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Visaが公共交通機関でのタッチ決済にはじめて対応へ、Suicaとどう違う?

2020年7月29日(水)、勝田・東海―東京線間を運行する茨城交通の高速バス車内にてキャッシュレス決済が導入された。

対象となるのは、Visaのタッチ決済および数種類のスマホ決済だ。キャッシュレス決済利用時には割引運賃が適用される。

導入にあたっては、決済プラットフォーム「stera」を採用。バス車内でのVisaのタッチ決済導入は日本発ということもあり、注目度の高い試みだ。

本記事では、対象となる決済の種類から「stera」の仕組みを解説するとともに、Visaのタッチ決済の今後の展開や電子マネーSuicaとの比較を行う。

対応するキャッシュレス決済の種類

茨城交通の高速バス車内で対応がスタートしたキャッシュレス決済は下記の通り。

  • Visaのタッチ決済
  • PayPay
  • Alipay
  • LINE Pay
  • 楽天ペイ(8月中旬以降)

もっとも注目度が高いのが、Visaのタッチ決済だ。対象のVisaカードを端末にタッチするだけで決済が完了する非接触決済で、クレジットカード決済の利便性と安全性を高めるものとして世界で導入が進んでいる。

日本国内でも対応している加盟店が増えているが、バス車内での導入は日本初となる。

その他、主要なスマホ決済や、訪日中国人客のニーズが見込まれるAlipayにも対応している。

決済システムは次世代決済プラットフォーム「stera」

今回、茨城交通の高速バス車内でキャッシュレス決済に対応するにあたり、決済プラットフォーム「stera」が導入された。

steraは、三井住友カードとGMO-PG、国際ブランドのVisaが共同で構築した決済プラットフォーム。下記の4つの特徴がある。

  • ワンストップ対応:リアル決済とネット決済のセンター機能の一体化とオールイン端末
  • オムニチャネル対応:リアルとEC双方の決済インフラをパッケージで提供
  • グローバルレベルのネットワーク:Visaのネットワークを活用した処理能力と独自の不正検知レーダー
  • stera marketの展開:stera端末上で利用できるアプリのマーケットプレイス

これらの特徴により、キャッシュレス決済対応における事業者サイドの負担を大幅に削減する。実店舗と同時にEC店舗でも活用できる、まさに次世代の決済プラットフォームと呼べる。

Visaのタッチ決済は普及するか?

キャッシュレス決済における知名度を徐々に上げてきているVisaのタッチ決済。

コンビニや店舗を中心に導入が進んでおり、発行枚数は2020年3月末時点で2,390万枚を突破している。

また、海外では公共交通機関での導入も進んでいる。たとえばイギリスの地下鉄やバスでは、半分以上の取引にタッチ決済が利用されている。

Visa加盟店の幅広さを考えると、今後さらに普及していくものと考えられる。

Suicaとどちらが優位か?

公共交通機関で使われる日本でもっともメジャーなキャッシュレス決済といえば、JR東日本のSuicaを想像する方も多いのではないだろうか。

Suicaの利用可能駅は、JR東日本管内では首都圏エリア 637駅・仙台エリア 116駅・新潟エリア 65駅(※)で、その他にも相互利用により全国のJR・私鉄で利用可能となっている。

また、利用可能な店舗もSuica加盟店および相互利用先ともに増え続けており、約616,410店舗(※)で利用できる。

※2019年3月31日時点・JR東日本 会社要覧 2019-2020「IT・Suica事業」より

日本国内の利用可能な駅や店舗、利用者数でいうとSuicaはかなり普及しているといえる。

一方で海外に目を向けると、Visaのタッチ決済はスタンダードな決済方法といえる。セキュリティ性も高く、外国人旅行客のニーズもあるだろう。

タッチ決済とSuicaの共存

Suicaなど交通系電子マネーがすでに使える端末にVisaのタッチ決済も導入できれば鬼に金棒だが、実現は難しい。

交通系電子マネーのみに対応したJRなどの端末では、通信方式の違いから、Visaのタッチ決済など他のキャッシュレス決済に対応できないからだ。

本記事で紹介した決済プラットフォーム「stera」では、ひとつの端末でSuicaにもタッチ決済にも、その他のスマホ決済にも対応できる。

しかし、対応が多様化している分、Suicaに比べると支払いに時間がかかる可能性が高い。そのため導入対象が、今回の高速バスのように、支払い時間にある程度余裕があるシチュエーションに限られる可能性がある。

Visaタッチ決済とSuicaは競合するというより、状況に応じて加盟店にとっても利用者にとっても利便性が高いものが選択されるというように、共存していくものなのかもしれない。

また、Visaのタッチ決済やsteraなどは、利用者の増加にともない今後もサービスが改善されていくはずなので、新たな動向にも注目しておきたい。

最終更新日:2021/02/26

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執筆・編集

オトクレニュース編集部

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