クレジットカードを発行する会社は、基本的にカードの審査基準を公表することはない。
それではどのように審査が甘いかどうか知ればよいのか、そしてどうすれば審査に通るのか。
今回は申し込みの前に知っておくべき審査の基準・知識について紹介したいと思う。
また、一般的に審査に通りやすいと言われるカードが、なぜそう呼ばれるのか、理由もあわせて紹介していく。
さまざまな基準を知ることで、狙い目のカードが見えてくるはずだ。
初めてカードを作りたいという人や審査に不安を持っている人には、ぜひとも役立ててもらいたい。
審査が甘いカードとは
どのクレジットカード会社も審査基準を公表していない以上、厳密に言えば「審査が甘い」と断言できるカードはない。
しかしカードが発行される目的やターゲット層を把握することで、審査のハードルはある程度予想できる。
審査で見られるポイントとあわせて知ることで、審査落ちの可能性を大幅に下げられるはずだ。
どうしてもクレジットカードを持ちたいと考えている人は、これから紹介する項目を頭に入れておこう。
審査で見られる3Cを把握する
クレジットカードの「クレジット」は「信用」を意味する言葉。
カードを利用して支払うとき、代金は一旦カード発行会社が立て替え、利用者が後から支払うことになる。
そのためカード会社としては、審査なしで誰にでもカードを発行するわけにはいかない。
つまり申し込む際には、自分が信用に足る人物であると示す必要があるということだ。
実際に審査では、以下の3Cを見られることになる。
- Character(性格)
- Capacity(資力)
- Capital(資産)
審査の通過に欠かせない重要な要素のため、一つずつ確認していこう。
1.Character(性格)
ここでいうCharacter(性格)とは、返済意思、つまり返済日に延滞なく返済する責任感があるかということ。
判断材料とするため、主にクレジットカードの利用履歴(クレジットヒストリー)などの信用情報を見られることになる。
これまで延滞なく支払いを行ってきた人なら、これからもちゃんと支払ってくれる可能性が高いからだ。
逆に、支払いを延滞した経験があれば、それだけ審査には不利にはたらいてしまう。
過去の延滞情報が原因で、どのカードの審査にも全く通らない、という状況になりかねない。
信用情報は審査において最も重視される項目であり、審査落ちの理由で最も多いものだ。
クレジットヒストリーは、信用情報機関に過去5年分まで蓄積されるということもあわせて覚えておこう。
2.Capacity(資力)
Capacity(資力)とは、主に収入など、返済能力があるかどうかだ。
申し込み内容の、職業・勤務先・雇用形態・勤続年数・年収・借り入れ額などから判断される。
安定して支払いを続けられるかを見ているため、年収の額よりも雇用形態や勤続年数の方が重視されると言われている。
正社員であれば多少収入が少なくても、特に気にする必要はない。
また雇用形態が契約社員、派遣社員、アルバイトでも、カードによっては問題なく発行される。
申し込むべきカードを見誤らなければ、過度に心配する必要はないということだ。
3.Capital(資産)
Capital(資産)とは、その名の通り担保となり得る資産があるかどうかを見られる。
申し込み内容の居住形態、居住年数から判断される。
居住形態が「持ち家」の方が審査には有利にはたらき、「賃貸契約」の場合は居住年数が長い方が良いと言われている。
ただし、厳しめの審査基準が設けられたステータスカードでない限り、それほど気にする必要はないだろう。
申し込み条件を参考にする
ほとんどのクレジットカードには、それぞれ入会申し込みの条件が定められている。
実はこの申し込み条件から、ある程度審査のハードルを読み取ることができるのをご存知だろうか。
先に述べた通り、明確な審査基準が明記されることはないが、申し込む際の大まかな手がかりになる。
よく見られる文言の意味
では実際に申し込み条件に用いられる表現を見ていこう。
18歳以上で、ご本人または配偶者に安定継続収入のある方。
よく見られる一般的な申し込み条件の一つだ。
ここから読み取れるのは、安定継続収入は本人になくても(配偶者にあれば)いいということ。
つまり、収入が少ない人や収入のない専業主婦も申し込めることがわかる。
18歳以上で、ご本人または配偶者に安定継続収入のある方。
または高校生を除く18歳以上で学生の方。
