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青切符の反則金がスマホで納付可能に、2027年7月からカード・QR決済に対応

警察庁が交通反則金のキャッシュレス納付に向けて、決済代行事業者の公募を開始した。2027年7月1日からはスマホで告知書のQRコードを読み取り、クレジットカードやQRコード決済などで反則金を支払えるようになる見込みだ。

交通反則金のキャッシュレス納付は2027年7月1日スタート

警察庁は2026年10月22日、「キャッシュレス決済等を利用した交通反則金の納付に係る決済代行等業務」の公募型プロポーザルを公示した。道路交通法に基づく交通反則金の納付方法を多様化するもので、国が進めるキャッシュレス社会の実現に向けた取り組みの一環と位置づけられている。

公示された仕様書によると、決済代行事業者が反則金の納付を受け付ける期間は2027年7月1日から2032年3月31日まで。対象は車両等の運転者による道路交通法違反の反則告知で、いわゆる「青切符」を切られたケースが該当する。

これまで反則金は、交付された納付書を持って金融機関や郵便局の窓口で支払うのが一般的だった。窓口の営業時間に合わせて出向く必要があり、平日の日中に時間を取りにくい人にとっては負担になっていた。キャッシュレス納付が始まれば、この「窓口に行く手間」がなくなる点が最大の変化となる。

なお、時事通信や毎日新聞などの報道によると、従来の金融機関・郵便局窓口での納付も引き続き利用できるとされている。

年間約387万件、約380億円が対象になる規模

仕様書には、反則告知件数と納付金額の実績も示されている。2025年の反則告知件数は約387万件、2025年度の納付金額は約380億円にのぼる。

年(年度) 反則告知件数 納付金額合計
2023年 4,313,563件 約405億円
2024年 4,044,246件 約391億円
2025年 3,868,607件 約380億円

※告知件数は暦年、納付金額は年度の数値(警察庁の仕様書より)

警察庁はこのうち約5割以上がキャッシュレス納付になると見込んでいる。2025年の件数で単純計算すると、年間190万件を超える規模の支払いが窓口からスマホに移ることになる。

告知書のQRコードを読み取ってスマホで支払う流れ

キャッシュレス納付では、都道府県警察が交付する交通反則告知書などに、専用の納付受付サイトにアクセスできる二次元コード(QRコード)が印刷される。納付の流れは次のとおりだ。

  • 告知書に印刷されたQRコードをスマートフォンなどで読み取る
  • 納付受付サイトが開き、告知書番号などが自動で入力される
  • 必要に応じて反則金の金額や確認番号などを入力し、支払手段を選んで決済する
  • 納付完了は画面表示とメールで通知される

告知書番号は自動入力され、納付者が書き換えることはできない仕組みだ。仕様書では二重納付や誤納付を防ぐ仕組みを設けることも求めており、番号の打ち間違いで他人の反則金を払ってしまうといったミスは起きにくい設計になっている。

受付は24時間365日(障害・メンテナンス時を除く)で、英語など他の言語への対応も求められている。納付受付サイトには警察庁のドメイン(npa.go.jp)のサブドメインが使われる予定のため、支払う際はURLが警察庁のものかを確認すると、偽サイトへの誘導を避ける目安になる。

クレジットカード5ブランドとコンビニ3社、QR決済に対応

仕様書が決済代行事業者に求めている支払手段は以下のとおり。

支払手段 対応内容(仕様書の要件)
クレジットカード VISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club
コンビニ支払 セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート
インターネットバンキング 対応
ペイジー 対応
二次元コード決済 PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAYの中から1種類以上

クレジットカードは主要5ブランドがそろうため、国内で発行されているカードの多くが使える見通しだ。

使えるQRコード決済は事業者の決定まで確定しない

注意したいのがQRコード決済の扱いだ。仕様書の要件は「PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAYの中から1種類以上」であり、4サービスすべてへの対応が約束されているわけではない。どのQRコード決済が使えるかは、選ばれた事業者の提案内容によって決まる。

