キャッシュレス決済が普及するなか、クレジットカードが利用できる場所も年々広がっており、それに応じて利用者も増えている。
一方で、クレジットカードの利用が進まない分野がある。それが、キャバクラやホスト、性風俗といった分野だ。これらの分野では、通常より高額な手数料を取られることがある。本記事では、その仕組みを解説する。
また、風俗店でのカード決済では、利用履歴が残ることや不正利用への不安もあるだろう。しかし、通常、風俗店でのカード決済は決済代行会社を介するため、そこまで心配する必要はない。
ただ、利用方法によっては注意が必要なことがあるので、この点も本記事で解説する。
目次
クレカ決済は主流ではない
キャバクラやホストに代表される夜の遊びは基本的に高額だ。1回の利用で数万円~数十万円かかることも珍しくない。普通に考えるとクレジットカードが役立ちそうな場面だが、実際はそうではない。
一般的に、夜の遊びでのカード利用は全体の5%未満といわれる。クレジットカードの普及率からすると、カードを持っているがあえて使わない利用者が多いと推測される。
その大きな理由に、高額な手数料を取られてしまうことがある。
しかし、本来、カード決済の手数料を顧客に請求するのは加盟店規約違反であり、あり得ないことなのだ。だが、現実にはカード払いにより高額な手数料を取られてしまったという事例が多発している。
高額な手数料を取る背景
キャバクラやホスト、風俗店のクレジットカード決済で高額な手数料を取られることがあるのは、次のような背景がある。
まとめると、現金が必要な風俗店と、間に入る決済代行会社の組み合わせが、手数料増加という事態を引き起こしているといえる。
スタッフへの給与支払方法
キャバクラやホスト、風俗店では、スタッフへの給与支払いを現金で行うことが多い。また、月給ではなく、日払いや週払いという形も珍しくない。特に性風俗系の店ではそれが顕著だ。
これらの店では、こういった支払い方法が採用面での強みとなっている。しかし、この支払い方法では、店側は毎日・毎週、相当な額の現金を用意しなければならない。
それなのに、客側のカード払いが続くとどうなるだろうか。カード払いの場合、現金として振り込まれるのは一ヶ月以上先だ。たとえ100万円分の利用があっても、当月手元に入る現金は0円である。
売上の変動があった際には給与分の現金の用意が難しくなる事態も考えられる。スタッフを養い、事業を回していくためにも、風俗店側はカード利用を推奨したくないというわけだ。
高い手数料により客がクレジットカード決済を避けるようにした上で、決済があったとしても相応のメリット(手数料)を得たいという考えに至っているのではないだろうか。
決済代行会社が間に入る
風俗店はクレジットカード決済の加盟店になれない決まりがある。そのため、風俗店でクレジットカードに対応する場合は、決済代行会社が間に入っている。
その場合、利用者は風俗店ではなく決済代行会社に対して決済を行っていることになる。ここにも手数料が上積みされる要因がある。
決済代行会社はカード決済にかかる手数料が主な収入源になので、少しでも高い金額を提示したい。そこで風俗店と協力し、本来の金額よりも多く請求し、余剰分を自分たちの懐に入れようと画策するわけだ。
その結果、客は10%、20%といった高額の手数料を取られてしまうことになる。
カード利用に対する誤解
手数料以外にも、キャバクラやホスト、風俗店でのカード利用をためらう大きな理由がある。
それが、「利用履歴が残る」「不正利用される」という不安だろう。しかし、多くの場合、これらの不安は、多くの場合は杞憂だ。
利用履歴は残らない
前述の通り、利用者がお金を支払う相手は風俗店ではなく決済代行会社だ。たとえクレジット払いをしたとしても、風俗店の名前が明細に載ることはまずない。
決済代行会社もその辺りは配慮しているので、「ネット決済」「銀行決済」などの項目で、明細を発行してくれるはずだ。
カードを利用したという記録も風俗店には残らず、あくまでも決済代行会社に残るのみである。
不正利用される可能性は高くない
間に決済代行会社が入っているので、不正利用の可能性はほとんどない。
決済代行会社による不正はまず考えられないので、不正利用があるとしたら、何らかのトラブルでカード情報が流出したときだ。
決済代行会社が入ることで手数料を取られるというデメリットがある反面、犯罪の抑止にもなっているという、いささか不条理な状況が生まれている。
