大日本印刷は6日、全てのICクレジットカードや汎用電子マネーなどの決済に対応したマルチ決済端末の提供を開始すると発表した。
サービス開始は2019年春を予定している。
この決済端末は、駐車場や飲食店などに設置する自動精算機や券売機に搭載でき、ひとつの端末で多様な手段での決済が可能となる。
磁気、接触IC・非接触IC(FeliCa含む)に対応し、あらゆるICクレジットカード、汎用電子マネーで決済することができる。
大日本印刷が提供する遠隔保守サービスにより無人運用・メンテナンス、オンラインでのアップデート機能も搭載。
また、今年6月に改正された割賦販売法に対応した端末であることも特長として挙げられる。
割賦販売法は加盟店に対し、2020年3月までに決済端末のクレジットカード情報非保持化・ICクレジットカードへの対応を求めるものだ。
本サービスでは、決済をASPサービス(ネットを通じてアプリケーションを利用するサービス)で提供することで対応している。
つまり、精算機・券売機等にクレジットカード情報を残すことがないため、ユーザーは安心して利用できるというわけだ。
なお、大日本印刷は2017年2月より、POS(レジの管理システム)側にクレジットカード情報を保持することなく決済できる「DNPマルチペイメントサービス」を展開している。
2018年4月には、同サービス対応の決済端末も提供しており、本端末はサービス拡充の一環として実施された形となる。
ユーザーにとってのメリットとは
今回の決済端末の登場により、これからの決済手段が大きく変革していくことが予想される。
ユーザーにとってのメリットは以下の通り。
- 自動精算機や券売機でも現金以外の決済手段が利用できる
- セルフ決済できるサービスが増える
- 決済端末を通して安全に決済が可能
昨今では、小売店のレジやガソリンスタンド等のセルフ化が進む。
とはいえ、店によって利用できる手段が現金のみであったり、提携クレジットカードに限定されている場合も多い。
一方で、本端末では接触・非接触問わずICカードによる決済(電子マネーやプリペイドカード等)が可能だ。
これにより、交通系電子マネーやクレジットカードなど、普段自分が使っている決済手段を利用することができるようになる。
現状では決済手段を端末側に制限される場面も多いため、本端末が普及すればよりストレスフリーな決済となるはずだ。
今回発表された決済端末は、無人決済端末としては珍しい磁気・接触・非接触IC決済すべてに対応したもの。
従来の無人決済端末は、利用できるカードが限定されているものや、非接触IC決済に対応していないものも多い。
また、マルチ決済端末はというと、現状ではPOSレジに接続して使う小売店向けのものばかりだ。
本端末が普及すれば、より多くのシーンで多様な電子マネーが利用できるようになるだろう。
無人決済端末ながら高セキュリティ
本サービスは遠隔監視による無人運用・メンテナンスおよびオンラインでのアップデートも可能だ。
人の手で端末を管理する必要がなく、常に最新のセキュリティとサービス環境が維持される。
加えて、オプションではマーケティングに便利な精算機自体の監視機能も選択できる。
具体的には、下記のような機能が利用可能。
- 取り扱う消耗品・紙幣通貨の残量を把握
- 販売メニュー情報の変更
- 購買履歴の取得
保守点検が必要ないだけでなく、売上増加に繋がるマーケティングとしての利用も見込める。
これら導入メリットが認められ一気に普及すれば、それだけユーザーが便利に決済を済ませられるシーンが増えるはずだ。
なお、大日本印刷では今後の展開として、「DNPマルチペイメントサービス」とマルチ決済端末を中心として2020年に20億円の売上を目指す。
将来的にはQRコード決済の対応も予定されており、実現すれば利便性はさらに高まるだろう。