便利でお得なサービスとして今や多くの消費者が活用しているPayPay(ペイペイ)。実は、加盟する店舗・事業者にとっても導入メリットは大きい。
まず第一に、テレビでも取り上げられるほど話題になり、利用者も増えると、「PayPayが利用できるから」という理由で新規顧客の獲得に期待ができる。
また、一部条件付きではあるが、初期費用・手数料が無料なので、店舗・事業者側がコストをかけずに導入が可能となっているのは大きなメリットだ。
入金スピードも非常に早く、ジャパンネット銀行の場合は翌日入金、その他の金融機関は最短翌々日入金となっている。
入金サイクルは店舗のキャッシュフローに直接影響するため、重要なポイントだろう。
ただし、2019年9月30日以降は一部の手数料が有料になる可能性があるので、PayPayを検討中の方は早めに試すことをおすすめする。
さらに、中国最大のスマホ決済サービス「Alipay(アリペイ)」にも対応しており、増加を続ける訪日中国人観光客の集客にも期待できる。
本記事では、店舗・事業者がPayPayを導入するメリットや、必要な情報、基本の手順などをまとめた。
PayPayはこんなサービス
PayPayはQRコード決済サービスのひとつ。サービスの提供開始は2018年10月だ。ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の合弁会社であるPayPay株式会社がサービスを提供している。
大手が開発・運営しているアプリであるため、信頼性があり、マーケティングにも多額の資金を投入している。
また、インド最大の決済サービス事業者であるPaytmと連携し、同社のテクノロジーを活用している。
銀行口座やYahoo! ウォレットから残高のチャージができるほか、クレジットカードを登録すればチャージをすることなくクレジットカードによる支払いができる。
また、ポイント還元制度が設けられており、PayPay残高もしくはPayPayカード(旧ヤフーカード)での支払いであれば0.5%~1.5%の還元が受けられる。
基本の還元率はPayPay残高での支払いが0.5%、PayPayカードでの支払いは1.0%で、前月の利用回数・金額により還元率が+0.5%アップする。
そのため、ユーザーとしては普通に買い物をするよりもPayPayを経由した方がお得になり、PayPayを使うほどにお得度が増すというわけだ。
QRコード決済の仕組み
QRコード決済では、専用端末やスマートフォンアプリにより、QRコードの提示と読み取りにより決済をおこなう。
基本的には、「店舗がQRコードを提示して利用客が読み取る方法」と、「利用客がQRコードを提示して店舗が読み取る方法」との2パターンがある。
QRコード決済サービスの利用者は、2017年度末時点では187万人だったが、2018年度末には512万人まで増加している。さらに、2019年度には960万人、2021年度には1,880万人に達する見込みだ(※)。
楽天ペイ、LINE Payと並ぶサービス
PayPayはQRコード決済サービスのなかでは後発だが、「100億円あげちゃうキャンペーン」などお得なキャンペーンをおこない、利用者を一気に増やした。
既存のQRコード決済サービスで他にシェアが大きいのは、「楽天ペイ」や「LINE Pay」だ。
「最も利用されているQRコード決済」(※)では、1位が楽天ペイ、2位がPayPay、3位がLINE Payという順になっている。
楽天ペイでは電子マネー楽天Edyも利用できる点、また、LINE PayはLINEアプリとの連携が強みだ。
PayPayは他のアプリやツールと連動しているわけではないが、楽天ペイと同様にクレジットカードによる支払いが可能だ。
アプリ本体の還元率とクレジットカードの還元率を二重取りできるため、PayPayを通して決済することがユーザーのメリットになる。
導入するメリット
新規顧客&リピーターの獲得
利用客にとって、PayPayはスマホひとつで決済ができる便利でお得なサービスだ。
上述したように、PayPayを経由して支払うだけで0.5%以上のポイント還元が受けられるお得さもある。
一方で、PayPayを導入する事業者にとってのメリットも見逃せない。
まず、大きなメリットの一つとして「新規顧客」の獲得があげられる。
PayPayは利用者にとって便利でお得なサービスであるため、「PayPayが利用できるなら使ってみようかな」と、来店のきっかけになる可能性がある。
QRコード決済サービスは、特に20代での利用率が高い(※)。そのため、特に20代の新規獲得を強化したい事業者にとって、PayPayの導入メリットは大きいのではないだろうか。
また、新規顧客獲得はリピーター(常連客)獲得のチャンスとも言える。
初回の来店で良い購買体験をしてもらえば、次の来店につながる可能性が高い。来店のきっかけとなったPayPayでの決済が問題なくできるよう、レジのオペレーションをしっかりと確立しておくことが重要だろう。
さらに、PayPayのポイント還元は「PayPayポイント」という形でPayPay残高に還元される。一度PayPayをきっかけに店舗を利用したユーザーが、PayPayポイントを利用する目的で再来店することも考えられる。
