全日本空輸(ANA)は2026年10月30日、旅客サービスシステムを提供するAmadeus社への不正アクセスにより、予約情報の一部が参照された形跡があると発表した。カード情報とパスワードは含まれていない一方、予約番号や搭乗区間といった実在の予約内容が参照されているため、ANAを装った連絡には普段以上に注意したい。
Amadeus社のシステムに不正アクセス、ANAの予約情報が参照された形跡
ANAによると、同社が旅客サービスシステムの提供を受けているAmadeus IT Group S.A.(本社:スペイン)から、同社のシステムに第三者からの不正アクセスがあり、ANAの客の予約情報の一部が参照された形跡があるとの報告を受けたという。ANAが旅客サービスシステムの提供を受けている外部事業者のシステムで起きた事案である。
Amadeus社からは、本件に該当する認証情報はすでに無効化され、監視体制が強化されているとの報告を受けているとしている。ANAは利用者と関係者に向けてお詫びを表明したうえで、ANAグループを装った不審なメール・電話・ウェブサイト・SNS上の広告等への注意を呼びかけている。
| 発表日 | 2026年10月30日 |
| 不正アクセスを受けたシステム | Amadeus IT Group S.A.(本社:スペイン)が提供する旅客サービスシステム |
| 対象となる客 | 約37,800名 |
| 対象となる予約時期 | 2023年8月10日から2026年9月23日の期間にANAに予約した一部の客 |
| 含まれていない情報 | クレジットカード情報、パスワード |
| 今後の対応 | 対象となる客にANAから順次連絡 |
対象は2023年8月10日〜2026年9月23日に予約した「一部」の客
対象となるのは、2023年8月10日から2026年9月23日の期間にANAに予約した客のうちの一部、約37,800名である。長い期間が示されているが、この期間内に予約した全員が対象になるわけではない。期間内にANAを予約した覚えがあっても、それだけで自分の情報が参照されたとは限らない点は押さえておきたい。
誰が対象に当たるのかは、ANAから対象者へ順次届く連絡で明らかになる。発表の時点で、利用者側が自分で該当の有無を確認する方法は示されていない。
参照された情報は2段階、約1,700名はパスポート番号やマイレージ番号まで
参照された形跡のある個人情報は、対象者によって範囲が異なる。約37,800名のうち約36,100名は予約の基本的な情報にとどまるが、残る約1,700名は連絡先や渡航書類に関わる情報まで含まれている。
| 対象人数 | 参照された形跡のある個人情報 |
| 約36,100名 | 氏名、予約番号、搭乗日、搭乗区間、搭乗クラス |
| 約1,700名 | 上記情報に加え、メールアドレス、電話番号、パスポート番号、国籍、マイレージ番号、航空会社、便名、航空券番号、座席番号など |
約36,100名は氏名と予約番号・搭乗日・区間・クラス
約36,100名について参照された形跡があるのは、氏名、予約番号、搭乗日、搭乗区間、搭乗クラスである。メールアドレスや電話番号といった連絡先は、この区分の項目には挙げられていない。
ただし、「いつ、どこからどこへ、どのクラスで乗るか(乗ったか)」と予約番号が氏名とひも付いている点は軽く見ないほうがよい。本人しか知らないはずの予約内容は、連絡が本物かどうかを判断する手がかりとして使われがちだからである。
約1,700名は連絡先・パスポート番号・マイレージ番号も
約1,700名については、上記の情報に加えてメールアドレス、電話番号、パスポート番号、国籍、マイレージ番号、航空会社、便名、航空券番号、座席番号などが参照された形跡がある。連絡先と予約内容、マイレージ番号がそろっているため、この区分に当たる人は、本人宛てに予約内容を示した連絡が届く可能性を想定しておくことが望ましい。
クレジットカード情報とパスワードは含まれていない
ANAは、参照された情報にクレジットカード情報およびパスワードは含まれていないと明記している。ANAでの予約にクレジットカードを使った人にとっては、まず確認しておきたい点だろう。
カード番号そのものが含まれていない以上、今回の発表内容の範囲では、本件を理由にカードの再発行やパスワードの変更が直ちに必要になる性質のものではないと考えられる。発表の中にも、カードの利用停止やパスワード変更を求める記載はない。
安心材料と注意点を分けて考えたい
一方で、カード情報が含まれていないことと、被害の心配がないことは同じではない。参照されたのは予約番号、搭乗日、搭乗区間といった実在の予約内容であり、一部の客は連絡先やマイレージ番号まで含まれる。これらを織り交ぜた連絡は本物らしく見えやすく、そこから偽サイトに誘導されてカード番号やログイン情報を入力してしまえば、結果的にカード情報やマイルが狙われることになる。
