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2019年10月からスタートしたキャッシュレス・消費者還元事業。
キャッシュレス決済を利用することで、消費者はポイント還元、対象の事業者は導入費用や決済手数料、事務経費の補助などを受けられる。この対象の事業者には、個人事業主も含まれる。
事業者にとって、キャッシュレス決済をコストを抑えて導入できたり、店舗運営の効率化になったり、売り上げアップなどにつながったりするメリットがある。
本記事では、特にキャッシュレス決済を導入している事業者にとってのキャッシュレス・消費者還元事業の内容やメリット、注意点、補助を受けるための方法などを解説する。
キャッシュレス・消費者還元事業の要点
2019年10月1日、消費税率が8%から10%へ引き上げられた。
この増税に伴い、事業者によるキャッシュレス決済の導入、消費者によるキャッシュレス決済の利用に対して、期間限定で補助金による支援を行うキャッシュレス・消費者還元事業が実施されることになった。
キャッシュレス化の推進、消費者側の利便性アップ、事業者側の業務の効率化・生産性アップを主な目的とし、経済産業省が主導している。
実施期間
2019年10月1日から2020年6月30日までの9ヶ月間。
※加盟店登録手続きの受付は2020年4月末まで。
対象の決済手段
対象となる決済手段は、以下の通り。
- クレジットカード、デビットカード(VISA、JCB、Mastercardなど)
- 電子マネー(Suica、PASMOなど)
- QRコード(PayPay、楽天ペイ、メルペイ、Origami Pay、d払い、au PAYなど)
- モバイル決済
補助制度の内容
中小・小規模事業者(個人経営の店舗)に対しては、次の補償が適用される。
- 端末導入費用無料(3分の2を国が、3分の1を決済事業者が補助)
- 決済手数料3.25%以下
- 期間中は決済手数料3分の1を補助
なお、消費者は次のようにポイント還元を得られる。
- キャッシュレス決済によるポイント還元
―中小・小規模事業者店舗5%、フランチャイズ店舗2%
利用するキャッシュレス決済サービスによっては、独自キャンペーンにより二重のポイント還元を受けられる可能性もあり、消費者の注目度は高い。
補償対象となる事業者の基準
キャッシュレス・消費者還元事業では、キャッシュレス決済を導入している中小・小規模事業者に対して補償が適用される。
対象となる中小・小規模事業者の種類は、次の通り。これを見てもわかるように、個人事業主も補償の対象となっている。
- 直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円以下の過小資本企業
引用:経済産業省 キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)の概要
- カフェ、レストラン、居酒屋
- 弁当屋、惣菜店
- パン屋
- 洋菓子店
- 八百屋、果物屋
- 雑貨店(文房具、日用品など)
- 衣料品店
- 書店
- 花屋
- クリーニング屋
- 金融機関、保険会社
- 医療機関、薬局、介護・福祉サービス
- 国、地方公共団体、公共法人
- 学校
- 切手
- 商品券、プリペイドカード
- 宝くじ
- 自動車
- 住宅
補償対象となる事業者を大きく分けると、資本・従業員数が多い大企業(百貨店や大手チェーン等を含む)は補助対象外で、小・中規模の店舗・個人店などは、ほぼ補助の対象にあてはまる。
具体的には、個人で経営している以下のような店舗、個人商店は補助の対象となると「考えられる。
補助対象外となる事業・取引
以下の事業、取引は、キャッシュレス・消費者還元事業の補助対象外となる(一例)。
事業
取引
事業者にとってのメリット
キャッシュレス・消費者還元事業を利用する事業者にとって、この制度は次のようなメリットがある。
コストを抑えてキャッシュレス決済を導入
期間中にキャッシュレス決済を店舗に導入する場合、端末費用の3分の1を決済事業者が、3分の2を国が補助するため、事業者は無料で端末を導入できる。
また、中小・小規模事業者が決済事業者に支払う決済手数料が3.25%以下となり、さらに期間中はその3分の1が国から補助される。
