亀の井バスと九州産交バスでは、「my route」で買ったバスとJR九州の双方で使える企画券を、1つのQRコードで乗り継げるようになる予定だ。亀の井バスの企画券は「Pass Case チケット」でも買えるようになり、西肥自動車では「my route」で買った企画券をクレジットカード等のタッチで使う乗り方が加わる。
3事業者で2026年11月から順次変わる企画券の使い方
三井住友カードと一般社団法人九州MaaS協議会は2026年11月4日、九州の地域公共交通に関する包括連携協定を締結した。協定に基づく2026年度の具体施策として、亀の井バス(本社:大分県別府市)、九州産交バス(本社:熊本市西区)、西肥自動車(本社:長崎県佐世保市)で次の取り組みを予定している。開始時期はいずれも予定である。
| 対象事業者 | 開始時期(予定) | 予定する施策 |
| 亀の井バス | 2026年11月4日 |
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| 九州産交バス | 2026年11月4日 |
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| 亀の井バス | 2026年12月1日 | 「Pass Case チケット」で亀の井バスの企画券を販売 |
| 西肥自動車 | 2027年2月以降 |
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発表資料に掲載された施策の一覧は次のとおりで、協定の中での各施策の位置付けも示されている。

亀の井バスと九州産交バスは1つのQRコードでJR九州と乗り継ぎ
対象は、おでかけアプリ「my route」で購入した、各バスとJR九州の双方で使える企画券だ。「my route」はトヨタファイナンシャルサービスが提供するアプリで、九州MaaS協議会は2024年8月からこのアプリを活用し、九州全域で経路検索やデジタルチケットの販売を行っている。
変わるのは、バスと鉄道で同じQRコードを使える点だ。バスでは「stera transit」端末、JR九州ではQRリーダーに同じQRコードを読み取らせる。乗り物が変わっても提示するQRコードは1つで済むため、乗り継ぎのたびに別のチケットを用意する手間は減ると考えられる。
QRコードを読み取るのはタッチ決済と同じ「stera transit」端末
「stera transit」は、タッチ決済対応のカード(クレジット・デビット・プリペイド)やカードを設定したスマートフォン等で乗車できる、三井住友カードの公共交通機関向けソリューションだ。バスに設置する端末はタッチ決済に加えて、企画券のQRコードの認証にも対応している。
QRコード用の認証端末を新たに設置せずに済むため、交通事業者にとっては導入と運用の負担が軽くなる。乗客の側から見れば、QRコードの企画券もタッチ決済と同じ端末で読み取らせることになる。
亀の井バスの企画券は12月1日から「Pass Case チケット」でも販売
亀の井バスは2026年12月1日から、三井住友カードの「Pass Case チケット」で企画券を販売する予定だ。企画券を買える場所を増やし、交通の利用促進や地域の回遊、消費の創出につなげる取り組みと位置付けられている。
「Pass Case チケット」は、交通事業者等の企画券をアプリやWebで購入できるサービスで、購入時に使ったクレジットカード等を専用端末にタッチするだけで乗車できる。券を提示するのではなく、買うときに使ったカードをかざして乗る形だ。
このため同じ亀の井バスでも、「my route」で買った企画券はQRコード、「Pass Case チケット」で買った企画券はカードのタッチと、購入先によって乗車時の操作が変わると考えられる。ただし、亀の井バスでの「Pass Case チケット」の乗り方そのものは、今回の発表では示されていない。販売する企画券の種類や価格は、今回の発表では示されていない。
西肥自動車は2027年2月以降、「my route」の企画券をタッチで利用可能に
西肥自動車では2027年2月以降、「stera transit」を新たに導入し、「my route」で購入した企画券をクレジットカード等のタッチで使える乗車サービスを展開する予定だ。あわせて、タッチ決済で乗車できるエリアの拡大にもなる。利用にはタッチ決済対応のカードか、カードを設定したスマートフォン等が必要になる。
