クレジットカードは今やオンライン・オフライン問わず世界中で使われており、キャッシュレス決済のスタンダードとしての地位を築き上げた。
しかしその反面、クレジットカードが悪用・不正利用されるケースも後を絶たない。
一般社団法人日本クレジット協会によれば、2002年をピークに被害額は減少傾向にあったものの、2016年の不正利用額は142億円、2017年は1~9月で前年を上回る176.8億円と、またも被害は増加傾向となっている。
クレジットカードの不正利用はいつ我が身に降りかかるかわからない。
本記事ではそんな突然の不正利用の被害に遭った際の対応をまとめた。
状況の確認をおこなったうえで不正利用が疑われる場合は、すぐにカード会社と警察に連絡することが、被害を小さくするために大切だ。
これにより、カードが利用停止され、再発行の手続きと補償の手続きに入ることができる。
基本的にカードの不正利用は、カード会社への連絡から60日間遡って補償されるが、補償の対象外となるケースもある。
もしものときにきちんと補償が受けられるよう、補償の対象となる条件はあらかじめ確認しておこう。
まずは状況の確認を
クレジットカードの利用明細に身に覚えのない記録が残っていれば誰でも慌ててしまうものだろう。
しかし、不正利用ではないケースも意外とあるので、まずは落ち着いて状況の確認を行おう。
不正利用と間違いやすいケースとして、以下のようなことがある。
- 単純に利用を忘れている(定期サービスなど)
- 家族の利用(特にインターネット)
- 店の名前と、支払先の名前が違う
- 買い物をした日と、カード会社からの請求日がずれている
特に注意が必要なのはカードを使ったお店と支払先の名前が違う場合だ。
クレジットカード会社に登録しているのは親会社の名前で、店舗名とまるで違うことがある。
ネットショッピングやスマホゲームで家族が利用していたということもあるので、家族への確認も忘れずに。
不正利用の場合は即連絡
利用状況を確認し、やはり不正利用であると考えられる場合、早急にクレジットカード会社に連絡しよう。
カード会社への連絡
カード会社の盗難・紛失デスクは24時間365日受付可能なので、すぐに連絡ができる。
連絡先は各会社のホームページに載っているので、携帯電話等でもその場で確認が可能だ。
連絡を受けたカード会社は、まずはカードの利用を停止し、状況の調査を行う。
この時点で不正利用されたカードは無効になる。
カード利用停止後は、新しいカードの発行手続きを行う。
新しいカードはカード番号や有効期限が変更となるので安心だ。
警察への連絡
カード会社へ連絡をおこなったら、警察への連絡および紛失・盗難届も必要だ。
クレジットカード会社から指示があるとは思うが、覚えておこう。
警察に連絡すると受理番号が貰える。
この受理番号はクレジットカード会社から不正利用の補償を受ける際に必要なので、必ず控えておこう。
これがないと、不正利用された場合の補償がカード会社から受けられない。
もし、忘れたり紙をなくしたりした時は、警察に再度連絡すれば教えてくれる。
補償対象外となるケース
クレジットカードの不正利用が認められた場合、条件はあるものの基本的には全額補償となる。
しかし、補償の対象外となってしまう条件がいくつかある。
以下のうち一つでも該当していると補償されなくなってしまうので注意しよう。
所有者の過失
通常の使い方をしていなかった場合や、不正利用されやすい行為をしていた場合が該当する。
たとえば、以下のような例が該当する。
- 他人(家族)にカードを貸した
- 他人(家族)に暗証番号を教えた
- 暗証番号がわかるものとカードを一緒に保管していた
- カード裏面にサインがない
クレジットカードは決して名義人以外に貸してはいけないし、暗証番号も教えてはならない。
それは家族といえども同様である。
家族にクレジットカードを使わせたい場合は、家族カードを利用しよう。
また、クレジットカードが届いたら裏面にサインをするのは鉄則だ。
たまにサインをしていない人を見かけるが、万が一のときに補償を受けられなくなる可能性が高いので、必ずサインをしておこう。
暗証番号の不備
暗証番号自体の設定が甘い場合も補償の対象外となる可能性が高い。
1111、1234などの簡単な番号の羅列はもちろんのこと、誕生日(生年月日)や車のナンバープレート、住所、電話番号などの、他人に推測されやすい番号を設定していても、補償外となる。
これらの番号の逆読みや並べ替えも、他人に推測されやすい番号として取り扱われてしまう。
