旅行先や留学先としても人気のイギリス。そんなイギリスは、日本よりもキャッシュレス決済の利用が進んでいる国だ。
一般社団法人キャッシュレス推進協議会の「キャッシュレス・ロードマップ 2022」の「世界主要国におけるキャッシュレス決済比率(2020年)」によると、日本のキャッシュレス決済比率が29.8%であるのに対し、イギリスのキャッシュレス決済比率は63.9%。
また、UK Financeの「UK PAYMENT MARKETS SUMMARY 2022」によると、イギリスでもっとも利用されているキャッシュレス決済はデビットカードだ。また、コロナ禍において非接触型決済の利用が進んだ。
デビットカードと同様にクレジットカード決済にも多くの店が対応している。日本からイギリスへ行くときは、海外にも加盟店の多いVisaかMastercardのクレジットカードを持っていくと良いだろう。非接触型決済に対応したカードであればより便利だ。
本記事では、そんなイギリスのクレジットカード事情と、イギリスでクレジットカードを使用する上での注意点をわかりやすくまとめている。また、特に留学する学生におすすめのカードも紹介する。
目次
イギリスではカード払いが主流
前述の通り、イギリスではキャッシュレス決済が普及している。
そのなかでもカード決済の利用率は高く、UK Financeの「UK PAYMENT MARKETS SUMMARY 2022」によると、2021年のイギリスにおける支払いの57%がカードを使って行われている。
デビットカードの利用率が高い
イギリスではクレジットカードよりもデビットカードの利用が主流で、UK Financeの「UK PAYMENT MARKETS SUMMARY 2022」によると、デビットカード払いは2021年のイギリスにおける支払いの48%を占めている。
カードが利用できる店舗には対応している国際ブランドのロゴが提示されている。国際ブランド付きのデビットカードが利用できる店舗では、同じく国際ブランド付きのクレジットカードも利用できるので、クレジットカードが利用できる店舗も多い。
利用できる国際ブランド
イギリスに限らないが、一般的に海外でクレジットカードを使いたいときはVisaかMastercardを持っておくと良いといわれる。これは、国際ブランドのなかで、特にVisaとMastercardが世界での加盟店数が多いためだ。
Mastercard公式サイトでは、「グルーバル決済ネットワーク別加盟店数」(2022年9月30日付 @2022 Nilson Report)について、以下のように掲載されている。
【グルーバル決済ネットワーク別加盟店数】
2022年9月30日付(百万)
Visa | 100 |
Mastercard | 100 |
American Express | 80 |
Discover | 71 |
UnionPay | 69 |
Diners Club | 51 |
JCB | 41 |
引用:https://www.mastercard.co.jp/ja-jp/personal/features-benefits/acceptance.html
イギリスによく行く人やイギリス在住者の話なども参考にすると、ロンドンであればAmerican Expressも比較的使える店舗が多いようだ。
非接触型カードの利用が増えている
イギリスでは、コロナ禍を経て、衛生面での利点もある非接触型決済の利用が増えている。非接触型決済は、カードやスマホなどを決済端末にかざすだけで支払いが完了する方法。
国際ブランド付きのクレジットカード・デビットカードでは、各国際ブランドがそれぞれ非接触型決済のサービスを提供しており、対応カードには非接触型決済のマークが記載されている。
UK Financeの「UK PAYMENT MARKETS SUMMARY 2022」によると、非接触型カードで行われた支払いの割合は、2018年には19%だったが、2021年には32%にまで伸びている。
非接触型カードは、利用金額の上限はあるものの、サイン不要・暗証番号の入力不要で支払いができるので、会計がとてもスムーズだ。
また、カードをGoogle PayまたはApple Payに登録することで、カード不要でモバイル端末のみで非接触型決済を行うこともできる。
決済時にカードを取り出す必要がないため、利便性だけでなく、カード情報の盗み見や盗難を防ぐセキュリティ面のメリットもある。イギリスでは、若い世代ほどモバイル決済の利用率が高くなっている。
イギリスならではのサービスや習慣
ロンドンの交通ICカード「オイスターカード」
