本記事では、スマホQR決済アプリのなかでも人気の高い「PayPay(ペイペイ)」と「楽天ペイ」を比較し、どちらがお得かを解説する。
PayPayは初心者でも始めやすく個人店でも使える店が多い一方、楽天ペイは楽天会員と相性が良くネットショッピングでも利用機会が多い。
それぞれの特徴と違いを踏まえて活用することで、よりお得な利用ができるだろう。
目次
一般向けはPayPay、楽天ユーザー向けは楽天ペイ
PayPayと楽天ペイのどちらがおすすめか、基準となるのが楽天サービスの利用度合いだ。
楽天カード・楽天銀行の利用頻度が高い、楽天ポイントを積極的に貯めたいといった場合は楽天ペイがおすすめだが、そうでない場合はPayPayのほうがおすすめだ。
PayPayがおすすめの人 | 楽天ペイがおすすめの人 |
---|---|
・誰でも使いやすいQRコード決済が良い ・Yahoo!ショッピングをよく利用する ・ソフトバンクユーザー | ・楽天カードまたは楽天銀行をよく利用する ・楽天ポイントを集中的に貯めている ・楽天サービスをよく使う |
PayPay/楽天ペイ 基本スペック比較表
PayPay | 楽天ペイ | |
---|---|---|
支払い方法 | 事前チャージ:PayPay残高 即時払い:PayPayクレジット/クレジットカード(※)/PayPay商品券 | 事前チャージ:楽天キャッシュ 即時払い:クレジットカード/楽天ポイント |
チャージ方法 | PayPayカード(旧ヤフーカード含む) PayPayクレジット 銀行口座 セブン銀行ATM/ローソン銀行ATM ヤフオク!・PayPayフリマ売上金 ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い | 楽天カード 楽天銀行 セブン銀行ATM ラクマ売上金 楽天ウォレット保有の暗号資産 |
還元率 | PayPay残高:0.5%~1.0% PayPayカード:1%~5% PayPayクレジット/PayPayカードゴールド:1.0%~2.0% | 楽天カード+楽天キャッシュ:1.5% 上記以外:1.0% |
還元ポイント | PayPayポイント | 楽天ポイント |
送金 | 〇 | 〇 |
出金 | 〇 ※PayPayマネーのみ | 〇 |
※2025年1月以降、PayPayカード/PayPayカード ゴールド以外のクレジットカードを利用した決済は停止予定。
還元率を比較
PayPayは、PayPayステップと呼ばれるポイント制度において、利用回数・利用金額やPayPayクレジット利用設定の条件をクリアすることで、0.5%~最大2.0%まで還元率をアップできる。
PayPayをお得に利用するには、それらの条件をクリアできるかが重要になる。
楽天ペイは、基本的に1.0%還元で、楽天カードと楽天キャッシュを組み合わせることで最大1.5%還元の実現が可能。これは楽天カードを持っていれば簡単に実現できる。
PayPayステップで0.5%~2.0%還元
PayPayアプリ・PayPayカードでは、各サービスの設定状況や毎月の利用状況に応じて、還元率がアップする。具体的には、以下のようなPayPayステップの合計で合計還元率が決定する。
支払い方法 | PayPay残高 | PayPayクレジット | PayPayカード | PayPayカード ゴールド |
---|---|---|---|---|
基本付与分 | 0.5% | 1.0% | 1.0% | 1.0% |
条件達成特典 | +0.5% | +0.5% | +0.5% | +0.5% |
PayPayカード ゴールド特典 | - | +0.5% | - | +0.5% |
適用期間の合計最大付与率 | 1.0% | 2.0% | 1.5% | 2.0% |
PayPayステップの達成条件は、PayPayまたはPayPayカード/PayPayカード ゴールドで以下2つの達成が必要。
1.200円以上の支払いを30回以上
2.合計10万円以上の支払い
PayPayカード ゴールドカードの場合は、さらに0.5%の還元率がプラスされ、合計最大2.0%の還元となる。
注意点として、PayPayカード、PayPayゴールドカードがPayPayステップのポイント還元対象となるためには、PayPayクレジット利用設定が必要なので忘れずに設定しよう。
