韓国はクレジットカードの利用率がとても高い。その中で最大の利用率を誇るのが、新韓カードだ。
新韓カードには、韓国国内でのみ利用できる新韓ハウスカードというカードがあり、この利用率が非常に高い。
そんな新韓ハウスカードを、日本国内でも利用できるところがある。
訪日韓国人客の増加を受け、VJAグループの九州カード株式会社などが新韓カードと提携し、新韓ハウスカードの取り扱いを行っているのだ。
ここ数年、訪日中国人客の増加が注目されているが、中国だけでなく韓国からの訪日客も多く、サービスや商品の購買意欲も高い。
そのため、訪日韓国人客の多い地域では、新韓ハウスカードに対応するメリットも大きい。
本記事では、新韓カードについて詳しく解説すると共に、逆に日本人が韓国でクレジットカードを使う際の注意点などもまとめた。
目次
新韓カードの特徴
新韓カードは、韓国・新韓銀行のグループ会社である新韓カードが発行するクレジットカード。
会員数は1,600万人とされ、会員数、規模ともに韓国No.1のクレジットカードである。
韓国のクレジットカード事情を知るには、新韓カードについて知ることが欠かせない。
新韓カードには、国際ブランドの付いた韓国の国内・国外いずれでも使えるカードと、国内でのみ使用が可能な新韓ハウスカードとがある。
クレジットカードの仕組み自体は日本で利用されているカードと同じで、利用金額に応じたポイント還元を受けることができる。
また、カードによって特定の店舗での割引や優待など、さまざまな特典を受けることができる。
特典の内容は非常に優れており、「一ヵ月以内のタクシー利用3回、6回、9回ごとに1,000ウォン引き」「ロッテ、現代、新世界、ガレリアの4大デパートが常時5%引き」「大手コーヒーチェーンで常時10%引き」などがある。
新韓ハウスカード
新韓ハウスカードは日本では「韓国ローカルカード」と呼ばれ区別されることもある。
新韓ハウスカードは韓国国内でしか使えないが、国際ブランドが付いた韓国国外でも使える新韓カードより年会費が安く設定されている。
新韓カードの利用者のうち4割が新韓ハウスカードを使用しており、韓国の人にとって身近なクレジットカードである。
また、韓国では日本のデビットカードに相当する「チェックカード」の利用率も高い。
新韓カードはチェックカードも発行しており、利用者のニーズを広くカバーしている。
新韓カードは韓国インバウンド増加のカギ
韓国はクレジットカード先進国であり、日本よりキャッシュレス化が進んでいる。
クレジットカードおよびチェックカードでの買い物が普及しており、交通機関での支払いもクレジットカード払いが一般的だ。
そんな韓国の人であれば、日本を訪れた際にもクレジットカードを使いたいと思うだろう。
特に、韓国で利用率No.1のクレジットカードである新韓カードを利用したいというニーズは高いはずだ。
国際ブランドが付いている新韓カードであればそのまま日本でも利用できるが、新韓ハウスカードについては別の対応が必要になる。
新韓ハウスカード利用者は、新韓カード利用者のうち4割程を占め、無視できない利用率がある。
国際ブランドが付いた新韓カードより年会費が安いこともあり、ニーズが高いのだ。
しかも、韓国政府の取り組みにより、休日の増加や安価な航空便の増加によって、日本への韓国人観光客は年々増加している。
そのため、日本各地で、中国で主流の銀聯(ぎんれん)カードへの対応に次いで、新韓ハウスカードにも対応する店舗が出てきている。
日本ではどこで使えるのか
韓国人観光客の増加を受けて、日本でも九州地方を中心に新韓ハウスカードを利用できる店舗が増えている。
特に、VJAグループの九州カード株式会社が新韓カードの取り扱いを行っていることが大きい。
これにより、空港、免税店、百貨店などの加盟店で新韓ハウスカードが利用できるようになった。
2018年3月の訪日外客数は過去最高の260万8千人。
そのうち韓国からは61万9千人が訪れており、同月の中国からの訪日客数を越えている。
