クレジットカードの現金化とは、クレジットカードを使った換金性の高い商品の購入・売却、あるいはクレジットカードで購入した商品に対する現金化業者のキャッシュバックにより、クレジットカードのショッピング利用で現金を得ること。
このクレジットカードの現金化について、利用者側は現時点では違法でないものの、限りなくグレーゾーンであり、詐欺罪・横領罪等で逮捕される可能税もゼロではない。
現金化業者は違法である可能性が高く、逮捕例もある。
現金化業者を利用することでトラブルが起こる可能性も高い。
クレジットカード会社や日本クレジット協会、消費者庁などは以前から連携をはかり、現金化撲滅のために呼びかけを強化している。
また、利用者は違法ではないものの、クレジットカード会社との「会員規約」に違反している可能性が高い。
これにより、カードの利用停止や利用残高の一括返済を求められる恐れがある。
さらに、自己破産ができなくなることや、その他さまざまなトラブルに巻き込まれるリスクが高まる。
とにかくクレジットカードの現金化は絶対ダメだと覚えておこう。
本記事では、クレジットカードの現金化について、その仕組みに基づいてリスクについて解説していく。
現金化の仕組みとリスク
クレジットカードの現金化は現時点では違法ではないが、限りなくグレーゾーンでありリスクが高い。
そのリスクを解説にするために、以下に現金化の仕組みを説明するが、当サイトでは現金化をすすめることは絶対にない。
あくまで自身の身を守るための知識であることをご理解いただいたうえで、読んでいただきたい。
クレジットカード現金化の方法には大きく分けて以下の2つの方法がある。
- 商品買取方式
- キャッシュバック方式
それぞれの方法について具体的に見ていこう。
商品買取(転売)方式
商品買取方式はクレジットカード払いで購入した商品を金券ショップや質屋などに買い取ってもらい現金を入手する方法だ。
新幹線の回数券や商品券などの「換金率」が良い商品を購入するのが主流である。
しかし、商品を換金目的で購入することはほとんどの場合クレジットカードの会員規約に違反している。
また、後ほど詳しく紹介するが、逮捕例はないものの「横領罪」や「詐欺罪」に当たる可能性もある。
キャッシュバック方式
キャッシュバック方式はクレジットカード払いで「現金がついてくる商品」を買うなどの方法だ。
具体的な方法は以下のようになる。
本来1,000円程度の価値しかない商品をクレジットカード払いで50,000円で購入し、業者から45,000円のキャッシュバックを得る。
以下のように、支払った金額から商品の代金とキャッシュバック分を引いた金額が業者の利益になるという仕組みだ。
50,000円- (45,000円 + 1,000円) = 4,000円
商品買取方式と大きく異なるのは、クレジットカード現金化のための「業者」が関わっていることだ。
本来は現金化目的で現金がついてくる商品を購入すること自体が不自然なことであり、現金化専門の業者がなければ成り立たないのだ。
後述するが、現金化業者は法律に違反していることがあり、トラブルに巻き込まれる可能性もある。
上記と似た方法で、買い戻し方式や直接購入方式といった方法もあるが、いずれもクレジットカードの会員規約に違反しており、業者が違法である可能性が高い。
現金化業者の法律違反
2011年8月にクレジットカードの現金化業者ではじめての逮捕者が出た。
逮捕された理由は「貸金業法及び出資法違反」だった。
逮捕された理由をそれぞれ簡単に説明すると以下のようになる。
貸金業法違反
- クレジットカードの現金化がお金の貸し付けであると判断された
- お金の貸し付けは許可を受けなければ行えない
- 現金化業者は許可を受けていなかった
出資法違反
- お金の貸し付けだとして金利を計算すると、出資法の定める上限金利を大幅に超えていた
上記からわかるように、利用者側が違法にならないとしても、業者が違法である可能性があるのだ。
公安委員会の許可があってもNG
違法業者が逮捕されることがあるものの、許可をされている業者なら良いのではないかと考える方もいるかもしれない。
確かに、現金化業者の中にはホームページや広告で「公安委員会の許可を受けている」といった宣伝文句で安心感を出している業者もある。
しかし、そこには落とし穴がある。
たとえ現金化業者が許可を受けているとしても、「クレジットカードの現金化についての許可」を受けることはなく、あくまで「古物商の許可」を受けているに過ぎないのだ。
また、業者の中には「古物商の許可」すら取得せずに営業をしている業者もあり、トラブルに巻き込まれる可能性もある。
