株式会社ジェーシービー(JCB)と株式会社デジタルガレージは2026年8月19日、ローソンとともにステーブルコインを用いた店頭決済の実証実験(PoC)の実施に向けて基本合意書を締結したと発表した。暗号資産を実際のコンビニレジで使う検証として注目される。
ステーブルコインを実店舗のレジで使う検証
今回の実証実験は、訪日外国人が米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」を用いてローソンの店頭で支払うユースケースを中心に検証するものである。ステーブルコインという新しい決済手段が、実際の小売店のレジ業務のなかで問題なく機能するかどうかを確かめる段階的な取り組みと位置づけられている。

そもそもステーブルコインとは何か
ステーブルコインとは、米ドルや円などの法定通貨に価値が連動するように設計された暗号資産である。価格変動が大きいビットコインなどとは異なり、1コインの価値が特定の通貨とおおむね同じ水準で保たれるように設計されている点が特徴だ。今回使われる「USDC」は米ドルに連動するステーブルコインで、Baseと呼ばれるブロックチェーン上で扱われる。
ステーブルコインは利便性の高さから世界的に注目を集めており、市場規模が拡大している。決済領域での活用が進めば、訪日外国人の両替負担の軽減、資金決済の効率化、加盟店のキャッシュフロー改善などのメリットが期待されると説明されている。
バーコードを提示して店側が読み取るCPM方式
決済にはCPM(Consumer-Presented Mode)方式が採用される。利用者がスマートフォンにステーブルコインのウォレットアドレス情報を示すバーコードを表示し、それをローソン店舗のPOS(レジ)が読み取る流れだ。利用者側が画面を提示し、店側が読み取るという点で、PayPayなどのQRコード決済でおなじみの「コードを見せて払う」体験に近い形になる。
ローソンの店舗POSとJCBのステーブルコイン決済サービスの接続には、キャナルペイメントサービス株式会社のコード決済処理技術が活用される。既存のコード決済の仕組みを土台に、決済の裏側でステーブルコインをやり取りするという構成である。
JCB・デジタルガレージ・ローソンの役割分担
3社はそれぞれ異なる役割を担う。
- JCB:ステーブルコイン決済サービスを提供する。利用者向けWEBシステム(決済画面)や決済用バーコードの生成機能を用意するほか、加盟店への売上金精算を担う。利用者のステーブルコインを受け取り、集計のうえ後日、加盟店へ法定通貨で支払う仕組みだ
- デジタルガレージ:決済APIやバックエンドシステムを提供し、PoC期間中の技術サポートを行う
- ローソン:店舗環境を提供し、POSシステムとの連携を担当する
利用者が支払うのはステーブルコインだが、店舗が受け取るのは最終的に法定通貨になる。加盟店側は暗号資産の価格変動リスクを負わずに済む設計と考えられる。
1日限り・関係者向けの検証という位置づけ
今回の実証実験は、あくまで限定的な検証である点に注意が必要だ。実施概要は次のとおり。
| 実施期間 | 2026年8月20日(木) |
| 対象店舗 | ローソン ゲートシティ大崎アトリウム店 |
| 主な対象利用者 | 本PoCに参画するJCB・デジタルガレージ・ローソンの関係者 |
| 対応ウォレット | Base App |
| 対応ステーブルコイン | 米ドル建てステーブルコイン「USDC」(Baseブロックチェーン) |
| 決済方式 | CPM方式 |
実施は8月20日の1日限りで、対象店舗も1店舗のみ、利用できるのは実験に参画する関係者に限られる。一般の消費者が今すぐ店頭でステーブルコイン決済を使えるようになるわけではなく、今後の社会実装に向けた第一歩と受け止めておきたい。
検証項目としては、決済フローの実現性、POSシステムとの連携に必要な要件、店舗レジ業務への影響、決済完了までの所要時間、利用者向けWEBシステムの操作性などが挙げられている。実際のレジ運用に耐えられるかを多角的に確かめる狙いがうかがえる。
訪日外国人の両替負担軽減と今後の展望
背景には、国内のキャッシュレス決済比率の上昇と、世界的なステーブルコイン市場の拡大がある。海外から日本を訪れる旅行者にとって、両替の手間や手数料は負担になりやすい。手持ちのステーブルコインでそのまま買い物ができれば、こうした負担が軽くなる可能性がある。
JCBは2026年1月に、デジタルガレージ・りそなホールディングスとともにステーブルコイン決済の社会実装に向けた協業を開始しており、今回のPoCはその一環にあたる。日本の利用者にとっても、将来的に決済手段の選択肢が広がりうる動きとして、検証の行方に注目したい。















