ウォレットアプリ「Kyash」を提供する株式会社Kyashが、2020年8月27日、「資金決済に関する法律」に基づく資金移動業の登録を完了した。これに伴い、2020年9月7日(月)、Kyashにて一部サービス内容の変更を含むアップデートが実施される。
目次
アップデート概要
主なアップデートの内容は以下の通り。
- 本人確認を行っているユーザーは「本人確認アカウント」、行っていないユーザーは「本人確認未完了アカウント」に移行
- 本人確認アカウントは、銀行口座からKyashへの直接入金、Kyash残高から銀行口座への出金が可能となる。
- 不正補償制度の開始
- クレジットカードによる入金の残高が個人間送金不可に
本記事では、残高から銀行口座への出金にフォーカスし、他のキャッシュレス決済と比較しながらサービス内容を解説するので参考にしてほしい。
2つのアカウントへ移行
これまでアカウントの種類は一つだったが、アップデート移行は2つのアカウントに移行する。
銀行への入出金や、個人間送金など重要な機能は本人確認アカウントのみ可能となる。本人確認アカウントへ移行する方法は、Kyash Cardを有効化するか、銀行口座を連携する必要がある。
カード種類 | 銀行入出金 | 送金 | |
---|---|---|---|
本人確認アカウント | Kyash Card Kyash Card Lite Kyash Card Virtual | ◯ | ◯ |
本人未確認アカウント | Kyash Card Lite Kyash Card Virtual | ✕ | ✕ |
銀行への入手金が可能に
これまでもコンビニの他、セブン銀行、銀行ATM(ペイジー)からという一部の限られた方法であれば銀行チャージも可能だったが、アップデート後は、提携した銀行から直接入金が可能となる。
出金に関しては、全銀ネットを利用するほぼ全ての金融機関で可能になる。出金手数料は220円(税込)。
不正補償制度の開始
従来まで対応していなかった、不正利用時の補償に対応する。詳細は後日発表される。
クレジットカードによる入金の残高が個人間送金不可に
従来送金できる残高の種類に制限はなかったがアップデート後は、残高の種類によって、出金と送金が制限される。
このように、クレジットカード、デビットカード、Kyashポイント、他サービスの売上金やポイント、アカウント繰越時の残高は、出金や送金は不可となる。
クレジットカードチャージを利用した割り勘が不可に
実は多くのKyashファンの間ではこの部分の反響が大きい。以前は割り勘する場合、幹事に自分の分を支払う場合に、Kyashでクレジットカードチャージした残高を送金することで、幹事以外もクレジットカードを使った還元を受けられたのだが、その方法ができなくなる。
クレジットカードチャージによる出金や送金ができなくなった理由は、クレジットカードの現金化を防ぐためと考えられる。
Kyashポイントについて
KyashにはKyashポイントと呼ばれる制度が存在し、利用金額に応じたポイント還元がある。
- 2021年2月10日のポイント還元率の変更に基づいた情報を以下に掲載しています。
なお、Kyashには次の3種類のカードが存在しており、カードに種よってポイント還元率が異なる。
- Kyash Card:0.2%~1.0%
- Kyash Card Lite:0.2%~0.5%
- Kyash Card Virtual:0.2%~0.5%
ポイント還元率は、Kyash残高の種類によって変動する。Kyash残高は、チャージ方法によって決まる。
貯まったKyashポイントは1ポイント=1円として残高に入金することが可能だが、出金はできない。
Kyashポイントの使い道は広がるか?
Kyashポイントの使い道は、現時点では残高への充当のみ(2020年8月時点)。
Kyashには送金機能があり、2020年9月7日より出金も可能になるが、Kyashポイントは送金・出金とも不可となっている。他社ポイントとの交換もできない。
そのため、Kyashで出金が可能になってもKyashポイントの使い道が広がるわけではない。
ポイントを幅広く活用したいという人には物足りないかもしれないが、逆にシンプルで分かりやすいポイント制度を求めている人には向いているのではないだろうか。
Kyashの魅力やメリット
VISA加盟店で使える
スマホで手軽に決済や送金が行えるサービスが増えているが、そのなかでもKyashのメリットのひとつが、VISA加盟店で利用できる点だ。
VISA加盟店は非常に数が多く、Kyashを使える店もそれだけたくさんあるということになる。
年齢制限がない
Kyashの利用には年齢制限が設けられていない。
Kyash Card LiteとKyash Card Virtualの利用であれば、本人確認も不要だ。
また、コンビニやセブン銀行ATMから入金可能で、クレジットカードなしでも利用できる。
送金・出金には本人確認が必要になるが、決済利用のみであれば、高校生などクレジットカードを発行できない人にもおすすめできるキャッシュレス決済だ。
ポイント還元がある
前述の通りKyashにはポイント還元制度があり、Kyash Cardであれば利用金額に対して最大1.0%のKyashポイントが還元される。
ただし、Kyash残高へのチャージ方法によって還元率は変動する。最大1.0%となるのは、銀行口座/ペイジー、コンビニ/セブン銀行ATMでのチャージだ。
現金化できるスマホ決済との比較
スマホ決済のなかには、Kyashの他にも残高を出金できるサービスがある。ここでは、そういったサービスについて解説するので参考にしてほしい。
主要なスマホ決済のひとつ「楽天ペイ」は、以前は出金に対応していたが、現在は一時停止している(2021年10月時点)。
PayPayの場合
PayPay残高には以下の4種類があるが、現金として出金できるのはPayPayマネーのみ。
PayPayマネー:銀行口座、セブン銀行ATM、ヤフオク!・PayPayフリマ売上金を利用してチャージした残高
PayPayマネーライト:PayPayカード(旧ヤフーカード)、ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払いを利用してチャージした残高
PayPayポイント:特典やキャンペーン等の適用に伴い進呈された残高
PayPayボーナスライト:特典やキャンペーン等の適用に伴い進呈された残高
PayPayマネーライト・PayPayポイント・PayPayボーナスライトは対象外なので要注意だ。
出金手数料は、ジャパンネット銀行を利用する場合は無料だが、それ以外の金融機関を利用する場合は出金手数料100円が必要だ。
LINE Payの場合
LINE Pay残高は、登録している銀行口座またはセブン銀行ATMにて出金が可能。
いずれも220円(税込)の手数料が発生する。また、LINEポイントは出金不可なので覚えておこう。
d払い
d払い残高を出金可能。手数料は通常200円(税抜)/回だが、みずほ銀行のみ月1回目は100円(税抜)となる。
au PAY
以下の方法でチャージした残高に限り、auじぶん銀行口座があれば出金可能だ。
- auじぶん銀行
- ポイント
- auショップ
- コンビニ
手数料は、出金が2万円未満の場合は200円(税抜)/回、2万円以上の場合は払出額の1%(税抜)となる。
いざというときに出金できると安心
スマホ決済サービスは、基本的には出金せずに継続して利用し続けるほうが、手数料もかからずお得だ。
だが、そのサービスを使わなくなった、急いで現金がほしいといったときに、スマホ決済の残高を出金できると便利だ。また、お試しでスマホ決済を利用する場合は、出金できるほうが安心感があるだろう。
最終更新日:2022/04/06