学生におすすめのクレジットカードはさまざまあるが、「国際ブランド」選びで迷うことはないだろうか。
「そもそも国際ブランドって何?」という方も多いかもしれない。
どの国際ブランドを選ぶべきかは、カード利用者がどのようにカードを利用したいかによって変わる。
本記事では、学生がクレジットカードを持つときに知っておきたい「国際ブランド」の違い、選ぶ際のポイント、それぞれの特徴について解説する。
目次
国際ブランドによる違い
膨大な種類があるクレジットカードだが、大きく「国際ブランド」で分類することができる。
国際ブランドとは、クレジットカードの決済システムを提供している会社のことで、基本的にクレジットカードには必ず何らかの国際ブランドが付いている。
知名度が高い国際ブランドとしては、「5大国際ブランド」と呼ばれる「VISA」「マスターカード」「JCB」「アメリカン・エキスプレス(アメックス)」「ダイナースクラブ」がある。
また、訪日中国人客がきっかけで日本でも知名度が上がってきた「銀聯」、アメリカを中心とした「ディスカバー」を加えて、「7大国際ブランド」と呼ぶこともある。
これらの国際ブランドによる最も大きな違いは、利用できるお店の違いである。
クレジットカードは、そのカードブランドの「加盟店」のお店でのみ支払いができる。
つまり、加盟店の多い国際ブランドほど、使える場所の多い国際ブランドということになる。
5大国際ブランドの中で、「VISA」「マスターカード」は世界的に加盟店の多い国際ブランドで、世界200ヵ国以上をカバーし、ほとんどの国で使える。
5大国際ブランドの中で唯一日本発のブランドが「JCB」だ。そのため、日本国内では「JCB」の加盟店も多い。
一方で、海外では加盟店が少ないため、「海外ではJCBは使いにくい」というイメージもある。
「アメックス」と「ダイナースクラブ」は、もともと高所得者をメインターゲットとしてきたという背景もあり、VISAやマスターカードと比較すると加盟店の数はあまり多くない。
また、「銀聯」は中国を中心とした国際ブランドだが、訪日中国人がよく利用する店舗を中心に、日本国内でも加盟店が増えている。
「ディスカバー」は日本国内には加盟店がなく、発行もできない。
支払い方法はどの国際ブランドも同じ
クレジットカードとしての基本的な使い方は、どの国際ブランドのカードも同じである。
支払いの時はお店の人にカードを渡して(または自分で機械にカードを読み取らせて)、金額を確認し暗証番号を入力するか手書きのサインをする。
少額の買い物では、暗証番号もサインも不要な場合がある。
海外では不正利用防止を目的とした本人確認のために、パスポート原本の提示を求められることも多くなっている。
学生がカードを作る時のポイント
国際ブランドにこだわらない場合
初めてのクレジットカードを学生の時に作る際、日本国内で使うことがほとんどという場合は、国際ブランドは「VISA」「マスターカード」「JCB」のいずれかを選ぶと良いだろう。
この3つの国際ブランドであれば、日本国内のほとんどの店で利用可能だ。
国際ブランド以外には、「ポイントがたくさん貯まる」「カードデザインの好み」などの基準で選んで問題ない。
海外利用は国際ブランドが重要
留学や海外旅行など海外で利用することを想定してクレジットカードを作る場合は、渡航先で利用できる店が多い国際ブランドを選ぶと良い。
まずは「VISA」と「マスターカード」が候補に挙がるが、併せて考えたいのが、国際ブランドによって日本円換算レートが異なるということだ。
日本で作ったカードを海外で利用すると、利用日または利用日から数日後のカード会社の独自レートが適用され、日本円に換算された上で請求される。
この「独自レート」は、日々変動する為替レートを元に、利用手数料や事務手数料などを上乗せして決められている。
そのため、同じ日に同じ金額を利用しても、国際ブランドによって1現地通貨あたり1~2円も差が生じることもある。
特に、留学先で生活用品などを買いそろえたり、海外旅行でまとまった金額を使ったりすると、国際ブランドが違うだけで請求にそれなりの差が出ることもあるのだ。
