銀聯カードと中国のクレジットカード事情、使える国際ブランドと日本で作れるおすすめの銀聯カード

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中国

4,000年の歴史を有し、現在は世界第2位の経済大国として急成長を遂げている国、中国。中国本土以外にも、香港やマカオも中国の一部だ。

日本との経済関係も深く、魅力的な歴史遺産や自然遺産も多いため、ビジネスや観光で中国を訪れる日本人は多い。もちろん他国同様ビジネスや海外旅行ではクレジットカードが必須アイテムだが、こと中国に関しては事情が若干異なるようである。

今回は、中国国内のクレジットカード事情と合わせて、中国を訪れる際に持っておきたいクレジットカードも合わせて紹介しようと思う。

中国のクレジットカード事情は他と異なる

世界的に見ると、VISAとマスターカードの2強体制となっているクレジットカードの勢力図だが、中国国内に目を転じると、世界的な情勢とは異なる中国ならではの事情が見えてくる。

まずは、香港やマカオも含めた、中国のクレジットカード事情について見ていこう。

中国国内での人民元紙幣の信頼が低い

日本国内では、コンビニで100円の商品を買うのに1万円札を出してお釣りをもらう光景が、当たり前のように繰り広げられているが、実は、世界的に見ても少額商品を高額紙幣で購入可能な国という国はかなりの少数派なのだ。

中国も多数派の一つで、少額商品を高額紙幣で購入しようとすると、まず断られる。日本の紙幣は精巧な作りになっているため、偽札を発行するのが極めて困難であるが、人民元の紙幣はそこまで精巧ではない。

しかも、最も高額な人民元の紙幣は100元(日本円で1,600円程度)なため、5,000元の商品を購入しようものなら、50枚もの紙幣をチェックしなければならず、面倒なため断られるのだ。

中国国内ではクレカの発行が厳しいため、クレカ普及も進まない

高額の買物をする際、紙幣で断られるのならクレジットカード払いにすればいい、と思うが、実際にはそれも簡単ではない。世界の他の国と同じく、中国国内でクレジットカードを発行しようと申し込むと、審査を受けなければならない。

日本国内ならば、過去にブラックリストに登録されたか、よほどステータスの高いクレカに申し込まない限り、審査には通りやすい。しかし、中国国民でクレジットカードの審査をクリアできる人は限られるため、クレジットカードの国内での普及も進まず、利用可能店舗も広がらないのだ。

世界的にはVISAとマスターカードがあればOKと言われているが、こと中国ではその2大ブランドでさえ普及率は決して高くはない。それ以外のアメックスやダイナースに関しては、ほぼ使えないと考えた方がいいだろう。

香港やマカオでは事情が異なる

だが、同じ中国国内でも、本土ではない香港やマカオでは事情が異なる。

20世紀末まで、香港はイギリス領、マカオはポルトガル領であり、中国に返還されてまだ20年ちょっとである。これらの地域では、旧宗主国の経済環境が踏襲されており、本土と比べてVISAやマスターカードが利用しやすい状況にある。

最近では、銀聯カード以外のクレカも利用率が高まる

中国本土でも、世界的な観光地やショッピングエリア、日本人や外国人が多く宿泊するホテルなどでは、VISAやマスターが使える場所も増えてきている。

日本人の保有率が多いJCBブランドに関しても、2003年に中国国内におけるJCBブランドカードの加盟店業務を開始しており、今後、中国国内でのJCBカード利用が促進されると思われる。

中国人が利用しているのは「デビットカード」

そんな中国人の間で普及が進んでいるのが、「デビットカード」だ。

デビットカードとは、銀行口座と紐づけして、カード利用がされるとリアルタイムで口座か利用分が引き落とされる、クレジットカードとは少し異なる決済方法のカードである。

発行に際して特に審査はなく、中国国内の銀行口座があれば誰でも持てるため、国内でクレジットカードを発行しようとしても難しい中国人に急速に普及が進んでいる。

もう一つ、デビットカードが広まっている理由は、中国国外への人民元持ち出し制限だ。中国人、外国人にかかわらず、中国の出入国の際に携帯できる人民元は2万元(日本円で32万円相当)で、これでは中国人が日本で「爆買い」をしたくても資金が足りない。

中国国内のデビットカードの銀行口座に2万元以上の現金を預け、国外でデビットカードを利用する分には問題ないので、デビットカードが中国国内では広まっているのだ。

銀聯カードについて

デビットカードの中でも中国国内で圧倒的なシェアを誇っているのが、「銀聯カード」である。

銀聯カードとは?

