楽天カードは2026年9月30日、みずほ銀行との法人分野での業務提携の成果として、UPSIDERと共同開発した法人向けクレジットカード「楽天ビジネスカードプラチナ」の申込受付・発行を10月1日から開始すると発表した。年会費は無料、ポイント還元率は1.0%、利用限度額は最大10億円で、発行を記念した10,000ポイントの入会キャンペーンも同日から始まっている。
楽天カード・みずほ銀行・UPSIDERの3社で生まれた法人カード
楽天ビジネスカードプラチナは、楽天カードとみずほ銀行の業務提携契約に基づき、みずほフィナンシャルグループの一員であるUPSIDERと共同開発された法人向けカードだ。発行会社は楽天カードで、国際ブランドはVisaとなる。
みずほ銀行と楽天カードを含む6社は2024年11月に業務提携契約を結び、2024年12月には個人向けの提携カード「みずほ楽天カード」を発行している。今回の楽天ビジネスカードプラチナは、その提携を法人分野に広げた形だ。
開発の中核にあるのはUPSIDERの技術基盤である。UPSIDERは法人カード「UPSIDER」などを提供しており、過去の財務情報だけでなく、銀行APIを通じたリアルタイムの取引データや事業の成長性を評価する独自の与信モデルを持つ。楽天ビジネスカードプラチナでは、この与信モデルとカード運営基盤をUPSIDERが提供している。楽天カード側から見れば、楽天ポイントという強い集客力に、UPSIDERの法人与信と経理機能を組み合わせたカードといえる。

なお、申込は楽天カードのホームページからのみ受け付けており、みずほ銀行やUPSIDERの店舗・ウェブサイトからは申し込めない。
楽天ビジネスカードプラチナの基本スペック
公式発表と楽天カードの商品ページに記載されたスペックを整理すると以下のとおりだ。
| カード名称 | 楽天ビジネスカードプラチナ |
| 発行会社 | 楽天カード株式会社 |
| 国際ブランド | Visa |
| 申込対象 | 法人(中小企業向け)。個人事業主は申込不可 |
| 年会費 | 無料 |
| 発行手数料 | 無料(2枚目以降のリアルカードは1枚あたり1,540円・税込み) |
| 利用限度額 | 最大10億円(審査時に連携した情報をもとに設定) |
| 発行枚数 | 上限なし(初期上限は100枚。審査により引き上げ・撤廃が可能) |
| ポイント還元率 | 1.0%(100円につき1ポイント) |
| 支払方法 | 銀行振込(月末締め、翌月15日支払い) |
| 申込方法 | 楽天カードホームページからWebで申込 |
ポイントは一部対象外や還元率が異なる利用先がある。また、付与先は申し込んだ法人が指定する法人代表者名義の楽天IDとなる。法人の経費で貯めたポイントが代表者個人の楽天IDに入る仕組みのため、社内でポイントをどう扱うかはあらかじめ決めておきたい。
支払方法が銀行振込である点も特徴的だ。個人向けカードのような口座からの自動引き落としではなく、毎月15日までに法人側で振り込む運用になるため、経理の支払いスケジュールに組み込んでおく必要がある。
年会費無料で1.0%還元、経費支払いがそのままポイントに
楽天ビジネスカードプラチナの最もわかりやすい魅力は、年会費無料でありながら、カード利用額に対して楽天ポイントが1.0%貯まる点だ。何枚発行しても年会費はかからず、社員ごとにカードを配っても固定費は増えない(2枚目以降のリアルカードは発行手数料1,540円がかかる)。
広告費やサーバー代、仕入れなど、法人の支払いは金額がまとまりやすい。たとえば月100万円の経費をこのカードで支払えば、単純計算で月1万ポイント、年間12万ポイントが貯まる計算になる。楽天カードが「経費支払いを通じた実質的なコスト削減」をうたうのはこのためだ。
楽天市場は実質3%、楽天トラベルは実質3.5%
付帯特典として、楽天グループのサービスで還元率が上がる仕組みも用意されている。
楽天市場での利用はポイント3倍で、実質3%還元となる。内訳は楽天市場の利用分1倍、カードの通常分1倍、特典分1倍で、特典分は期間限定ポイントとして付与される。特典分の獲得上限は月5,000ポイントのため、楽天市場で月50万円(税抜き)までの購入なら上限を気にせず3%還元を受けられる計算だ。備品や消耗品を楽天市場でまとめて購入している法人には効果が大きい。
