22日、三井住友カードと銀聯(ぎんれん)国際有限公司は、「銀聯QRコード決済」の取り扱いを日本で初めて開始すると発表した。
中国人観光客向けに2018年7月上旬を目処に導入していくとしている。
中国国内ではモバイル決済が急速に普及しており、「銀聯QRコード決済」は中国でもっとも普及している決済サービスのひとつ。
2017年5月に銀聯が40以上の商業銀行と連携して以降、同年6月にはシンガポールでも開始。
現在までにアジアを中心とした19の国・地域において中国人観光客を中心に利用されているサービスとなっている。
なお、7月上旬より導入予定の施設は以下の4つだ。
導入施設名 | 業種 | 導入店舗 |
羽田空港 (日本空港ビルデング株式会社) | 空港 | 国際線旅客ターミナル内免税店より順次導入予定 |
松屋銀座 | 百貨店 | 8F レストランシティの全店舗(9 店舗) |
ラオックス | 免税店 | 秋葉原本店、銀座本店、新宿本店等の全国 26 店舗 |
JTC | 免税店 | 新宿、大阪の基幹店 3 店舗にてスタート |
引用:https://www.smbc-card.com/company/news/news0001386.pdf
見ての通り空港や百貨店、免税店などがまず導入に踏み切っている。
なお、ラオックスは秋葉原・銀座・新宿など26店舗で開始し、JTCは新宿・大阪の基幹2店舗のみ導入というスタート。
取扱開始時期については店舗によって異なり詳細は明かされていないため、続報待ちになる。
さて、今回導入される「銀聯QRコード決済」には2つの決済方式があり、今回日本で導入されるのは2の「加盟店表示型」だ。
- 自身の端末でQRコードを表示して加盟店が読み取る「会員表示型」
- 加盟店が端末でQRコードを表示して会員が読み取る「加盟店表示型」
日本のモバイル決済アプリでは「楽天ペイ」が両対応、「LINE Pay」「d払い」「Yahooコード払い」は会員表示型のみ、「Origami Pay」が加盟店表示型のみと、ばらけている印象だ。
2種類の決済方式があってややこしく感じてしまうが、今回の「銀聯QRコード決済」は、Origami Payと同じ加盟店のコードを読み取る方式なので、間違えないようにしたい。
訪日外国人消費額の4割弱を占める中国観光客
今回の「銀聯QRコード決済」の導入の背景としては、ここ数年における訪日外国人の消費増大が影響していると考えられる。
環境庁が今年4月18日に公表した「訪日外国人消費動向調査」によると、訪日外国人の旅行消費額は前年の9680億円から1兆1,343億円へ、17.2%増加している。
これは、訪日外国人旅行者数が前年と比べて16.5%増加していることも大きい。
内訳としては中国の消費額が4割弱ともっとも多く、次いで台湾・韓国の消費額が多い。
中国・台湾・韓国の3カ国だけで全体の65%を占める。
加えて、中国・韓国はモバイル決済・クレジットカード決済の普及率が日本と比較して非常に高い国だ。
使われているブランドは「銀聯」が圧倒的に多い。
「銀聯」は中国のクレジットカードブランドで、日本におけるJCBのような立ち位置といって良い。
ただし、JCBと比べ「銀聯」はアジア圏内を中心に非常に広く普及しており、中国だけでなく今やVisa、MasterCardのような国際ブランドに近い立ち位置になりつつある。
訪日外国人の所有率も高いため、アジアでは銀聯が使える店がかなり多い。
つまり、訪日外国人の消費拡大に向けて今回の「銀聯QRコード決済」の導入は、経済情勢から見ても理にかなったものといえる。
東京オリンピックに向けた動きか?
これらの対応は2020年の東京オリンピックに向けての動きであるとも考えられる。
ここ最近日本では今回の銀聯QRコード決済導入だけでなく、国際規格「NFC」を使った決済システム導入が大手小売りチェーンの間で進みつつあるためだ。
すでに、マクドナルドではNFCを使った決済システムが導入されており、2019年内にはイオングループ各店でも導入が予定されている。
オリンピックがもたらす経済効果は計り知れない。
ゆえに、機会損失を防ぐための決済インフラの整備は急務ともいえる。
今後も銀聯をはじめモバイル決済の導入が国内で進んでいくことが予想される。
最終更新日:2021/02/26