風俗店のカード決済の種類
キャバクラ、ホスト、風俗店で行われるカード決済の種類は主に下記の3つである。一般的な方法の他に、通常はあまりない独特な方法もある。
1.店頭・カードリーダー決済
いわゆる一般的にイメージするカード決済と同じ方法だ。専用の端末でカードを読み取り、決済が完了する。
カードに内蔵されたICチップなどで本人照会ができるためトラブルが少なく、入力している情報が風俗店に漏れることはない。
2.ネット決済
amazonや楽天市場のように、Web上でカード情報を入力する方法。入力情報は原則顧客しか見ることができないため、不正使用される可能性は低い。
3.電話口頭型決済
電話口頭でクレジット情報を伝え、風俗店のスタッフに入力を任せる方法。暗証番号が聞かれることはなく、クレジット決済時の購入項目も風俗利用とはわからないようにしてくれる。
紹介した3つの方法の中で、特に気をつけなければいけないのが電話口頭型の決済方法だ。決済に風俗店のスタッフを挟むことで、不正利用が発生する可能性がある。
実際に起きた事件
ある男性が風俗点を利用した際、電話口頭型の決済を利用。一度きりの利用だったにも関わらず、翌月の請求額は数十回分に匹敵するであろう金額だった。
原因は風俗店スタッフの不正利用。電話口頭で得たクレジット情報を使って、クレジットカードを不正に利用したのだ。事件発覚までさんざん遊んだ挙句、逃亡してしまったというわけだ。
このように第三者にカード番号や名義などを伝えると不正利用のリスクが増えることを覚えておこう。
もしものときの対処法
こうした風俗店でのトラブルに限らず、財布の紛失や盗難、スキミングなどによりクレジットカードを悪用される可能性は誰にでもある。
もしも不正利用などの被害にあったとき、その負担を全額自分でしなければならないとなったら、クレジットカードの利用は進まないだろう。
そのため、ほとんどのクレジットカードには盗難保険などの補償がついている。
これらの補償では、カードが不正使用された場合、カード会社に届け出た日から既定の日数をさかのぼって補償してもらえる。
補償があるからと過信はできないが、通常のクレジットカード利用であればそれほど心配することはない。
保険が適用されないケース
盗難保険などの補償は、適用外となるケースがいくつかある。
代表的なものが「暗証番号漏洩」「盗難保険申請遅れ」「身内による犯行」の3つ。
暗証番号漏洩
クレジット決済でも利用する4ケタの暗証番号が漏洩し、不正利用されている場合は保険適用にならないケースがある。
スキミングなどでカード情報を盗まれたとしても、暗証番号は本人しか知り得ない情報のはずであるため、保険適用外になってしまう場合があるのだ。
盗難保険申請遅れ
正しく期間内に申請をしないと保証を受け取ることはできない。くれぐれも、対応を後回しにしないことが大切だ。
発行元となるカード会社によってその期間はさまざまだが、大体は2ヶ月以内で設定されているところが多い。
身内による犯行
両親や兄弟、実子といった2親等以内の身内が不正利用した場合、保険適用外になる可能性が高い。
というのも、たとえば親と子が結託し、保険金を違法に引き出そうとしている可能性を疑われてしまうからだ。
Aという一族で、息子が親のカードを不正利用して車を買ったとしよう。そこに保険を適用してしまうと、結局Aの一族は一銭も支払わず車を手に入れることができてしまうというわけだ。
夜の遊びは現金払いが無難
風俗店のカード利用で高額の手数料を取られる理由は2つ。店側の現金需要と、決済代行会社の存在だ。
ある意味風俗店特有の悪しき慣習になってしまっているため、利用者側として対策を講じることは正直難しいだろう。
一方で、多くの人が心配するような、利用履歴や不正利用といった危険性はあまり高くはない。
しかし、口頭でカード情報を伝えて決済をする場合は要注意だ。実際、応対したスタッフがその情報を悪用して逃走するという事件が起こっている。
そう考えると、風俗店でのクレイッとカード決済には、金額面だけでなく、安全面のデメリットもある。結局、現金払いが無難であるという結論になる。
クレジットカードには不正利用の補償制度もあるが、適用範囲が限られるため、過信はできない。クレジットカード決済は、便利だからこそ節度を保ち、正しく利用することが求められる。