換算レートは通貨によっても異なり、日によっても変わるため一概には言えないが、5大国際ブランドを換算レートが安い順に並べると、次のようになるケースが多い。
「JCB」<「マスターカード」<「VISA」<「アメックス」<「ダイナース」
ただし、米ドルや豪ドル、ユーロの場合、「JCB」「マスターカード」「VISA」の順番はしばしば入れ替わる。
このように、日本円換算レートのことを考えると、「VISA」と「マスターカード」だけでなく、「JCB」を選んだ方が良い場合もあることが分かる。
「JCBは海外で使いにくい」というのは事実だが、たとえばハワイやグアムなど、日本人がよく訪れる国には例外の場所もある。
また、ハワイやグアムでは、カード会員が利用できる日本語対応の旅行サポート窓口や、観光に便利なトロリーの無料利用など、便利な特典・サービスを提供している。
渡航先でJCBがどのぐらい使えるかということは、一度調べておくと良いだろう。
また、オーストラリアなど一部の国では、クレジットカードで支払いをすると、店側が利用手数料の名目で利用金額の数パーセントを上乗せすることがある。
このパーセンテージも国際ブランドによって異なるが、比較的「アメックス」は手数料が高い傾向にある。
海外で利用することを考えてクレジットカーを作る場合は、国や地域ごとの事情を考慮しながら、さまざまな視点での情報が必要になってくる。
ステータス性重視の国際ブランド
クレジットカードの仕組みは、「クレジットカード会社が利用代金を立て替え、利用者は後からまとめて支払う」というもので、「クレジット=信用」の名の通り、信頼関係に基づいた仕組みだと言える。
クレジットカードは、もともとは富裕層のために考えられたものであり、当初はクレジットカードを持つこと自体がステータスとなっていた。
現在も、「アメックス」や「ダイナース」ではこの流れを継承しており、これらのカードは「ステータスカード」といった呼び方をされることもある。
他の国際ブランドでも、一般カードより上位の「ゴールド」「プラチナ」「ブラック」といったカードはステータス性が高いとされている。
その中でも、「アメックス」の特にゴールド以上のカードと「ダイナース」は、歴史に裏打ちされたステータス性の高さを誇る。
利用する店にもよるが、カードを提示しただけで一目置かれる場合もあり、ステータス性を重視する人には憧れの国際ブランドとなっている。
また、ステータス性の高いカードは、特典や保険などが手厚いことが多い。
ステータス性を重視するかはその人の価値観によって大きく分かれるが、二枚目以降のクレジットカードでは、ステータス性を考慮した国際ブランド選びをするのも良いだろう。
国際ブランドごとの特徴
VISA
世界で最も認知度が高く利便性が高いと言われるアメリカのブランド。
会員数は約20億人と、VSAに次ぐマスターカードの倍の人数がいる。
世界200カ国以上、3000万店以上の加盟店で利用できるため、クレジットカード払いができる店では確実に使える安心感がある。
その広まり方からも分かるように、収入・年齢・生活スタイルなど幅広い層の利用者に日常的に利用してもらうことをコンセプトとしている。
自社ではカードの発行を行わず、カード会社へのライセンス発行のみ行うことで、多くのカードにVISAが付いている。
日本では「三井住友カード」が統括しており、三井住友カード発行・提携のカードは種類が多い。
それ以外にも、銀行や企業などからさまざまな企業と提携しており、提携企業ごとのサービスが付帯した便利なカードが発行されている。
マスターカード
アメリカのブランドで、会員数は約10送人、加盟店数は「VISA」とほぼ同じ。
VISAよりも幅広い業種の加盟店があり、利便性の高さでVISAに並んでいる。
特にヨーロッパで強い国際ブランドと言われていたこともあるが、現在ではそれ程差はないようだ。
VISAと同様に、自社でのクレジットカードの発行は行わず、カード会社へのライセンス発行のみ行っており、マスターカードが付いたカードも多い。
また、日本円換算レートがVISAよりマスターカードの方が安いことも多く、利用者はまだ増えていくことが予想される。
