クレジットカードの大手国際ブランドであるアメリカン・エキスプレス(アメックス)、VISA、Mastercard、Discoverは、カード決済時の署名(サイン)を全面的に廃止する旨を米国のニュースサイトが報じた。
このうち、アメックス、MasterCard、Discoverでは、米国を中心に現地時間4月13日よりカード会社側で廃止され、Visaは4月中に廃止する見込みと明かしている。
なお、廃止地域はカード会社によって異なる。具体的には以下の通りだ。
- アメックス:世界全域
- Visa:北米(ICチップシステムを導入している店舗のみ)
- MasterCard:アメリカ・カナダ
- Discover:アメリカ・カナダ・メキシコ・カリブ諸国
ただし、この意向はあくまでクレジットカード会社側が示したものであり、13日に一斉廃止されるわけではない。
実際に廃止するかどうかは、あくまで各事業者の判断に任されるようだ。
例として、アメリカ国内ではスーパーマーケットチェーン「ウォルマート」や、ディスカウントストア「TARGET」が今月末に廃止を予定している。
しかし、導入店舗が40,000店を超える人気のモバイル決済システム「Square」では、今のところサインを廃止する予定はないと公表している。
このように、今回の発表では対象地域の全店舗が強制廃止となったわけではない。サインが必要と判断した店舗では、引き続きカード決済時のサインを続けても問題ない。
とはいえ、消費者にとっては近年普及がすすむ暗証番号入力式や、少額決済ではサインレス(署名なし)で決済できたほうが、利便性は高い。
したがって、今回の対応でアメックスは決済の簡略化で、日本における優位性を少し増した形になったといえるだろう。
日本で主流のブランドはVisa、MasterCard、JCBだが、このうちJCBはまだサインに関する発表を行っていない。
モバイル決済によるキャッシュレス化が普及しつつある中、クレジットカードにおいても国内でのサインレス対応が待たれる。
日本では「セブンイレブン」「ユニクロ」などでサインレス決済が普及
日本ではすでに、「セブンイレブン」や「ユニクロ」、「スターバックス」などの大手チェーンでサインレス決済を導入している。
これは、カード会社と店舗で「サインレス契約」を結び、一回の決済金額が契約時の上限金額を超えなければ、サインレスで決済ができるという仕組みだ。
実際に、「セブンイレブン」では1万円以下、あるスーパーマーケットでは3万円以下など、店舗によって上限金額には違いがある。
これは、カード会社によるさまざまな不正利用対策によって、未然に防止できる可能性が上がったのと、数万円以下であれば仮に不正利用されたとしてもリスクは小さくなるためだ。
また、サインでなくとも、ICカード決済システムを導入している店舗では、暗証番号による決済も可能だ。
近年では、この2つの決済手段が主流となっており、最近はカード決済時にサインをする機会が少なくなった。
さらに、「Apple Pay」などモバイル決済アプリを介せば、個人情報を渡すことなくクレジットカード決済ができるようになった点も大きい。
クレジットカード単体で決済するより、遙かにスピーディに会計を済ませられるので、実質サインレス決済が可能になっているともいえる。
リスクの減った「サインレス決済」
上記のように、店舗が独自にサインレス決済を導入するなど、もはやサインは一昔前の本人確認方法となっている。
サインを廃止した場合、不正利用が問題となってくるが、今のクレジットカードには24時間体制のモニタリングや、盗難保険の付帯などで、不正利用の被害は年々減少している。
もし不正利用が起こっても利用者側のダメージはそこまで大きなものにならない。店舗にとっても消費者にとっても煩わしいサインの廃止は、必然といえるだろう。
最終更新日:2018/06/06