楽天トラベルの国内宿泊はポイント3.5倍で、実質3.5%還元となる。こちらはエントリー制で、カードの審査通過後にメールで案内されるユーザー管理画面からエントリーする必要がある。出張の多い会社は忘れずにエントリーしておきたい。
楽天モバイルとタクシーアプリ「GO」の特典
楽天モバイルの法人回線を契約している場合、契約継続特典として1回線あたり毎月250ポイント(期間限定ポイント)が最大3年間付与される。3年間続けば1回線あたり最大9,000ポイントになる。対象は音声とデータ無制限のプラン(月額基本料2,980円・税抜き)のみだ。楽天カードの商品ページでは、専用フォームからの新規契約で1回線あたり5,000ポイントの進呈と契約事務手数料3,000円(税別)の免除も案内されている。
タクシーアプリ「GO」の法人向けサービス「GO BUSINESS」に専用フォームから新規で申し込み、このカードを決済方法に指定すると、ポイントは2.5倍の実質2.5%還元となる。ただし特典分の上限は月500ポイントで、直近1年以内にGO BUSINESSの契約実績がある法人は対象外となる。
このほか、Visaが提携するサービスを特別価格で利用できる「Visaビジネスオファー」も使える。
最大10億円の限度額と会計システム連携が経理を変える
ポイント以上に法人にとって意味が大きいのは、限度額と経理機能だ。
銀行口座の情報から限度額を決める独自の与信
楽天ビジネスカードプラチナは、法人の事業状況に応じた独自の与信モデルにより、最大10億円の限度額を設定する。限度額の審査では、連携した銀行口座の残高などの情報をもとに判断する仕組みで、審査には銀行口座情報の連携が必要となる。
決算書の数字だけで判断される従来型の審査では、設立間もない会社や急成長中のスタートアップは限度額が伸びにくい。広告費や仕入れなど、事業の拡大に合わせて決済額が膨らむ局面でカードの枠が足りなくなるのは、法人カードでよくある悩みだ。口座の動きを見て枠を決める方式は、こうした会社にとって選択肢になり得る。実際に楽天カードは、設立したばかりの法人でも申し込めると案内している。ただし、限度額は審査の結果次第で希望に沿えない場合もある。
会計システムとの自動連携と証憑回収
主要な会計システムとの自動連携機能を備え、利用明細の取り込みや仕訳作業を効率化できる。自動連携には会計システム側での所定の事前設定が必要だ。専用アプリで領収書を撮影してアップロードするだけで、約10秒で証憑を回収できるという。
管理面では、利用先を広告費だけに絞るといった利用先制限機能や、紛失・盗難時にユーザー管理画面やアプリから即時にロックできるカードロック機能もある。社員に複数枚のカードを配る場合でも、利用範囲を絞って管理しやすい設計だ。
Webで完結する申込と、バーチャルカードの即時発行
申込はWebで完結し、入会申込書や登記簿謄本などの書面提出は不要だ。申込時には以下を用意する。
- 顔写真付きの身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 企業ドメインのメールアドレス
- 法人名義の銀行口座
- 委任状(代表者以外が手続きする場合のみ)
申込は楽天IDの作成から始まり、会員規約への同意、メールアドレスの登録、ユーザー管理画面の登録、本人確認、法人情報の入力と進む。その後、法人審査(アカウント開設)、限度額審査の順に審査が行われる。
限度額審査が終われば、バーチャルカードはその場で発行でき、すぐに使い始められる。リアルカードは発行申請から3〜10営業日で届き、受け取り後にアクティベートが必要だ。ネット広告やSaaSの支払いならバーチャルカードで足りるため、審査完了から利用開始までの時間を大きく短縮できる。
付帯保険として、リアルカードには海外旅行傷害保険と国内旅行傷害保険(いずれも傷害死亡・後遺障害保険金は最高3,000万円)、不正利用補償(2,000万円まで)が付く。ただし、バーチャルカードは付帯保険・補償の対象外となる点に注意したい。

10月31日までの申込で10,000ポイントの入会キャンペーン
