楽天カードで選べる国際ブランドとして、2018年にアメックスが加わった。
アメックスといえばステータス性があり、旅行関連で便利なイメージをお持ちの方も多いだろう。しかし結論として、楽天カードでアメックスを選ぶのは得策ではないので、その理由を解説する。
アメックスのカードがほしい場合、楽天カード以外を選ぶほうが良いため、おすすめのアメックスカードもいくつか紹介する。
目次
楽天カード・アメックスの概要
まずはアメックスブランドの楽天カードの基本的なスペックについて解説する。
年会費 | 無料 |
---|---|
家族カード | 年会費無料 |
ETCカード | 年会費550円※ダイヤモンド/プラチナ会員は無料 |
ポイント還元率 | 1.0%~ |
海外旅行保険 | 最高2000万円 |
申込資格 | 18歳以上の方 |
年会費やポイント還元率など、基本的な性能はVISAやJCBブランドのカードと同様だ。
楽天カードといえば、楽天市場での支払いでポイント3倍になり、100円ごとに3ポイント(3円相当)の楽天ポイントがもらえるのが大きな魅力のひとつだ。この点に関しても、楽天カード・アメックスは他のブランドと同様だ。
アメックスを選ぶべきでない6つの理由
基本性能は他の国際ブランドとほぼ同じであるが、細かく見ていくと楽天カード・アメックスにはデメリットが存在する。
Google Pay、Apple Payに対応していない
Google PayやApple Payに楽天カードを登録すると、QUICPayの加盟店で利用できる。スマホひとつで決済が完了する便利なサービスだ。
しかし、提携カードのアメックスブランドはGoogle Pay・Apple Pay非対応のため、登録することができない。
ただし、アメックス・グリーンなどアメックスのプロパーカードであればApple Payには登録できる。
楽天のキャンペーンで適応除外などがある
楽天市場など楽天関連サービスでは、頻繁にキャンペーンが実施されている。そのなかで、楽天カードを利用することでポイントアップなどが適用されることが多い。
しかし楽天カード・アメックスはその対象外となっていることがあり、利用には注意が必要だ。VISA、マスターカード、JCBが対象外になることはほとんどない。
デザインカードが選べない
楽天カードにはキャラクターもの、有名人ものなど、さまざまなデザインがあるのも魅力的だ。たとえば、以下のようなデザインがある。
- 楽天イーグルスデザイン
- ヴィッセル神戸デザイン/イニエスタデザイン
- FCバルセロナデザイン
- ディズニーデザイン
- YOSHIKIデザイン
- お買いものパンダデザイン
しかしアメックスブランドでは、通常デザインしか選ぶことができないので、これらのデザインを選びたいなら他の国際ブランドを選ぶ必要がある。
アメックス以外にも、いくつかのデザインカードには独自の制限があるので注意しよう。たとえばディズニーデザインの場合、選べる国際ブランドはJCBのみだ。
ボーナス払いは1回のみ
夏・冬の賞与の時期に支払えるボーナス払いについて、楽天カードは通常1回もしくは2回を選ぶことができる。
しかしアメックスブランドでは1回しか選べないため、夏・冬に1回ずつ支払うことは不可能だ。
海外で緊急再発行できない
海外でクレジットカードが紛失・盗難にあってしまうと、ホテルの料金が支払えないなど非常に困ったことになる。
そんなとき緊急再発行の仕組みを使えば、すぐに利用できるカードを現地で手配してもらえるので便利だ。
しかし楽天カードの場合、アメックスだけは海外の緊急再発行の対象外となっている。海外で利用するときは注意が必要だ。
海外での利用手数料が高い
クレジットカードを海外で利用すると手数料がかかるが、楽天カードのアメックスブランドは、以下のように他のブランドに比べて手数料が高く設定されている。
アメックス:2.0%
VISA・Mastercard:1.63%
JCB:1.60%