今回の事案で気をつけるべきなのは、すでに参照された情報そのものよりも、それを足がかりにした「次の入力」だと考えられる。
実在の予約内容を使ったなりすましに注意したい
ANAは発表の中で、ANAグループを装った不審なメール・電話・ウェブサイト・SNS上の広告等への注意を呼びかけている。経路がメールに限られていない点が特徴で、電話やSNS広告といった日常的に接する場面にも目を向けておきたい。
予約番号や搭乗区間が書かれていても本物とは限らない
これまでのなりすましメールは、宛名や内容があいまいなことで見分けがつく場合もあった。しかし今回参照されたのは、氏名と予約番号、搭乗日、搭乗区間、搭乗クラスである。自分の予約内容が正確に書かれていることは、今後しばらくは本物である証拠にならないと考えておくのが無難だろう。
「予約内容に問題がある」「マイルが失効する」「返金手続きが必要」など、急いで対応を求める文面には特に慎重に向き合いたい。対象者へ順次連絡が届く予定であることを逆手に取り、お詫びや補償の案内を装った連絡が届く可能性も考えられる。
電話・偽サイト・SNS広告にも目を向ける
約1,700名については電話番号も参照された形跡があるため、ANAを名乗る電話にも注意が必要である。電話口で予約番号や便名を正確に言われても、その場でカード番号や暗証番号、ログイン情報を伝えないことが望ましい。
SNS上の広告や検索結果から開いたページが、ANAの公式サイトに似せた偽サイトである可能性もある。ANAが注意を呼びかけている対象にウェブサイトとSNS上の広告が含まれていることを踏まえると、ANAのサービスには広告経由ではなく、自分で開いた公式サイトや公式アプリから入るのが安全と考えられる。
ANAカード・ANAマイレージクラブ会員が今できること
今回の対象はANAに予約した客であり、ANAカードを持っているか、ANAマイレージクラブに入っているかで決まるものではない。とはいえ、ANAカード会員やANAマイレージクラブ会員はANAを予約する機会が多く、ANAを名乗る連絡を受け取る機会も多い。日頃ANAを利用している人ほど、次のような対応をとっておくとよいだろう。
ANAからの連絡は順次届く、まずは待つ
ANAは、対象となる客には順次連絡するとしている。現時点で利用者側から何かを申請する手続きは示されていないため、自分が対象かどうかは、ANAからの連絡を待って確認することになる。
連絡が届いた場合も、記載されたリンクをそのまま開くのではなく、内容を公式サイトや公式アプリで照らし合わせてから判断するのが望ましい。
メール・SMS内のリンクからカード番号や個人情報を入力しない
ANAを名乗るメールやSMSに記載されたリンクから、カード番号、セキュリティコード、パスワード、パスポート番号などを入力しないことが基本になる。今回参照された情報にカード情報とパスワードは含まれていないため、それらを改めて入力させようとする連絡があれば、なりすましを疑う理由になる。
公式アプリ・公式サイトを自分で開いて確認する
予約内容やマイル口座の状況を確かめたいときは、ブックマークや普段使っている公式アプリなど、自分で用意した経路からANAの公式サイトにアクセスしたい。メールやSNS広告のリンクを起点にしないだけで、偽サイトに誘導されるリスクは大きく下げられると考えられる。
マイル残高・利用履歴と予約内容を見直す
約1,700名についてはマイレージ番号も参照された形跡がある。対象かどうかにかかわらず、ANAマイレージクラブのマイル残高や積算・利用履歴、予約内容に身に覚えのない動きがないかを公式アプリなどで一度確認しておくと安心だろう。あわせて、ANAの予約に使ったクレジットカードの利用明細も、普段どおり定期的に確認しておきたい。
問い合わせはANA公式サイトの各窓口から
ANAは本件に関する問い合わせ窓口として、「ご意見ご要望」「国内線予約に関するお問い合わせ」「国際線予約に関するお問い合わせ」「ANAマイレージクラブに関するお問い合わせ」の4つを案内している。いずれもANA公式サイトの発表ページからリンクで案内されている。
| 問い合わせ窓口 |
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| 発表ページ | Amadeus社 旅客サービスシステムへの不正アクセスについて |
届いた連絡の真偽に迷った場合は、メールやSMSに記載された連絡先ではなく、ANA公式サイトの発表ページから案内されている窓口を使うのが無難である。2023年8月以降にANAを予約したことがある人は、ANAからの連絡を待ちつつ、ANAを名乗るメール・電話・SNS広告への対応をしばらく慎重にしておきたい。














