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新たな機器なしで顔認証決済、FreeiD Payがstera marketでβ版

DXYZの顔認証決済「FreeiD Pay」は、三井住友カードの決済端末「stera terminal standard」にアプリを追加する形で導入できるようになる。ただし、11月20日を境に近所の店で顔で払えるようになるわけではなく、実店舗への導入はこれから順次進められる。

11月20日に始まるのは加盟店向けのβ版提供

DXYZ(ディクシーズ)は、顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」の決済サービス「FreeiD Pay」について、「stera market」でのβ版提供を2026年11月20日に始める。「stera market」は、三井住友カードが提供するオールインワン決済端末「stera terminal standard」向けのアプリマーケットプレイスだ。

「stera terminal standard」を導入している加盟店は、「stera market」からアプリを追加するだけで、新たな機器を設置せずに顔認証決済を導入できる。つまり11月20日に変わるのは、まず店舗側の導入手段である。利用者から見れば、自分の行く店が実際に導入して初めて使えるようになる。

提供開始 2026年11月20日(β版)
提供場所 stera market
対象 stera terminal standardを導入している加盟店
利用者の事前準備 FreeiDアプリで顔を登録
利用できる店舗 発表に店舗名の記載なし。実店舗での導入を順次進める

利用者は事前にFreeiDアプリで顔を登録する

レジで初めて顔を見せて払えるサービスではない。FreeiD Payを使うには、事前にFreeiDアプリで顔を登録しておく必要がある。FreeiDは、一度の顔登録で入退室・決済・本人確認を利用できる顔認証IDプラットフォームとされている。

金額入力から顔認証までstera terminal standard上で進む決済の流れ

会計では、まず店舗スタッフが「stera terminal standard」上でFreeiD Payアプリを起動し、決済金額を入力する。次に客が端末のカメラに顔を向けると、認証と決済が完了する。決済が完了したことは、FreeiDアプリのプッシュ通知とメールでも知らされる。

FreeiD Payの決済の流れ。加盟店画面で金額を入力し、お客様画面で顔認証を行い、決済完了が表示される

カードやスマートフォンを取り出さずに済むため、両手がふさがっている場面でも会計しやすいことが利用者側の利点に挙げられている。一方、スタッフによる金額入力は必要で、客が自分で会計を済ませる仕組みとして説明されているわけではない。

金額によってはPINコード入力を併用する設定もできる

決済金額に応じて、PINコード入力を併用する設定も可能とされている。そのため、導入店舗の設定によっては顔認証だけで完了しない場面もあると考えられる。どの金額からPINコードが必要になるかは、発表には記載がない。

新たな機器が不要になると導入のハードルはどう変わるか

顔認証決済のために機器を別に置くとなれば、店舗は費用とレジまわりの置き場所を検討することになる。今回の形なら、すでに「stera terminal standard」を使っている店舗は既存の端末のまま導入できる。DXYZは加盟店のメリットとして、レジまわりの省スペース化と導入コストの抑制、会計時間の短縮への貢献、新しい決済体験による集客や顧客満足度の向上を挙げている。

背景には、小売・飲食業界の人手不足を受けて省人化やレジ業務の効率化が求められていることがある。DXYZは、全国の幅広い加盟店で導入されている「stera terminal standard」と連携することで、より多くの店舗へ顔認証決済を届けられると説明している。機器の設置という壁が低くなれば、試験的に導入する店舗が増える可能性がある。

ただし、店舗が導入しても、利用者が顔を登録していなければその客には使ってもらえない。店舗側の障壁が下がることと、利用者が登録して使い続けることは別の問題であり、普及につながるかどうかは今後の導入状況を見る必要がある。

イオンモール常滑の実証では6日間で346名が利用

DXYZはこれまで、イベントや商業施設で実証提供を重ねてきた。2025年に愛知県主催「あいちデジタルアイランドプロジェクト『TECH MEETS』」の採択事業としてイオンモール常滑で行った実証では、6日間で346名が約350万円分を利用したという。1人あたりに換算すると、計算上は約1万円となる。

ただし、これは期間を区切った実証の数字であり、一般の店舗で日常的に使われた場合の利用額をそのまま示すものではない点には注意したい。

支払い元や手数料、還元の有無は発表に記載がない

今回の発表は導入手段の開始を伝える内容で、利用者や加盟店の具体的な費用や手数料には触れていない。特にキャッシュレス決済として比較するうえで欠かせない次の点は、記載がないため現時点では判断できない。

  • 支払い元:FreeiD Payにどのカードや支払い方法を紐付けて支払うのか
  • 利用者の費用:アプリの利用や決済に費用がかかるのか
  • 還元やポイント:カードのポイントや独自の還元の対象になるのか
  • 加盟店の費用:アプリの利用料や決済手数料がどうなるのか
  • 利用できる店舗:どの店舗から導入が始まるのか

利用者にとって特に大きいのは支払い元と還元の扱いだ。普段使っているカードのポイントが同じように貯まるかどうかで、カードやスマートフォンのタッチ決済から持ち替える意味は変わってくる。

顔情報の取り扱いは登録前に確かめたい

FreeiD Payは顔を登録して使うサービスであるため、顔情報の保管方法や利用範囲、登録を削除するときの扱いが気になる読者もいるだろう。今回の発表にはこれらの説明がなく、この発表だけで安全性を評価することはできない。登録を検討する場合は、アプリの利用規約やプライバシーに関する説明を事前に読んでおきたい。

正式版に向けた改善と、クーポン配信など検討中の機能

DXYZはβ版の運用を通じて機能を改善し、正式版の提供を目指すとしている。あわせて、「stera terminal standard」を導入する実店舗でのFreeiD Payの導入を順次進める。

FreeiDアプリとの連携では、利用できる店舗の検索、クーポンやキャンペーン情報の配信、来店回数に応じた特典などの機能提供を検討している。いずれも検討段階であり、β版の開始時点で使える機能として発表されたものではない。

FreeiDはマンション向けにも展開しており、2026年10月末時点でFreeiD導入480棟が竣工している。今後の展開としては、FreeiDを導入したマンションやオフィスと連携した入居者・従業員限定の特典も挙げられている。決済以外で同じ顔登録を使う場面とつながれば、登録する動機の一つになる可能性がある。

当面の注目点はstera terminal standardを使う店舗の動き

β版の対象になるのは、「stera terminal standard」を導入している加盟店だ。レジまわりに機器を増やさず顔認証決済を試せるかどうかを検討する材料にはなる。ただしβ版である点に加え、手数料やアプリの利用料は発表からわからないため、導入前に条件を確かめる必要がある。

利用者は、利用できる店舗名が公表されていない段階では、近くの店で導入が始まってから登録を検討する形でも遅くないだろう。その際は、支払い元と還元の扱いをあわせて見ておくと、今使っている決済手段と比べやすい。

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オトクレ編集長 池田 星太

執筆・編集

池田星太

オトクレ編集責任者。2013年より「大人のクレジットカード」を運営。ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、金融全般での情報発信を行っている。また、クレジットカード専門家として、雑誌やメディアでの編集や監修も行っている。日常生活のほぼすべてをキャッシュレスで過ごす。

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