TOP

名古屋市営地下鉄、9月3日から全駅でクレカ乗車開始

名古屋市交通局と三井住友カードなど8者が、2026年9月3日始発から名古屋市営地下鉄の全駅でタッチ決済による「クレカ乗車」サービスを開始する。普段使っているクレジットカードやスマホをそのまま乗車券代わりに使える仕組みだ。

手持ちのカードやスマホを改札にタッチするだけで乗れる

「クレカ乗車」は、三井住友カードの公共交通向けソリューション「stera transit」を使った乗車サービスだ。タッチ決済に対応したクレジットカード・デビットカード・プリペイドカード、あるいはそれらを設定したスマートフォンなどを、改札機や窓口に新たに設置する専用リーダにかざせば、そのまま乗車できる。

事前のチャージや専用アプリのダウンロードは不要で、券売機できっぷを買う手間もない。改札で必要なのは、財布やスマホの中にすでにあるカードをタッチする動作だけになる。

対応する決済ブランドは、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯の7種類。国内で発行された主要ブランドはもちろん、海外発行のカードも幅広くカバーする。

アジア競技大会・アジアパラ競技大会の来訪者受け入れが背景

導入の背景にあるのが、2026年9月に名古屋市で開かれるアジア競技大会と、10月のアジアパラ競技大会だ。国内外から多くの来訪者が見込まれる中、日本特有のきっぷ購入や交通系ICカードの使い方に不慣れな人でも迷わず地下鉄に乗れる環境を整える狙いがある。

海外では、普段使っているカードをそのまま改札にかざして乗るタッチ決済乗車(オープンループ)がグローバルスタンダードになりつつある。世界各地からの来訪者にとっては、自国で使い慣れた1枚がそのまま名古屋の地下鉄で通用することになり、言語や券売機の操作に戸惑わずに移動できる利点は大きい。

名鉄13駅とも相互利用が可能に

名古屋エリアでは、2024年3月から名古屋鉄道の13駅で先行して「クレカ乗車」が導入されている。今回の名古屋市営地下鉄の導入により、これらの駅とはタッチ決済のまま相互に利用できるようになる。

名鉄側で対応しているのは、中部国際空港駅、名鉄名古屋駅、金山駅、東岡崎駅、神宮前駅、国府宮駅、名鉄一宮駅、新木曽川駅、笠松駅、名鉄岐阜駅、犬山駅、知多半田駅、西尾駅の13駅だ。

名鉄の非対応駅では連絡きっぷか交通系ICが必要

注意したいのは、名鉄側は上記13駅のみの対応にとどまる点だ。対応していない駅で乗り降りする場合は、従来どおり連絡きっぷを購入するか、交通系ICカードを利用する必要がある。中部国際空港駅が対応しているため、空港から地下鉄沿線へ向かうルートではタッチ決済を通しやすい。

交通系ICカードとの違いと使い分けの注意点

タッチ決済乗車は、manacaやSuicaといった交通系ICカードとは仕組みが異なる。交通系ICは事前チャージした残高から運賃が引かれるのに対し、クレカ乗車はクレジットカードなどの決済としてあとから請求される。残高を気にせず乗れる一方で、いくつか押さえておきたい点がある。

少額はサイン・暗証番号不要だが高額時は入力が必要

タッチ決済は国際標準のセキュリティ認証技術を使っており、対応端末にタッチするだけでサインも暗証番号入力も不要だ。ただし一定金額を超える支払いでは、カードの挿入と暗証番号またはサインが求められる場合がある。

利用履歴はQ-moveのマイページで確認する

交通系ICのように券売機や改札で残高・履歴を確認する使い方とは異なり、クレカ乗車の利用履歴は決済・認証SaaS「Q-move」のサイト(https://q-move.info/ )で確認する。マイページの会員登録を済ませると、いつどこで乗車したかを見られるようになる。カードの利用明細だけでは駅名まで分かりにくいため、細かく確認したい場合はこの登録をしておくとよい。

三井住友カードやJCBなど8者が役割を分担

今回のサービスは複数の事業者が役割を分担して支える。名古屋市交通局が鉄道運行とタッチ決済対応設備の整備を担い、三井住友カードがstera transitの提供とVisa・Mastercard・銀聯の導入支援を行う。

JCB・American Express・Diners Club・Discoverについては、株式会社名古屋カードと株式会社ジェーシービーが導入支援を担当する。改札機システムは日本信号、オムロン ソーシアルソリューションズ、東芝が開発・提供し、運賃判定には日本信号のSaaS「IDONEO」、決済・認証にはQUADRACの「Q-move」が使われる。

stera transitは全国各地で導入が進んでおり、名古屋市営地下鉄の全駅対応はその流れをさらに広げる事例といえる。今後、他エリアでも手持ちのカード1枚で改札を通れる場面は増えていくと考えられる。

シェア ツイート LINEに送る
シェア ツイート LINEに送る
オトクレ編集長 池田 星太

執筆・編集

池田星太

オトクレ編集責任者。2013年より「大人のクレジットカード」を運営。ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、金融全般での情報発信を行っている。また、クレジットカード専門家として、雑誌やメディアでの編集や監修も行っている。日常生活のほぼすべてをキャッシュレスで過ごす。

大人のクレジットカード編集部について詳しく見る