普段使っているQRコード決済で払えるかどうかは、事業者の決定後に明らかになる。使えなかった場合でも、クレジットカードやコンビニ支払など他の手段は用意される。

支払いは一括払いのみ、分割・リボは使えない

仕様書では、支払方法は一括払いのみと定められている。クレジットカードで納付しても分割払いやリボ払いは選べないため、反則金をカードで先送りする使い方はできない。反則金の額が大きい違反ほど、引き落とし月の負担を見込んでおく必要がある。

手数料は1件固定・100円単位で反則金に上乗せ

キャッシュレス納付で最も気になるのが手数料だ。仕様書によると、払込手数料は納付者の負担で、決済代行事業者は納付者が支払う手数料で業務をまかなう。警察庁側の契約予定額は0円となっている。

手数料は反則金の金額に関わらず1件当たり固定の金額で、100円単位で設定され、反則金に加算して請求される。具体的な金額は事業者の提案によって決まるため、現時点では未定だ。報道では1件あたり数百円程度を見込むと伝えられている。

審査では、手数料に関する項目が企画点95点のうち40点を占め、そのうち30点は「安価な手数料が設定されている」ことへの加点となっている。手数料の安さが事業者選定の大きな判断材料になる設計だ。

ポイント還元より手数料のほうが大きくなりやすい

クレジットカードで払えばポイントが貯まると考える人もいるだろう。しかし数字で見ると、ポイント目的で選ぶメリットはほとんどない。

仕様書の別紙によると、2025年に最も多かった反則金額は7,000円で、告知件数は1,594,582件と全体の4割超を占める。次いで9,000円が658,357件、18,000円が362,746件、15,000円が359,557件、6,000円が328,047件と続く。

反則金額 2025年の告知件数 還元率1%の場合のポイント
6,000円 328,047件 60円相当
7,000円 1,594,582件 70円相当
9,000円 658,357件 90円相当
15,000円 359,557件 150円相当
18,000円 362,746件 180円相当
35,000円 27,172件 350円相当

※件数は警察庁の仕様書(別紙2)より。ポイントは還元率1%で単純計算したもの

最も多い7,000円の反則金を還元率1%のカードで払っても、得られるポイントは70円相当にとどまる。手数料は100円単位で設定されるため、仮に最低の100円だったとしても手数料のほうが上回る計算だ。報道どおり数百円程度になれば、その差はさらに広がる。カードによっては公金の支払いでポイント付与の対象外や還元率の引き下げがある可能性もある。

つまりキャッシュレス納付は「得をする手段」ではなく、「窓口へ行く時間と手間を手数料で買う手段」と捉えるのが実態に近い。平日に窓口へ出向けるなら、手数料のかからない従来の方法で十分だろう。

事業者は12月1日に提案締切、年内に選定の見通し

今回の公募のスケジュールは次のとおりだ。

  • 2026年10月22日:公募の公示
  • 2026年10月27日:説明会
  • 2026年12月1日17時:企画提案書の提出期限
  • 2027年2月28日まで:QRコード作成機能の提供開始
  • 2027年7月1日:キャッシュレス納付の受付開始

報道によると、事業者は年内に選定される予定とされている。選ばれた事業者はキャッシュレス法上の「指定納付受託者」として、納付者から受け取った反則金を国庫に納付する役割を担う。

手数料の具体額や対応するQRコード決済が判明するのは事業者決定後となる。

平日に窓口へ行きにくい人ほどメリットが大きい

今回のキャッシュレス納付が最も役立つのは、仕事などで平日の日中に金融機関や郵便局へ行く時間を取りにくい人だ。夜間や休日でも、告知書のQRコードを読み取るだけで支払いを済ませられる。告知書番号が自動入力されるため、入力ミスの心配が少ない点も安心材料になる。

一方で、手数料が反則金に上乗せされる以上、窓口に行ける人にとっては割高な選択肢になる。ポイント還元で手数料を取り戻すことも難しい。自分の生活スタイルに照らして、窓口に行く手間と手数料のどちらを重く見るかで選ぶとよいだろう。

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オトクレ編集長 池田 星太

執筆・編集

池田星太

オトクレ編集責任者。2013年より「大人のクレジットカード」を運営。ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、金融全般での情報発信を行っている。また、クレジットカード専門家として、雑誌やメディアでの編集や監修も行っている。日常生活のほぼすべてをキャッシュレスで過ごす。

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