ロンドンで公共交通機関を利用する際に便利なのが、ロンドンの地下鉄・バス、ロンドン近郊の鉄道で利用できる交通ICカード「オイスターカード(Oyster)」だ。
駅や空港の発券機などで購入でき、Suicaなどの日本の交通ICカードと同様に、事前チャージして利用する。
通常運賃からの割引があり、1日のうち一定金額以上を利用するとそれ以上は料金がかからず乗り放題になるなど、お得なサービスだ。
カード・モバイルの非接触型決済も使える
オイスターカードは便利なサービスだが、実はロンドンの公共交通機関では、クレジットカードの国際ブランド各社が提供する非接触型決済や、Google Pay・Apple Payの非接触型決済も利用できる。
割引や乗り放題なども同様に適用されるので、対応するカードを持っている場合は、わざわざオイスターカードを購入する必要はないかもしれない。
ただし、盗難防止などの点でクレジットカードやモバイルを何度も取り出すことを避けたい場合は、オイスターカード利用入したほうが安心だろう。
チップもカードで支払える
アメリカほどではないが、イギリスでもチップを支払う場面がある。
たとえば、ホテルで荷物を運んでもらったときや、テーブルサービスのあるレストラン、タクシーなどではチップを支払うことが多いようだ。一方、ホテルのベッドメイクやカフェやファーストフードなどカジュアルな飲食店ではチップを支払う必要はない。
レストランのチップは、クレジットカードで支払うこともできる。
レストランでは、請求書が来た際、サービス料としてチップの代金が含まれている場合と、自分でチップの額を記入する場合とがある。後者の場合、記入したチップの額を含んだ代金がクレジットカードで決済される。
カードの利用に関する注意点
イギリスに限らないが、海外でクレジットカードを利用する場合、特に次の点に注意しよう。
カード情報・暗証番号を見られないようにする
非接触型決済ではなく決済端末にカードを挿入して決済を行う場合、決済時に暗証番号の入力を求められることになる。
これは日本でも同様だが、暗証番号を入力する際は周囲の人を確認する、手で隠すなど、他人に番号を盗み見られることのないよう注意しよう。
また、カード情報も盗み見られることのないよう、取り扱いに注意しよう。カード券面にカード情報が記載されていないナンバーレスカードであれば、この点の安心感がある。
カード利用時は目を離さない
イギリス、特にロンドンでは、残念ながら観光客を狙った窃盗や詐欺が多く起こっている。
クレジットカードでのショッピングにしろ、キャッシングにしろ、カード利用時にはカードから目を離さないことが重要だ。
警官を装ってカード提示を求めてくるケースもあるようだが、本物の警察官がパスポート以外の提示を求めることはない。
カードの提示を求められたら詐欺の可能性が高いため、うかつに出さないように気をつけよう。
少額の現金も持っていたほうが安心
ほとんどの場所でクレジットカードを使えるイギリスだが、例外的にクレジットカードが使えないケースも稀にある。
たとえば、露店での買い物や手渡しするチップ、公衆トイレやタクシーなど。
そういった場合に備えて、念のため少額の現金をこまかく持っておくとより安心だ。
なお、額面の大きい紙幣は流通が少なく、偽札と疑われて支払いを拒否されることがあるので注意しよう。
支払い前に金額と支払通貨を確認する
クレジットカードでの支払前に、支払通貨と金額を確認する習慣をつけよう。
支払通貨は、円払いだと店舗独自の交換両替手数料などが加算されることがあり、その場合はポンド払いを選んだ方が良い。
また、支払い金額に誤りがないかどうかを確認しておくことも、トラブルを防ぐために大切だ。
現金が必要な時はキャッシングも便利
イギリスで現金が必要な場合、両替よりもキャッシングの方が得になることが多い。
出国前に、手持ちのクレジットカードのキャッシング対応可否と、ショッピング利用額と合わせたキャッシング限度額を確認しておこう。必要であれば、限度額は一時的に引き上げることもできる。
キャッシングは、PLUSマークのついているATMで可能だ。ATMは国際空港やショッピングセンター、地下鉄駅など多くの場所に設置されている。
銀行のATMは24時間利用が可能で便利。キャッシングにもショッピングと同様、暗証番号が必要となる。
キャッシングには利息が発生するため、帰国後はすぐに一括返済することも忘れずに。
学生の留学におすすめのクレジットカード
イギリスは旅行先としてだけでなく、留学先としても人気が高い国だ。
ここからはイギリスに留学する学生におすすめのカードを紹介する。選定にあたっては以下の点を基準とした。
- 国際ブランドがVisaまたはMastercard
- タッチ決済・コンタクトレス決済に対応
- 券面にカード情報の記載がないナンバーレスカード