また、PayPayクレジットのPayPayカード ゴールド特典が適用されるには、PayPayカード ゴールドのPayPayクレジット利用設定が必要だ。
PayPayステップについては、以下の記事でも詳しく解説している。
楽天カード活用で1.0%~1.5%還元
楽天ペイは、楽天キャッシュまたは楽天カードで支払いをする場合、還元率1.0%となる。
さらに還元率をアップするには、楽天カードで楽天キャッシュにチャージして、楽天キャッシュで支払いをすると良い。この場合、楽天カードからのチャージで0.5%還元、楽天キャッシュでの支払いで1.0%還元となり、合計1.5%還元となる。
なお、楽天カード以外のクレジットカードでの支払いは、楽天ポイントの還元対象外だ。
楽天ペイの還元率については、以下の記事も参考にしてほしい。
チャージ方法の違い
PayPayと楽天ペイはいずれも、事前チャージで支払いができる。PayPayはPayPay残高、楽天ペイは楽天キャッシュへのチャージとなる。
PayPay残高は、チャージ方法によって種類が分かれるなどやや仕組みが複雑なので注意しよう。
また、PayPayはPayPay残高で支払うよりもPayPayクレジットまたはPayPayカードで支払うほうが還元率が高くなる。逆に楽天ペイは、楽天カードでチャージして楽天キャッシュで支払うことで最大還元率を実現できる。
なお、PayPayと楽天ペイそれぞれにいくつかのチャージ方法があるが、クレジットカードでチャージする場合、PayPayはPayPayカード(旧ヤフーカード含む)、楽天ペイは楽天カードが唯一チャージに利用できるクレジットカードだ。
PayPay残高にチャージする
PayPay残高へのチャージ方法は以下の通り。
- PayPayカード(旧ヤフーカード含む)
- PayPayクレジット
- 銀行口座
- セブン銀行ATM/ローソン銀行ATM
- ヤフオク!・PayPayフリマ売上金
- ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い
PayPayカードおよびPayPayクレジットは、チャージにも使えるが直接PayPayの支払いに紐づけることもでき、そのほうが還元率が高くなるので、あえてチャージに利用するのはおすすめしない。
逆に、PayPayカードおよびPayPayクレジット以外の方法を使いたい場合は、チャージがおすすめだ。
PayPay残高の種類
PayPayには、チャージ方法によって以下の3つの残高の種類があり、それぞれに特徴や役割が異なる。
名称 | PayPayマネー | PayPayマネーライト | PayPayポイント |
---|---|---|---|
内容 | 銀行口座/セブン銀行ATM/ローソン銀行ATM/ヤフオク!・PayPayフリマの売上金を利用してチャージした残高 | PayPayカード(旧ヤフーカード)/PayPayクレジット/ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払いを利用してチャージした残高 | 特典やキャンペーン等の適用に伴い、PayPay残高に進呈された残高 |
本人確認 | 必要 | 不要 | 不要 |
出金(払い出し) | ◯ | ☓ | ☓ |
自治体へ請求書払い(税金など) | ◯ | ☓ | ☓ |
請求書払い(税金以外) | ◯ | ◯ | ◯ |
送る・受け取る機能 | ◯ | ◯ | ☓ |
有効期限 | 無期限 | 無期限 | 無期限 |
保有上限 | 100万円 | 100万円 | なし |
参考:PayPay残高とは
上記表のように、PayPayマネーが実質的に現金と同じ扱いで、最も使い道が広い。PayPay残高のなかでPayPayマネーのみ、指定の口座への出金も可能だ。出金手続きはPayPayアプリの「ウォレット」から行う。
PayPayマネーライトは、クレジットカードでチャージした残高を現金化できないような仕組みと考えると分かりやすい。現金に近い価値を持つが、出金や割り勘はできない。
また、本来はPayPayマネーになる残高であっても、本人確認前に銀行口座やセブン銀行ATM、ローソン銀行ATM、ヤフオク!・PayPayフリマの売上金を利用してPayPay残高にチャージした残高もPayPayマネーライトとなる。
残高が消費される優先順位は、基本的にPayPayポイント→PayPayマネーライト→PayPayマネーの順となる。
