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ANAのSFC新制度が確定、年間300万円未満でもラウンジ利用可に

ANAは2026年9月29日、ANAスーパーフライヤーズカード(SFC)制度改定の見直し後の内容を公式サイトで発表した。年間決済額300万円を境に「SFC PLUS」と「SFC LITE」に分ける枠組みは維持しつつ、利用者から多くの声が寄せられていたSFC LITEのラウンジ利用不可を撤回し、条件付きで利用できる形に改めた。

6月の「見直し表明」から3か月、9月末に結論が出た

ANAは2026年4月、ANAカード・ANA Payの年間決済額によってSFC会員を2区分に分ける制度改定を発表した。年間300万円に届かない会員はANAラウンジを利用できなくなる内容で、既存会員も対象だったことから批判が集まり、ANAは6月25日に改定内容を見直す方針を表明し、9月末までに改めて案内するとしていた。

今回の発表はその結論にあたる。ANAは見直しの理由について、ラウンジ利用に関する利用者の声が多かったことと、実現可能な改善策を検討した結果だと説明している。一方で、ラウンジの混雑を懸念する声もあるため、予約動向などをもとにした利用人数の予測に基づいて当日の利用可否を案内するとしている。

改定の根本的な理由として挙げられているのは、利用者の増加によるラウンジの混雑である。ANAは制度・運用の見直しに加え、ラウンジの施設・設備の拡充も続けるとしており、羽田空港では2027年度にラウンジの拡張を予定していることも明らかにした。

SFC LITEのANAラウンジは「利用不可」から「条件付きで利用可」へ

今回の見直しで変わったのは、SFC LITE(ANAカード・ANA Payの年間決済額300万円未満)のANAラウンジ利用に関する部分である。4月の発表では「ANAラウンジについてはご利用になれません」とされていたが、新制度では国内線・国際線とも一定の条件のもとで利用できるようになった。

SFC LITEのANAラウンジ利用 2026年4月発表の改定内容と2026年9月発表の新制度の比較

国内線は混雑時を除き利用可、事前予約の仕組みも導入

国内線では、混雑時を除いてANAラウンジと共用ラウンジを利用できる。ただし、年末年始やゴールデンウィークなどの大型連休、出発便が集中する時間帯など、混雑が予想される期間・時間帯は利用できない場合がある。帰省や連休の旅行でラウンジを使いたい人ほど、利用できないリスクを見込んでおく必要がありそうだ。

この不確実さを補うため、ANAはSFC LITE会員を対象としたラウンジの事前予約の仕組みを導入する。ANAウェブサイトでのフライト予約時や発券時、予約確認画面から空き状況の確認や予約ができるようになる予定で、電話での確認・予約は受け付けない。予約システムは調整中で、具体的な方法は2027年度中に案内するとしている。

事前予約の枠数には限りがあり、対象外となるケースもある。対象外となるラウンジと便は次のとおりだ。

  • 対象外ラウンジ:成田空港 ANA ARRIVAL LOUNGE(成田空港 国内線出発ラウンジ)、国内線共用ラウンジ(名古屋(中部)・関西・熊本・宮崎)
  • 対象外便:ANAグループ運航便のうち、ANA便名以外(コードシェア便等)で利用する場合

事前予約をしていない場合でも、混雑時を除けば当日そのままラウンジを利用できる。ただし入室できるかどうかは搭乗日当日にラウンジ受付で案内される仕組みで、電話やANAウェブサイトから当日の空き状況を確認することはできない。なお、SFC PLUS会員は事前予約なしでANAラウンジを利用できる。

国際線は羽田・成田・ホノルルのANAラウンジが対象

国際線では、ANAグループ運航便に搭乗する場合に、羽田・成田・ホノルルのANAラウンジを利用できる。国際線ラウンジは事前予約の対象外で、国内線のような「混雑時を除き」という条件も示されていない。

一方で、スターアライアンス加盟航空会社を利用する場合、SFC LITEに適用されるのは「スターアライアンス・シルバー」である。ANAは、この場合ラウンジの利用をはじめ、優先チェックイン、優先搭乗、手荷物の優先受け取りといった特典は原則として対象外になると説明している。ANA以外のスターアライアンス加盟航空会社を使う機会が多い人にとっては、4月案から状況は変わっていない点に注意したい。

ブロンズメンバーやANAカードプレミアム会員の扱い

SFC LITE会員でも、「ブロンズメンバー」サービスの対象者であれば、混雑時でもマイルを使うことでANAラウンジを利用できる。また、ANAカードプレミアムを持っている場合は、カード本来のサービスとして本会員のみ(家族会員は除く)国内線ANAラウンジを利用できる。

