日本から近いこともあり、海外旅行先として人気の高い韓国。首都・ソウルへのアクセスが良い仁川(インチョン)国際空港には、成田空港から約2時間半で到着する手軽さだ。
本記事では、韓国のクレジットカード事情や利用時の注意点、韓国を訪れる際におすすめのクレジットカードを紹介する。
韓国は世界でもトップクラスのキャッシュレス決済大国であり、主要な決済方法のひとつがクレジットカードであるため、クレジットカードを持っておけばほとんどの支払いに対応できる。
日本で発行したクレジットカードで韓国で主に使える国際ブランドは、VISA/MasterCard/American Express/JCBで、日本国内での利用とほぼ変わらない。そのほか、銀聯カードも利用できる。
ただし、個人店などでまれにクレジットカードを利用できない店もあるので注意が必要だ。また、クレジットカードと併用すると便利なキャッシュレス決済方法もあるので、合わせて紹介する。
目次
韓国のキャッシュレス決済事情
韓国は世界のなかでもキャッシュレス決済の利用が進んでいる国だ。
一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2022」によると、「世界主要国におけるキャッシュレス決済比率(2020 年)」で韓国のキャッシュレス決済比率は93.6%と第1位になっている。ちなみに中国で83.0%、日本は29.8%だ。
クレジットカードの利用率が高い
韓国では、キャッシュレス決済のなかでもクレジットカードの利用比率が高い。
財務省のシンクタンクである財務総合政策研究所が2019年6月に発行した「デジタル時代のイノベーションに関する研究会」報告書の第Ⅱ部 第9章「韓国の動き」によると、2017年の「個人消費額に占めるクレジットカード決済の割合」は75.4%、2017年の「支払手段別の利用状況」で「クレジットカード」の利用件数は34%、「利用金額」は41%となっている。
ちなみに「支払手段別の利用状況」では現金が39%とクレジットカードのほうがやや低い割合になっている。しかし、「利用金額」では現金は24%とクレジットカードの割合のほうが高く、クレジットカードはまとまった金額の支払いにもよく利用されていることがわかる。
なお、韓国でクレジットカードの利用がここまで進んでいるのは、1997年の東南アジア通貨危機の影響を受け、韓国政府が実施した以下のようなクレジットカード利用促進策が影響しているといわれる。
- 年間クレジットカード利用額の20%の所得控除(上限30万円)
- 宝くじの権利付与(1,000円以上利用で毎月行われる当選金1億8千万円の宝くじ)
- 店舗でのクレジットカード取扱義務付け(年商240万円以上の店舗が対象)
韓国で使える国際ブランド
日本で発行したクレジットカードを韓国で利用したい場合、Visa/MasterCard/American Express/JCBを日本とほぼ同じように利用できる。また、韓国では銀聯カードも主要な国際ブランドのひとつだ。
特にVisa、MasterCardは韓国以外にも世界中に広く加盟店のある国際ブランドなので、海外旅行にはどちらかを持っておきたい。
JCBは日本および海外で日本人に人気の観光地に加盟店が多い。韓国ではさまざまな優待・サービスを受けられる店舗もあるので活用しよう。
クレジットカードが使えない場所
韓国では、年商240万円以上の店舗を対象としてクレジットカードの取り扱いが義務付けられている。
そのため、個人店でも多くの店舗でクレジットカード決済に対応しているが、逆に年商240万円未満の小規模な店舗ではクレジットカードに対応していないこともある。
特に市場や屋台などは要注意だ。そういった場所を利用する場合は現金も用意しておいたほうが良いだろう。
現金の両替手数料とカードの為替手数料の比較
海外で現地の現金を用意したい場合、両替が必要になる。両替所は空港の他、街中にも多くある。
両替の際には手数料が発生する。その金額は両替書によって大きく差が出るが、およそ両替する金額の3~8%を想定しておくと良いだろう。
手数料の安い両替所を見つけられれば良いが、限られた滞在時間のなかでつねに条件の良い両替所で両替できるとは限らない。
一方、海外でクレジットカードを利用する場合には為替手数料がかかる。為替手数料は国際ブランドによって異なるが1.6%前後で、両替時の手数料と比べると格段に低いことが多い。
そのため、海外旅行でクレジットカードを使える場面では積極的にクレジットカードを使い、どうしても必要な分だけ現金を用意することで、両替にかかる手数料や時間を抑えることができる。
日本円建てと現地通貨建て
海外でクレジットカード利用時には現地通貨建てでカード決済が行われることが一般的だ。