このケースは先ほどの例よりも一つハードルが下がったイメージだ。
あえて「学生」と特記してあるため、学生も対象だとわかる。
ただし、学生の場合、本人よりも親の収入がチェックされたり、利用上限額が低く設定されたりすることが想定される。
満18歳以上の方(主婦、アルバイト、パート、学生も可)
※高校生は除く
これは楽天カードに採用されている申し込み条件だ。
このケースでは「安定継続収入」などが条件に入っていないため、それだけ審査条件が厳しくないことが伺える。
条件の数が目安になる
「申し込み条件」に記載されている条件の数が少ないほど、審査のハードルは低いと言える。
前述した楽天カードの条件は実質、満18歳以上という一要素のみのため、紹介した申し込み条件の中では最もハードルが低い。
以上のように、申し込み条件の表現一つからでも、審査のハードルは予想できる。
ただし、これはあくまでも参考基準であり、審査の厳しさを直接あらわしているわけではないため注意が必要だ。
狙い目なカードの系統を知る
クレジットカードには発行会社の種類によっていくつかの系統に分けることができる。
この系統も審査の厳しさに関係していると言われている。
一般的に審査基準が厳しいと思われる順に発行元を並べると、以下のようになる。
銀行系>流通系、信販系>消費者金融系
ここからは、比較的審査に通りやすいとされる流通系、信販系、消費者金融系の3系統を見ていこう。
流通系カード
スーパー、コンビニ、百貨店、家電量販店など、流通にかかわるさまざまな会社が展開しているのが流通系カードだ。
審査に通りやすいと言われる理由は、カードが発行される目的にある。
一般的に流通系カードの目的は、買い物の際の割引やポイント優遇による顧客の囲い込みだ。
そのためカードのメインターゲットは一般消費者や主婦層だと予想がつく。
前述の通り、収入がない(あるいは少ない)主婦がターゲットである以上、審査のハードルはそれほど高くないと言えるだろう。
カードの一例
エポスカード
イオンカードセレクト
信販系カード
「信販」とは分割払いや後払いといった「信用販売」のことであり、それを主業務とする会社が発行するのが信販系カードだ。
「信用(クレジット)販売」には、その名が示す通りクレジットカードも含まれる。
信販会社がメイン業務の一つであるクレジットカードを、できるだけ多く流通させたいと考えるのは至極自然な流れと言える。
カードの一例
セゾンパール・アメリカン・エキスプレスカード
消費者金融系カード
消費者金融系カードは、その名の通り消費者金融が展開しているカードだ。
もともと支払い能力がそれほど高くない人に対しても小口融資を行ってきた消費者金融ならではのノウハウがある。
そのため独自の審査基準によって、返済の意思や能力を判断できるのだと考えられる。
そのため他社とは異なった独自の審査基準によって、返済の意思や能力を判断できるのだと考えられる。
代表的なカード
ACマスターカード(アコムマスターカード)
ACマスターカードの公式サイトには、目立つ位置に「パート・アルバイトの方もOK!」という表記が確認できる。
安定した収入さえあれば、パートやアルバイトの人でも問題なく持てるカードということだ。
即日発行にも対応しており、全国の自動契約機(むじんくん)で受け取れる点も大きな特長だ。
支払い方法がリボ払いのみという欠点はあるが、すぐにクレジットカードが欲しい場合には選択肢の一つとなるだろう。
系統別の狙い目な理由
それではここで流通系、信販系、消費者金融系のカードが狙い目となるポイントをおさらいしよう。
・流通系
カード発行の目的は顧客の囲い込みであり、ターゲットが一般消費者や主婦であることが多い。
・信販系
クレジットカードを生業とする信販会社としては、なるべく多くのカードを発行し流通させたい。
・消費者金融系
他のクレジットカード会社とは異なる独自の審査基準を採用している。
以上のような理由から、流通系、信販系、消費者金融系の審査は比較的通りやすいと言われている。
即日発行の可否を確認する
即日発行が可能なカードは、審査に通りやすいと言われることが多い。
基本的に申し込みから受け取りまでに2〜3週間を要するカードが多い中、申し込んだ当日に受け取れる「即日発行」対応のカード。
審査にかけられる時間も非常に短いということは容易に想像がつくだろう。
ネットから申し込むと30分以内に審査結果が出るものもあるほどだ。
審査が甘いから早い?
