三井住友銀行と三井住友カードは2026年9月29日、総合金融サービス「Olive」の商品ラインナップにキャッシングサービス「マネーアシストプラス」を追加すると発表した。Oliveの利用状況に応じた金利優遇と、借入残高に応じたVポイント還元率の上乗せを組み合わせた商品で、ポイント特典が「借りていること」を条件にしている点が最大の特徴だ。

Oliveフレキシブルペイ会員向けのキャッシング「マネーアシストプラス」
マネーアシストプラスは、Oliveフレキシブルペイのクレジットモードを利用している人を対象にしたキャッシングサービスだ。提供するのは三井住友カードで、借入金はOliveの口座に振り込まれ、返済もOlive口座からの自動引き落としで行う。三井住友カードのサイトには、すでに申込手順を含む商品ページが掲載されている。
Oliveにはこれまでも、最大5万円を無金利で借りられる「マネーアシスト」というキャッシングサービスがあった。マネーアシストプラスは名前こそ似ているが、利用枠が最大900万円と大きく、金利もかかる本格的な借入サービスという位置づけになる。
利用枠5〜900万円、実質年率1.0%〜15.0%
プレスリリースと三井住友カードの商品ページに記載された主な貸付条件は次のとおりだ。
| サービス名 | マネーアシストプラス |
| 利用できる人 | Oliveフレキシブルペイ クレジットモードを利用している人(所定の審査あり) |
| 利用枠 | 5〜900万円 |
| 利率(実質年率) | 1.0%〜15.0% |
| 遅延利率(実質年率) | 20.0% |
| 返済方式 | 元利定額返済、またはボーナス月元金増額返済併用 |
| 返済期間・回数 | 最長18年11カ月・227回(利用枠300万円、実質年率15.0%、毎月返済額4万円、300万円を利用した場合) |
| 借入単位 | 1万円単位 |
| 振込先 | Olive口座のみ |
| 受付時間 | 24時間365日(システムメンテナンス中を除く) |
| 手続き方法 | 三井住友銀行アプリ、Vpassアプリ、Vpass WEB |
| 担保・保証人 | 不要 |

ATMや海外キャッシュサービスでの引き出しには対応しておらず、借入は必ずOlive口座への振込になる。Oliveへの入会時と入会後のどちらでも申し込める。
金利はOliveの利用状況も審査基準のひとつ
リリースでは実質年率1.0%〜15.0%を「優遇金利」としているが、これは三井住友カードが発行する既存カードローン(実質年率3.00%〜18.00%)と比べた表現だ。三井住友カードは、Oliveの利用状況を審査基準のひとつとして金利を決めるとしており、利用状況によってはより低い金利で借りられる。
ただし、Oliveをどのように使えば何%になるのかという具体的な基準は公表されていない。実際に適用される金利は審査が終わるまでわからず、商品ページには「Oliveのご利用状況に応じて利率を変更する場合がございます」とも書かれている。1.0%という下限の数字だけを見て判断するのは避けたい。
申込から返済までスマホで完結、借入金は最短即時で入金
申込、借入、返済はすべてスマートフォンで手続きできる。借入専用アプリのダウンロードや来店は不要で、Vpassアプリの「お金を借りるサービス(Olive限定)」から申し込む流れだ。借入を申し込むと、最短即時でOlive口座に入金される。
三井住友カードのよくある質問によると、在籍確認の電話はなく、WEB通知書サービスに登録していれば基本的に郵送物もない。ただし延滞した場合などは郵送物が届く可能性がある。
月末の借入残高1万円以上で+1.0%、30万円以上で+3.0%
マネーアシストプラスは、対象のコンビニ・飲食店での還元率が上がる「Vポイントアッププログラム」の対象サービスになっている。月末時点の借入残高に応じて、上乗せ幅は2段階に分かれる。
| 当月末時点の借入残高 | 翌月の上乗せ還元率 |
| 1万円未満 | 上乗せなし |
| 1万円以上30万円未満 | +1.0% |
| 30万円以上 | +3.0% |
OliveフレキシブルペイとOliveフレキシブルペイ ゴールドの場合、クレジットモードで対象店舗をスマホのタッチ決済で支払うと、通常ポイント0.5%に+7.5%が加わる(券種によって内訳は異なる)。マネーアシストプラスの上乗せは、さらにその上に重なる形だ。なお、無金利のマネーアシストや、マネーアシストプラス以外のキャッシングリボでの借入は条件に含まれない。
判定は月末、上乗せが付くのは翌月の利用分
上乗せの判定は月末時点の残高で行われ、ポイントが上乗せされるのは翌月1日から末日までの利用分だ。三井住友カードの例では、10月末時点の残高が30万円なら、11月中の対象店舗での利用に+3.0%が付く。借りた月にすぐ上乗せが付くわけではなく、1か月のずれがある点に注意したい。
Vポイントアッププログラムの他の対象サービスとは、判定の対象月が異なるとも案内されている。複数のサービスで条件を満たしている人は、どの月の利用に何%が付くのかを整理しておくと混乱しにくい。
対象はスマホのタッチ決済とモバイルオーダーだけ
上乗せの対象になるのは、対象のコンビニ・飲食店でスマホのVisaのタッチ決済・Mastercardタッチ決済、またはモバイルオーダーで支払った分に限られる。カード現物でのタッチ決済、iD、カードの差し込み、磁気取引は対象外だ。