手数料・導入費用が安い
新規顧客の獲得というメリットは、PayPay以外のQRコード決済や、QRコード決済以外のキャッシュレス決済でも同様のことがいえるというのも事実だ。
そこで、PayPayならではのメリットをあげるならば、手数料・導入費用が安いという点が非常に大きなメリットだ。
QRコード決済や電子マネー決済、クレジットカード決済など、キャッシュレス決済の導入時に事業者の懸念点となるのが、手数料や導入費用だ。
いくら来店者数が増えたり売上が伸びたりしても、手数料や導入費用がかさんで利益が出ないのでは意味がない。
しかし、PayPayは、初期費用0円、条件付きだが決済手数料と入金手数料も0円で、加盟店にはほぼデメリットのないサービスとなっている。
PayPayを導入しているかしていないかで集客に大きな差がつく可能性が高いため、手数料や初期費用がかからない今こそ絶対に導入すべきだと言える。
中国訪日客にも!Alipayが利用可能
PayPayは、日本人利用者だけでなく、訪日外国人客の獲得にもつながる。
PayPayは中国最大のスマホ決済サービス「Alipay(アリペイ)」に対応しているからだ。
中国では、実店舗での決済において、現金やクレジットカードよりも、AlipayなどのQRコード決済が主流になりつつある。
訪日中国人客にとって、Alipayで買い物ができるというのは非常に便利で、購入につながりやすいのだ。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、訪日中国人客はさらに増加すると見込まれる。
この商機を逃さないためにも、PayPayn利用を検討してみてほしい。
使い方は、AlipayアプリでPayPayのQRコードを読み取ってもらうだけなので、利用者にとっても店舗にとっても簡単だ。
また、決済手数料は2019年9月30日までは0円となっている。ただし、これ以降手数料が発生する可能性があるので注意しよう。
導入・申込方法
PayPayの導入・申込は、PayPay公式サイトからの申込か、PayPayアプリから可能。
審査はあるものの、申し込みにあたって難しい手順などは一切なく、手軽に導入できるのも嬉しい。
公式サイトからの申込の場合、申込ページで以下の項目を入力すると、申込のためのフォームのリンクが送られてくる。
- メールアドレス
- 氏名
- 法人名または屋号名
- 連絡先電話番号
- 連絡可能な時間帯(任意)
- キャンペーンコード(任意)
アプリからの申込の場合、「メニュー>加盟店に登録」で、「PayPay加盟店登録をはじめる」ボタンを押す。
「あなたは代表者または事業者ですか?」と確認されるので、「はい」のボタンを押そう。
PayPayの加盟店登録は、法人代表者もしくは個人事業主でないとおこなうことができない。
その後、キャンペーンコードを任意で入力し、法人代表者か個人事業主かを選択すると、申込に関する情報入力をおこなう。
入力するのは、事業者の情報、口座、店舗に関する情報だ。
申込から審査結果が出るまでは最短1営業日となっている。
審査中に追加のヒアリングや書類提出、他の情報センターへの照会がおこなわれることもあり、その場合はもう少し時間がかかるようだ。
なお、サイトからの申込、アプリからの申込の他に、PayPayの営業担当が来て申込をしたというケースもあるようだ。
しかし、自らすぐに申し込みたいという場合は、サイトかアプリで申し込むことになる。
手数料・導入費用
PayPayのメリットで、手数料・導入費用が安いことをあげた。
導入時の初期費用などはかからないが、決済手数料と入金手数料に関しては、条件を満たすことで0円となる。
基本的には、2021年9月30日まではほとんどの場合で無料となるので、PayPayを試してみたい事業者は、この日までに早めに導入することをおすすめする。
決済手数料
決済手数料は、店舗がQRコードを表示して、利用客が読み取る形の場合に0円となる。
また、決済手数料0円となるのは、PayPayのサービス開始から3年間、2021年9月30日までとなっている。
2021年9月30日以降、決済手数料0円が継続されるのか、手数料が発生するのかは現時点では未定だ。
ただし、手数料が発生するようになる場合は事前に告知がある。
PayPayを使ってみたいという事業者は、ぜひ決済手数料無料の間に試してほしい。
入金手数料
入金手数料は、入金先の金融機関がジャパンネット銀行である場合に限り無料となる。
ジャパンネット銀行以外も、2019年9月30日までは無料だが、それ以降は手数料が発生する可能性がある。
ジャパンネット銀行の口座を持っていないという場合、まずは今ある口座で、手数料無料の期間内に試してみてほしい。
入金サイクル
手数料と合わせて、入金サイクルも事業者にとって重要な点だ。
PayPayの入金サイクルは、ジャパンネット銀行とその他の金融機関とで異なる。
ジャパンネット銀行の場合、翌日入金。その他の金融機関の場合は、最短で翌々営業日となる。
