15日、ローソンの子会社であるローソン銀行は、全国にて一般向けにサービスを開始したと発表した。
口座開設は、窓口による直接申し込みではなく「専用アプリ」または「口座開設Web」から可能だ。
提供サービスは以下の通り。
- ATM
- ポイントサービス
- 普通預金・定期預金
- ネットバンキング
- 振り込み&ネット入金サービス
- Eメール通知サービス
上記は全国のローソンに設置されているATMや、ネットバンキングサービス「ローソン銀行ダイレクト」を通じて利用できる。
なお、ATMは最大24時間、365日出金・残高照会・振込対応。
ATMの設置台数は現時点で1万3,000台ほどで、90超の金融機関と提携。
これは、始まったばかりの銀行としては驚異的な数といえる。
また、引き出し・預け入れ手数料はローソンATMであれば毎日7:00~19:00のあいだ無料。
ただし、他行宛て振り込みは最低216円、同行宛て振り込みは最低54円からとなっている。
これは先行するセブン銀行・イオン銀行とほぼ同じ料金設定だ。
ローソン銀行では、今回の営業開始にあわせて2つのキャンペーンを開催。
- 口座開設で100Pontaポイントプレゼント
- ATM利用で「からあげクン」半額クーポンが出る
口座開設は無料で、口座を開設すると100Pontaポイントがプレゼントされる。
さらに、ATMでの出金・入金を利用すると「からあげクン」半額(108円引き)クーポンがその場でもらえる。
期間は10月15日~10月30日のあいだで、クーポン発行時間帯は15:00~21:00だ。
海外で発行されたカードを除き、すべてのカードがキャンペーン対象となるので利用してみよう。
さて、今回ローソン銀行が銀行業に参入したが、実は2011年に参入した「大和ネクスト銀行」以来7年振りの新規参入となる。
「冬の時代」とも揶揄されていた業界への参入を果たしたローソン銀行は、現在「ATM事業」「リテール事業」の2つをメインに掲げている。
リテール事業とは、預金・振り込み・ネットバンキングなどの金融サービスだ。
なお、9月10日にローソンが開いた記者会見によると、当面のあいだはATMをメインの事業としていくとしている。
今後は、クレジットカードをはじめさまざまな金融サービスをスタートし、徐々にリテール事業の割合を高めていく方針だ。
将来的には、世界で上昇しつづけるキャッシュレス化率を鑑みた「キャッシュレス決済プラットフォーム」の構築も検討しているとのこと。
ローソン銀行のメリット・デメリット
ローソン銀行のメリットは、以下の通りだ。
- ローソンATMなら預入/引き出し手数料が毎日7:00~19:00のあいだ無料
- ローソン銀行の利用に応じてPontaポイントが貯まる
- 専用アプリ・Webで簡単に登録できる
通常、銀行口座の開設には時間を要するが、ローソン銀行の開設は基本的にWebで完結する。
また、キャッシュカードが届いた段階でネットバンキングも利用できるようになるのはメリットだ。
全国13,000台のATMで7:00~19:00の間ATMの利用手数料が無料なのも嬉しい。
通常のATMとしての利用には、不足を感じることはないだろう。
ちなみに、ATM利用でPontaポイントも貯まるが、いくら貯まるのかについては現在のところ明かされていない。
今後、Pontaサービスとの連携も予定されているが、現在は口座開設で100Pontaポイントが貰える程度にとどまる。
続いてはローソン銀行のデメリットもみていこう。
- 振り込み手数料無料がない
- 金利が非常に安い
まず、ローソンの振り込みにかかる手数料は以下の通り。
0:00~ 7:00 | 7:00~ 19:00 | 19:00~ 24:00 | |
預け入れ/引き出し | 108円 | 無料 | 108円 |
ローソン銀行宛振り込み | 162円 | 54円 | 162円 |
他行宛振り込み | 324円 | 216円 | 324円 |
残高照会/暗証番号変更 | 無料 |
現在、振り込み手数料も回数限定で無料の銀行が多い中、ローソン銀行は他行宛て振り込みが最低216円かかる。
競合のセブン銀行やイオン銀行でもほぼ同じなのだが、差別化がなされていない。
ローソンATMを利用するとしても、他行のほうがお得に利用できる可能性もあるのはデメリットといえる。
また、大多数のネットバンキングはローソンだけでなく他のコンビニのATMにも対応しており、利用可能範囲もケタ違いだ。
ローソンでしか利用できないローソン銀行は、現状では使い勝手として他行に若干劣る。
どんなユーザーにおすすめ?
上記のメリット・デメリットを鑑みると、ローソンが生活圏内に多くあり、日常的に利用するユーザーに向いた銀行といえる。
利用の度にPontaが貯まる点はお得で、預け入れ・引き出し手数料が毎日7:00~19:00のあいだ無料なのも大きい。
開設も簡単なので、サブバンクとしてコンビニATM手数料を無料にしたい、といったニーズには強いといえる。
一方で、振込手数料が無料にならないのでメインバンクとしての利用はおすすめしにくい。
セブン銀行と比較しても、以下の部分で差が付く。
- セブン銀行のATM設置台数とは約1.9倍の差がある
- セブン銀行はSuica、Edy等の電子マネーをチャージ可能
- nanaco一体型のデビット機能付きキャッシュカードも提供
セブン銀行のATM設置台数は24,392台(3月時点)、ローソン銀行の設置台数は12,733台(2月28日時点)。
単純な利用可能範囲で比較しても、セブン銀行の利便性は高い。
とはいえ、手数料面などはほぼ同じで、設置台数を除けばそこまでの差はみられない。
今後、ローソン銀行がどう動くかにもよるが、今回の参入でセブン1強の状態にも陰りが見えてきた。
セブン銀行、イオン銀行、ローソン銀行の三つ巴となり、競争は激しさを増すだろう。