原則1万円(税込)を超える支払いでは、タッチ決済ではなくカードの差し込みを求められる場合があり、その分は対象にならない。対象カードを登録したバーコード型のスマホ決済アプリや、対象店舗のネットショッピング・配達サービスも対象外となる。ポイントは200円(税込)単位で計算され、Vポイントアッププログラム全体での付与上限は1カードあたり月50,000ポイントだ。
上乗せ分と利息を比べると、ポイント目的の借入は割に合いにくい
この特典を考えるうえで最も重要なのは、上乗せを受けるには月末に借入残高があること、つまり借りている間は利息がかかり続けるということだ。ポイントの上乗せ分が利息を上回らなければ、差し引きではマイナスになる。
三井住友カードのよくある質問によると、利息は「借入残高×実質年率÷365日×利用日数」で計算される。この式に当てはめて、残高を1か月(30日)維持した場合の利息と、上乗せ分で利息を取り戻すのに必要な対象店舗での利用額をオトクレで試算した。
| 借入残高(上乗せ率) | 適用金利 | 30日分の利息(概算) | 利息と同額の上乗せに必要な対象店舗での月間利用額 |
| 30万円(+3.0%) | 15.0% | 約3,699円 | 約12万3,300円 |
| 30万円(+3.0%) | 1.0% | 約247円 | 約8,220円 |
| 1万円(+1.0%) | 15.0% | 約123円 | 約1万2,300円 |
| 1万円(+1.0%) | 1.0% | 約8円 | 約822円 |
※残高が30日間一定、1ポイント=1円相当として試算。200円単位のポイント計算による端数、返済による残高の減少、月末判定と上乗せ月のずれは考慮していない
上限金利15.0%なら、コンビニ・飲食店で月12万円超の利用が必要
上限の15.0%が適用された場合、30万円の残高にかかる利息は1か月で約3,699円になる。これを+3.0%の上乗せで取り戻すには、対象のコンビニ・飲食店で、しかもスマホのタッチ決済かモバイルオーダーで月12万円以上使う計算だ。コンビニと飲食店だけでこの金額を毎月使う人は多くないと考えられ、ポイントを目的に借りると割に合わない可能性が高い。
一方、下限に近い金利が適用されれば、必要な利用額は大きく下がる。金利1.0%で残高1万円なら、利息は月10円に満たない。ただし、前述のとおり適用金利は審査で決まり、借りる前に自分の金利が何%になるかはわからない。低い金利が適用されるとは限らない以上、上乗せ特典は「借入が必要な人が、借りている間に受けられるおまけ」と捉えるのが自然だろう。
毎月の返済で残高が減るため、条件を保つには手間もかかる
毎月返済すれば残高は減っていくため、30万円や1万円といった基準をまたいで上乗せ率が下がる月も出てくる。基準を保ち続けるには、返済した分を再び借り入れるといった操作が必要になると考えられ、その分だけ利息の負担も続く。
無金利の「マネーアシスト」や既存カードローンとの違い
Oliveで利用できる三井住友カードの借入サービスは、今回のマネーアシストプラスだけではない。三井住友カードの商品ページで公開されている条件を並べると、次のようになる。
| 項目 | マネーアシストプラス | マネーアシスト | 三井住友カードの既存カードローン |
| 利用枠 | 5〜900万円 | 5万円 | 記載なし |
| 実質年率 | 1.0%〜15.0% | 0.0% | 3.00%〜18.00% |
| 返済方式 | 元利定額返済、またはボーナス月元金増額返済併用 | 翌月一括返済 | 記載なし |
| Vポイント上乗せ | 最大+3.0% | 対象外 | 記載なし |
※マネーアシストの内容は三井住友カードのマネーアシスト商品ページ、既存カードローンの実質年率はマネーアシストプラス商品ページの注記による。マネーアシストには別途、利用枠5万〜20万円・実質年率18.0%のバックアップ機能(オプション)がある
少額を翌月までに返せるなら、手数料無料・無金利のマネーアシストのほうが負担は小さい。マネーアシストプラスは、まとまった金額を分割で返していきたい場合の選択肢になり、既存カードローンと比べると上限金利が3.0ポイント低い設定だ。
マネーアシストプラスが向いているのは、Oliveで借入先を探している人
マネーアシストプラスは、もともと借入を検討しているOlive利用者にとっては、スマホで完結し、借入金がそのままOlive口座に入る使い勝手のよい選択肢になる。既存カードローンより上限金利が低く、Oliveの利用状況によってはさらに低い金利になる可能性がある点も評価できる。
一方で、Vポイントの上乗せは借入残高があることが前提の特典で、上限に近い金利が適用されれば、ポイントで利息を取り戻すのは難しい。キャッシングは返済計画を立てたうえで必要な分だけ借りるのが基本で、ポイント還元率の上乗せを理由に借入額を増やすことは避けたほうがよいだろう。
三井住友カードも商品ページで「お借り入れ条件をご確認のうえ、借りすぎに注意しましょう」と呼びかけている。申し込む際は、審査で提示された金利と毎月の返済額を確認し、返済総額を把握してから判断したい。















