クレジットカードのキャッシングを利用すると、ローン審査に影響があるかもしれないという不安を感じることがあるかもしれない。
しかし、クレジットカードでキャッシングを利用すること自体が、ローン審査に悪い影響を及ぼすことはほぼない。
ただし、期日までにきちんと返済するなど、クレヒスの履歴にマイナス要因が残らないように気をつけよう。
また、住宅ローンの場合、年収における年間返済比率の割合も審査に影響することがあるようだ。
キャッシングは、国内だけでなく海外でも利用することができる。
海外キャッシングは、旅先で現金が不足したときなどに便利だが、場合によっては手数料が高くなるなどのデメリットもあるので、注意しよう。
本記事では、クレジットカードのキャッシング利用について、ローン審査への影響としてどのようなことが考えられるのか、また、キャッシングの仕組みや利用方法、メリットとデメリットなどをまとめた。
ローン審査への影響と注意点
クレジットカードのキャッシング利用が、ローン審査に悪影響を及ぼすことは基本的にない。
ただし、以下の点に注意する必要がある。
クレヒスの履歴
キャッシング利用分の支払いを遅延すると、ローン審査のマイナスポイントとなる。
キャッシングの支払い遅延はクレジットヒストリー(通称「クレヒス」)に履歴が残り、ローン審査の際にチェックされる。
キャッシングを利用した際は支払い日までに返済しよう。
また、未返済のキャッシング利用がある場合、すべての返済を終えてからローン審査を受けることをおすすめする。
住宅ローンの場合
住宅ローンの審査では、年収における年間返済比率の割合が審査に影響することが多い。
年収以外にも、仕事や勤続年数、役職などの属性も、審査の重要な基準となる。
たとえば、正社員として継続して働き、安定した年収がある場合、過去のキャッシング利用や消費者金融の利用なども、審査でマイナスとなりにくい。
キャッシングの仕組み
キャッシングはクレジットカードに付帯する機能で、現金を引き出して借りることができるサービス。
無担保・無保証人でお金を借りることができ、手元に現金がない時や、急遽まとまったお金が必要になった時などに利用されることが多い。
基本的には、カードごとにキャッシング枠の金額の上限が定められている。
カードを申し込む際に「キャッシング枠」を設定し、カードの審査に通りキャッシングが認められれば、枠内の金額を借りることができる。
利用方法
クレジットカード会社がカードの利用者に対して融資をおこない、利用者が後から返済するというのがキャッシングの主な仕組みだ。
キャッシングは主にATMから直接引き出す方法と口座に振り込まれる方法の2種類があり、目的に応じて使い分けができる。
ATMから直接引き出す場合、利用者は銀行やコンビニなどのATMでクレジットカードを入れ、キャッシングの借り入れボタンを押し、利用金額を入力することで現金を引き出せる。
銀行振込の場合、インターネットや電話を通じて利用者がキャッシングの申し込みを行うと、指定した銀行口座に現金が振り込まれる。
申し込みの時間帯などによっても異なるが、即日振込などの所も多い。
すぐに現金が必要な場合はATM、引き落としなどがあり銀行口座に現金を用意する必要がある場合は口座振り込みなど、用途に応じて使い分けることも可能だ。
いずれの方法も、後日クレジットカードからキャッシングの利用金額の明細が届き、利用者は期日までにキャッシングで借りたお金を返済する。
返済方法
キャッシングの返済方法には、主に以下の2種類がある。
一括払い
キャッシングで借りたお金を、一括で返済する。
返済期日は10日~1ヶ月程度などカード会社によって異なり、複数から選べることもある。
リボルビング払い
キャッシングで借りたお金を、月々一定額返済していく。
1万円~の低額から返済可能としているカード会社もある。
なお、リボルビング払いを選んだ場合でも、早めにお金が返せることになった場合には、残額を一括で返せる早期返済のサービスなどもある。
リボ払いは金利が高く、合計で支払う金額が高くなるため、できる限り早めに返済するに越したことはない。
金利
キャッシングは借金のため、必ず利息が発生する。
カード会社により割合は異なるが、一般的には約15~18%の金利となっている。
金利の設定は審査により決まるため、自分で設定することはできない。
そのため、上限金利が適用されることもある。
利用時の注意点
キャッシングは便利なサービスだが、以下の点には注意しよう。
計画的に借りる
キャッシングは簡単で便利なサービスだが、借金をすることに変わりはない。
キャッシングをすることが当たり前になってしまうのは非常に危険だ。
また、「後で返せばいい」と繰り返しキャッシングを利用した結果、利息も膨らみ、返済に苦労することにもなりかねない。
あくまでも借金であることを理解したうえで、計画的に利用することをおすすめする。
必ず返済できる場合にのみ利用する
キャッシングは返済日が定められているため、期日までに必ずお金を返す必要がある。
つまり、借りたお金を返せる能力があることが大前提だ。
毎月一定の収入がある会社員などはあまり問題ないものの、学生やフリーター、フリーランスや自営業者、パート主婦など、収入が不安定であったり、ばらつきがあったりする場合、期日になってもキャッシングで借りたお金を返せないという事態になる可能性がある。
キャッシングは、返済できる見込みがない場合には利用しないのが基本だ。
延滞に注意!