1%未満の差とはいえ、ホテル料金・外食料金・レジャー料金など積み重なると、金額の開きは大きくなる。
例えば20万円利用すると、手数料は以下となる。
アメックス:4,000円
VISA・Mastercard:3,260円
JCB:3,200円
手数料を少しでも節約したいなら、アメックス以外を選ぶべきだろう。
楽天カード✕アメックスのメリット
以上のように、アメックスブランドの楽天カードはデメリットが多いのだが、メリットもいくつかあるのでご紹介しよう。
アメリカン・エキスプレス・コネクトを利用できる
アメックス独自の特典やキャンペーンを集約した、特別なサイトがアメリカン・エキスプレス・コネクトだ。アメックス専用のため、他の国際ブランドでは利用できない。たとえば、次のような特典がある。
- エクスペディアで8%OFF
- golfscape(ゴルフスケープ)で最大15%OFF
- アメリカン・エキスプレス・オンラインモール
しかし、アメリカン・エキスプレス・コネクトのうち、いくつかのキャンペーンでは、楽天カードが発行するアメックスは対象外となっている。
お得な特典が満載のアメリカン・エキスプレス・コネクトも、楽天カードでは利便性がイマイチとなっているのが実情だ。
年会費無料でアメックスが持てる
アメックスのクレジットカードは、ほとんど年会費が有料で、高額なことも多い。しかし楽天カード・アメックスなら年会費無料だ。
コストをかけずにアメックスを持ってみたい方にとっては、選択肢の1つとなるだろう。
カード券面にも青いロゴが表示され、アメックスのカードであることが一目で分かる。
ただしあくまでも楽天カードであり、ステータス性はそれほど期待しないほうが良いだろう。
楽天カードはVisaかMastercardがおすすめ
楽天カード・アメックスはデメリットが多いため、VISAやMastercardを選ぶのが得策だ。
VISAは世界中で使えて利便性が高い
海外でも楽天カードを使いたい方の場合、世界でシェアNo.1を誇るVISAが一番おすすめだ。
VISAはアジア・ヨーロッパ・北米などさまざまな地域に多くの加盟店を展開しており、使えない地域が少ない。
上位カードはVISAがおすすめ
楽天カードの上位カードである楽天プレミアムカード、楽天ブラックカードなどは、海外での利用機会が多いであろうカードだ。
理由としては、プライオリティ・パス、コンシェルジュサービスなど海外旅行関連の特典が多く、旅行傷害保険も高額になるからだ。
海外で使うことを考えるなら、国際ブランドは加盟店が多いVISAが最適ということになる。
Mastercardなら一部のデザインカードも選べる
MastercardはVISAに次いで加盟店の多い国際ブランドであり、利便性が高い。
また楽天カードの場合、以下のような一部のデザインカードがMastercardのみとなっている。
- ヴィッセル神戸デザイン
- イニエスタデザイン
- YOSHIKIデザイン
さらに、以下のカードについてはMastercardまたはJCBのみとなっている。
- FCバルセロナエンブレムデザイン
- FCバルセロナプレイヤーデザイン
- 楽天イーグルスデザイン
日本国内だけならJCBもアリ
JCBは日本発の国際ブランドであり、日本国内なら、使える場所の数はVISAやMastercardとほとんど互角だ。
ただし、海外ではハワイなど一部のエリアを除いて他の国際ブランドより使える店が少ないため、サブカードとしての利用がおすすめだ。
楽天カードを国内だけで利用する場合、JCBでも問題ないだろう。
また、ディズニーデザインの楽天カードが欲しい方は、JCBを選ぶことになる。
国際ブランドとしてのアメックス
ここからは、国際ブランドとしてのアメックス自体の長所・短所について解説する。
アメックスのメリット
1.ステータス性がある
アメックスといえばハイ・ステータスのイメージを持つ方が多いのではないだろうか。
