クレジットカードについて調べていると、「国際ブランド」「カード発行会社」「提携会社」「加盟店」といった言葉を目にすることが多いはずだ。
これらの言葉は、クレジットカードの仕組みを理解する上で欠かせない。
仕組みを理解していなくてもクレジットカードを使うことはできるが、知識があったほうがより自分に合ったクレジットカードを選び、使うことができるのではないだろうか。
本記事では、クレジットカードに関してよく目にする上記の言葉について、それぞれの意味や仕組みを解説していく。
国際ブランドは、7大ブランドと呼ばれる7つがあり、特に5大ブランドと呼ばれるVISA/Mater Card/American Express/JCB/Dinners Clubはなじみのあるものだ。
簡単に説明すると、これらの国際ブランドはクレジットカードの決済機能を提供している。
そして、国際ブランドと契約を結んでカードを発行しているのがカード発行会社、カード発行会社と契約して自社のカードを発行しているのが提携会社となる。
この中で、カード発行会社もしくは国際ブランドが直接発行しているカードが、プロパーカードと呼ばれる。
また、国際ブランドと契約している加盟店で、その国際ブランドのカードを使うことができる。
以上のような仕組みについて、記事中でさらに詳しく解説する。
他にも知っておきたい言葉なども紹介するので、ぜひチェックしてほしい。
国際ブランド/カード発行会社/提携会社の違い
国際ブランドとは
クレジットカードで支払いをすることができるのは、その店舗が国際ブランドの加盟店になっているからである。
国際ブランドは「クレジットカードで支払うをすることができる機能(=決済機能)」を世界的に提供しているのだ。
国際ブランドには以下の7つがあり、7大ブランドと呼ばれる。
7つのうち、特に世界的に普及しているVISA/Mater Card/American Express/JCB/Dinners Clubを5大ブランドと言う。
・VISA(ビザ)
・Master Card(マスターカード)
・American Express(アメリカンエキスプレス)
・JCB(ジェーシービー)
・Dinners Club(ダイナースクラブ)
・Discover(ディスカバー)
・銀聯(ギンレン)
7大ブランドのうちVISA、Master Card、American Express、Diners Club、Discoverの5つは米国ブランドである。
JCBは唯一の日本ブランドで、銀聯は中国ブランドだ。
カード発行会社
カード発行会社は「イシュア(=Issuer)」とも呼ばれ、文字通り実際にクレジットカードを発行している会社のことだ。
そして、カード発行会社は国際ブランドとライセンス契約を結び、そのブランドのクレジットカードを発行する。
例外はあるものの、国際ブランドはあくまで決済機能を提供しており、実際のカード発行はカード発行会社が行っているのだ。
日本のカード発行会社には以下のような代表的な会社がある。
- 三菱UFJニコス株式会社
- 三井住友カード株式会社
- 株式会社ジェーシービー
- 株式会社オリエントコーポレーション
- 株式会社クレディセゾン
- 株式会社セディナ
株式会社ジェーシービーは国際ブランドで紹介した「JCB」ブランドのカード発行会社である。
また、オリエントコーポレーションは「オリコ」の名称で広く知られており、みずほ銀行系列のカード発行会社だ。
例えば、以下のカードを見てみよう。
・Orico Card THE POINT(オリコカード ザ ポイント)
このカードの国際ブランドとカード発行会社は、それぞれ以下となる。
- 国際ブランド:Master Card
- カード発行会社:株式会社オリエントコーポレーション
提携会社
提携会社とはカード発行会社を通して、自社のクレジットカードを発行している会社のことだ。
また、提携会社が関係しているクレジットカードを「提携カード」と呼ぶ。
そもそも、クレジットカードの発行は、国際ブランドとライセンス契約を結んでいるカード発行会社以外には行うことができない仕組みになっている。
