キャッシュレス決済の利用者は9割以上に達し、支払い手段を選ぶ基準が「ポイント還元率」より「スムーズさ」を重視する傾向に移行しつつある。Visaが2026年3月に実施した調査でわかった。
調査の概要
この調査はビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社がマクロミルに委託して実施したもので、2026年3月に行われた。事前調査では東京首都圏・大阪首都圏・その他エリアから各10,000人(計30,000人、18〜69歳)を対象にスクリーニングを実施。そのうち、スマートフォンを保有しキャッシュレス決済を6割以上、かつモバイル決済を3割以上かつ月1回以上利用している9,279人を本調査の対象としている。
キャッシュレス利用が一定水準を超えた層に絞った調査であるため、日本全体の平均像というよりも「実際にキャッシュレスを積極的に使っている人たちの今」を映し出したデータとして読むべきだろう。
9割以上がキャッシュレスを利用、現金のみは1割未満に
調査対象全体(事前調査30,000人ベース)では、9割以上(92%)がキャッシュレス決済を利用しており、現金のみを使う人は1割未満(8%)にとどまった。キャッシュレスを主に使う「キャッシュレス派」は約6割(57%)に達し、日常的な買い物においてキャッシュレスが標準になりつつある実態が浮かび上がった。

支払い手段を選ぶ基準は「スムーズさ」が最多
支払い手段を選ぶ理由として最も多かったのは「支払いの簡単さ・スムーズさ」で、41%が選択した。かつてキャッシュレス普及の大きな動機だったポイント還元や特典よりも、「手間なく素早く払えるか」が重視される段階に入ってきたといえる。
この変化は、キャッシュレスがある程度浸透した後の自然な流れともいえる。入口段階では「お得だから使う」が多く、習慣化が進むにつれて「使いやすいから使う」へと選択軸が移っていく傾向は、他国でも観察されている動きだ。
モバイル決済の拡大と使い分けの進展
クレジットカードやデビットカードをスマートフォンに紐付けて使うモバイル決済の利用者は4割超(43%)に達し、月1回以上使う人が約6割を占めた。若年層ほど利用率が高い傾向も確認されている。

複数の決済手段を使い分ける「使い分け派」は現在約7割(69%)に上る一方、1つの手段に集約する「集約派」は約3割(31%)。将来的には集約派が4割(41%)に増える意向があることも示された。ポイントや特典を最大化するために複数のカードやQRを使い分ける一方で、管理の手間から1つにまとめたいと考える層が一定数いることが読み取れる。
よく使う場面はスーパーとコンビニ
キャッシュレス決済を使う場面として多かったのは、スーパーマーケット(61%)、ファーストフード等飲食店(56%)、コンビニエンスストア(51%)、ドラッグストア(48%)の順だ。日常的に繰り返し訪れる店舗での利用が中心で、スピードと手軽さが求められる場面でキャッシュレスが定着していることがわかる。
この調査から読み取れること
「お得だから使う」から「スムーズだから使う」への移行は、キャッシュレス市場が成熟期に入ったことを示す一つのサインだ。消費者がポイント還元率より利便性を重視するようになると、カードやサービス事業者にとっては「使いやすさ」の設計が差別化の軸になってくる。
クレジットカードやQRコード決済を選ぶ際に、これまでポイント還元率を最優先にしていた人も、「タッチ決済対応かどうか」「アプリの使い勝手」なども評価の基準として加えてみるとよいかもしれない。















