平成20年(2007年)より開始されたふるさと納税。任意の自治体に対して寄附を行うことで、実質2,000円の負担で豪華な返礼品がもらえるお得な制度として、ここ数年で随分広まった。利用したことがあるという人も多いのではないだろうか。
返礼品は寄附先の自治体の名産品や縁の品などで、食品、雑貨、服飾、家電、体験型商品などさまざま。寄附金額に応じて豪華さが変わり、数千円から数万円、中には十数万円、数十万円、それ以上の寄附を行うケースもある。
しかし、寄附金額のうち2,000円を超える分は最終的に住民税・所得税から寄附金額分の控除が行われるため、実質2,000円で豪華な返礼品がもらえることになるのだ。
さらに、返礼品に加えてお得に利用する方法として、クレジットカード決済がおすすめだ。クレジットカード決済であれば、多くの自治体で決済手数料が無料になる上に、クレジットカード会社のポイント還元も得ることが出来る。
今回は、よりお得にふるさと納税利用するためにはどうすれば良いのか、注意すべき点と、ふるさと納税の今後の展開についてまとめた。
目次
クレジットカードの支払いに対応している自治体は?
多くの自治体ではふるさと納税のクレジットカード決済に対応しているが、すべての自治体で対応しているわけではない。
そこで、クレジットカード対応の自治体でふるさと納税をお得に利用するためには、民間企業が運営している、各自治体の情報をまとめたポータルサイトを活用することをおすすめする。
なぜなら、ふるさと納税の申込や決済方法は自治体によってまちまちで、全国の都道府県、市町村すべてを個別に調べることは現実的ではないからだ。
ふるさと納税の制度が始まってから、全国各地の自治体と契約して返礼品やその自治体のPR情報などを掲載するポータルサイトがいくつも登場している。
ふるさと納税申込・決済方法
これらのサイトを見ると、ふるさと納税の決済方法としては、クレジットカードの他に、銀行振込、郵便振替、コンビニ決済、キャリア決済、ペイジーなどがある。このうち、銀行振込は手数料がかかってしまうので、他の決済方法を選んだ方が良いだろう。
その中でもクレジットカード決済は、クレジットカード会社のポイント還元がつき、決済手続きも一番早く完了する。
国税のクレジットカード決済は納税者に手数料が発生するが、ふるさと納税は多くの場合、自治体が手数料を負担するなどして手数料無料となっている。
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そこで、クレジットカード決済でふるさと納税を利用する際、おすすめのサイトを5つ、その決済方法とともに紹介する。
ふるさとチョイス
運営会社:(株)トランスバンク
クレジットカード決済:可(一部未対応の自治体あり)
その他の決済方法:コンビニ支払い/ドコモケータイ払い/au かんたん決済/ペイジー支払い
その他:Tポイント利用可能
情報収集のためにも一度は見ておきたいポータルサイトだ。同類のサイトの中でも掲載情報が圧倒的に多く、2017年5月末時点の予定で全国100%の1,788自治体と契約しており、返礼品数 127,237点となっている。
特集なども充実しており、情報収集の面で役に立つだけでなく、選ぶ楽しさもある。
掲載自治体数が多いため、一部クレジットカード決済に対応していない自治体もあるが、大半の自治体では対応している。また、クレジットカード決済を含める各決済方法に対応しているかどうかで条件を絞り検索することもできる。
さとふる
運営会社:(株)さとふる
クレジットカード決済:可
その他の決済方法:ソフトバンクまとめて支払い/auかんたん決済/コンビニ決済/ペイジー
ふるさと納税の返礼品には生鮮品も多いため、実際に届いてどうだったかというも気になるところだ。「さとふる」には、レビューが多く掲載されており、役に立つ。
2016年12月時点で135の自治体と契約しており、ふるさとチョイスに比べると少ないが、ふるさと納税関連のポータルサイトの中では情報量の多いサイトと言える。