即日発行のスピード感は「すぐにカードが欲しい」というニーズに応えるための、企業努力の結果に他ならない。
実現のためには審査の機械化、受け渡し可能なカウンターの設置をはじめ、クリアすべき多くの問題がある。
突発的なニーズを逃さない仕組みを万全に整備しておいて、審査のハードルをむやみに上げることはしないはずだ。
また即日発行に対応したカードに、流通系や消費者金融系が多いことも、審査に通りやすいとされる一因と考えられる。
決して審査を甘くすることで審査スピードを早めているわけではない、ということは覚えておこう。
早く受け取るためには
クレジットカードを即日で受け取るパターンは以下の3つ。
- 店舗で申し込み、仮カードを受け取る
- 店舗で申し込み、本カードを受け取る
- ネットで申し込み、店舗・自動受付機で受け取る
この中で早さをとるならネット申し込みだ。
各カード会社の申込みサイトから必要事項を入力して申込みをすると、30分~1時間程度で審査結果の通知が届く。
インターネットの場合は、入力情報から自動的に審査が完了するものが多い。
審査に通ったことを確認してから、カード発行窓口へ出向いてカードを受け取れるため、無駄もなくせる。
ただし、店頭申し込みには割引や優待がついてくるケースも多いため、一概にネットの方がいいとは言えない。
申し込み店舗を今後も利用する予定があるなら、店頭申し込みを検討してもいい。
それでも審査に落ちたら
クレジットカードの審査において重視されるポイント、比較的審査に通りやすいと言われるカードについては理解してもらえたはずだ。
それでは実際に申し込んで、落ちてしまった場合はどうしたらいいのか。
ここではカード会社自らが審査基準に焦点を当てて展開する非常に珍しいカードを紹介する。
特筆すべきは、公式サイトに「他社クレジットカードで審査に通らなかった」という文言を使用している点。
以下のような方でもチャレンジができると明記されている。
- 過去に延滞がある方
- 初めてクレジットカードを作る方
- 審査に不安のある方
- 他社で審査に通らなかった方
審査落ち経験者もターゲットとしていることがはっきりと伺える。
過去に支払いの遅延などをして信用情報に傷があっても、審査に通る可能性があるということだ。
年会費は5,000円かかるが、審査に通らないかもしれない不安を抱える人にとって、心強いカードと言えるだろう。
もっと審査に通りやすいカードがある?
ライフカードCh(有料)の派生系にあたるカードで、ライフカード(デポジット型)というカードがある。
スペックはライフカードCh(有料)とほとんど変わらず、券面のデザインも同様のカードだ。
違いは年会費の他にデポジット金が必要という点だ。
デポジット型には一般カードとゴールドカードがあり、以下のようなデポジット金が必要となっている。
- 一般カード:100,000円
- ゴールドカード:200,000円
デポジット金とは言い換えれば保証金のことで、万が一カード利用料金を支払えない場合は、デポジット金から引かれることになる。
裏を返せば、クレジットカード会社としては最初にデポジット金を預かり受けることで、カード利用料金の取りっぱぐれがないということになる。
ライフカード(デポジット型)は利用上限額がデポジット金と同額になる。
つまり一般カードの場合は100,000円、ゴールドカードの場合は200,000円が利用上限額となる。
ライフカードCh(有料)よりもクレジットカード会社のリスクが少ない分、さらに審査のハードルが低いことが予想できる。
クレジットカードがどうしても必要な場合、現金でデポジット金を支払うことができるのであれば、ライフカード(デポジット型)を選択肢にいれても良いだろう。