国際ブランドのJCBとNTTコミュニケーションズ(以下NTTコム)による新サービス「JCB Mobile Wallet(仮称)」の実証実験が2020年10月にスタートした。
「JCB Mobile Wallet」は世界初となる貨為替レート保証付きモバイルウォレットなっている。実験期間は10月〜11月で、JCBとNTTコム関係者を対象に実施される。
「JCB Mobile Wallet」の3つの特徴
「JCB Mobile Wallet」では、プリペイド式のバーチャルカードをすぐに発行できる。国際ブランドはJCBなので利便性が高い。
このサービスを特徴づける点としては、大き次の3つがある。
Multi Currency
「JCB Mobile Wallet」は22の通貨への両替機能を搭載している。
両替は24時間いつでもでき、「期間保証」と「リアルタイム」の2種類のレートを選択できる。
「期間保証」を選択した場合、手元に残った外貨を以前の為替レートで自国通貨へと両替可能。
在留外国人やビジネスマンにとって非常に利便性の高いサービス内容になっている。
Multi Account
「JCB Mobile Wallet」は複数のアカウントでの利用に対応している。
これにより、例えば留学中の学生が利用する場合、家族が子供のサブアカウントにお金をチャージすることが可能。
また、法人アカウントでもマルチアカウントの利用が可能で、海外出張している社員の残高を管理することができる。
Multi Service
「JCB Mobile Wallet」では、為替レートやマルチアカウントなど決済に関する機能以外にもさまざまな機能を用意している。
タクシーの配車やレストランの予約など、シームレスな体験が可能な環境を計画中だ。
「JCB Mobile Wallet」の今後の展開
「JCB Mobile Wallet」は今後、各国の決済環境に応じたサポート体制の強化を予定している。
NFCなどのタッチ決済、QRコード決済などを対象に、「Wallet Exchange®」を活用しながら利用シーンを拡大していくとのこと。
「Wallet Exchange®」との連携が実現すれば、自国の電子マネーで現地の電子マネーにチャージすることが可能になる。
セキュリティ対策にも注力しながら、今回の実証実験の結果をもとに、2021年中に日本およびアジア圏での商用化を目指してサービス開発が進められている。
「JCB Mobile Wallet」と他社サービスの違い
Kyashと比較
「JCB Mobile Wallet」と同じようにプリペイド式のバーチャルカード機能を持っているサービスが「Kyash」だ。
ただし、Kyashのバーチャルカード機能で対応できるのはオンライン決済のみで、リアル店舗での決済には別途リアルカードの発行が必要。
また、「JCB Mobile Wallet」の国際ブランドがJCBであるのに対し、Kyashの国際ブランドはVISAで、ユーザーのライフスタイルによりどちらの利便性が高いかが分かれる。
マルチカレンシープリペイドカードと比較
「JCB Mobile Wallet」と同じように外貨両替に利用できるプリペイドカードが「キャッシュパスポート」だ。
キャッシュパスポートは、海外旅行・出張などでニーズのある7通貨に入金でき、複数の通貨をまとめて管理できる。国際ブランドはMastercardだ。
便利なサービスではあるが、対応通貨の数や各種キャッシュレス決済との親和性、わりかん機能など利便性を考慮すると「JCB Mobile Wallet」に軍配が上がる。
Revolutと比較
「JCB Mobile Wallet」と同じように海外送金が可能なサービスとして「Revolut(レボリュート)」がある。
rebolutは、27種類の通貨を銀行間為替レートで海外送金できる。送金時の手数料は無料で、シンプルな海外送金を希望する人におすすめだ。
海外送金だけに特化するならば、「JCB Mobile Wallet」よりも使い勝手が良いかもしれない。