- 年会費無料
- 海外旅行傷害保険が付帯
イギリスへの旅行・留学に備えてクレジットカードを作ろうと思うが、どのカードを選べばいいのかわからないという人は、ぜひ参考にしてほしい。また、留学などで1年以上イギリスに滞在する場合は、イギリスに口座を作っておくと便利だ。
三井住友カード(NL)
三井住友カードが発行するカードは、日本においてVisaのプロパーカード的立ち位置にあり、非常に信頼性の高いカード会社だ。
そのなかで、三井住友カード(NL)は、年会費永年無料で気軽に申し込めるカードでありながら、基本のカードとして十分なスペックを備えており、安心して長く使うことができる。
旅費などをこのカードで支払うという利用付帯ではあるが、海外旅行傷害保険が最高2,000万円付帯する点もおすすめする理由の一つだ。
また、日常のなかでポイントアップの機会が多く、日本国内でも積極的に使っていきたいコスパの良いカードだ。
通常は、利用金額200円(税込)ごとにVポイントが1ポイント貯まり、還元率0.5%だが、対象のコンビニ・飲食店でのスマホのVisaのタッチ決済・Mastercard®タッチ決済でポイント最大7%還元*となる。
*最大7%内訳(通常ポイント0.5%+スマホのタッチ決済利用6.5%)
*商業施設内の店舗など、一部ポイント加算の対象とならない店舗があります。
*iD、カードの差し込み、磁気取引は対象外です。
*一定金額(原則1万円)を超えると、タッチ決済でなく、決済端末にカードを挿しお支払いただく場合がございます。その場合のお支払い分は、タッチ決済分のポイント還元の対象となりませんので、ご了承ください。上記、タッチ決済とならない金額の上限は、ご利用される店舗によって異なる場合がございます。
*ポイント還元率は利用金額に対する獲得ポイントを示したもので、ポイントの交換方法によっては、1ポイント1円相当にならない場合があります。
*Google Pay™ で、Mastercard®タッチ決済はご利用いただけません。ポイント還元は受けられませんので、ご注意ください。
三井住友カード(NL)
Vポイントが貯まる!ナンバーレス、タッチ決済対応の三井住友カード
対象のコンビニ・飲食店でのスマホのVisaのタッチ決済・Mastercard®タッチ決済でポイント最大7%還元*
*最大7%内訳(通常ポイント0.5%+スマホのタッチ決済利用6.5%)
*商業施設内の店舗など、一部ポイント加算の対象とならない店舗があります。
*iD、カードの差し込み、磁気取引は対象外です。
*一定金額(原則1万円)を超えると、タッチ決済でなく、決済端末にカードを挿しお支払いただく場合がございます。その場合のお支払い分は、タッチ決済分のポイント還元の対象となりませんので、ご了承ください。上記、タッチ決済とならない金額の上限は、ご利用される店舗によって異なる場合がございます。
*ポイント還元率は利用金額に対する獲得ポイントを示したもので、ポイントの交換方法によっては、1ポイント1円相当にならない場合があります。
*Google Pay™ で、Mastercard®タッチ決済はご利用いただけません。ポイント還元は受けられませんので、ご注意ください。
年会費 | 永年無料 |
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還元率 | 0.5~7% |
旅行傷害保険 | 海外:2000万円(利用付帯) |
エポスカード
エポスカードはマルイでの買い物がお得になる印象が強いカードだが、マルイを利用しない人にもおすすめできる優秀なカードだ。
マルイ対象店舗での即日発行に対応しているため、対象店舗まで受け取りに行けるなら、申し込んだその日にカードを受け取ることも可能。
留学に向けて急いでクレジットカードを作りたいという人にとって、嬉しいサービスといえる。
また、最高3,000万円補償の海外旅行傷害保険が付帯(利用付帯)しており、旅行代金(ツアー料金や交通費等、移動に関する代金)をカードで支払うことで適用される。
マルイ以外にも、国内のカラオケ、居酒屋、映画館など10,000店舗以上で優待を受けられるため、帰国後もお得なカードとして使い続けられるはずだ。
エポスカード
年会費 | 無料 |
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還元率 | 0.5% |
旅行保険 | 海外:最高3,000万円(利用付帯) |
電子マネー | 楽天Edy、モバイルSuica ※チャージによるポイント付与のみ |
国際ブランド |
なお、学生におすすめのクレジットカードについては以下の記事も参考になるはずだ。