経済産業省は2026年3月31日、2025年のキャッシュレス決済比率を公表し、結果58.0%、金額にして162.7兆円に上ると発表しました。日本の消費支出の6割近くがすでにキャッシュレスで支払われている計算です。前年2024年の52.8%(141.0兆円)から5.2ポイントの上昇で、年々着実に伸びています。
2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%、日本の「今」を数字で確認
推移を見ると、2018年は29.8%(73.7兆円)でしたが、コロナ禍の非接触需要やスマホ決済の普及も後押しし、2021年に40.0%、2024年に52.8%と右肩上がりが続いています。7年間で比率はほぼ倍になった計算です。

出典:経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2026年3月31日)p.1/図「我が国のキャッシュレス決済額及び比率の推移(2025年)」
キャッシュレス決済の種類と2025年の内訳
キャッシュレス決済は大きく4種類に分かれます。クレジットカード、デビットカード、電子マネー(Suica・nanaco等)、コード決済(QRコード・バーコード決済)です。それぞれの2025年の数字を見てみましょう。
| 決済手段 | 決済額 | キャッシュレス内シェア | 支払件数 |
| クレジットカード | 134.6兆円 | 82.7% | 228億件 |
| コード決済 | 16.6兆円 | 10.2% | 135億件 |
| 電子マネー | 6.0兆円 | 3.7% | 58億件 |
| デビットカード | 5.5兆円 | 3.4% | 14億件 |
出典:経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2026年3月31日)。クレジットカードは日本クレジット協会「クレジットカード動態調査」、デビットカード・電子マネーは日本銀行「決済動向」、コード決済はキャッシュレス推進協議会「コード決済利用動向調査」をもとに経産省が集計。

出典:経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2026年3月31日)p.2/表「キャッシュレス決済額及び比率の内訳の推移」
クレジットカードが圧倒的1位、金額シェア82.7%の意味
キャッシュレス全体の金額の82.7%をクレジットカードが占めています。金額にして134.6兆円。2位のコード決済(16.6兆円)の約8倍に相当します。
QRコード決済や交通系電子マネーなどはありますが、やはり決済の主流はクレジットカードであり、また決済金額の高い支払いもクレジットカードがメインで使わているのではないかと推測されます。
最近では、特定店舗でカード決済すると7%や10%還元といった大きな還元施策が注目されています。このあたりはクレジットカードの強さが出ているように思います。
コード決済(QR)は件数急増でも金額シェアは10.2%はなぜ?
PayPayやd払いなどのコード決済は、2018年の支払件数がわずか2億件(百万件単位で200件)でしたが、2025年には135億件と急拡大しています(出典:同上)。件数では全体の約31%を占めるまでになりました。
一方で金額シェアは10.2%(16.6兆円)にとどまります。件数は多いのに金額が少ないこの理由は、コード決済がコンビニ・スーパー・飲食店などの少額決済に多く使われているためです。1回あたりの平均決済額で比べると、クレジットカードは1件あたり約5,900円なのに対し、コード決済は約1,200円(筆者試算:各決済額÷件数)。小さな買い物の積み重ねが件数を押し上げているため、金額ベースのシェアはまだ低い状況です。
ただし伸び率は顕著で、2018年のコード決済の決済額は0.2兆円でしたが、2025年には16.6兆円と、7年間で83倍に拡大しています。

出典:経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2026年3月31日)p.3/図「キャッシュレス決済手段別の支払件数(百万件)」。なお、クレジットカードと紐づけたコード決済での支払いはそれぞれ両方でカウントされるため、合計件数は実際の支払い回数より多くなっている点に留意。
電子マネー・デビットカードの現在地
電子マネー(Suica・nanaco・WAON等)は6.0兆円(3.7%)、支払件数は58億件です。件数ベースではコード決済に次ぐ規模で、交通系を中心に日常の少額支払いで根強く使われています。
デビットカードは5.5兆円(3.4%)、件数は14億件と4手段の中では最少です。銀行口座直結でリアルタイムに引き落とされるため使い過ぎを防ぎやすく、学生や家計管理を重視する方に向いています。近年は件数・金額ともに増加傾向にあります。
2030年に65%、将来は80%、政府目標が変わった理由
これまでの目標「2025年に40%」はどうなった?
政府はかつて「2025年までにキャッシュレス決済比率を40%程度にする」という目標を掲げていました。この目標は、2021年に40.0%を達成し、前倒しで実現しています(出典:経済産業省、同上)。
目標達成を受け、経産省はキャッシュレス推進検討会を開催。2025年12月に新たなとりまとめを公表し、次の目標を設定しました。
新しい中間目標「2030年に国内指標65%」の背景
新たに設定された目標は以下のとおりです(出典:キャッシュレス推進検討会とりまとめ、2025年12月)。
- 中間目標:2030年までに国内指標で65%(国際比較指標では55%)
- 将来目標:国内指標で80%、可能な限り早期の達成を目指す
2025年時点で58.0%ですから、2030年の65%まではあと7ポイント。過去の上昇ペース(直近3年で約5ポイント/年)を考えると、達成は現実的な射程内にあると言えます。ただし、キャッシュレスが浸透しにくい高齢者層への対応や、小規模店舗の端末導入コストなど、課題も残ります。
出典:経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2026年3月31日)