キャッシングの場合、期日までに返済ができない場合には遅延損害金が発生する。
また、信用情報にも記載されてしまうため、新たにクレジットカードを作る場合やローンなどを組む場合、影響を及ぼす可能性がある。
申込と審査の流れ
キャッシングに申し込む方法は、クレジットカードを作る時に同時に申し込む方法と、カードを作った後に申し込む方法の2つある。
カードを作った時はキャッシング枠を0円にしていたが、後からキャッシングサービスを使いたくなった場合でも申し込みは可能だ。
キャッシングの審査期間は、カード発行と同時に行う場合は数時間~1週間程度、後から申し込む場合は数時間~数日程度が目安となる。
増枠
クレジットカードを継続して利用していて、利用履歴に問題がない場合などは、キャッシング枠の増枠が可能になることもある。
増枠は、利用者が希望して申し込むケースと、カード会社から増枠の案内が届くケースの2種類がある。
希望者は電話などで増枠の申し込みをおこない、審査に通れば増枠となり、キャッシングで利用できる金額が増える。
なお、カード会社から案内が届いた場合には「増枠をしても問題ない」とみなされているため、審査に落ちる可能性は低い。
一方で、遅延や延滞が多い、数社からキャッシングをしているなどの場合には、増枠の審査に影響することもあるため注意したい。
審査が厳しくなるケース
キャッシング枠の審査には、全ての人が通るわけではない。
特に以下のような場合、キャッシングの審査に通らなかったり、限度額を希望よりも低めに設定されてしまったりする可能性があるため注意したい。
クレジットヒストリーが悪い
返済の延滞や遅延が複数あるなどの場合には、審査に影響を与える可能性がある。
安定した収入がない
収入が不定期な仕事についている場合、会社員などに比べて審査に通らない可能性が高くなる。
総量規制を超えている
貸金業法により、年収の1/3以上のお金は借りることができないという決まりがある。
すでに総量規制を超えた借り入れをしている場合、新たなキャッシング枠の設定はできない可能性が高い。
キャッシング枠を0円にする
キャッシング枠は自分で設定できるが、キャッシング枠をなしにすることもできる。
その方法は、カードの申込の際、キャッシング枠を「0円」に設定するだけ。
これでキャッシングサービスは利用できないことになる。
この設定をしておくと、カードの盗難や紛失などの際、キャッシングを悪用される心配もなくなる。
キャッシングの利用予定がない人は、申込の際にキャッシング枠を0円に設定することをおすすめする。
海外キャッシングサービス
カードによっては、海外のATMなどで利用できる「海外キャッシングサービス」を設定できることがある。
利用を希望する場合は別途、海外キャッシングサービスへの申込が必要となる。
海外キャッシングの利用方法は通常のキャッシングとほぼ同じで、所定のATMで操作を行いお金を引き出す。
限度額内ならば何度でも利用可能で、期日までに返済する仕組みになっている。
海外キャッシングのメリット
海外へ行った際、途中で用意していた現地通貨が足りなくなることがある。
両替所が近くにない場合などに、海外キャッシングサービスは重宝する。
両替所に比べて手数料が低いことが多く、高額の現金を持ち歩かなくて済むので、上手に利用したい。
海外キャッシングのデメリット
海外キャッシングでも、通常のキャッシングと同様に手数料・利息がかかる。
この手数料・利息によっては、両替のほうが良い場合もある。
そこで、海外キャッシング利用後は、一括返済をおこなうことをおすすめする。
これにより、両替にかかる手数料よりも安い額で済むことが多い。
また、ATMによって手数料が違い、まれに高額の手数料がかかるATMがあるので注意したい。
メリット・デメリット比較
キャッシングのメリット
スピーディにお金を借りられる
キャッシングはコンビニのATMなどでも可能なことが多いため、時間帯や曜日を問わず、必要な時にすぐお金を借りることができる。
「すぐにお金が必要」という時や、予期せぬ出費があった場合には、非常に助かるサービスだ。
面倒な手続きが不要
キャッシングは申し込みをして審査に通ればすぐに使えるサービスだ。
担保や保証人も不要で、クレジットカードがあれば借りることができるため、新たにカードを発行する手間もない。
面倒な手続きなく簡単にお金を借りられることは、メリットが大きいといえるだろう。
周囲にバレにくい
消費者金融などでお金を借りる場合、店舗に入る所を誰かに見られてしまう可能性もある。
キャッシングの場合は通常のATMで引き出せるため、バレてしまう心配が少ない。
どうしても見られたくない場合には、パソコンやスマートフォンなどから申し込みを済ませ、口座振込を選べば、キャッシングをしていることを知られずに済む。
家族や知人に知られずにお金を借りたい人には、キャッシングは他の方法に比べ安心である。
キャッシングのデメリット
利息が高い
クレジットカードのキャッシングは、他のカードローンなどと比べても利息が高い。
これは、本来クレジットカードは買い物などに利用することが目的であり、お金を借りるためのカードではないことが理由のひとつである。
「借りたお金だけを返せばよい」というわけではなく、利息を含めた返済となる点には注意が必要だ。
利用限度額が低い
キャッシングでは、月に借りられる上限が数十万円程度である所がほとんどだ。
そのため数百万円などまとまったお金を借りたい場合、キャッシングは適していない。
キャッシングで借りられる金額は、あくまで少額が基本であるという点は把握しておきたい。
こんなときにおすすめ
キャッシングはどのようなときに使われるのだろうか。
例として、次のようなときはキャッシングを利用できると便利だ。
- 多額の医療費が必要になったとき
- 冠婚葬祭が続くとき
- 給料日前にお金が足りなくなったとき
いずれも、一時的にまとまったお金が必要になり、かつ、返済の目途が立っている場合だ。
そういったときには、キャッシングを活用すると良いのではないだろうか。
常識の範囲内で利用しよう
予期せぬ出来事などで急遽お金が必要になった場合、キャッシングは大きな助けとなる。
海外キャッシングの場合には、海外旅行などの際に上手に活用すればメリットも多い。
キャッシングはあくまでも「借金」であることを念頭に置き、必ず返済できる範囲内で常識的に利用しよう。