中国の銀聯カードを発行している中国銀聯は、中国人民銀行によって促進され、中国国務院の同意の元、2003年に上海を本社に置き設立された、中国のカード連合組織である。そして2003年、国際的な自主ブランドである銀行カードとして、2003年8月に「銀聯カード」が発表された。

読み方は『ぎんれんカード』、上記の「TheNilson Report」によれば、銀聯ブランドの中国国内における認知度は100%で、中国東部や大中都市部のみならず、中西部や中小都市部、さらには農村地域にまでネットワークを広げている。

中国国内で圧倒的なシェア、銀聯カード

今や、世界的な国際カードブランドに成長した銀聯カードだが、中国国内での市場シェアは90%以上、中国国内での加盟店は約1、800万店と、圧倒的なシェアを誇る。

中国国内で銀聯カードを使ったショッピングはもちろんのこと、中国国内のATMを使って預金を引き出すことも可能だ。

さらに銀聯カードなら、中国国外でのショッピング、そして現地ATMを使った現地通貨のキャッシングもできる。

偽札被害や関税法違反を減らしたい中国当局としても、銀聯カードは願ったりかなったりで、当局も銀聯カードを猛プッシュしている。しかも、銀聯カードは中国国内でデビットカードを中心に事業を行なっており、デビットカードは低所得者でも持てるカードのため、銀聯のデビットカードが急速に広まったのである。

中国国外でも普及が進む銀聯カード

中国人の旺盛な購買意欲を何とか自国で発揮してもらおうと、中国以外の外国でも銀聯カードを利用可能な店舗が増えている。2010年上半期の銀聯カード発表によると、日本国内における銀聯カード加盟店舗数は180万店舗を突破しており、そのうち新規加盟店が25万店舗と急速な伸びを見せている。

この数字は現在、さらに増えていると推測される。中国以外の世界に目を転じると、加盟店舗数は約700万店と、そのネットワークを拡大している。現在、銀聯カードを取り扱っているのは、世界125の国と地域で、特に中国人が多く訪れるアジア太平洋地域で成長している。

日本国内で銀聯カードを入手するには

最近では、VISAやマスターカードの利用率も高まっては来ているものの、中国国内でストレスフリーなカードライフを送りたいなら、銀聯カードを手に入れる事をおすすめする。

中国へビジネスに行く人は、時間の効率化のためにも銀聯カードは有効だし、中国へ観光に行くにも、日本国内でクレジットカードを使うのと変わらない使い勝手を誇る銀聯カードを持っていれば、わざわざ使える加盟店を探すこともせずに、じっくり観光ができる。

日本で銀聯カードを発行しているカード会社は限られる

銀聯カードは中国ではデビットカードとして発行されるのが一般的であるが、日本で入手できる銀聯カードはすべてクレジットカードとして発行される。

では、日本で銀聯カードを手に入れるためにはどうすればよいのだろうか。

銀聯カードはVISAやマスターカードと同様に、銀聯という決済サービスの利用をライセンスだけを供与して、カード発行自体は行っていない。

日本国内における銀聯カードは、日本国内のカード会社とライセンス契約を結び、カード発行自体は日本のカード会社が行なっており、現在のところ、日本国内で銀聯カードの発行をしているクレジットカード会社は、「三井住友カード」と「三菱UFJニコス」のみである。

銀聯カードの申込みにおすすめのカード

ここからは、銀聯カードの申込みにおすすめのカードを3枚紹介しよう。

三井住友VISAカード

三井住友VISAカードの銀聯カードは、本カードとは別にショッピング専用カードとして発行されるため、現地での人民元のキャッシングには利用できない。

ショッピング枠は本会員と共有される。デザインは「パンダデザイン」と「中国大陸デザイン」のいずれかから選択できる。
三井住友VISA銀聯カード パンダデザイン三井住友VISA銀聯カード 大陸デザイン


また、最上級カードである「三井住友VISAプラチナカード」の保有者には、中国の山並みをイメージしたシルバーの「三井住友銀聯プラチナカード」が発行される。

三井住友VISA銀聯カード プラチナデザイン

三井住友VISAカードの概要は、以下のとおりである。

申込条件 満18歳以上の人(高校生を除く)
発行元 三井住友カード
年会費 税別1,250円(初年度無料、翌年度以降も条件付き無料)
家族会員 年会費:税別440円(1人目のみ初年度無料)
旅行傷害保険 最高2,000万円の海外旅行保険
国際ブランド VISA、マスターカード
ポイント 1,000円→1ポイント(還元率0.5%)
利用枠 最高80万円
追加可能な電子マネー iD、PiTaPa、WAON、Apple Pay
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家族会員も銀聯カードを発行できるが、口座引き落としは本会員の口座から行なわれる。発行手数料は無料だが、更新時(5年間)には更新料(本会員:税別1,000円、家族会員:税別500円)が徴収される。