また、掲載自治体すべてでクレジットカード決済が可能だ。ふるさと納税関連のサイトは、決済方法が分かりにくいサイトも少なくないのだが、さとふるは決済方法の説明も分かりやく示されており、安心できる。
楽天ふるさと納税
運営会社:楽天(株)
クレジットカード決済:可
その他の決済方法:銀行振込
その他:楽天ポイント利用可能
楽天ユーザーにおすすめの、楽天市場内で運営されるサイト。2016年10月時点で契約している自治体は100を越えている。
楽天市場での買い物と同じ手順で利用でき、ポイントを貯める他、ふるさと納税の支払いにも利用できるため、楽天ユーザーに相性の良いサイト。
掲載自治体すべてでクレジットカード決済が可能だ。銀行振込の場合は振込手数料がかかる。
ANAふるさと納税
運営会社:全日空(株)
クレジットカード決済:可
その他の決済方法:なし
その他:寄附金額100円につき1マイルプレゼント/Tポイント利用可能
ANA利用者におすすめのサイト。決済方法はクレジットカードのみ。2016年11月より、寄附金額100円につき1マイルがプレゼントされるようになった。
ふるなび
運営会社:(株)アイモバイル
クレジットカード決済:可
その他の決済方法:郵便振替/銀行振込
その他:Tポイント利用可能
他のサイトにない目立った特徴として、年収2,000万円以上の人を対象にふるさと納税の寄附プランの提案から申込までの一括代行サービスを行っている。返礼品も、他のサイトには少ない家電も多く、高価格帯のものが見受けられる。
掲載自治体のすべてにおいてクレジットカード決済が可能だ。銀行振込の場合は振込手数料がかかる。
また、「ふるなびグルメポイント」という独自のポイント制度を提供している。これは、寄附金額に応じたポイントが付与され、提携自治体の該当飲食店で利用することができるというものだ。
ふるさと納税、クレジットカード決済で気になる点
ふるさと納税は寄附という普段なじみのない形ではあるが、特にポータルサイトを経由した場合、サイト上の決済に関してはネット通販などとそれほど変わらない。ただ、いざ決済を行う際に気になる点もあるので、ここでまとめた。
使えるカードの種類
ふるさと納税でクレジットカード決済を行う場合、5大国際ブランド(VISA, MasterCard, JCB, AMERICAN EXPRESS, Diners Club International)をはじめとする、通常日本国内で使えるカードはほぼ利用することができる。
クレジットカードの名義が本人でない場合
ネット通販を利用する際などには、家族のクレジットカードを共通で利用しており、買い物をする人とカードの名義人が違うという場合も珍しくないと思う。これが、ふるさと納税の場合、どうなのだろうか?
ふるさと納税を利用した際は、最終的に自治体から証明書が発行されるのが、この際の納税者が利用者本人となるように、支払いの際のフォームやその後の書類に記入すれば、クレジットカードの名義人が違っても問題はないようだ。
ただ、利用者とクレジットカードの名義人を同一にできるのであれば、間違いが起きる可能性が少ないのでおすすめだ。
締日に注意!1~12月の寄附がその年の控除の対象
ふるさと納税自体はいつでも行うことができるが、区切りがあることには注意してほしい。具体的には、1~12月の寄附金額分が、その年分の住民税・所得税に対する控除の対象となる。
ただし、1~12月といっても、12月末日までその年分として受け付けをしてもらえるとは限らない。いつまでがその年に受け付けられるかというのは、自治体によって違うので、特に12月に寄附を行う際には注意してほしい。1月以降の入金として処理された場合は、税金の控除が1年後になってしまう。
通常、受付の期限はサイトなどに明示されているが、入金後に自治体から発行される証明書の受領日が年内であればその年のものとして処理されていることになる。
そして、いくつかの決済方法がある中で、クレジットカード決済が一番遅くまで受付をしてもらえる場合が多い。
これは、クレジットカード決済はウェブ上での決済の時点を受領日として処理されることが多いからだ。