通常、クレジットカードなどのキャッシュレス決済の手数料は3~5%程度かかるため、小規模の店や個人店などでは負担が大きく、導入をためらう理由にもなっている。
今回の施策は、低コストでキャッシュレスを導入できる絶好の機会といえるだろう。
業務の効率化
現金のみを取り扱う店舗の場合、お釣りの数え間違いや紛失など、現金の取り扱いにリスクが生じる。また、売上金の計算などにも時間がかかる。
キャッシュレス決済を導入することでそれらの負担が軽減され、効率的な経営が可能になる。
集客力、売り上げアップにつながる
これまで現金のみだった店舗がキャッシュレスを導入することで、集客や売り上げがアップする可能性は高い。
現金決済のみだと手持ちの現金の範囲でしか買い物ができないし、日常的にキャッシュレス決済を利用している人は、その決済方法が利用できないならば購入しないということもある。
また、キャッシュレス・消費者還元事業は消費者にとってもポイント還元というメリットが大きく、注目されているため、対象店舗ならと利用してくれる人も増えるかもしれない。
加盟店にはPRのためのツールも支給されるため、積極的に活用しよう。
事業者の注意点
キャッシュレス・消費者還元事業を利用したい、利用している事業者は次の点に注意しよう。
補助対象外となることもある
事業の規模や取り扱う商品などによっては、補助の対象外になってしまう可能性もある。
自分の店舗が補助を受けられる対象に入っているか、事前にチェックしておこう。
加盟店登録手続きは2020年4月末まで
キャッシュレス・消費者還元事業の期間は2020年6月末までだが、加盟店登録手続きの受付は2020年4月末までとなっている。
登録を考えている事業者は急ぎ手続きを行おう。
期間終了後にかかる費用もある
キャッシュレス・消費者還元事業の期間が終了すると、決済手数料の3分の1の補助が受けられなくなる。
決済端末なども、1台目は無料だが2台目からは費用がかかったり、決済・入金手数料無料などのサービスも、事業者によっては期間中のみであったりするケースもある。
導入を検討する時は、キャッシュレス・消費者還元事業の期間が終わった後のことも確認しておこう。
加盟店登録の方法
キャッシュレス・消費者還元事業の加盟店への登録は、利用しているキャッシュレス決済の事業者経由で行う。
手続きの前に、まず、自分の店舗が補助の対象であるかどうかを確認しよう。対象店舗でれば、以下いずれかの方法で登録を行う。
キャッシュレス決済導入済の場合
加盟店IDを持っている場合:契約を希望する決済事業者に加盟店IDを伝え、契約情報と端末情報を登録。審査に通過すると、登録が完了する。
加盟店IDを持っていない場合:現在契約中の決済事業者に加盟店IDの発行を依頼し、発行後に加盟店IDを伝え、契約情報と端末情報を登録。審査に通過すると、登録が完了する。
キャッシュレス決済未導入の場合
契約したい決済事業者を決めて、手続きの方法を問い合わせる。
おすすめのキャッシュレス決済
次に紹介するキャッシュレス決済は、事業者の負担が少なく導入できるのでおすすめだ。
PayPay
2018年10月からスタートした、QRコード・バーコード決済サービス。
スマートフォンから登録、決済ができ、手数料は無料。
支払い方法は、PayPay残高、Yahoo!マネー、クレジットカードのいずれかから選択可能。
支払いの際は、店舗にあるQRコードをスマートフォンのカメラで読み取って金額を入力する方法と、レジでスマートフォンの画面のバーコードを提示し、読み取る方法がある。
店舗にPayPayを導入したい場合、審査に通過すれば申し込みから1週間程度で利用可能。
読み取り支払いの場合、ジャパンネット銀行を選べば翌日入金となり、入金手数料は永年無料。
他行の場合も、キャッシュレス・消費者還元事業の期間中は無料となる。
おてがるPay
iPadまたはiPhoneとカードリーダーのみで決済が可能な決済端末を提供。
VISA、JCB、Mastercard、Suica、PASMO、Apple Payなど、主要な国際ブランドや電子マネーに対応している。
Webから申し込みができ、審査に通過すれば4週間程度で利用が可能となる。
キャッシュレス・消費者還元事業の期間中に申込みを行えば、カードリーダー・プリンターが1台ずつ無償で提供される。
また、金融機関に関わらず振込手数料が無料(ゆうちょ銀行を除く)。