発行を記念して、楽天カードは「楽天ビジネスカードプラチナ新規入会&申込月の翌月末までの発行で10,000ポイントキャンペーン」を実施している。
| 申込対象期間 | 2026年10月1日(木)0:00〜10月31日(土)23:59 |
| カード発行完了の対象期間 | 2026年10月1日(木)10:00〜11月30日(月)23:59 |
| 特典 | 新規入会特典として10,000ポイント(通常ポイント) |
| 進呈予定 | 2026年12月末頃 |
条件は、新規入会したうえで申込月の翌月末までにカード発行を完了させることだ。10月中に申し込み、11月末までに発行を終える必要がある。
注意したいのは対象外の条件である。個人や個人事業主からの申込は対象外となる。さらに、楽天コーポレートカードや既存の楽天ビジネスカードを申し込んでいる、またはすでに持っている場合も対象外だ。従来の楽天ビジネスカードを使っている法人代表者が乗り換えを検討する場合、このキャンペーンの特典は受けられない。また、ポイント進呈予定月の前月末時点でカードを受け取っていない場合や、利用可能なカードを持っていない場合も対象外となる。
楽天カードは今後、第2弾、第3弾のキャンペーンを実施する予定としている。
従来の楽天ビジネスカードとは何が違うのか
今回の発表で、楽天カードの法人・事業者向けカードは3種類になった。個人事業主などが楽天プレミアムカードの付帯カードとして持つ「楽天ビジネスカード」、中小企業向けの「楽天ビジネスカードプラチナ」、そして大企業向けに同じく10月1日から申込受付を始めた「楽天コーポレートカード」だ。
既存の楽天ビジネスカードと楽天ビジネスカードプラチナを比べると、性格の違いがはっきりする。
| 項目 | 楽天ビジネスカード | 楽天ビジネスカードプラチナ |
| 位置づけ | 楽天プレミアムカードの付随カード | 法人単独で申込できるカード |
| 申込対象 | 法人代表者・個人事業主 | 法人のみ(個人事業主は不可) |
| 年会費 | 2,200円(税込み)に加え、楽天プレミアムカードの年会費11,000円(税込み)が必要 | 無料 |
| 国際ブランド | Visa | Visa |
※楽天ビジネスカードの情報は楽天カード公式サイトの商品ページによる。
従来の楽天ビジネスカードは、代表者や個人事業主がまず個人として楽天プレミアムカードを持ち、そこにビジネス用のカードを付け足す形だった。年会費は合計で13,200円かかり、カードの名義も代表者個人の延長線上にある。
これに対して楽天ビジネスカードプラチナは、法人そのものが申し込み、年会費無料で社員用のカードを複数枚発行できる(初期上限は100枚で、審査により引き上げ・撤廃が可能)。限度額も銀行口座のデータをもとに最大10億円まで設定され、会計システム連携や利用先制限など、複数人で使う前提の管理機能がそろう。代表者1人の経費精算を楽にするカードから、会社全体の支払いと経理を担うカードへと役割が変わったといえる。
一方で、個人事業主は楽天ビジネスカードプラチナに申し込めない。個人事業主にとっての楽天カードの選択肢は、引き続き楽天プレミアムカードと楽天ビジネスカードの組み合わせとなる。
楽天ビジネスカードプラチナが向いている法人
楽天ビジネスカードプラチナがまず候補になるのは、広告費やSaaS、仕入れなどカード決済額が大きく、既存の法人カードでは限度額が足りないと感じているスタートアップや中小企業だろう。銀行口座のデータをもとに枠が決まる仕組みは、決算書の実績が少ない会社にとって検討の余地がある。
楽天市場で備品を購入したり、楽天トラベルで出張の宿を手配したりしている会社なら、年会費無料のまま実質3%以上の還元を受けられる場面も多い。社員ごとにカードを配って経費精算の手間を減らしたい会社にとっても、年会費無料で枚数を増やせる点は使いやすい。
ただし、支払方法が銀行振込であることや、ポイントの付与先が代表者個人の楽天IDであること、バーチャルカードに保険が付かないことなど、運用面で確認しておきたい点もある。法人カードは年会費や還元率、支払方法、管理機能がカードごとに大きく異なるため、自社の月々の決済額と主な支払先、経理の体制に照らして比べたうえで選ぶとよいだろう。