他の方法では入金が確認できた時点が受領日となる。サイト上で申込をした時点ではその年の利用として受け付けてもらえず、しかも、入金確認に時間がかかることが多いのだ。
ただし、中にはクレジットカード決済でも、決済のタイミングではなく本当の入金の時点を受領日とする場合もあるようなので、年末にふるさと納税を利用する場合はこの点も確かめてから利用した方が良いだろう。
「ふるさと納税」の今後の展開
ふるさと納税は「ふるさと寄付金」とも呼ばれることもあり、もともとの目的は、納税者が税金の使途を選べること、地元や応援したい地域の力になれること、また、自治体のPRの場にもなることなどだ。ただ、寄附を行う人の大半の主目的は、返礼品だろう。
2015年のふるさと納税適用者1,298,719人、寄附額は総額147,103,026,000円となった。魅力的な返礼品に加え、ふるさと納税の普及の後押しとなったことが2つある。
ひとつは、今回紹介したような、ふるさと納税のポータルサイトがいくつも立ち上がったことだ。
さらにもうひとつ、制度の開始当初はふるさと納税による税金の控除には確定申告が必要だったのだが、平成27年(2015年)に開始された「ふるさと納税ワンストップ特例制度」により、確定申告の不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内の場合、各納税先の自治体に申請書を提出すれば、確定申告の必要なく控除が受けられるようになったことだ(ふるさと納税ワンストップ特例制度では、所得税・住民税ではなく、住民税からの控除となる)。
返礼品競争過熱にストップ!種類や金額に制限が?
ただ、ここに来て、ふるさと納税には変化が見られる。寄附を集めるべく、自治体間での返礼品の競争が激化しており、高価な返礼品が多く目に付く。
そのため、税収が減少してしまったり、寄附金が集まってもそのための負担も大きかったりという問題が起きており、そもそものふるさと納税の目的に反する現状がある。
そこで、ふるさと納税を主導する総務省は、平成29年(2017年)4月1日付で通知を出し、返礼品の種類や価格を制限する動きを見せている。
具体的には、返礼品に適当でないものとして、金銭類似性の高いもの、資産性の高いものなどを挙げている。また、寄附金額に対して3割以内の返礼品を適当としている。
現時点(2017年5月)では、各自治体の返礼品に大きな変化はないが、すでにふるさと納税を導入しないと発表している自治体も出てきており、今後何らかの動きがありそうだ。
そのため、ふるさと納税をお得に活用するためには、返礼品だけでなく、決済方法も重要なポイントとなってくるのだ。
ふるさと納税、決済後の共通する流れ
ふるさと納税は、返礼品を受け取って終わりではない。税金の控除を受けるためには、申込後に手続きをする必要がある。この手続きについても、簡単に紹介しておく。
決済後の手続きはどの決済方法でも共通しているが、前述の「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用する場合と、利用せず確定申告をする場合で違ってくる。多くの人はふるさと納税ワンストップ特例制度を利用するケースだろう。
ワンストップ特例制度を利用する場合は、申込の際にそれを申請する箇所があるはずなので、忘れずにチェックするようにしよう。申請をしたら、寄附後に必要な書類が届くので、記入して自治体に送ると、受領証明書が届く。これで他の手続きは必要なく、税金の控除が行われる。
確定申告を行う場合は、寄附後にそのまま受領証明書が届くので、これを基にその年の確定申告で手続きをすることになる。
まとめ!お得なだけではない、ふるさと納税の楽しみ方
今回は、クレジットカード決済の観点からふるさと納税についてまとめた。クレジット決済が利用できることで、ふるさと納税はより手軽で、身近なものになっている。
豪華な返礼品、お得なポイントは分かりやすい魅力だが、本当のふるさとである出身地や、応援したい地域の力になれることも、この制度のこれまでにない魅力だ。ぜひそういった点も楽しんでいただきたい。