの年会費は11,000円(税込)だが、「WEB明細登録」および「マイ・ペイすリボ」の設定で4,400円(税込)まで割り引かれる仕組みがあった。つまり、通常年会費4,900円(税込)のAmazonプライム会員サービスを500円割引で利用可能だった。
しかも旧ゴールドカードは、Amazonでポイント還元率2.5%と高還元。なお、2021年11月1日以降は、カード年会費支払い済みでプライム会員の間は2.5%還元が継続する。
しかし新しいAmazonカードではAmazonで最大2%還元と還元率が下がる。また、還元率2%となるのはAmazonプライム会員向けのAmazon Prime Mastercardで、カード年会費は無料だが、Amazonプライム会員年会費4,900円(税込)を支払う必要がある。
この他に、旅行傷害保険やショッピング補償の補償範囲が縮小する。これらをまとめると、以下の比較表となる。
新Amazonカード | 旧クラシック | 旧ゴールド | |
---|---|---|---|
年会費 | 永年無料 | 初年度無料 年1回利用で翌年度無料 ※通常1,375円(税込) | 11,000円(税込) ※条件達成で4,400円(税込)まで割引 |
Amazonでのポイント還元率 | プライム会員:2.0% 非プライム会員:1.5% | プライム会員:2.0% 非プライム会員:1.5% | 2.5% ※カード会員は自動的にプライム会員 |
通常還元率 | 1.0% ※対象コンビニでは1.5% | 1.0% | 1.0% |
旅行傷害保険 | 海外:最高2,000万円補償 | なし | 海外・国内:最高5,000万円補償 |
ショッピング補償 | 年間200万円まで | 年間100万円まで | 年間300万円まで |
なお、旧ゴールドカードの年会費は2021年11月1日以降は無料(10月末締め・11月支払い分まで発生)、旅行保険やショッピング補償といった特典は2022年10月31日まで継続する。
おすすめしない理由
Amazonカードは、年会費無料で還元率が高く、旅行保険も付帯しており、一般的にはコスパの良いカードといえる。Amazonプライム会員やAmazonの利用頻度が高い人にはまずおすすめできるカードだ。
一方で、おすすめできない場合もある。それが、以下のような場合だ。
- Amazonの利用頻度が低く、他のECサイト・実店舗利用が主流の方
- すでにAmazonで他の高還元率となるカードを利用している方
その理由として、以下の点があげられる。
ポイントの使い道が限定的
Amazonカードでは利用金額に応じてAmazonポイントが貯まり、1ポイント=1円としてAmazonでの買い物に当てることができる。
クレジットカードのポイントは複数の使い道があるのが一般的だが、Amazonポイントの使い道はAmazonでの買い物に限定される。
Amazonをよく利用する人であれば問題ないが、Amazonの利用頻度が低い人は、いくらポイントを貯めても使い道がないということもあり得る。
ポイントを余らせるくらいなら、多少還元率が下がったとしても、よく買い物をするECサイトや店舗、他社ポイント交換で利用できるクレジットカードを選んだほうが良いだろう。
他のカードのほうがお得な場合がある
Amazonカードは、Amazonで還元率1.5~2.0%というお得なカードだが、本カード以外にも、Amazonで同等の還元率となるクレジットカードがある。
なかでも一番お得といえるのが、JCB CARD W。ステータス性に定評のあるJCBオリジナルシリーズで、年会費無料・通常還元率1%というお得さも兼ね備えたカード。海外旅行保険も付帯している。
しかも、Amazonはポイントアップの対象となる「JCB ORIGINAL SERIESパートナー」であり、さらにJCBのポイント優待サイトを経由すると、Amazonでの還元率がAmazon Prime Mastercardと同じ2.0%となる。Amazonプライム会員でない場合は、JCB CARD WでAmazonを利用したほうが高還元率となる。
また、JCB CARD WのポイントはOki Dokiポイントで、他社ポイントやマイルにも交換可能な使い勝手の良いポイントだ。Amazonの利用機会がそれほど多くない場合、こういったポイントを貯めたほうが使いやすい。
ポイントをAmazonで使いたいならAmazonカードのほうが便利
Oki Dokiポイントは1ポイント=3.5円分としてAmazonでの支払いにも使えるが、Oki Dokiポイントは使い道によっては1ポイント=最大5円相当の価値となるので、Amazonでの利用はあまりお得ではない。
1ポイントあたりの価値を保ちつつAmazonで利用する方法としては、Oki Dokiポイント1ポイント=nanacoポイント5ポイントに交換の上、nanacoポイントでAmazonギフト券を購入するという方法がある。しかし、交換の手間がかかってしまう。
ポイントをAmazonで使いたいという場合はAmazonカードのほうが便利だ。一方で、Amazonも利用するものの、それ以外のECサイトや店舗での買い物も多い、Amazonプライム会員ではないという場合は、JCB CARD Wも併せて検討してみてほしい。
Amazonカードは発行したほうがいい?
Amazonカードは年会費永年無料のクレジットカードなので、発行して損をするということはない。
ただ、前述のようにAmazonの利用頻度が低い場合、ポイントが貯まっても使いきれないという可能性がある。それならば、ポイントの活用機会が多い他のカードを使ったほうがお得だ。
また、JCB CARD WのようにAmazonで還元率2.0%を達成できるクレジットカードをすでに持っている場合は、わざわざAmazonカードを発行しなくても良いかもしれない。特にAmazonプライム会員でない場合は、Amazonカード以外のほうがお得になる可能性がある。
Amazonカードはコスパの良いカードではあるが、使う人の状況によっては他のカードのほうが便利でお得になるので、本記事で紹介したようなケースが当てはまる場合は注意してほしい。