デジタルウォレットアプリ「Kyash」が2026年10月7日からパスキー認証に対応した。ログイン時のID・パスワード入力が不要になり、指紋や顔認証でログインできる。従来のパスワード認証も引き続き使えるため、利用者は自分の端末環境に合わせて認証方法を選べる。
Kyashが2026年10月7日からパスキーを導入
株式会社Kyashは、デジタルウォレットアプリ「Kyash」に、パスワードを使わない認証方式「パスキー」を2026年10月7日(水)から導入したと発表した。
パスキーは、端末に保存された鍵情報と、指紋・顔認証や画面ロック(PINコードなど)を組み合わせて本人確認を行う仕組みである。利用者が覚えておく文字列としてのパスワードを使わないため、ログインのたびにIDとパスワードを打ち込む手間がなくなる。
Kyashは決済・送金・出金・あと払いができるデジタルウォレットアプリで、アプリからVisaプリペイドカードを無料で発行でき、銀行口座・コンビニ・クレジットカードなどから事前に入金して使う。お金を預けておくアプリだけに、ログインの入り口をどう守るかは利用者にとって直接の関心事になる。
パスキー導入でログインはこう変わる
同社がメリットとして挙げているのは、入力の手間がなくなること、フィッシング詐欺に強いこと、生体情報が端末の外に出ないことの3点である。
ID・パスワードの入力なしで指紋・顔認証だけでログイン
パスキーを設定すると、ログイン時にID・パスワードを入力する必要がなくなり、指紋や顔認証だけでログインできる。スマートフォンのロック解除と同じ動作で済むため、パスワードを思い出せずに再設定からやり直す、といった場面を減らせる。
同社は導入の背景として、利用者が日ごろ感じている「パスワード管理の手間」や「機種変更時の再設定の煩わしさ」の解消を挙げている。ただし、機種変更の際にパスキーをどのように引き継ぐかという具体的な手順は、今回の発表には書かれていない。
偽サイトにパスワードを入力してしまうリスクを減らせる
パスキーは、ログインするサイトやアプリごとに固有の鍵で認証する。同社は、これにより偽サイトなどへの入力によるパスワード漏えいのリスクを大幅に低減できると説明している。
フィッシング詐欺は、本物そっくりの偽サイトに利用者自身がIDとパスワードを打ち込んでしまうことで被害が生じる。パスキーでのログインではパスワードを入力する動作そのものがないため、だまし取られる対象を減らせるという考え方である。同社も、巧妙化するフィッシング詐欺への対策強化を導入理由の一つに挙げている。
指紋や顔の情報はKyashのサーバーに送信されない
生体認証と聞くと、指紋や顔のデータが事業者に渡るのではないかと気になる人もいるだろう。この点について同社は、認証に使う指紋や顔といった生体情報は利用者の端末内で処理され、Kyashのサーバーに送信・保存されることはないとしている。
パスキーが使えるのはiOS 18.0以上・Android 9.0以上
パスキーの利用には、対応する端末とOSバージョンが必要になる。発表されている対応環境は次のとおりである。
| iOS | 18.0以上 |
| Android | 9.0以上 |
Androidはアプリの対応OSとパスキーの対応OSが異なる
注意したいのはAndroidの利用者である。Kyashアプリ自体の対応OSは「iOS 18.0以上/Android 7.1以上」と案内されている一方、パスキーの対応環境はAndroid 9.0以上とされている。
iOSはアプリとパスキーの対応バージョンが同じだが、Androidは両者に差がある。Android 7.1以上9.0未満の端末では、アプリは使えてもパスキーは対象外になると考えられる。古めのAndroid端末を使っている人は、端末のOSバージョンを先に確かめておくとよい。
生体認証のない端末でも画面ロック(PINなど)で設定できる
指紋認証や顔認証に対応していない端末でも、パスキーをあきらめる必要はない。同社によると、画面ロック(PINなど)を使って設定できる。生体認証の有無よりも、OSバージョンが対応環境を満たしているかどうかが利用可否の分かれ目になる。
従来のパスワード認証も引き続き利用できる
パスキーの導入後も、従来のパスワード認証は引き続き利用できる。パスキーへの切り替えが必須になったわけではなく、対応環境を満たさない端末の利用者がログインできなくなるという発表でもない。
一方で、パスワード認証が残るということは、パスワードを狙うフィッシング詐欺への警戒がすべて不要になるわけではない、という見方もできる。パスキーを設定したあとも、不審なメールやSMSのリンク先でパスワードを入力しないという基本的な注意は続けたい。
なお、今回の発表では、パスキーの具体的な設定手順や、設定後にパスワード認証を無効にできるかどうかには触れられていない。パスキーの利用に費用がかかるという記載もない。
パスワード管理が負担な人、フィッシングが不安な人に向く
Kyashを日常的に使っていて、ログインのたびにパスワードを入力するのが面倒だと感じていた人にとっては、指紋や顔認証だけでログインできるようになる今回の対応は素直に恩恵がある。偽サイトへの誤入力が心配な人にとっても、パスワードを入力しないログイン方法が加わったことは安心材料になるだろう。
一方、Android 9.0未満の端末を使っている人は、これまでどおりパスワード認証を使うことになるとみられる。パスワードを使い回さないといった従来の対策が、引き続き自分の残高を守る手段になる。