暗証番号は完全オリジナルの番号を設定するようにしよう。
不正利用から61日以降
多くのカード会社において、補償の対象となるのはカード会社に連絡してから60日前に遡った期間だ。
つまり、不正利用から61日以降は補償が受けられない。
定期的に明細を確認する癖をつけよう。
その他のケース
その他、大きな地震や災害後の混乱時も補償対象外となってしまう。
また、カード申込時に書類不備があった場合、ネット通販での操作ミスや、不正利用で購入された商品を受領してしまった場合も補償不可。
細かい点はカード会社によって異なるので、カード会社のサイト等で確認しておこう。
再発行時に注意すべき点
カード再発行では、クレジットカード番号が変更となる。
この際に注意すべき点がいくつかあるので、カードが届いたら確認しよう。
- 必ず裏面にサイン
- 登録しているクレジットカード情報の変更を
カードが届いたら、サインは必ずするように。
また、電気代やスマホ代など、毎月の固定費をクレジットカードで支払っている場合は、カード情報の登録を変更しなければならないので注意が必要だ。
不正利用されないための対策
クレジットカードを不正利用されないために、以下の点には特に注意しよう。
盗難・紛失に要注意
まずは、クレジットカードを失くさないことが大切だ。
紛失だけでなく、車上荒らしやロッカー荒らし、ひったくりなど、日常に盗難の危険が潜んでいることを認識してほしい。
特に用心したいのが、海外への渡航中だ。海外で被害に合う頻度は、日本の比ではない。つねに気を張っておくのが重要だ。
暗証番号とサイン
まず、カード裏面にサインを必ずしておこう。
また、暗証番号を確認し、簡単な数字になっていないか、推測されにくい暗証番号になっているかをチェックしよう。
暗証番号はできるだけ頭の中で覚えておきたいところだが、何かに控えておく場合は必ずカードとは別の場所に保管しよう。
利用明細の確認は定期的に
不正利用の補償期限には、60日という期間がある。
そのため、万が一に備えて定期的に利用明細を確認する習慣をつけておこう。
郵送で利用明細を受け取っている人は、送られてきた時に毎回確認、WEB明細にしている人は月に1回確認する癖をつけよう。
クレジットカード利用時にメールで通知をしてくれるサービスもある。
自身が持っているカードに利用通知サービスがあれば、積極的に使っていこう。
利用通知サービスがない場合や、複数枚のカードを使っている場合は、アプリでの管理も有効だ。
資産管理アプリにクレジットカード情報を入力すると、通知サービス同様にアプリ内で通知をしてくれる。
枚数の制限もないので、好きなだけ登録できる。
怪しいメール、サイト、店舗に要注意
近年、クレジットカード会社や銀行などを装って、クレジットカード情報を盗み出そうとする手口が流行っている。
いわゆる、フィッシング詐欺やファーミング詐欺と呼ばれるものだ。
たとえば、いきなりメールが送られてきて、「当選おめでとうございます!」「カードが悪用されています」などの誘い文句で、偽のサイトに誘導したり、大胆にも電話で聞き出そうとしがりする手口も報告されている。
本来、クレジットカード会社や警察は、カード情報や暗証番号は聞いてこない。
つまり、カード情報や暗証番号を聞いてくるサイトや人物は注意したほうが良いということだ。
しかし、まれにクレジットカード会社が不正利用を発見して電話をかけてくる場合もある。
そのときは、カードの利用状況の確認をして判断するので、詐欺とは違うことがわかるだろう。
また、クレジットカード利用時にも注意したい。
インターネットで検索したサイト、実店舗でも、怪しいと感じたお店ではクレジットカードの使用は控えた方がいい。
不正利用対策まとめ
最後に、クレジットカードが不正利用された場合の対応を簡単にまとめると以下のようになる。
- 状況の確認(利用状況、店舗名の確認、家族の使用)
- クレジットカード会社に連絡
- 警察に連絡
- 受理番号をクレジットカード会社に連絡
- カード再発行手続き
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また、そもそも不正利用の被害に遭わないように、以下の点に気を付けよう。
- 盗難・紛失には常に気を付ける
- カード裏面にサイン・暗証番号の取り扱い
- 利用明細の定期的な確認
- 怪しい場所ではクレジットカードは使わない
以上の点を踏まえて、安心で便利なクレジットカードライフを満喫しよう。