なお、いずれも累計決済金額が1万円以上の場合。また、累計決済金額に関わらず、月末は締日となる。
PayPay導入では、入金の手数料・サイクルの両方でジャパンネット銀行が優遇されている。
楽天ペイ/LINE Payとの比較
PayPayの入金サイクルは、他のQR決済サービスと比べて早いほうなのだろうか。
PayPayと並んでよく利用されている楽天ペイやLINE Payと比べると、比較的早いと言える。
以下に、楽天ペイとLINE Pay、それぞれの入金サイクルをまとめた。
楽天ペイ
楽天ペイを導入している場合の入金サイクルは、入金先が楽天銀行かそれ以外かで異なる。
入金先が楽天銀行:当日23:50時点の売上が翌日に自動振込。入金手数料無料。
入金先が楽天銀行以外:手動で振込依頼。23:30までの依頼は翌営業日に振り込まれる。1回の入金依頼につき210円の手数料。
振込の早さという点ではPayPayよりやや早い。しかし、入金先が楽天銀行以外の場合は、都度振込依頼をおこなう必要があり、入金手数料も発生するので、意外と手間とコストがかかるのではないだろうか。
LINE Pay
LINE Payでは、決済売上額は当月末締め翌月末払いで入金される。一ヵ月ごとにまとめて入金となるので、PayPayや楽天ペイと比較すると入金サイクルは遅くなる。
申込後の利用方法
PayPayに申込をおこない審査に通過したら、加盟店向けのツール「PayPay for business」を利用できるようになる。
このツールで、以下を設定する必要がある。
- ブランドロゴの追加
- 店舗営業時間/定休日の追加
- 店舗写真の追加
また、PayPayからPayPayコードキットが送付される。これがユーザーに読み取ってもらうQRコードになるので、店頭に提示しよう。
ユーザーにQRコードを読み取ってもらった後は、ユーザー側で利用代金を入力してもらうことになる。このオペレーションがややわかりにくいところなので、現場が混乱しないように体制を整えておきたい。
とはいえ、慣れてしまえば現金やクレジットカード決済よりも簡単に素早く決済が完了できるので、業務効率化にもなるだろう。なお、ユーザーが提示したQRコードを加盟店が読み取ることもできるが、この場合は手数料が発生してしまう。
ユーザー数急増の理由
株式会社ICT総研「モバイルキャッシュレス決済の市場動向に関する調査結果(2019年1月7日発表)」によると、「よく利用するスマホのQRコード決済サービス」は以下のようになっている。
回答者(全体279人)
- 1位:楽天ペイ(130人)
- 2位:PayPay(102人)
- 3位:LINE Pay(97人)
- 4位:d払い(69人)
- 5位:Origami Pay(46人)
この結果を見ると、楽天ペイ、PayPay、LINE Payのユーザー数が拮抗していることがわかる。
ちなみにLINE Payの2017年5月の公式発表で、ユーザー数が3,000万人を突破したというデータがある。
このデータも参考にしてみると、PayPay、楽天ペイともにユーザー数は3,000万人以上になっているのではないだろうか。
QRコード決済サービスのなかでは後発のPayPayがここまで急速にユーザー数を伸ばせたのは、やはり太っ腹なキャンペーンの影響が大きいだろう。
加盟店紹介キャンペーン
PayPayでは、ユーザーだけでなく加盟店向けのキャンペーンもおこなっている。それが「PayPay加盟店ご紹介キャンペーン」だ。
このキャンペーンでは、PayPay加盟店が他の店舗にPayPayを紹介してその店舗がPayPayに申し込み、申込日の翌々月15日までに合計500円以上の決済が発生した場合、紹介1店舗につき、紹介元店舗へ1,500円、紹介先店舗へ1,000円が付与されるというもの。
紹介方法は、紹介先店舗の了承を取った上で、PayPayの営業担当に紹介先店舗を申告するか、紹介先店舗に紹介者コードを伝えてオンライン申込時にそれを申告するというもの。
すでにPayPayに加盟している店舗で、その良さを実感しているのであれば、ぜひこのキャンペーンを通じて他の店舗にもPayPayを広めてほしい。
また、今後加盟予定という店舗は、こういったキャンペーンがあることを頭の片隅にとどめておくと良いだろう。
困ったときはここに相談
PayPayの申込はPayPay公式サイトの導入申込ページ、もしくはPayPayアプリから可能だ。
もし、申込を決める前に質問したり相談したりしたいという場合は、以下に連絡すると良いだろう。
【PayPay加盟店新規受付センター】
電話番号:0120-957-640
対応時間:10:00~19:00(メンテナンス日を除く)
また、PayPay公式サイトの店舗向けページでは、チャットによる相談も受け付けている。
導入を検討しているけれど疑問点や不明点があるという場合は、上記いずれかで相談してみよう。
PayPayは、2019年9月30日まで各種手数料が無料になるので、一度試してみたいというのであれば、この日までになるべく早めに導入してみることをおすすめする。
※株式会社ICT総研「モバイルキャッシュレス決済の市場動向に関する調査結果(2019年1月7日発表)」より