京王電鉄バスと京王バスが、路線バス(一部のコミュニティバスを除く)で運賃の現金払いを終える時期を「2027年11月」と具体的に打ち出した。実際に現金が使えなくなるのはそれより早く、2027年1月16日からは全エリアの路線バスが現金を扱わない実証運行に切り替わる。

2027年1月16日から京王バス全エリアで現金が使えなくなる
京王バスは2026年9月16日から、中野・永福町・調布・桜ヶ丘の4営業所が管轄する路線で「完全キャッシュレスバス実証運行」を行っている。これを2027年1月16日から路線バスの全エリアへ広げる(一部のコミュニティバスを除く)。実証運行の対象路線では現金の取り扱いがなく、運賃は交通系ICカードやタッチ決済などで支払う形になる。
読者にとって重要なのは、正式な「現金取り扱い終了」は2027年11月の予定でも、実質的に現金で乗れなくなるのは10カ月近く前の2027年1月16日からという点だ。これまで実証運行の対象外だった営業所の路線を現金で利用していた人は、年明けまでに支払い手段を切り替えておく必要がある。
京王バスは2025年10月の時点で「2027年度中」の現金取り扱い終了を目指すとしていたが、今回その時期を2027年11月と月単位で示した。同社は、クレカ乗車の導入や実証運行を進めた結果、現金の利用が減少し、利用者の理解と協力が進んでいると説明している。
4営業所での実証運行から全エリアへの拡大までの流れ
今回の発表で示された今後の予定は次のとおりだ。いずれも一部のコミュニティバスは対象外となる。
| 2026年9月16日〜 | 中野・永福町・調布・桜ヶ丘営業所の管轄路線で実証運行(現金不可) |
| 2026年12月(予定) | クレカ乗車を路線バス全エリアに拡大 |
| 2027年1月16日(予定) | 実証運行を路線バス全エリアに拡大(現金不可) |
| 2027年11月(予定) | 運賃収受における現金の取り扱い終了 |
クレカ乗車の全エリア拡大が2026年12月、実証運行の全エリア拡大が2027年1月16日と、タッチ決済で乗れる環境が整ってから約1カ月後に現金が使えなくなる順番になっている。
現金の代わりに使える5つの支払い方法
実証運行の対象路線で使える運賃の支払い方法は、次の5つである。
- 交通系ICカード(PASMO、Suicaなど)
- クレジットカードなどによるタッチ決済(クレカ乗車)
- シルバーパス
- 定期券
- その他(一日乗車券、企画乗車券、デジタルチケット)
現金が使えなくなるだけで、交通系ICカードや定期券、シルバーパスで乗っている人の乗り方は変わらない。影響を受けるのは、主に小銭や千円札で運賃を払っている人である。
クレカ乗車は12月から全営業所で使える予定
クレジットカードなどのタッチ決済で乗る「クレカ乗車」は、現時点では中野・永福町・調布・桜ヶ丘の各営業所が管轄する路線で利用でき、2026年12月から全営業所へ広げる予定だ。対応する決済ブランドはVisa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯の7種類となっている。
交通系ICカードを持っていない人や、たまにしか京王バスに乗らない人にとっては、普段の買い物で使っているタッチ決済対応のカードやスマートフォンをそのまま運賃の支払いに使えるのが利点だ。チャージの必要がないため、残高不足で運賃機の前で慌てることもない。手持ちのカードにタッチ決済のマークが付いているかを、今のうちに確かめておくとよいだろう。
車内チャージは当面続くが、乗車前のチャージに切り替えたい
交通系ICカードへの車内チャージは、当面の間は継続される。ただし、取り扱いの終了については別途知らせるとしており、いずれ車内でチャージできなくなる可能性がある。京王バスは、鉄道駅やコンビニなどでバスに乗る前にチャージするか、車内でのチャージが不要なモバイルデバイスで利用するよう呼びかけている。
ICカードの残高が足りなくなったときに車内で現金チャージをして乗っている人は、今のうちに乗車前にチャージする習慣へ切り替えておきたい。PASMOには、鉄道の改札機にタッチするだけで自動的にチャージされる「オートチャージサービス」もある。京王線などの電車とバスを乗り継ぐ人であれば、オートチャージを設定しておけば残高不足の心配を減らせる。
京王バスが案内するとおり、車内でのチャージを必要としないスマートフォンなどのモバイルデバイスで乗るのも選択肢になる。チャージに手間をかけたくない人は、残高管理そのものが不要なクレカ乗車を選ぶのも一つの方法である。
現金をやめる狙いは乗降時間の短縮と運転士の負担軽減
京王バスは、完全キャッシュレスバスについて「単なる支払い方法の変更ではない」と位置づけている。キャッシュレス決済で乗り降りがスムーズになればバスの乗降時間が短くなり、定時運行を守ることにつながる。利用者にとっても、小銭を用意する手間や、交通系ICカードの残高不足・チャージの手間といった支払い時のストレスが減るという。
運賃機に関わる業務が減ることは、安全運行を支える運転士の負担軽減や経営の効率化にも直結するとしている。駅の券売機やスマートフォンなどで乗車履歴を確認できるようになる点も、メリットとして挙げられている。

京王バスは2025年1月に国土交通省の完全キャッシュレスバス実証運行に参画して以降、クレカ乗車の導入や、運賃機の現金投入口への開閉式の蓋の設置などを段階的に進めてきた。国土交通省の実証運行は令和6年11月以降、全国各地で大きなトラブルなく実施され、現金利用率の低下やドライバーの負担減少といった効果が確認されているという。
現金で京王バスに乗っている人は1月16日までに準備を
今回の発表で最も影響を受けるのは、京王バスを現金で利用している人だ。正式な現金取り扱い終了は2027年11月の予定だが、全エリアで現金が使えなくなるのは2027年1月16日からである。年明けに停留所で慌てないよう、年内に交通系ICカードかタッチ決済対応のカード・スマートフォンを用意しておくと安心だ。
家族に現金でバスを利用している高齢者や子どもがいる場合は、交通系ICカードを持たせる、オートチャージを設定するなど、本人に合った支払い方法を一緒に考えておきたい。クレジットカードを持たない人は、交通系ICカードを乗車前にチャージして使うのが現実的な選択肢になる。
なお、一部のコミュニティバスは実証運行と現金取り扱い終了の対象外とされている。普段コミュニティバスを利用している人は、自分の乗る路線が対象かどうかを確認しておくとよいだろう。
