なお、PayPayポイントは、アプリ上で以下のように使い方を設定することもできる。
- 貯める:支払いやポイント運用に使わずに、まとめて使う時まで貯めておく
- 運用する:支払いに使わずに、ポイント運用に自動で追加
- 支払いに使う:支払いに自動で使われる
「支払いに使う」に設定すると、保有しているPayPayポイントがPayPay残高に反映される。
楽天キャッシュにチャージする
楽天キャッシュは楽天が運営するオンライン電子マネーで、楽天ペイのみならず楽天の他のさまざまなサービスでの支払いにも使える。
楽天キャッシュへのチャージ方法は以下の通り。
- 楽天カード
- 楽天銀行
- セブン銀行ATM
- ラクマ売上金
- 楽天ウォレット保有の暗号資産
このうち、楽天カードでチャージすると0.5%還元、楽天キャッシュでの支払いで1.0%還元、合計1.5%還元となりもっともお得。その他のチャージ方法では、チャージによるポイント還元はなく、楽天キャッシュの支払い時の1.0%還元のみとなる。
PayPay残高と異なり、楽天ポイントは楽天キャッシュとは別の扱いになり、楽天キャッシュに含まれない。楽天ペイの支払いに楽天ポイントを使いたい場合、支払い時に「ポイントを使う」を選択しよう。
楽天ペイのポイントカード機能
楽天ペイアプリには、楽天ポイントのポイントカード機能も搭載されている。
楽天ペイアプリのポイントカード機能で支払いをする場合、楽天ポイントおよび楽天キャッシュから支払いが行われる。
もし、支払い金額よりも楽天ポイント・楽天キャッシュ残高が下回っていた場合、事前に設定した金額がその場で「楽天キャッシュ」にチャージされる「ポイント払い瞬間チャージ」という機能もある。
使えるクレジットカードに特徴あり
PayPayも楽天ペイも、事前チャージだけでなく、クレジットカードを登録した支払いが可能だ。ただし、登録できるクレジットカードには条件があるので注意しよう。
基本的には、PayPayはPayPayカード、楽天ペイは楽天カードの利用がおすすめ。それ以外のクレジットカードは、PayPayポイント、楽天ポイント還元の対象外となる。
ただし、楽天ペイは楽天カードを登録して支払った場合の還元率が1.0%であるのに対し、楽天カードで楽天キャッシュにチャージして支払った場合の還元率は合計1.5%となる。つまり、楽天カードで直接支払うよりも楽天キャッシュを組み合わせるほうがお得だ。
一方のPayPayは、PayPayカードでチャージするよりもPayPayカードで直接支払ったほうがお得になる。
PayPayに登録できるカードは限定的
PayPayでは、2025年1月以降、PayPayカード/PayPayカード ゴールド以外のクレジットカードを利用した決済ができなくなる。またそれに先立ち、PayPayカード/PayPayカード ゴールド以外の新規登録も停止する予定となっている。
そのため、PayPayでクレジットカードを利用したいなら、PayPayカード/PayPayゴールドカードのいずれかを利用することをおすすめする。
なお、上記期限までは、VisaおよびMastercardのクレジットカードの登録が可能だ。
クレジットカードと同じ後払いが可能なPayPayクレジット機能
PayPayでは、クレジットカードでの支払いの他に、PayPayクレジットという支払い方法がある。
PayPayクレジットとは、PayPayで当月に利用した金額を翌月まとめて支払える支払い方法だ。支払い金額は、PayPayカードの利用料金と一緒に口座から引き落としされる。
つまり、PayPayカードのようなカードは発行されないものの、仕組みとしてはクレジットカードと同様の支払い方法といえる。
PayPayの支払いをPayPayクレジットで行うと、PayPayステップに基づき、PayPayカードでの支払いと同様の還元率が適用される。
PayPayカードを持っていないがPayPayをお得に利用したいという場合、PayPayクレジットの利用がおすすめだ。
また、PaPayカードの利用PayPayステップが適用されるためには、PayPayクレジット利用設定が必要。PayPayをお得に利用する上で注目の機能といえるだろう。
楽天ペイに登録できるカードは多いがポイント還元対象外
楽天ペイでは、Visa、Mastercard、JCB、American Expressのクレジットカードを利用できる。