しかし、韓国やハワイなど観光客の多い国や地域では、自国通貨でのカード決済が選択できるDCC(Dynamic Currency Conversion)サービスが導入されている。
日本円建ては支払い金額がわかりやすいというメリットがある一方、手数料が高くなりがちなので注意しよう。店舗によっては3~5%の手数料がかかることがある。説明なしに日本円建てとなっている場合もあるので、サインをする前に明細書をしっかりと確認することが大切だ。
また、日本円建ての場合はカード利用日、現地通貨建ての場合はカード会社に利用情報が到着した日がレート換算日となる。
韓国旅行に便利な外国人観光客向け決済サービス「WOWPASS(ワウパス)」
韓国ではクレジットカード決済が便利だが、合わせておすすめなのが外国人観光客向けの決済サービス「WOWPASS(ワウパス)」だ。
WOWPASSは、プリペイドカード、両替、交通系ICカード「Tmoney」の3つの機能を併せ持つカード。専用アプリも提供されており、決済内容や残高をいつでも確認可能。
WOWPASSは、無人両替機「WOW Exchange」で発行、チャージ、両替が可能。WOW Exchangeは、明洞駅、弘大入口駅、江南駅、高速ターミナル駅、金浦空港駅などのソウルの主要駅やホテルなど70箇所以上に設置されている。
プリペイドカードとしては、日本円(現金)でチャージすることでWOWPASS対応店舗での韓国ウォン決済に利用できる。対象となる韓国各種ブランドでの決済では、最大20%還元となるお得な特典もある。
決済はICチップ付きカードを端末に挿入して支払いをする方式で、韓国の多くの場所で利用可能だ。ただし、屋台などでは使えない店も多い。
両替機能は、日本円でチャージした金額を韓国ウォンとして現金で引き出すことが可能。両替手数料は発生せず、両替商を利用するよりもお得なレートになる。
Tmoneyとしては、駅の発券機やコンビニで韓国ウォン現金でチャージすることで、地下鉄やバス、タクシーなどをタッチ決済で簡単に利用できるようになり、韓国での移動がスムーズになるだろう。
さらに、事前予約することで、WOWPASSにSIMカードとTmoney事前チャージがセットになってお得な価格で購入できる「WOWPASS空港セット」も用意されている。
このセットは、仁川国際空港、金浦国際空港、金海空港、釜山港で受け取り可能。今後、受け取り場所は拡充される予定だ。
なお、カード残高は韓国ウォン現金として引き出すことができるが、有効期限(6年間)内であれば継続して利用することもできるので、韓国をよく訪れる人にとっても便利なサービスとなっている。
海外キャッシングの活用と注意点
クレジットカードの海外キャッシング機能を事前に設定しておけば、海外旅行先で現金が必要なとき、対応しているATMで現地通貨を借りることができる。
多くのクレジットカードのキャッシング利率は年18%に設定されている。これを1日あたりで割ると0.049%となり、1万円をキャッシングした場合には1日あたり4.9円の利息がかかる。
借入から支払いまでの期間が長くなると利息分の金額も大きくなるため、翌月の支払い日を待たずに繰り上げ返済するのがおすすめだ。
繰り上げ返済は、カード会社に連絡して指定の振込口座に振り込むという方法が多い。また、専用ATMが繰り上げ返済に対応しているエポスカードなど、より手軽に支払えるカード会社もある。
注意したいのは、オリコカードや楽天カードのように、海外キャッシングの返済方法がリボ払いのみとなっている場合だ。
海外キャッシングで利用した金額よりリボ払いの返済金額の設定が低い場合、翌月に支払い金額が残り、その分利息が発生してしまう。
それを防ぐためには、リボ払い時の返済金額を海外キャッシングの利用可能額と同じに金額に設定しておくと良い。この状態であれば、海外キャッシング利用金額を一括で支払うこととなるので、翌月以降に支払いが持ち越されることがない。
海外キャッシングを利用する場合は、必ず事前に返済方法を確認しよう。
海外でクレジットカードを使用する際の注意点
カード利用時に明細書・領収書をしっかり確認する
明細書にサインをするとき、領収書をもらったとき、その都度気になることは確認して、トラブルを未然に防ぐ心構えを持っておこう。
日本国内で普段カードを利用するときは、明細を少し見ただけでサインするという人は少なくない。
しかし海外では、たとえ悪意はなくとも言葉の行き違いや受け取り間違いによって会計に誤りが出ることも考えられる。
海外でクレジットカードを使用する際は、いつもより意識して明細書や領収書の確認を行うようにしよう。
カード会社の緊急連絡先を控えておく
万が一の紛失や盗難に備えてクレジットカード会社の緊急連絡先をメモしておこう。
ただし、スマホへの登録やウェブページのブックマークだけでは、スマホとカードと一緒に紛失したり盗まれたりしたときに対応できない。