この取り組みは、他社サービスと連携する乗車認証モデルの「検証」と位置付けられている。発表の時点では、他の事業者へ同じ形がいつ広がるかまでは示されていない。
他社サービスで買った企画券のタッチ乗車は初めての対応
発表によると、「stera transit」端末を使って、他社サービスで販売されている企画券のタッチ乗車認証に対応するのは今回が初めてだ。具体施策の中では、西肥自動車の取り組みがこれに当たると考えられる。
何が新しいのかを整理しておく。三井住友カード自身の「Pass Case チケット」には、買った企画券をカードのタッチで使う仕組みがある。今回はそのタッチでの乗車を、三井住友カード以外のサービスである「my route」で買った企画券にも広げるということだ。企画券をどのアプリで買ったかによって乗り方が縛られにくくなる点が新しい。
カードをかざすだけで済むなら、乗車のたびにチケットの画面を開く手間は減ると考えられる。ただし、購入時と同じカードをタッチする必要があるのかなど、「my route」で買った場合の具体的な手順は今回の発表では示されていない。
九州32事業者の導入公表は全路線で使えるという意味ではない
九州では2022年から「stera transit」の導入が進み、現在32事業者が導入を公表している。ただし、これは事業者の数であり、各社の全路線でタッチ決済やQRコードの企画券が使えることを意味するものではない。今回の発表にも、路線ごとの対応状況は示されていない。
すぐに変わるのも一部の事業者に限られる。具体施策として名前が挙がっているのは亀の井バス、九州産交バス、西肥自動車の3社で、西肥自動車は2027年2月以降の予定だ。九州MaaS協議会の会員は111(2026年9月時点)にのぼるが、会員の交通事業者で一斉に乗り方が変わるわけではない。
QRコードとタッチのどちらを使うかは企画券と事業者で異なる
今回の具体施策を乗車時の操作で分けると、次のようになる。
- 亀の井バス、九州産交バスで使う「my route」の企画券:QRコード
- 亀の井バスの「Pass Case チケット」の企画券:購入時に使ったカード等のタッチ(サービスの仕組みから見た想定)
- 西肥自動車で使う「my route」の企画券:カード等のタッチ
同じ「my route」で買った企画券でも、事業者によってQRコードとタッチに分かれる点は押さえておきたい。また、JR九州について示されているのはQRリーダーでの読み取りで、JR九州でのタッチ乗車は今回の具体施策には挙がっていない。
協定の狙いは事業者ごとに分かれた認証環境の連携
協定の柱は、「stera transit」を共通認証基盤として九州各地へ展開すること、移動需要と地域消費を生み出すこと、データを活用することの3つだ。背景には、人口減少や運転士不足で地域公共交通の維持が課題となる中、事業者ごとに異なる認証環境やシステム仕様への対応が負担になっている事情がある。
データ活用では、九州MaaSの利用データと三井住友カードの知見を組み合わせて地域ごとの移動実態を可視化し、交通空白地域への対応や路線・サービスの改善などに生かすとしている。
両者は各取り組みの効果と課題を検証し、成果やノウハウを協議会の会員間で共有したうえで、他の事業者や地域への横展開を図る方針だ。QRコード用の端末を増やさずに済む仕組みが広がれば、同じ形の企画券を扱う事業者が増えていく可能性がある。
3事業者の企画券を使う人は購入先で変わる乗り方を把握しておきたい
今回の発表で乗り方が変わるのは、主に亀の井バス、九州産交バス、西肥自動車の企画券を使う人だ。バスとJR九州を組み合わせて移動する人にとっては、亀の井バスと九州産交バスの1つのQRコードで使える企画券が選択肢になる。企画券を買うときは、どのサービスで買った券か、どの事業者で使う券かによって、乗車時の操作が変わりうる点を意識しておくとよいだろう。
一方、亀の井バスや九州産交バスを企画券なしで利用している人にとっては、今回の施策で当面大きく変わる点は少ないと考えられる。西肥自動車は「stera transit」の新規導入でタッチ決済の乗車エリアに加わる予定のため、企画券を使わない人にも関係してくる可能性がある。

