しかし、自社のサービスに特化したクレジットカードを発行したいと考える企業も多く、その場合にカード発行会社と提携することでクレジットカードの発行を可能にするのだ。
提携先の企業としては以下が代表的だ。
- コンビニ(ファミリーマート、セブンイレブン など)
- ショッピングセンター(イオン、パルコ など)
- 家電量販店(ヤマダ電機、ビックカメラ など)
- 航空系会社(ANA、JAL など)
- 石油系会社(ENEOS、出光 など)
例えば、以下のカードを見てみよう。
・出光カード
このカードの国際ブランド、カード発行会社、提携会社は、それぞれ以下となる。
- 国際ブランド:JCB
- カード発行会社:株式会社クレディセゾン
- 提携会社:出光興産株式会社
プロパーカードとは
プロパーカードとは国際ブランドが直接発行しているクレジットカードのことだ。
ある意味、例外的なクレジットカードと言える。
プロパーカードを発行しているのは以下の3ブランドのみ。
・American Express
・Diners Club
・JCB
VISA、Master Card、Discover、銀聯は決済機能のみを提供しており、現在のところクレジットカードの発行は行っていない。
広義のプロパーカード
最近の日本ではカード発行会社が発行しているクレジットカードもプロパーカードと呼ぶことがある。
つまり、提携カードの反対の意味としてプロパーカードという言葉を使うことがあるのだ。
例えば、以下のようなカードだ。
・三井住友カード(NL)(国際ブランド:Visa、Mastercard 発行:三井住友カード株式会社)
・三菱UFJカード VIASOカード(国際ブランド:Mastercard、発行:三菱UFJニコス株式会社)
これらのカードは提携会社ではなくカード発行会社が直接発行しているカードのため、カード発行会社のプロパーカードということになる。
クレジットカードの関連サイトや雑誌ではこの表現がよく使われるため、どちらの意味で使用しているのかを見極める必要がある。
加盟店と加盟店管理会社
加盟店とは
加盟店とは国際ブランドと加盟店契約を結んでいる店舗のことだ。
加盟店契約を結んでいる場合は、そのブランドロゴが店舗のどこかに表示されているはずだ。
例えば、店舗でVISAとJCBのロゴが表示されていたら、VISAブランドとJCBブランドのカードが利用できるということになる。
加盟店管理会社とは
加盟店管理会社は「アクワイアラ(=Acquirer)」とも呼ばれ、国際ブランドと契約を結び、加盟店管理と加盟店開拓を行う会社のことである。
日本ではカード発行会社と加盟店管理会社が同一のことが多く、海外では分かれていることが多い。
ちなみに、海外における加盟店管理会社は、そのほとんどが銀行である。
さらに、唯一の日本発の国際ブランドであるJCBは、国際ブランド、カード発行会社、加盟店管理会社の側面をすべてあわせ持っているという、とても特徴的なブランドだ。
その他の関連会社
これまで紹介してきたクレジットカードに関連する主要な会社の他に、以下のような会社も存在する。
- 決済代行会社:加盟店管理会社と加盟店の間に入り、加盟店契約を仲介する会社
- 債権管理回収会社:カード発行会社が回収できなかった債権を買取や委託によって代理で回収する会社
あまり聞きなれない言葉かもしれないが、クレジットカードの仕組みを影で支えている会社があることもぜひ知っておいてほしい。
仕組みが分かると安心
今回紹介したようなクレジットカードに関する仕組みを知らなくても、クレジットカードを使うことはできる。
しかし、こういった知識があるほうが、カードを選ぶ際に視野が広がり、自分により適したカードを選びやすくなる。
知識がないと、カードの説明や関連メディアの情報を見ても分からない部分が多いはずだ。
どの国際ブランドを選ぶかで加盟店の数は変わるし、カード会社や提携会社によって、カードの特徴や機能が異なる。
ステータス性という点でも、どの国際ブランド、カード会社、提携会社を選ぶかは重要だ。
また、仕組みを分からずに使っているよりも、仕組みを理解して使った方が安心してカードを使えるのではないだろうか。
ぜひ、今回紹介した知識を活かしてほしい。