国内や海外に旅行へ行く際は、宿泊先のホテルを事前に予約するのが一般的だ。
すでに日程が決まっている場合、早い段階で予約すると早割などが適用され、通常より安く宿泊できることも多い。
しかし、出発前になって自分や家族が病気・怪我をしたり、急に都合が悪くなったりという可能性もゼロではない。
その場合にはホテルの予約をキャンセルする必要があるが、直前のキャンセルはキャンセル料が全額かかることが多い。
また、早期予約でお得なプランなどは、キャンセルがしにくい条件になっていることが多い。
そんなときに役立つのが、アメックスならではの付帯サービスである、キャンセル・プロテクションだ。
適用条件はあるものの、キャンセル・プロテクションでは、キャンセル料をアメックスが一部負担してくれるのだ。
これにより、キャンセル不可のホテルでも利用者に負担なくキャンセルができる形になる。
本記事では、アメックスのキャンセル・プロテクションについて、適用される条件やカードを、具体的な例をあげながら紹介する。
目次
キャンセル不可の料金を補償
キャンセル不可のホテルを予約して利用できなかった場合、原則として全額支払いをする必要がある。
キャンセルせざるを得ない特別な理由がある場合、ホテル側が考慮してくれる可能性もゼロではないが、確率としては低い。
そんなときに役立つのが、アメリカン・エキスプレスカード(アメックスカード)の付帯サービスであるキャンセル・プロテクションだ。
キャンセル・プロテクションでは、本人や家族の病気やケガ、仕事の都合などでキャンセル不可のホテルを利用できなくなった場合、支払いの一部を補償してもらえる。
キャンセル・プロテクションはアメックスならではのサービス。
ホテルだけでなく、飛行機やイベントのチケットなども対象となり、適用条件を満たすことで、キャンセル不可の予約・チケットのキャンセル代をアメックスが一部補償してくれる。
キャンセル・プロテクション適用条件
キャンセル・プロテクションが適用されるのは、キャンセル・プロテクション付帯のアメックスカードで支払いをした、以下のようなサービスや商品についてだ。
- 国内旅行契約、海外旅行契約に基づくサービス
- 旅館、ホテルなどの宿泊施設の提供およびそれに付帯するサービス
- 航空機、船舶、鉄道、自動車などによる旅客の輸送
- 宴会、パーティー用に供する施設の提供およびそれに付帯するサービス
- 運動、教養などの趣味の指導、教授または施設の提供
- 演劇、音楽、美術、映画などの公演、上映、展示、興行
また、すべてのケースで適用されるわけではなく、以下ような場合に、年間上限額内で補償の対象となる。
- 本人・配偶者・1親等以内の親族が31日以内に死亡または怪我・病気による入院をした場合:年間最高10万円
※カード会員本人が死亡した場合のキャンセルは、この限りではない。また、妊娠・出産による入院は対象外。 - カード会員、カード会員の配偶者、カード会員の子供が予約当日に怪我をして通院した場合:年間最高3万円
- カード会員が勤務する会社の社命出張を理由にキャンセルした場合:年間最高10万円
キャンセル・プロテクション付帯するアメックスのクレジットカード
キャンセル・プロテクションが付帯しているアメックスカードには、下記がある。
・アメリカン・エキスプレス・ゴールドカード:年会費31,900円(税込)
・アメリカン・エキスプレススカイトラベラー・プレミアムカード:年会費38,500円(税込)
・ANAアメリカンエキスプレス・ゴールドカード:年会費34,100円(税込)
・ANA アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード:年会費165,000円(税込)
・デルタスカイマイル アメリカンエキスプレス・ゴールドカード:年会費28,600円(税込)
・スターウッドプリファードゲスト・アメリカンエキスプレス・ゴールドカード:年会費34,100円(税込)
キャンセル・プロテクションが使えないカード
キャンセル・プロテクションはアメックスならではのサービスだが、すべてのアメックスカードに付帯するわけではない。
下記のアメックスカードには、キャンセル・プロテクションは付帯しない。
- 三菱UFJカード・ゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード
- 三菱UFJカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード
- JAL アメリカン・エキスプレス・カード CLUB-Aゴールドカード
- JAL アメリカン・エキスプレス・カード プラチナ
- 《セゾン》ゴールド・アソシエ・アメリカン・エキスプレス・カード
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
- MileagePlusセゾン ゴールドカード
利用時の注意点
キャンセル・プロテクションを利用したい場合、次の点に気をつけよう。
1.適用対象・補償額は限定されている
前述の通り、キャンセル・プロテクションには、適用条件と限度額がある。
たとえば「自分や家族のスケジュールの都合でキャンセルをした」などの場合には対象外となる。
年間の限度額も定められているため、限度額を超えた分のキャンセル料金は自分で負担する必要がある。
2.自己負担額あり
キャンセル・プロテクションは年間限度額以内でキャンセル代金が補償されるが、自己負担額が発生する。
自己負担額は、1,000円またはキャンセル費用の10%相当額のいずれか高い方の金額となる。
補償が適用される事例
キャンセル・プロテクションが適用されるケースとして、以下に具体的な例を紹介する。
その1
夫婦で3泊4日の海外旅行の予定を立てていて、1泊2万円のキャンセル不可のホテルを予約していたが、旅行の2日前に転んで骨折をして入院することになり、旅行に行けなくなった。
→このケースの場合、3泊分の宿泊料金6万円のうち5万4,000円がキャンセル・プロテクションで補償され、6,000円を自己負担として支払う計算になる。
その2
夫婦と子どもの3人で1泊2日の国内旅行へ行く予定を立てていて、1泊2万5,000円のキャンセル不可のホテルを予約していた。当日の朝に子どもが家の外でサッカーボールで遊んでいたところ、転んで頭を打ったため通院が必要になり、旅行を取りやめることになった。
→このケースの場合、1泊分の宿泊料金2万5,000円のうち2万2,500円がキャンセル・プロテクションで補償され、2,500円を自己負担として支払う計算になる。
その3
1枚1万8,000円のクラシック・コンサートのSS席のチケットを夫婦で2枚購入していたが、コンサート前日に父親が倒れて入院することになり、病院へ行くためコンサートへ行けなくなった。
→このケースの場合、2人分のチケット代金のうち32,400円がキャンセル・プロテクションで補償され、3,600円を自己負担として支払う計算になる。
補償が適用されない事例
下記のような場合には、キャンセル・プロテクションは適用されない。
その1
夫婦で3泊4日の海外旅行の予定を立てていて、1泊2万円のキャンセル不可のホテルを予約していたが、お互いの仕事の都合で日程を変更せざるを得なくなり、旅行を取りやめることになった。
→キャンセル・プロテクションの適用条件にあてはまらないため、キャンセルをした場合でも補償はされない。
その2
夫婦と子どもの3人で1泊2日の国内旅行へ行く計画を立てていて、1泊2万5,000円のキャンセル不可のホテルを予約していた。前日の夜から子どもが風邪を引いて体調がすぐれないため、旅行を取りやめることになった。
→キャンセル・プロテクションの適用条件にあてはまらないため、キャンセルをした場合でも補償はされない。
その3
1枚1万8,000円のクラシック・コンサートのSS席のチケットを夫婦で2枚購入していたが、コンサート当日に父親が自宅で転んで腰を痛めたと連絡を受け、様子を見に行くためコンサートへ行くことを取りやめた。
→キャンセル・プロテクションの適用条件にあてはまらないため、キャンセルをした場合でも補償はされない。
いざというときに安心
年会費は安くはないものの、キャンセル費用の負担を大幅に軽減できるアメックスカードのキャンセル・プロテクションは、いざというときに心強いサービスだ。
海外のホテルを数泊分予約していた時など、キャンセル費用が高額になってしまうケースの場合でも、そのうちの9割を補償してくれるのはありがたい。
特に、自分や家族の病気・怪我などはいつ起きるか予測できない。
思わぬアクシデントが起きた時のために、キャンセル・プロテクションが付帯したアメックスカードに加入しておくメリットは決して少なくないだろう。