2019年4月9日、財務省は千円札、5千円札、1万円札を2024年上半期に一新することを発表した。
2004年に変更されてから実に20年ぶりとなる新紙幣への刷新で、偽造防止技術の導入やタンス預金のあぶり出しが目的とされる。
改元のタミングに合わせたという声もあがっているが、これまでも20年に一度のタイミングで紙幣の刷新は行われてきた。
また新紙幣への刷新に伴い、図面に印刷されていた人物や図柄も変更される予定だ。
【新紙幣の人物】
- 1万円札:福沢諭吉→渋沢栄一
- 5千円札:樋口一葉→津田梅子
- 千円札:野口英世→北里柴三郎
前回の新紙幣導入時は猶予期間が2年間しかなかったが、今回は約5年間の猶予があるため、銀行など金融機関の対応を考慮したと推測できる。
新紙幣を使っている場合ではない!
今回の新紙幣への刷新により、TwitterなどSNS上では「デザインがダサい」「タンス預金のあぶり出しに効果的だ」など様々な意見が飛び交っている。
しかし、そんなことよりも注目すべきは2024年という導入時期で、この時期になると「キャッシュレス化」によって紙幣を利用する機会が大幅に減少している可能性が高い。
2019年時点でも、PayPayやLINE Payをはじめとするスマホ決済アプリの人気はすさまじく、個人間送金や割り勘機能を活用した独自の経済圏を築きつつある。
さらに2020年には東京オリンピックが控えているため、訪日外国人向けにキャッシュレス決済の強化が急務と言われている。
キャッシュレス決済比率が高い中国と韓国から来日する人数も増加しているため、なおのことキャッシュレス決済の整備が必要なのだ。
このキャッシュレスブームが2024年まで持続すれば、「新紙幣を使う」よりも「どのキャッシュレス決済を利用するか」に焦点を当てるのが当たり前の時代になっているだろう。
もちろん紙幣には「電子的なツール」にはない、実物としての「現金」という確固たる役割が存在するため、むこう数十年間はなくなることはないだろう。
ただし支払いツールとしては紙幣(現金)ではなく、電子マネー、スマホ決済アプリ、後払いアプリなど各種キャッシュレス決済が主流になる時代が必ず来る。
政府がキャッシュレス決済を推進している
政府もキャッシュレス化を強く推し進める方針であり、中国や韓国と比較すると日本はすでにキャッシュレス後進国と言えるまでにキャッシュレスの波に取り残されはじめていると言える。
実際に政府は現在20%に留まるクレジットカード・QR決済・電子マネーなどのキャッシュレス決済の比率を、2025年までに40%まで引き上げることを目標に掲げている。
中には「キャッシュレス決済の普及が目標通り進めば、紙幣刷新は今回で最後になる可能性もある」という意見も出ている。
消費者としても日常生活で少しでも楽に、お得にと考えるならば、新紙幣で盛り上がっている場合ではないのだ。
劇的にキャッシュレス化が推し進められている今のうちに、キャッシュレス決済への抵抗をなくし理解を深め、自分に合ったキャッシュレス決済ツールなどを見つけておくのが賢明だ。
増税後に早速キャッシュレス決済が強みを発揮
2019年10月には増税が予定されているが、増税後の一定期間はキャッシュレス決済ならば最大5%ほどの還元を受けることができる施策を政府が打ち出している。
この施策には主要なクレジットカード会社なども概ね合意しており、実際に施行される可能性が非常に高い。
2024年と言わず、今年からすでにキャッシュレッス決済の優位性が浮き彫りになるのだ。
全てのシーンでキャッシュレス決済を使えば5%の還元が受けられるわけではないが、キャッシュレス決済を意識して使う人と現金払いを頑なに続ける人では、手元に残るお金が大きく変わってくる。
政府が増税に合わせてキャッシュレス決済を優遇するのは、上述したようにキャッシュレス化を推進しているからに他ならない。
政府がキャッシュレス化を推進する限り、各企業も足並みを揃えることとなり、世の中全体がキャッシュレス化へと進んでいく。
コード決済の規格も統一予定
キャッシュレス化には消費者がキャッシュレス決済を使うだけでなく、店舗側がキャッシュレス決済に対応することが必要となる。
スマホ決済アプリ(コード決済)を例に挙げると、各社のサービスごとにコードの規格が異なるため、導入時に店舗側が負担するコストが多くなる。
そこで経済産業省は「キャッシュレス推進協議会」を設立。
【キャッシュレス推進協議会の参加企業(一部)】
- 楽天(楽天ペイ)
- LINE(LINE Pay)
- KDDI(au PAY)
- NTT(d払い)
キャッシュレス推進協議会でコード決済に関するガイドラインを設けることで、技術仕様の統一・複数決済サービスへの対応を実現する狙いだ。
コード決済の規格が統一されると、店舗側がスマホ決済アプリなどを導入するコストが下がり、消費者にとっても利用しやすいキャッシュレス社会がぐっと近づく。
キャッシュレス社会が到来したときに慌てないためにも、新紙幣のデザインをああだこうだ言っている場合ではなく、今このタイミングでスマホ決済アプリなどにチャレンジしておくのが重要だ。
最終更新日:2019/09/18