新韓ハウスカードを日本で利用できる仕組みを導入し、韓国からの旅行者、滞在者が買い物をスムーズに行えるようになれば、今後さらなる消費が見込めるだろう。
関東でも小田急百貨店の新宿、町田、藤沢店で新韓カードを使って買い物ができるようになった。
また、コンビニエンスストアでは2016年からファミリーマートが新韓カードでの支払いに対応している。
全国的な取り扱いとはまだ言えないが、今後、2020年の東京オリンピックへ向けて新韓ハウスカードが使える店舗はさらに増えていくだろう。
日本人が韓国で使えるクレジットカード
韓国は決済においてクレジットカード・チェックカード利用率が6割近いカード先進国である。
そのため、デパートやコンビニエンスストアを始め、屋台など一部の小規模店舗を除いて観光地の小売店でもカード決済ができる店舗が多い。
国際ブランドの取り扱いは、VISA、MasterCard、American Express、JCBが一般的。
日本人にはあまり関係ないが、銀聯が使える店舗も一般的だ。
クレジットカードが使える店舗ならこの五大国際ブランドがほぼ使えるが、不安な場合にはVISAかMasterCardのどちらかを1枚持っておけば安心だ。
韓国でカードを使う際の注意点
旅行や出張などで韓国を訪れたとき、カードを利用する機会は日本より多くなるだろう。
その際の注意点として、韓国に限らないが、カードを利用する度にしっかりと金額を確認するようにしよう。
相手に悪意がなくても、言葉の行き違いや受け取り間違いで会計に誤りが出る可能性もある。
明細書、領収書を受け取ったときには必ず記載されているすべての項目をチェックし、少しでも疑問に感じた点はその場で確認することを徹底しよう。
また、カード会社の緊急連絡先は紙に書いて持って行くのがおすすめだ。
スマートフォンやタブレットに緊急連絡先をメモしておいても、カードと一緒に紛失したり盗まれたりすることもある。
カードの紛失や盗難など、困ったときにすぐ連絡できるようにしておこう。
日本人が新韓カードを使うことはあるか
日本人が新韓カードを利用する機会は基本的にない。
韓国では五大国際ブランドのクレジットカードが利用できるため、日本のカード会社が発行しているクレジットカードを持っていれば事足りる。
ただし、日本でサービス業や販売業に従事していて、訪日韓国人が多い地域にある場合は、新韓カードについて知っておく必要がある。
場合によっては、対応できるようにしておいた方が良いだろう。
日本人が新韓カードを発行するには
日本人が新韓カードを利用する機会はまずないが、もし何らかの事情で新韓カードが必要になった場合はどうすれば良いのか。
新韓カードに限らず、韓国でクレジットカードを発行するには韓国内の銀行口座が必要だ。
銀行口座の開設には、一般的に「韓国で就業していること、または口座開設のための理由(留学時の生活費振込など)があること」、「韓国の住所」、の2点が必要となる。
「韓国旅行の際にガイドに立ち会ってもらい口座を開設できた」「韓国人の知り合いに立ち会ってもらえば口座開設できる」という声も聞かれるが、いつも大丈夫というわけではない。
その時々の状況によっても違うだろうし、銀行窓口で対応する行員によっても違いがあるという声もある。
もし韓国へ長期滞在する予定などがあり、新韓カードを持ちたいと考えている場合には、口座開設とクレジットカード発行の手続きについて、新韓カードに問い合わせてみるのが確実である。
決済ニーズに対応することの重要性
韓国に限らず、外国の人が日本を訪れたとき、希望する決済手段が使えなければ買い物を諦めてしまうかもしれない。
それは、販売者側にとっても損失であるし、はるばる日本に来てくれた外国人客にとっても残念なことだ。
日本では現金利用の割合がまだまだ高いが、世界ではクレジットカード利用の方が一般的という国も少なくない。
インバウンド消費を上げるにはクレジットカードへの対応が重要というだ。
また、新韓ハウスカードのような近隣国で利用率の高いローカルカードにも間口を広げていくことも、消費拡大につながるだろう。