ただし前述の通り、楽天カード以外は楽天ポイント還元の対象外となる。
また、本人認証サービス(3Dセキュア)に対応していないクレジットカードは登録できないので注意しよう。
いずれも送金が可能、PayPayは残高の種類に注意
PayPayはPayPay残高を、楽天ペイは楽天キャッシュを個人間送金に利用できる。
ただし、PayPay残高のうち送金に利用できるのはPayPayマネー、PayPayマネーライトのみ。PayPayマネーライト>PayPayマネーの優先順位で使用され、残高の種類の指定はできない。
また、PayPayポイントは送金に利用できない。楽天キャッシュにはそもそも楽天ポイントが含まれないため、いずれもチャージによる残高しか送金できない仕組みになっている。
送金を受け取るには、お金の送り手と受け手が同じアプリを利用してる必要がある。そのため、より多くの人が利用しているアプリのほうが、送金時の利便性が高い。
送金で受け取った金額は、それぞれPayPay残高・楽天キャッシュに加算され、支払いに使うことができる。
PayPayの場合、基本的に送る際に使用されたPayPay残高の種類で受け取りとなるが、受け手の本人確認が完了していない場合はいずれもPayPayマネーライトとして扱われる。
いずれも出金が可能、出金先の銀行により手数料が異なる
PayPayのPayPay残高、楽天ペイの楽天キャッシュはいずれも出金が可能だ。ただし、PayPay残高のうち出金が可能な種類はPayPayマネーのみ。
PayPay残高の出金では、PayPay銀行への出金は手数料無料、その他の金融機関では100円/回の手数料がかかる。また、PayPay銀行への出金は即日、ゆうちょ銀行は3~4営業日後、その他の金融機関は翌営業日~翌々営業日の出金となる。
楽天キャッシュの出金では、楽天銀行への10,000円以上の出金は手数料無料、9,999円以下の場合は手数料100円/回、その他の金融機関では210円/回の手数料がかかる。また、楽天銀行への出金は即日、その他は金融機関によって出金のタイミングが異なる。
キャンペーンの傾向と最新情報
QRコード決済では、期間限定のキャンペーンがよく開催される。利用の際にはぜひチェックしてほしい。特に新規登録者を対象としているキャンペーンはお得度が高い。
PayPay・楽天ペイのキャンペーンを比べると、次のような違いがある。
PayPay | 店舗や地域を限定したキャンペーンが多い。 抽選で大幅還元が当たるケースも。 |
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楽天ペイ | 楽天サービスと連動したキャンペーンが多い。 |
キャンペーンは、エントリーが必要だったり、対象となる支払い方法が限定されていたりすることも多いので、利用時は条件をよく確認しておこう。
最新のキャンペーン情報はこちら
いずれも加盟店は増加中、使える場所の違い
QRコード決済が普及したことで、PayPay・楽天ペイともに利用できるチェーン店、大型店は増えている。一方、次のような違いもある。
PayPay | 個人店・小規模店ではPayPayのみが使える店も多い。 イベント出店やポップアップショップでも使える場合がある。 |
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楽天ペイ | 実店舗だけでなく、楽天サービスを含むオンラインで使える店が多い。 |
自分のライフスタイルに照らし合わせて、どちらが使う機会が多いかで選ぶのも良いだろう。
迷ったら目的による使い分けも
PayPayがおすすめの人
- まずはQRコード決済に慣れたい:初心者でも使いやすい設計となっている
- クレジットカードを持っていない:普段使いの銀行口座や、セブン・ローソンATMで現金チャージが可能
- 個人店・小規模店でも使えるサービスが良い:チェーン店だけでなく個人店・小規模店にも加盟店が多い
楽天ペイがおすすめの人
- 楽天のサービスをよく利用する・楽天ポイントを貯めている:楽天ペイは楽天会員情報に紐づいたサービスで、楽天ポイントを使える
- ネットショッピングをよく利用する:楽天グループのサイト以外にも、無印良品やアーバンリサーチなども楽天ペイに対応している
- ポイントを集約したい:楽天ポイントは貯まる場所、使える場所の多い汎用性の高い共通ポイント