ただし、ANAカードプレミアムの特典は同伴者の入室には使えない。同行者を連れて入る場合は、混雑時を除きラウンジ受付での入室案内となり、席を確保したい場合は事前予約も可能だとしている。

SFC PLUSとSFC LITEの違い、ラウンジ以外は4月案のまま

ラウンジ以外の区分ごとの違いは、4月の発表内容から変わっていない。年間決済額300万円以上のSFC PLUSは、2028年3月31日までの従来制度と同じサービスを受けられるうえ、新たに「SFCマイル特典」として5,000マイルが進呈される。SFC LITEは、ラウンジの条件付き化に加え、スターアライアンスのステイタスがシルバーになり、SFCマイル特典とロンドンヒースローエクスプレス利用時の優待が対象外となる。

項目 ANAスーパーフライヤーズカード SFC PLUS ANAスーパーフライヤーズカード SFC LITE
区分の条件 ANAカード・ANA Pay年間決済額300万円以上 ANAカード・ANA Pay年間決済額300万円未満
ANAラウンジ 利用可(事前予約不要)
  • 国内線:混雑時を除き利用可(事前予約の仕組みあり)
  • 国際線:羽田・成田・ホノルルのANAラウンジを利用可(ANAグループ運航便搭乗時)
スターアライアンスのステイタス スターアライアンス・ゴールド スターアライアンス・シルバー
SFCマイル特典 5,000マイル 対象外
ロンドンヒースローエクスプレスご利用時のご優待 対象 対象外
予約・空港・マイル・旅行関連のその他サービス 従来どおり 従来どおり(空港サービスはANAグループ運航便利用時のみ対象)

SFC LITEでも、プレミアムメンバー専用サービスデスク、国内線座席指定の優先、優先チェックインカウンター、専用保安検査場、優先搭乗、手荷物許容量の優待、フライトボーナスマイル、マイルからANA SKY コインへの特別倍率での交換といったサービスは引き続き対象となる。空港サービスはANAグループ運航便を利用する場合に限られるが、国内線をANAで移動する分には、ラウンジを除いて従来に近い使い勝手が続くといえる。

SFCマイル特典5,000マイルは本会員のみ、毎年4〜5月に積算

SFC PLUSに進呈される5,000マイルは、区分判定後、毎年4月〜5月を目途に積算される。対象は本会員のみで、家族会員の決済額は本会員分に合算されたうえで、本会員のマイル口座に5,000マイルが積算される。ANAカードの継続ボーナスマイル(カード種別ごとに2,000マイルまたは10,000マイル)は、条件を満たせばこれとは別にもらえる。

100万LTマイル到達者は決済額に関わらずSFC PLUS

100万ANAライフタイムマイル(LTマイル)に到達したミリオンマイラーは、ANAカード・ANA Payの年間決済額に関わらずSFC PLUSとなる。ただし、5,000マイルのSFCマイル特典は年間決済額が300万円以上の場合にのみ進呈されるため、ミリオンマイラーでも決済額が300万円未満ならマイルは受け取れない。

判定期間は2026年12月16日から、新区分は2028年4月スタート

スケジュールは4月の発表から変わっていない。2026年12月16日から2027年12月15日までの1年間が最初の判定期間で、この期間のANAカード・ANA Pay決済額に基づいて、2028年4月1日から新しい区分でのサービスが始まる。それまでの間、2028年3月31日までは従来制度のサービスが続く。

判定期間2026年12月16日から2027年12月15日まで、2028年4月1日新サービス開始のスケジュール

区分判定は毎年実施され、翌年度の区分は3月頃にメールで通知される予定だ。年間決済額が300万円に届かなかった場合でも退会扱いにはならず、翌年度はSFC LITEとしてサービスが提供される。家族カードの会員には、本会員と同じ区分のサービスが提供される。

判定の対象になる決済・ならない決済

判定の対象は、券面に「ANA CARD」と記載のある日本国内発行のANAカードとANA Payの決済額である。航空券の購入だけでなく、公共料金やスーパー、飲食店、日用品の買い物など日常の支払いも対象になる。ANAカード家族会員の利用分は本会員分に合算され、ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードやANAダイナースプレミアムメタルカードの利用分も合算される。対象カードを複数枚持っている場合は、マイル口座が統合されていればANAカードの利用金額が合算される。