初の逮捕者が出て以降、現金化業者が逮捕された事例がいくつかあり、警察が徐々に取り締まりを強化しているものと思われる。
利用者の逮捕の可能性
クレジットカードの現金化において、現金化業者だけでなく、今後、利用者が逮捕される可能性もゼロではない。
具体的には、利用者側も横領罪・詐欺罪にあたる可能性があるのだ。
横領罪
クレジットカード払いで購入した商品の「所有権」は厳密に言えばクレジットカード会社にある。
クレジットカードに限らず、車のローンや住宅ローンにも同じことが言える。
ローンで商品を購入した場合、所有権は実際に代金を支払っている銀行やクレジットカード会社にあるのだ。
他人に所有権があるものを勝手に売ってしまうのが罪になる可能性があるということはお分かり頂けると思う。
詐欺罪
クレジットカードには以下のようにショッピング枠とキャッシング枠の2つが存在し、それぞれ用途が異なる。
- ショッピング枠:商品の購入、いわゆる買い物のための枠で、現金を得ることはできない
- キャッシング枠:現金を得るための枠で、ショッピング枠よりお金利が高く設定されていることが多い
このうち、クレジットカードの現金化は、本来現金のを得ることを目的としていない「ショッピング枠」を利用している。
本来の用途ではない使い方を故意に行うことはクレジットカード会社をだましていることになり、詐欺罪になる可能性があるのだ。
そもそも、クレジットカード会社はショッピング枠を現金化に利用してはならないということを会員規約で明示しているのだ。
会員規約違反
クレジットカードにはクレジットカード会社と利用者間で結ばれる会員規約(利用規約ともいう)がある。
前述したように、会員規約ではクレジットカードの現金化を明確に禁止している。
たとえば、三井住友カード会員規約やJCB会員規約、アメリカン・エキスプレスのカード会員規約などである。
会員規約に違反したとしても法律違反になるわけではないが、クレジットカード会社が以下のような措置をとる可能性がある。
- 利用停止・解約
- 利用残高の一括返済
- 新規カード作成不可
利用停止や強制解約になってもカードが使えなくなるだけだと思うかもしれないが、注意したいのが「利用残高の一括返済」だ。
分割払いやリボ払いで支払いを行っている場合でも、利用停止・強制解約と同時に残りの代金を一括で返済することを求められる可能性がある。
また、同じクレジットカード会社では新規のカード作成ができなくなる可能性もあるため、クレジットカードの現金化は非常にリスクが高いと言える。
ちなみに、クレジットカード会社は現金化を非常に危険視しており、例え現金化が目的でなくとも、換金率の高い商品を購入しただけでカードが利用停止になることがあるのを覚えておいてほしい。
新幹線の回数券や金券などの換金率が高いとされる商品を購入する際は現金で購入するのが安心だろう。
その他のリスク
ここまで見てきた以外にも、クレジットカードの現金化には大きな危険性がいくつかある。
トラブルに巻き込まれる
最も注意するべきなのがトラブル(詐欺や恐喝)に巻き込まれてしまう可能性があることだ。
現金化業者には違法業者が多いため、実際に詐欺や恐喝が発生している事例もある。
特に多いのが、ネットを通じて現金化のために商品を購入したものの、キャッシュバックを得られないなどの詐欺だ。
また、現金化業者は個人情報の掲載された身分証明書の提示を求めることが多い。
住所や名前、生年月日など重要な個人情報が悪用されたり、恐喝を受けたりする可能性がある。
自己破産できない
万が一借金で首が回らなくなった際に、最終手段として自己破産という方法がある。
しかし、ギャンブルや明らかな浪費が原因で借金を背負ってしまったようなケースでは、自己破産が認められない場合がある。
クレジットカードの現金化も同じく自己破産が認められない理由になり得るのだ。
現金化はしてはならない
クレジットカードの現金化についてはさまざまな議論があるが、少なくとも以下は押さえてほしい。
- 現金化はクレジットカードの会員規約に違反している
- 現金化業者には逮捕者が複数出ている
- 違法業者が多く、トラブルにまきこまれる可能性が高い
現金化は明確に違法というわけではなく、グレーゾーンだ。現金化業者の逮捕事例はあるが、利用者の逮捕事例はない。
だが、横領罪や詐欺罪などの罪に問われる危険性があり、今後もずっと違法でないとは言い切れない。
また、カード会社の会員規約違反とそれに伴うペナルティ、また、関連業者によるトラブルに巻き込まれるリスクを考えると、クレジットカードの現金化は絶対に避けたほうが良いだろう。
どうしても急いで現金が必要というときは、クレジットカードのキャッシング機能を、無理なく返済できる範囲で利用することをおすすめする。