ANAVISA Suicaカード

ANA VISA Suicaカードも、追加で銀聯カードの発行が可能であり、銀聯カードの基本的な条件は「三井住友VISAカード」と同様である。
ANA銀聯カード
ANA VISA Suicaカードの概要は、以下のとおりである。

申込条件 満18歳以上の人(高校生を除く)
発行元 三井住友カード
年会費 税別2,000円(初年度無料)
家族会員 なし
旅行傷害保険 最高1,000万円の海外・国内保険
国際ブランド VISA
ポイント 1,000円→1ポイント(マイル還元率0.5%~1%)
利用枠 ショッピング枠最高80万円
追加可能な電子マネー Suica、iD、PiTaPa、Apple Pay
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「ANAVISA Suicaカード」「三井住友VISAカード」だけでなく、三井住友カードが発行する「ANA VISAカード」「ANAマスターカード」「ANATOKYU POINT ClubQ PASMO マスターカード」でも、以下の中国国内ホテルの優待宿泊プラン(宿泊料金の割引、特典や優待の付帯)が用意されている。

上海:オークラガーデンホテル上海、ホテル・ニッコー上海
天津:ホテル・ニッコー天津
北京:ホテルニューオータニ長富宮
無錫:ホテル・ニッコー無錫
大連:ホテル・ニッコー大連

また、上海の銀聯コールセンターでは、カード盗難・紛失時の案内、カード利用に関する案内、中国国内加盟店への各種説明などを提供している。ただし、発行される銀聯カードのデザインが、ANAデザインの1種類のみとなる。

MUFGカード(一般)

「MUFGカード(一般)」の保有者は、MUFG銀聯カードを発行することができる。カードデザインはゴールドとシルバーがあるが、MUFGカード(一般)は一律でシルバーのデザインとなる。

MUFGカード(一般)の概要は、以下のとおりである。

申込条件 満18歳以上で安定した収入のある人(高校生を除く)
発行元 三菱UFJニコス
年会費 税別1,250円
家族会員 税別400円
旅行傷害保険 最高2,000万円の海外旅行保険
国際ブランド VISA、マスターカード
ポイント 1,000円→1ポイント(還元率0.5%)
利用枠 ショッピング枠最高40万円
追加可能な電子マネー なし

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新規発行手数料(本会員:税別1,000円、家族会員:税別300円)がかかり、5年間の更新時にも発行手数料がかかるが、銀聯カードの年会費は発生しない。

MUFG銀聯カードは本カードとは別にショッピング専用カードとして発行されるため、現地での人民元のキャッシングには利用できない。ショッピングの支払い回数も、1回払いのみである。

海外の銀聯加盟店でMUFG銀聯カードを使用すると、1,000円利用につき1ポイントのところ、2倍の2ポイント付与される。

また、中国国内の海外アシスタンスサービス「ハローデスク」も利用可能で、中国の現地情報の提供やホテル・レストランの予約を承っている。

最近ではWeChat Paymentも増えて来ている

ここまで銀聯カードについて紹介してきたが、ここ数年中国ではWeChat Paymentという支払い方法が増えてきている。

WeChatは日本でいうLINEと同じように、中国でのコミュニケーションツールとして多くの人が利用している。WeChat
PaymentはWeChatの機能の一つで、金額を自分で入力した後に表示されるバーコードを、お店が読み取ることで支払いが完了するというものだ。中国の銀行口座と紐付けることで、デビットカードと同様に携帯端末上で決済を済ませることができる。

日本版WeChatも存在しているが、残念ながらPayment機能は利用することができないそう。中国版でPayment機能を利用するにも、中国の銀行口座が必要になるため、日本人が利用するには少々ハードルが高そうである。

しばらくは日本人が中国に行く場合は銀聯カードが最強の支払い方法となりそうである。

まとめ

以前より状況は改善されたとはいえ、中国国内における銀聯カードのメリットは計り知れない。ただし、銀聯カードを中国で利用する際には、6桁の暗証番号(00+指定の4桁)を入力した上で、サインをしなければならないなど、日本のクレジットカード異常とは若干異なる面もある。

また、日本で発行される銀聯カードにはキャッシング枠がないため、中国のATMで現地通貨をキャッシングのであれば、VISAやマスターカードを持って行くと安心だ。

お得なキャンペーンを実施しているカード会社もあるので、銀聯カードの発行、利用の際にはぜひ活用したい。

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