アナログな方法ではあるが紙にも連絡先を記し、スマホやカードと別に持って置くなど、さまざまな緊急時に備えておこう。
おすすめのクレジットカード
三井住友カード(NL)
日本最初のVisaカードとして有名な「三井住友カード」も、海外旅行では欠かせない。
三井住友カード(NL)では、旅行安心プラン(海外旅行傷害保険)として、海外旅行傷害保険が最大2000万円付帯している。
傷害死亡・後遺障害 | 2,000万円 |
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傷害・疾病治療費用 | 50万円 |
賠償責任 | 2,000万円 |
携行品損害 (免責3,000円) | 15万円 |
救援者費用 | 100万円 |
保険の適用は、事前に旅費などを当該カードで決済することが必要になる。
特に、3か月以上のアメリカ長期留学者におすすめなのが、三井住友カード(NL)の海外旅行傷害保険(利用付帯)の裏技だ。
三井住友カードの海外旅行傷害保険(利用付帯)の適用開始日は、「海外で交通費を支払った時点」から適用される。保険適用の条件としても、以下が紹介されている。
日本出国後に航空機、電車、船舶、タクシー、バスといった乗客として搭乗する公共交通乗用具(※1)の利用代金を特定クレジットカードで決済した場合。
引用:旅行安心プラン(海外旅行傷害保険)
他のカードで90日間の海外旅行傷害保険を利用し、それが切れるタイミングで三井住友カード(NL)を使用し、現地交通費を支払えばさらに90日間の保険適用を受けられる。
合計で180日程度の有効期間があるので、半年程度の留学ならば十分に対応可能だ。
さらに三井住友カード(NL)のNLはナンバーレスの略。カード券面にカード番号が印字されていないので、番号を盗みみられることがなく安心できる。 最新のVisaタッチ決済にも対応しており、海外でも安全かつスピーディーに支払いできるのが魅力だ。
三井住友カード(NL)
Vポイントが貯まる!ナンバーレス、タッチ決済対応の三井住友カード
対象のコンビニ・飲食店でのスマホのVisaのタッチ決済・Mastercard®タッチ決済でポイント最大7%還元*
*最大7%内訳(通常ポイント0.5%+スマホのタッチ決済利用6.5%)
*商業施設内の店舗など、一部ポイント加算の対象とならない店舗があります。
*iD、カードの差し込み、磁気取引は対象外です。
*一定金額(原則1万円)を超えると、タッチ決済でなく、決済端末にカードを挿しお支払いただく場合がございます。その場合のお支払い分は、タッチ決済分のポイント還元の対象となりませんので、ご了承ください。上記、タッチ決済とならない金額の上限は、ご利用される店舗によって異なる場合がございます。
*ポイント還元率は利用金額に対する獲得ポイントを示したもので、ポイントの交換方法によっては、1ポイント1円相当にならない場合があります。
*Google Pay™ で、Mastercard®タッチ決済はご利用いただけません。ポイント還元は受けられませんので、ご注意ください。
年会費 | 永年無料 |
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還元率 | 0.5~7% |
旅行傷害保険 | 海外:2000万円(利用付帯) |
楽天カード
年会費無料の楽天カードは、基本のポイント還元率が1%と高還元カードとなっている。
また、国際ブランドはVISA/Mastercard/JCBから選択可能なので、海外旅行に向けて作る人はVISAかMastercardを選ぶと良いだろう。
海外旅行保険は最高2,000万円が利用付帯する。
海外旅行中の病気やケガの治療費の他、賠償責任、携行品損害も補償される、カードを所有している本人以外に、家族カードを所有している同伴者にも適用される。
万が一カードを紛失・盗難してしまった場合は、24時間受付の専用ダイヤルが設けられている。
また、渡航中のみ利用可能な再発行カードを現地で手配する緊急カードサービスもある。
普段使いでも、海外旅行のお供にもおすすめできるコストパフォーマンスが非常に優れたカードだ。
エポスカード
エポスカードは年会費無料のクレジットカード。最短即日発行に対応しており、急な海外出張などが入った際に心強い。
国際ブランドがVISAなので、韓国に限らず世界中で利用安心して利用できる。
最高3,000万円補償の海外旅行傷害保険が付帯(利用付帯)しており、旅行中の怪我や病気、持ち物の破損、盗難に対応してくれるため、海外旅行に向けてぜひ作っておきたいカードだ。
また、ショッピング利用枠を一時的に増額できるので、旅行費用の支払いや現地で大きな買い物を予定している場合にも使いやすい。
海外キャッシングの支払いはPay-easy(ペイジー)、コンビニATMからリボ増額払いができる。