一方、主な対象外は次のとおりだ。

  • ANAカード(法人用)、海外発行のANAカード(ANA CARD U.S.A.、CTBC ANAカード等)
  • カードに付帯している電子マネー(楽天Edy、PASMO、Suica、nimocaなど)の利用分、ANA銀聯カードの利用分
  • 年会費、各種手数料(付帯カード発行、マイル移行、リボ払い・分割払い等の手数料)、キャッシング利用分
  • ANAカードからANA Payへのチャージ金額(本会員・家族会員とも)

ANAカードからANA Payへのチャージ額は対象外で、ANA Payで実際に支払った額が判定対象になる。また、カードブランドを変更した場合、変更前のカードの利用分は原則対象外になるため、判定期間中の切り替えには注意が必要だ。

年間300万円は、月平均にすると25万円である。家族カード分も合算できるとはいえ、単身で日常の支払いだけで到達するのは簡単ではない水準で、この点は4月案から変わっていない。

4月の発表を受けて退会した人は再入会を申請できる

今回の発表では、4月の制度改定発表を受けてSFCを退会した人を対象に、特例として再入会の手続きを受け付けることも明らかにされた。対象となるのは、2026年4月23日から2026年9月29日までの間にSFCを退会(解約)し、その理由が4月発表の制度改定によるものである人だ。

申請は専用Webフォームから行い、受付期限は2027年3月31日(水)送信分までとなる。2027年4月1日以降の申し込みは受け付けないとしている。申請には退会前のANAマイレージクラブお客様番号、または登録していた個人情報が必要になる。

再入会にあたっては提携クレジットカード会社の所定の審査があり、結果によっては希望に沿えない場合もある。入会時には年会費がかかり、クレジットカード番号とANAマイレージクラブお客様番号は新しく発行される。申込書の到着には1〜2か月程度かかる場合があり(JCBブランドを希望する場合はメールでオンライン申し込み用のURLが届く)、入会記念のオリジナルネームタグは対象外となる。

これから入会する人は一律SFC LITEからスタート

SFCの申し込み条件は新制度でも変わらない。「ダイヤモンドサービス」または「プラチナサービス」のステイタスを獲得するか、ANAグループ運航便への搭乗で100万ライフタイムマイルに到達すれば申し込める。

ただし新規入会時は、ANAグループ運航便で100万LTマイルに到達している人を除き、一律でSFC LITEからのスタートとなる。入会後は、入会日が含まれる判定期間(12月16日〜翌年12月15日)の決済額の合計で判定され、判定期間終了後の翌年度から新しい区分が適用される。プレミアムステイタスの有効期間中は、そのステイタスのサービスもあわせて利用できる。

SFC保有者・修行検討者にとっての意味

今回の見直しで最も大きいのは、年間300万円に届かないSFC会員でも、ANAの国内線を中心に使う限りラウンジを利用できる道が残った点である。4月案では「決済300万円未満ならラウンジ不可」だったため、SFCの価値そのものが揺らいでいたが、新制度ではSFC PLUSとSFC LITEの差は、主に混雑時のラウンジ利用、スターアライアンス・ゴールドの有無、5,000マイルの3点に絞られたといえる。

国内線中心の利用者であれば、無理に決済をANAカード・ANA Payに集中させなくても、SFC LITEで十分と考える人も多いだろう。一方、スターアライアンス加盟航空会社で海外に出る機会が多い人や、連休など混雑期にもラウンジを確実に使いたい人にとっては、300万円の決済を目指すかどうかが引き続き判断のポイントになる。判定期間は2026年12月16日に始まるため、それまでに自分の年間支出のうちANAカード・ANA Payに寄せられる額を見積もっておくとよいだろう。

これからSFC取得のための搭乗(いわゆるSFC修行)を検討している人にとっては、取得後は原則SFC LITEから始まる点を踏まえて判断したい。国内線ラウンジの利用は混雑時に制限があり、事前予約の具体的な使い勝手は2027年度中の案内を待つ必要がある。ANAは今後の制度変更について、現時点で決まっているものはないとしつつ、外部環境の変化などに合わせて見直す可能性はあり、その際は十分な周知期間を設けるとしている。

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オトクレ編集長 池田 星太

執筆・編集

池田星太

オトクレ編集責任者。2013年より「大人のクレジットカード」を運営。ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、金融全般での情報発信を行っている。また、クレジットカード専門家として、雑誌やメディアでの編集や監修も行っている。日常生活のほぼすべてをキャッシュレスで過ごす。

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