現在は審査基準も緩められ、昔ほどハードルは高くなくなったが、いまだにアメックスのブランドイメージは高い。
高級ホテル・一流レストランでの支払いに利用するのにも、ためらうことはないだろう。
アメリカでは特に認知度が高く、身分証明書としての機能を果たすこともある。それほどアメックスブランドに信頼性があるということだ。
ただしアメックスならなんでもステータス性があるかというと、そうではない。アメックスブランドでも、年会費無料や格安のカードにはアメックスブランドのステータス性はない。
ステータス性を求めるなら、アメックスのプロパーカードが最有力だ。アメックスブランドの航空会社やホテルなどとの提携カードも、一定のステータス性があると考えられる。
2.旅行・グルメなどの特典が多い
アメックスは「T&E(Travel & Entertainment)」カードと呼ばれることもあり、旅行などの分野に強いのが特徴だ。
空港ラウンジ・手荷物無料宅配サービスなど空港関連の特典をはじめ、旅行ツアーやレンタカー割引など、充実した特典を利用できる。
上級カードになると、2名以上のコース料理の予約で1名分が無料になる特典も付いてくる。
誕生日・結婚記念日など特別な日に、高級レストランでお得にグルメを楽しむのに最適だ。
決済機能だけでなく、クレジットカードの多彩な特典を活用したい方にはアメックスが魅力的だろう。
アメックスのデメリット
1.海外で利用できる場所が限られる
アメックスはVISAやMastercardに比べ、アメリカ・カナダ以外のエリアでは加盟店が少ないとされている。
特にヨーロッパなどでは使える場所が限られているため、使い勝手はイマイチだろう。
一方国内ではJCBと提携しているため、海外に比べると利用できる場所は多めだ。
ただしすべてのJCB提携店で利用できるわけではなく、アメックスが使えない店舗も存在する。
2.スマホQR決済に利用できない場合がある
大型還元キャンペーンが行われることの多いスマホQR決済は、日本で利用者が急増しているが、サービスによってはアメックスブランドのカードが登録できない場合がある。
ただし、楽天カードと相性の良い楽天ペイに関しては、VISA/マスターカード/JCB/アメックスに対応している。
アメックスで選ぶべきカードとは?
せっかくアメックスのカードを持つなら、アメックスのメリットを最大活用できるカードを選びたいところ。
アメックスカードのなかでも、コスパに優れ、特典が充実したカードを紹介する。
セゾンブルーアメックス
コスパの良いアメックスのカードとしては、セゾンブルーアメックスが真っ先に候補に挙がるだろう。
アメックスとセゾンカードが提携しているカードで、双方の特典を利用できる。
1つめの大きなポイントは、年会費が26歳になるまで無料ということ。26歳を超えても年会費は3,300円(税込)であり、アメックスカードとしてはかなり安い方だ。
また、旅行傷害保険や空港で便利なサービスも付帯しているので、ただ単に安いだけのカードではない。
カード券面もアメックスのシンボルであるセンチュリオンをあしらったもので本格感があり、ブルーのデザインが爽やかだ。
気軽にアメックス入門ができるカードを探している方には、うってつけの存在といえるだろう。
こんな人におすすめ
- コスパ重視でも旅行保険や特典が欲しい人
- 25歳以下の人
- ロフトなどで買い物をすることがある人
3つのおすすめポイント
・海外旅行傷害保険の内容が優れている
セゾンブルーアメックスでは、最高3,000万円の海外旅行傷害保険が付帯している。補償の詳細は以下のとおりだ。
死亡・後遺障害:最高3,000万円
傷害治療:最高300万円
疾病治療:最高300万円
携行品損害:最高30万円
賠償責任:最高3,000万円
救援者費用:最高200万円
注目すべきなのは、傷害・疾病治療が最高300万円と手厚くなっていること。他社ではJCBゴールド、三井住友カード ゴールドも同額であり、ゴールドカード並みの補償金額だ。
