京王電鉄バスと京王バスが、三井住友カードの「stera transit」を使った「クレカ乗車」を路線バス全車両に広げる。財布から小銭を出したり、交通系ICカードの残高を気にしたりせずにバスへ乗れる環境が、2026年11月末までに京王沿線の広い範囲で整うことになる。

手持ちのカードを端末にタッチするだけで乗車できる
「クレカ乗車」は、三井住友カードが提供する公共交通向けソリューション「stera transit」を活用したサービスである。タッチ決済に対応したクレジットカード・デビットカード・プリペイドカードや、それらを設定したスマートフォンを、運賃機に新設された専用端末にタッチするだけで乗車できる。
利用者にとっての利点は、事前に現金を用意したりICカードへチャージしたりする手間がなくなることだ。普段の買い物で使っているカードやスマホをそのままバスの運賃支払いに使えるため、残高不足で改札や運賃機の前で慌てる心配もない。旅行者や、京王沿線をたまに利用する人でも、専用のICカードを新たに買う必要なく乗れる点は大きい。
対応ブランドはVisaやJCBなど7種類、履歴はサイトで確認できる
「クレカ乗車」で使える決済ブランドは、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯の7種類である。国内の主要な国際ブランドをほぼ網羅しており、手持ちのカードが対応している可能性は高い。
支払いの履歴は、QUADRACが運営する「Q-move」サイト(https://q-move.info/)で会員登録手続きを済ませると確認できる。いくら支払ったかを後から見返せるため、交通費の管理や経費精算にも役立つ。駅の券売機やスマートフォンからも履歴を確認できる仕組みが用意される。
現金の取り扱いは2027年度に終了、完全キャッシュレス化を目指す
今回の全車両導入は、国土交通省が推進する「完全キャッシュレスバス」に向けた取り組みの一環である。京王電鉄バスと京王バスは2025年度から準備を進めており、2027年度には運賃収受での現金の取り扱いを終了することを目指している。
完全キャッシュレス化の狙いは、単なる支払い方法の変更にとどまらない。乗り降りがスムーズになることでバスの遅延を減らし、定時運行を守ることにつながる。運賃機まわりの現金取り扱い業務が減れば、運転士の負担軽減や経営の効率化にも直結する。国土交通省の実証運行では、令和6年11月以降に全国で大きなトラブルなく実施され、現金利用率の低下やドライバー負担の減少といった効果が確認されているという。
現金取り扱い終了後の運賃支払い方法としては、交通系ICカード、クレジットカード等によるタッチ決済、東京都シルバーパス、定期券、一日乗車券・企画乗車券・デジタルチケットなどが用意される。現金だけが使えなくなる形で、複数の支払い手段が残る点は押さえておきたい。
2026年11月末までに全628両へ、営業所ごとに順次拡大
導入対象は、一部のコミュニティバスを除く路線バス全628両(2026年7月末現在)である。すでに中野・永福町・調布・桜ヶ丘の各営業所の266両で導入が完了している。
残る府中営業所(小金井支所を含む)・小金井・多摩・南大沢・高尾・八王子の各営業所の362両についても、2026年11月末までに導入を完了させる予定だ。
| 導入済み(266両) | 中野・永福町・調布・桜ヶ丘 |
| 2026年11月末までに導入(362両) | 府中(小金井支所含む)・小金井・多摩・南大沢・高尾・八王子 |
京王バスは2025年3月に調布営業所で「クレカ乗車」を初めて導入し、その後も対象営業所を段階的に広げてきた。今回の全車両導入は、こうした積み重ねの総仕上げにあたる。
京王沿線を使うなら手持ちのカードを確認しておきたい
京王バスを日常的に使う人はもちろん、たまに利用する人にとっても、専用ICカードを用意せずに手持ちのカードやスマホでそのまま乗れるメリットは大きい。特に、交通系ICのチャージが面倒に感じていた人や、キャッシュレスで交通費を一元管理したい人には便利な選択肢になるだろう。
まずは自分のカードがVisaやJCBなどタッチ決済に対応しているか確認しておくとよい。全車両への導入が完了すれば、現金やICカードの残高を気にせず、京王沿線のバスをより身軽に使えるようになる。















