後払い決済サービス「NP後払い」を提供するネットプロテクションズは31日、キャッシュレス決済に関する意識調査の実施結果を発表した。
これは、カードレス決済サービス「atone」への、QRコード決済機能追加にあたっての前調査として行われたもの。
なお、QRコード決済機能の追加は今月に予定されており、まずはテスト店舗での実証実験が行われる見通しだ。
atoneは、1ヶ月分の決済を翌月20日にまとめて支払い可能な「後払い決済サービス」。
これまでECサイトを中心に展開していた本サービスは、QRコード決済機能の追加により実店舗でも利用可能になった。
クレジットカード不要の後払いアプリ
atoneは、クレジットカード登録不要、かつコンビニや口座振替による後払いが可能なサービスだ。
この決済サービスが持つ独自性は、
- 「クレジットカードは使いすぎが怖い」
- 「電子マネーは事前チャージが面倒」
など、現金派ユーザーが持つ意見に対するひとつの回答となる点にある。
また、今回実施された意識調査では、「現金派ユーザーの69%は、その場の持ち合わせがない場合、買い控えをした経験がある」との結果も出ている。
こういった機会損失に対し「後払い」は、電子マネーより高い利便性、クレジットカードより高い安心感、というアプローチができるものだといえるだろう。
さらに、atoneは会員登録すればその場で誰でもすぐに利用が可能。
atoneで支払う旨を伝えれば、店舗側のタブレット端末でQRコードが生成され、それを読み取って確認、決済を承認するだけでいい。
これにより、決済アプリにありがちな「事前の口座登録やクレジットカード登録の面倒くささ」「不安感」の解消にも成功している。
加盟店の拡大が見込まれる
消費者側のみならず、導入する店舗側のメリットとしては「決済手数料が1.9%と非常に安い」ことが挙げられる。
飲食店や小売店など、一般的なクレジットカード加盟店手数料の相場は4.0%〜5.0%であることを考えると、かなり低い数字だといえる。
なお、QR/コード決済全体では、「楽天ペイ」は決済手数料が3.24%で、LINE Payは現在3年間手数料ゼロのキャンペーン中(専用端末での決済は3.45%)。
競合の中では「LINE Pay」が強いが、通常の手数料面では今のところ最安値だ。
この手数料の低さに加え、初期費用や運用費も一切なし。
タブレット端末とインターネット環境さえあればOKというのも、店舗にとってはありがたいだろう。
今後加盟店が増えれば、それだけ利用できる場面が増えるということになる。
クレジットカードを持たないユーザーにとって、メインの決済手段となる日が来るかもしれない。
他のQRコード決済サービスを比較
比較するのは、現在展開されている主要なQR/コード決済サービス「楽天ペイ」「LINE Pay」「Origami Pay」「d払い」の4種。
なお、「Yahoo! ウォレット」のコード払いは、新サービス「PayPay」の開始に伴い終了するため今回は除外した。
支払い方法 | ポイント還元 | 支払い方式 | 決済手数料 | |
atone | 後払い | 0.5% | QRコード読み取り | 1.9% |
楽天ペイ | クレジットカード | 0.5% | QR/バーコード提示 | 3.24% |
LINE Pay | 口座振替 | 0.5%~2.0% | QR/バーコード提示 | 8月1日より3年間無料 |
Origami Pay | クレジットカード | 店舗毎の割引 +クレジットカード分 | QRコード読み取り | 最大3.25% |
d払い | クレジットカード | 実店舗:0.5% | QR/バーコード読み取り | 導入企業に応じて |
まず、ポイント還元率では「atone」をはじめとする各種決済アプリが0.5%。
LINE Payのみキャンペーンで還元率が跳ね上がっていることがわかる。
ただ、楽天ペイ、Origami Pay、d払いいずれもクレジットカードの還元率との二重取りが可能なため、実際のポテンシャルはもう少し高めだ。
還元率でいえば、atoneは少し他に劣るといえるだろう。
一方で、加盟店側の決済手数料はatoneが群を抜いて低い。
加盟店の手数料は、そのまま導入店舗の増加率につながるため、「atone」は利用可能店舗を大きく増やす可能性を秘めている。
「後払い」という現金派のユーザーを取り込みやすい支払い方法からみても、導入したいと考える店舗は多いはずだ。
最終更新日:2022/06/06