JCB
日本唯一の国際ブランド。アメックスの日本進出とほぼ同じタイミングで富裕層向けのカードサービスを始めた、歴史あるブランドだ。
JCBの富裕層向けサービスは、昔から日本らしい視点のきめの細かさに定評がある。
ステータス性だけでなく、幅広い層に向けて日常での利用も推進しており、日本国内の会員数は11,000万人以上と、国内ではVISA、マスターカードを抑え第一位となっている。
国内の加盟店数も、VISAとマスターカードの約800万店に対し、JCBは約850万店と上回っている。
日本国内で最も利便性の高いカードはJCBであると言えかもしれない。
海外での利便性の改善
JCBは海外で使える店が少ないというデメリットについても、他の国際ブランドとの提携によりある程度改善されている。
具体的には、JCBは、アメックスとカナダ、オーストラリア、日本を含む複数国で相互開放について提携、ディスカバーと米国、日本での相互開放について提携している。
相互開放について提携している国では、その国際ブランドの加盟店でなくとも、提携国際ブランドの加盟店であればカードの利用ができる。
ただし、アメックスはアメリカでは相互利用の提携はしていないので注意が必要だ。
また、海外ATMでのキャッシングサービスも「マスターカード」系の「Cirrus」と提携しており、JCBのカードでも「Cirrus」でのキャッシングが可能だ。
実は、「JCB」の海外キャッシンクサービスの日本円換算レートは、「JCB」のショッピングレートよりもさらに良い。海外でキャッシングサービスを利用する機会にはぜひ活用いしたいところだ。
アメックス・ダイナースクラブ
どちらもアメリカの会社で、「クレジットカード」の歴史とサービスの基盤を作ってきたとも言えるステータス性のあるブランド。
富裕層向けに始まったサービスを背景としており、他のブランドと比較すると入会審査基準が厳しい。
学生や新社会人がいきなり作るにはハードルの高いカードの国際ブランドと言えるだろう。
二枚目以降のクレジットカードで、安定した職に就き、クレジットカードの利用実績を積んだタイミングで申し込むのがおすすめ。
その場合、ダイナースクラブよりアメックスの方がカードの種類があり、使いやすい。
学生におすすめの国際ブランド
学生がカードを作る場合、「カードの入会審査に通るのか」という点が第一関門である。そもそも学生の申込不可のカードも多い。
しかし、最近は学生へのクレジットカードの門戸が広がっており、学生を対象にしたカードも増えているので、基本的にそういったカードから選ぶと良いだろう。
便利でお得なカードが多く、「学生限定サービス」として一般利用者がうらやむほどの優遇をしているカードもある。
こういったサービスは恩恵を受けられるうちに遠慮なく利用すべきだ。
国際ブランドの選び方については、前述の通り、大きく「日本国内メインで使うのか」「海外での利用が目的なのか」によって異なってくる。
海外では国・地域によっても使い勝手が異なるため、自分の状況に合うものを選ぼう。
いずれにしても「VISA」「マスターカード」「JCB」からの選択となるだろう。
「JCB」は、日本国内とハワイやグアムでの利便性が高いことと、現地通貨の日本円換算レートが良いことがメリット。
ただし、国や地域によっては加盟店が少ないこともあり、海外でのショッピング利用には不安が残る。
ハワイやグアム以外の国・地域であれば、「VISA」か「マスターカード」が良いだろう。
この2つのブランドは甲乙つけがたいが、日本円換算レートの点では「マスターカード」がややお得かもしれない。
また、「アメックス」と「ダイナース」は、社会人になって収入や年齢が上がって、自身の社会的信用度が増してからでも遅くはない。
クレジットカードとは、どれか1枚を選ばなければならないものではない。
紛失や盗難、その他のトラブルに備えて、特に海外旅行時には複数枚持つのが一般的だ。
それぞれのカードの機能やサービスを比較し、状況に合わせて効果的に使えるようになるとより理想的である。
そのことも踏まえて、一枚目のカードは安定して利用できるものを選ぶと良いだろう。