死亡・後遺障害は最高3,000万円と高くないが、海外旅行では死亡よりもケガや病気のリスクのほうが高いので、実用的といえる。
・空港で利用できるサービスも付帯
格安のアメックスカードであるが、空港で便利なサービスを利用できる。手荷物無料宅配サービスとして、国際線を利用したとき、空港から自宅へスーツケースなどを1個無料で宅配してもらえる特典があるのだ。
手荷物宅配サービスは通常、1個あたり1,500円~2,500円ほどかかるので、年に2回利用するだけで年会費の元が取れる計算となる。
・ロフトなどで5%割引
セゾンブルーアメックスは旅行だけでなく、ショッピングでの節約にも役立つ。
さまざまな店舗が対象となっているが、たとえば、
ロフトでは、月末の金・土・日に5%割引となるが、1回の利用金額が1,100円以上(税込)であることが条件だ。ほぼすべての商品が割引の対象だが、一部の売り場・商品は除外となる。
アメリカン・エキスプレス・グリーン・カード(アメックスグリーン)
アメリカン・エキスプレス・グリーン・カード(アメックスグリーン)は、4種類あるプロパーカードの1つ。
高級イメージのあるアメックスのプロパーカードだが、アメックスグリーンはスタンダードランクで、どんな方でも申込みやすい。
スタンダードといえども、空港ラウンジの無料利用・レンタカー割引など、旅行関連の特典は充実している。
海外旅行傷害保険も手厚いので、旅行をしっかりサポートしてくれる頼もしいカードだ。
こんな人におすすめ
- 旅行関連の特典を重視する人
- ポイントを無期限で貯めたい人
- ゴールド・プラチナなど将来的にランクアップを目指したい
3つのおすすめポイント
・空港ラウンジ特典の内容が充実している
スタンダードクラスのグリーンカードにも空港ラウンジ特典が付帯しており、国内では28空港、海外では2空港のラウンジを無料で利用できる(2023年3月1日以降、同伴者1名無料が有料になる)。
さらに、全世界で1,300カ所以上の空港ラウンジを利用できる、通常年会費99米ドルプライオリティ・パス(スタンダード)を無料で発行できる。ただし、1回の利用ごとに27米ドルかかることは覚えておこう。
・毎日を彩る特典「グリーン・オファーズ」
グリーン・オファーズでは、レンタカーやフードデリバリー、バッグや腕時計のサブスクレンタルなどのサービスを提供。 なお、ユーザーのニーズや反響に応じて今後の特典の内容を随時アップグレードしていく予定。
特典 | 内容 |
Laxus(ラクサス) | 新規登録で月額料金3ヶ月間実質1100円(税込)で利用可可能 |
KARITOKE(カリトケ) | 新規登録で月額料金が初月80%オフ、2~3ヶ月目50%オフで利用可能 |
メルセデス・ベンツ レント | 100円利用ごとに5ポイント付与 |
ENOTECA(エノテカ・オンライン) | 5%オフ |
menu | ・新規登録で合計2400円分のクーポン進呈
・menu pass(有償)の新規登録/継続加入で毎月300円オフクーポン進呈 |
Berlitz(ベルリッツ) | 新規入学で受講料金10%オフ |
norton(ノートン) | 対象商品を1年目特別価格で提供 |
Benefit Station(ベネフィットステーション) ※2023年開始予定 | ・毎月100ベネポ進呈
・本の要約サービスFlier(シルバープラン)がセットで月額330円(税込) |
・ポイントを無期限で貯められる
アメックスのポイントプログラムは、メンバーシップ・リワードと言い、通常は100円につき1ポイントが貯まる。
このポイントは、一度何かに交換すれば、以降は無期限になるのが大きな特徴で、ポイントを実質的に無期限で貯めていけるのだ。
ポイント交換先は多彩で、自分の好きなものに交換しやすい。数年かけてポイントを貯めてからANAマイルに交換すれば、特典航空券にも手が届く。
まとまったマイルやポイントがほしい方にとって、アメックスのポイントプログラムは魅力的だろう。