この記事ではANAマイルが1マイルいくらの価値があるのかを算出する。はじめに結論をまとめると以下のようになる。
・区間やシーズンによって1マイルの価値は約2円〜8円と前後する
・平均するとANAマイルの1マイルの価値は約4円と考えられる。
この記事の目的
クレジットカードでは、ポイントをマイルに交換できるものや、利用額に応じて直接マイルが貯まるものまで様々。マイルを貯めることを前提に、1マイルの価値を正確に把握しておくことで、クレジットカードの還元率を正確に求めることを目的にする。
ANAマイルを利用するには、以下のような交換方法がある。
1.特典航空券
2.他社ポイントへの移行
3.スカイコインへの移行
4.その他商品サービスと交換
中でも特典航空券への交換がマイルの価値が最も高くなる方法であるため、本記事では特典航空券の交換レートから、1マイルの価値を算出することにする。
前提
算出の前提となる知識として、航空券の種類と、特典航空券の交換ルールについて整理しておこう。なお、国際線は旅客運賃の変動幅が大きく、マイル価値の算定が困難なため、比較的価格が安定している国内線で価値を算定する。
チケットの種類
チケットは以下の種類がある。従来の普通運賃に該当するものがフレックスで、料金は高い分、予約変更が可能だったりと柔軟性が高い。一方でスーパーバリューは、早割に相当するもので、金額が安い分、予約変更不可で、キャンセル料も比較的高い設定になっている。
- プレミアムクラス
- フレックス
- バリュー
- スーパーバリュー
- ビジネスきっぷ
- 株主優待割引
特典航空券の種類
特典航空券は同じ区間であれば、日付や時間を変更することが出来る。これを考えると、チケット種別で言えば、「フレックス」に相当すると考えられる。ANAで一番安いチケットは「スーパーバリュー」となるが、これと比較すると、チケットが安い分、ANAマイルの価値は低くなる。
シーズンごとの必要マイル数
特典航空券への交換は、シーズンを3つに区切ってランク分けされている。
マイレージ(1区間) | L(ローシーズン) | R(レギュラーシーズン) | H(ハイシーズン) |
---|---|---|---|
0~300マイル区間 | 5,000 | 6,000 | 7,500 |
301~800マイル区間 | 6,000 | 7,500 | 9,000 |
801~1,000マイル区間 | 7,000 | 9,000 | 10,500 |
1,001~2,000マイル区間 | 8,500 | 10,000 | 11,500 |
それぞれの区間ごとの料金は以下の区間で算定する。
東京-大阪:0~300マイル区間
東京-札幌:301~800マイル区間
東京-沖縄:801~1,000マイル区間
東京-石垣島:1,001~2,000マイル区間
検証方法
同区間をローシーズン、レギュラーシーズン、ハイシーズンの料金表と、特典航空券の必要マイル数を比較することで、1マイルの価値を算出することにする。
【計算例】
東京-札幌間の普通運賃(フレックス)が38,660円で、同区間を特典航空券(レギュラーシーズン)に交換するマイル数が7,500マイルなので、1マイルの価値は
38,660円 ÷ 7,500マイル = 5.15円/マイル
という計算になる。
0~300マイル区間
この区間は、東京-大阪などが含まれる区間
特典航空券 シーズン判定 | フレックス | バリュー | スーパー バリュー | ビジネス きっぷ | 株主優待割引 |
---|---|---|---|---|---|
L (ローシーズン) | 5.55 | 2.61 | 2.23 | 3.57 | 2.71 |
R (レギュラーシーズン) | 4.39 | 2.17 | 1.86 | 2.97 | 2.26 |
H (ハイシーズン) | 3.70 | 2.35 | 1.78 | 2.38 | 1.90 |
301~800マイル区間
この区間は東京発を起点とすると、大阪より遠い範囲で、北海道から九州までが含まれる区間。
特典航空券、シーズン判定 | フレックス | バリュー | スーパーバリュー | ビジネスきっぷ | 株主優待割引 |
---|---|---|---|---|---|
L(ローシーズン) | 6.81 | 4.43 | 2.23 | 6.49 | 3.45 |
R(レギュラーシーズン) | 5.15 | 3.19 | 1.86 | 4.67 | 2.65 |
H(ハイシーズン) | 4.54 | 3.21 | 2.01 | 4.54 | 2.30 |
801~1,000マイル区間
東京-沖縄(那覇)間、札幌-福岡間などが該当
特典航空券、シーズン判定 | フレックス | バリュー | スーパーバリュー | ビジネスきっぷ | 株主優待割引 |
---|---|---|---|---|---|
L(ローシーズン) | 6.99 | 5.24 | 2.19 | 6.66 | 3.52 |
R(レギュラーシーズン) | 5.19 | 4.08 | 1.85 | 4.88 | 2.62 |
H(ハイシーズン) | 4.66 | 3.23 | 1.45 | 4.66 | 2.35 |
1,001~2,000マイル区間
東京-石垣島、札幌-沖縄間などが該当
特典航空券、シーズン判定 | フレックス | バリュー | スーパーバリュー | ビジネスきっぷ | 株主優待割引 |
---|---|---|---|---|---|
L(ローシーズン) | 8.02 | 7.09 | 3.86 | 7.65 | 4.03 |
R(レギュラーシーズン) | 6.51 | 4.47 | 3.25 | 6.15 | 3.27 |
H(ハイシーズン) | 5.93 | 5.24 | 3.69 | 5.93 | 2.98 |
ANAマイルの価値
以上のデータを整理すると以下のようになる。「全体の振れ幅」については、フレックスとスーパーバリューのみを対象として算出している。
フレックスの振れ幅:3.70円〜8.02円(平均5.62円)
スーパーバリューの振れ幅:1.45円〜3.86円(平均2.35円)
全体の振れ幅:1.45円〜8.02円(平均3.99円)
どの数字を利用するか判断に迷う部分もあるが、仮に特典航空券ではなく、普通にお金を払って航空券を購入する場合、スーパーバリューを利用するケースや直前にフレックスで予約するケースも考えられるため、全体の平均値からANAマイルを算出した方が良さそうである。
結論としては、ANAマイルの1マイルの価値は約4円とするのがわかりやすくて良さそうである。ただし、区間や時期次第で約2円〜8円の価値があるため、実際に利用者がどの区間を利用するかによってその価値を判断する余地はありそうです。