スマートバンクがオリコとの事業提携で「ワンバンク請求書カード払い」を提供開始した。銀行振込しか使えない請求書をクレジットカードで支払えるようにする、法人・個人事業主向けのサービスだ。

銀行振込しか使えない請求書をクレジットカードで支払える
株式会社スマートバンクは、株式会社オリエントコーポレーション(オリコ)との事業提携のもと、オリコのカード決済基盤を活用した「ワンバンク請求書カード払い」を2026年9月7日より提供開始した。銀行振込を指定された請求書の支払いを、手持ちのクレジットカードで肩代わりして決済できるサービスである。
仕組みはこうだ。ユーザーが請求書の情報を登録してクレジットカードで決済すると、スマートバンクが取引先の銀行口座へユーザー名義で振り込む。取引先から見れば通常の銀行振込が届くだけで、カード払いを使ったことは知られない。ユーザーは実際の支払いをカードの締め日・引き落とし日まで繰り延べられるうえ、振込額に対してカードのポイントも貯まる。銀行振込しか受け付けない請求書の支払いを、実質的にクレジットカード払いに置き換えられる点が最大の特徴だ。
対応する国際ブランドはVisaとMastercardで、デビットカード・プリペイドカードも利用できる。決済時には3Dセキュア2.0による本人認証がかかる。申し込みから振込までオンラインで完結し、既存の「ワンバンク請求書買取」の利用者は同じアカウントでそのまま使える。
手数料は9月30日までの申込なら何回でも1.9%
利用時にかかるのは、振込金額に対する代行手数料のみである。月会費・登録料・追加費用はかからない。手数料率は申し込み時期によって変わるため、正確に把握しておきたい。
| 申込時期 | 手数料(税別) |
| 2026年9月30日まで(キャンペーン中) | 何回でも1.9%(税込2.09%) |
| 2026年10月1日以降・初回 | 1.9% |
| 2026年10月1日以降・2回目以降 | 3% |
提供開始を記念したキャンペーンとして、2026年9月7日0:00から9月30日23:59までに申し込みが完了した請求書カード払いは、回数にかかわらず手数料が振込金額の1.9%(税別・税込2.09%)となる。エントリーは不要で、期間中は初回も2回目以降も同じ料率が自動適用される。
一方、キャンペーン終了後の10月1日以降に申し込む場合は、はじめての利用が1.9%(税別)、2回目以降は3%(税別)となる。継続的に使うつもりであれば、キャンペーン期間中に申し込む方が手数料負担は軽い。なお同社は手数料1.9%を業界最低水準としているが、これは2026年8月時点の同社調べ(主要な請求書カード払いサービスの公開手数料率との比較)による位置づけであり、他社の料率は変動しうる。
利用は1回3万円から、対象は事業上の支払いに限られる
利用できるのは1回の申し込みにつき3万円からで、少額の支払いには向かない。対象は法人・個人事業主・副業で事業を営む人の「事業上の支払い」に限られ、一般的な個人の生活費決済に使うサービスではない点に注意したい。申し込み時には審査がある。
振込のタイミングは、15時までに申し込むと最短翌営業日から7営業日後までの範囲で振込日を指定できる。売上の入金予定に合わせて振込日を後ろにずらすといった資金繰りの調整もしやすい。
このサービスが応えようとしているのは、事業者の「支払いが先、入金が後」という資金繰りの構造的な悩みだ。個人事業主やフリーランスが外注先へ支払う際の振込先は銀行口座が大半で、売上の入金を待つ間に支払い期日が先に来ると手元資金が圧迫される。全国銀行協会は2027年3月末までに紙の手形・小切手の廃止を進めており、事業上の支払いが銀行振込へ集約される流れも背景にある。スマートバンクは売掛金の「入り」を支援する「ワンバンク請求書買取」を提供してきたが、今回は「出(支払い)」側の課題に応える形だ。
外注費の先行支払いや月末の仕入れ代金を想定
同社が想定する利用シーンは、いずれも支払いのタイミングを後ろへずらしたい場面だ。
- 外注費の先行支払い。受注は決まっているが、外注先への支払いが売上入金より先に来るケース(エンジニア・映像制作など)
- 仕入れ・材料費。月末に集中する振込をカードの支払いサイクルに合わせて調整するケース(物販など)
- 広告費・サーバー代・ツール利用料。銀行振込指定の請求書を、カードのポイントを貯めながら支払うケース
いずれも、支払いを繰り延べて手元資金に余裕を持たせつつ、これまでポイントが付かなかった銀行振込分にも還元を効かせられる点がメリットになる。
手数料とカード還元・資金繰りメリットを天秤にかける
便利な一方で、あくまで手数料を払って支払いを繰り延べるサービスである点は押さえておきたい。カードのポイント還元率が手数料を下回る場合、ポイント目的だけで使うと手数料分がそのまま持ち出しになる。たとえば還元率1%のカードで3%(税別)の手数料を払えば、差し引きでは負担が上回る計算だ。
したがって、判断の軸になるのは「還元率と手数料の差」よりも、支払いを先送りして手元資金を確保できることの価値である。売上入金までのつなぎとして資金繰りに効くか、ポイント還元と合わせて手数料に見合うかを、案件ごとに見極めたい。キャンペーン中の1.9%(税別)であれば手数料負担は比較的抑えられるが、10月以降に2回目以降の3%(税別)で使い続ける場合は、負担が重くなる点も踏まえて検討する必要がある。
どんな人向きか
このサービスが向くのは、銀行振込指定の請求書が多く、売上入金より先に支払い期日が来る資金繰りに悩む法人・個人事業主・副業事業者だ。とくに外注費や仕入れ代金といった事業上の支払いを、カードの締め日まで繰り延べたい人に選択肢となる。
逆に、支払額が1回3万円に満たない場合や、事業ではなく個人の生活費を対象にしたい場合は対象外となる。継続的に利用するなら、手数料が何回でも1.9%(税別)で済むキャンペーン期間中の申し込みが有利だ。まずは手元の請求書について、手数料と資金繰り・ポイント還元のメリットが釣り合うかを確認したうえで使い始めるとよいだろう。















